不眠が酷いのとコロナ隔離されて端末がスマホのみになったのとで2ヶ月以上空いてしまいました。楽しみにしている方(いるのか?)には申し訳ありません。
「ご馳走様でしたー!」
「お粗末様」
今日は久々に手作りの夕飯の日だった。と言っても茹で置きのスパゲッティをごま油で小松菜と一緒に炒めて中華の素で味付けしただけで、残りはインスタントのスープとパックの豆腐という手抜きメニューだが。
小松菜はスーパーで安かったからチョイスした。野菜を少しでも取ることでなんとなく栄養学的に許されたつもりになっている。
レシピを見て適当に作った代物だが簡単に作れてぱりっとした食感とごま油の香りがスパゲッティらしからぬ風味を出して不思議と後を引き、多めに作ったはずがすっかりミュナも俺も完食してしまった。しらすを入れても良いかもしれない。
「っと、片付けるから皿そのままにしといてくれ」
「はーい」
座布団に座っていても古い木造建築ゆえか冷えが下から来て唐突な尿意が襲い来る。エアコンはあるものの和室が本当に和室で天井近くに鴨居があるのでエアコンの効きがよろしくなく、座卓に座布団だと暖気がほとんど降りてきてくれない。それでも今更座卓から普通の机と椅子に変えるのも出費が厳しいし階段を通すのが億劫だった。
「……ふう」
『きゃあああああっ!』
古めかしい部屋とは対極的な綺麗なトイレで用を足し、一息ついた途端に外でミュナの悲鳴と破壊音が響き渡った。
「なんだ、どうした!?」
「おにいちゃ、ごめ、ごめんなさい……」
「あーららら」
流し台の前にほんの少し前までは皿だったものの破片が派手に散らばっていて、ミュナが身体を震わせて嗚咽を漏らしていた。
「ほら、危ないから離れてろ。怪我すんぞ」
「うん……」
ミュナはすっと姿を消した。確かにこれなら絶対に安全だと納得しつつ押し入れから軍手を引っ張り出してきて散らばった破片を一か所に纏める。こういう時に新聞紙があれば便利なのだが一人暮らしで取るわけもなく、かと言って大学で定期的に教室にばら撒かれる思想的な新聞を持って帰るわけもないので大きめのチラシを集めて纏め、無理矢理ガムテープで封印する。
「ふう、ざっとこんなもんか。ミュナ、スリッパと掃除機取ってきてくれるか?」
「───」
ミュナはすっと姿を現し、来客用にととっておいたスリッパと掃除機を引っ張り出してくれた。消えたまま現れないかと少し不安になっていたので胸を撫で下ろした。手早く細かい破片を掃除機で吸い取って念のためにコロコロもかけておく。
「ん、こんなもんか。ほれミュナ、あんまり気にすんなって」
「……ごめんなさい」
「いいって」
相変わらずミュナは落ち込んでいるようで少し心配だがとりあえず頭をぽんぽんと撫でておく。
「代わりに皿を流しに片付けようとしてくれてたんだろ?わざとじゃないし俺は気にしてないってば」
「ん……」
背の低いミュナにとってはシンクに皿を入れるには少し手が届きにくかったのだろう。そのうちに皿を落としたようだ。
「ほら、ミュナが怪我しなかったのが何よりだってことで」
「うん……」
口数は少ないもののミュナが小さく笑顔を見せてくれたので一安心して、この件は終わりにすることにした。
「お兄ちゃん、課題終わったー?」
「おう、なんとかな」
夜も更けて、積まれた課題を一つやっつけて伸びをする。講義もしっかり入れてバイトも入れてだと課題を少し多めに出されるだけで割と焦ってしまう。更にちょっかいをかけてくる同居人もいるのだから。
「えへへ、どーん」
「わっ」
ミュナがおもむろに俺の膝の上に座り込んできた。冬用のスウェット姿なので見ていて寒くなるということもないし、ミュナの素肌の感触に心乱されることもあんまりない。たぶん。尻尾は強引にお尻の部分に穴を空けたのでいずれほつれるだろうが、買ってきたのがペンギンのマスコットの安い店なので一冬持てばいいかと諦めている。
「どうどう?あったかい?」
「おう。やっぱ冬は冬らしい恰好せんとな」
ミュナの背中が胸に押し付けられる。ミュナの温かさと体重が心地いい。
「あーあ、今日はやっちゃったなー」
「もう良いって」
ミュナは膝の上でリモコンを操作してテレビをつけた。椅子代わりにされてはいるのだが、これはこれで嬉しく思ってしまうのが少し怖い。
「ミュナさ、もうちょっとお手伝いできること増やそうかなって思ってたんだ」
「つってもなあ。コロコロかけてくれるし風呂も入れてくれるし布団の準備もしてくれてるだろ。十分すぎるわ」
これは偽らざる本音だ。俺自身もはっきり言って掃除は好きじゃないので、帰ってきたらミュナが一部屋だけでもコロコロをかけてくれていたら嬉しいものだ。
「お兄ちゃんは料理のレパートリー増えてるじゃーん」
「だったらトイレ掃除やってくれるか?」
「それはやー」
即答だった。そもそもミュナはトイレを使わないから仕方ない。
「ま、焦んなくて良いだろ。ほれ、そろそろ寝るぞ」
「はーい。あ、もちろんえっちならいつでもいくらでも良いからね?」
「明日は早いから無理」
「ちぇー」
膝の上のミュナをどかして布団を押し入れから引っ張り出すとミュナは口を尖らせながらもせっせと布団を綺麗に並べて終わったらそのまま布団を被ってこちらに手招きをした。
「ホントにこういうちょっとしたことがありがたいんだって」
「えへへー」
もはや布団を二組敷く意味があるかわからないぐらいすっぽりと俺の腕に収まってきたミュナの体温を感じながら眠りにつく。自由になって布団の中をあちこち這い回るミュナの尻尾のぷにぷにした感触が妙に心地よかった。
次の日、大学が終わった俺は大家さんの家の前に呼び出されていた。
「ごめんなさいねぇ、他はなんとかなったけどこればかりは重くって」
「いえ、他も言ってくれたらやりますんで。ミュナのためにあれこれ用意してくださってありがたいっす」
なんでも昼間にミュナの相談を受けので、夕飯の準備をするから荷物の運搬をして欲しいとのことだった。渡されたのはそこそこ大きなホットプレートだった。確かにこれを持って階段を上るのは厄介だろう。ホットプレートを壁や手すりにぶつけないように注意しながら大家さんを伴って部屋へと戻る。
「おかえりー。お疲れ様ー」
「おう」
大家さんに買ってもらったオーバーオールでミュナが出迎えてくれた。昼間に弄ってもらっていたのか髪が少しカールしている。
「お待たせ、じゃあ始めようかしらね。みゆなちゃん、お手伝いしてちょうだいな」
「はぁーい」
ミュナはいそいそと見慣れないボウルを持って俺たちの所に駆け寄ってきた。大家さんが持ってきたのだろう。
「じゃあキャベツは私が切るからニラをみじん切りにしてちょうだい。みゆなちゃんは包丁と離れたところで調味料をお願いするわね」
「うっす」
「わかったー」
キャベツとニラ、それに加えて冷蔵庫内にちらりと見えた挽き肉と来ればメニューの予想はついた。
「餃子っすか」
「そうよぉ。買って焼けば手間ないけど、皆で作るとまた違うもの」
ミュナ用に調味料のレシピも用意してくれたらしい。用意周到である。
「わあ、おばあちゃん早ーい」
「うふふ、年の功よ」
大家さんの包丁さばきは流れるようで、ニラを切るだけで四苦八苦している俺とは雲泥の差だった。大家さんに遅れることしばし、なんとかニラを細かく切り終えた。
「じゃ、野菜は水を出すために塩をしてちょっと置いといて……お肉やりましょっか。みゆなちゃん、手袋準備して」
「はいはーい」
「あ、俺はご飯炊いとくっす」
本場では餃子はそれ単体で食べるものらしいが、俺にとってはご飯のおかずだ。ミュナはにんにくの臭いが嫌いなのであまり食べないが、それでも食べる時はやっぱりご飯を合わせている。
「みゆなちゃん、にんにくは抜くけど生姜は少しだけ入れてるからね」
「んー、ちょっとだけなら平気ー」
「わかったわぁ。じゃ、まずはお肉を捏ねるところからね」
ミュナはおっかなびっくりといった感じで挽き肉に手をやった。
「大丈夫よ、ぎゅぎゅっと捏ねたら良いのよ」
「こ……こう?」
「そうそう。乱暴にやると飛び散っちゃうから優しくね」
ミュナの手つきは危なっかしく見えたが、今のところは問題なさそうだ。
「粘りが出てきたらお野菜と調味料も入れちゃうから、また全体を馴染ませるように捏ねてねぇ」
「はぁーい」
どさどさとボウルに野菜と調味料が投入される。一気にボウルの中の容量が増えてミュナは捏ねにくそうだ。
「わ、わわ……零れちゃいそう」
「ねえ、みゆなちゃん」
捏ねる手がためらいがちになりつつあったミュナに大家さんが優しく声をかけた。
「難しく考えなくていいのよ。食べる人のことを考えて、丁寧に、気持ちを籠めてやればいいの。それでちょっと失敗しちゃっても誰も責めたりしないから」
「う、うん……こう……?」
「そうそう、上手上手」
「美味しくなれ……美味しくなれ……」
「その意気よぉ」
慣れてきたのか、それとも何かを掴んだのかミュナの手つきに淀みがなくなってきた。一生懸命なミュナにこっそりと心の中でエールを送る。
「美味しくなーれ……萌え萌えきゅ~ん」
「それは違う」
ツッコミは心の中で留め置けなかった。
「あら、やっぱりそういうお店行くの?」
「行かねえっす。喫茶店ならこないだのとことかのが好きです」
「若いもんがとっしょり臭いこと言わないの」
大家さんまで参戦してきた。実際あまり興味がないので仕方ない。兄貴の観光に付き合って入ったがあまりしっくり来なかったのだ。
「おばあちゃん、これぐらい?」
「んー、良い感じねえ。じゃあ包みましょっか」
偶然か、狙ってか大家さんの追及が本格化する前にミュナから助け船が入った。大家さんの指示に従って大皿を出してラップを敷き詰め、人数分のスプーンと水を入れたお椀をいくつか用意する。
「はいみゆなちゃん、よく見ててね。こうタネを掬って皮の上に出したら縁にお水をつけて……こんな感じで十字にして包むの」
「えーっと、えーっと……」
「一回やってみましょっか」
大家さんの説明を受けながら三人で餃子を包む。大家さんはゆっくり丁寧に説明しながらミュナに行程をやってみせるがミュナの手つきは覚束ない。
「こう……?」
「うん、そんな感じね。もう少しタネを減らした方が良いかもねぇ」
「これぐらい?」
「そうそう。で、十字を作って押し潰すように……」
「できたー」
ミュナが皿に乗せた餃子はお世辞にも整っているとは言い難かった。端からタネが少し漏れているし皮もしっかりくっついてはいない。それでも誇らしげに皿に置いたのを見ると指摘するのも心苦しい。
「そうそう、そんな感じでどんどん包んでいきましょ。沢山作れば慣れてくるからね」
大家さんも指摘しないまま次の餃子に取り掛かる。俺も皮を手に取って参戦する。
「あらあら、うまいじゃない。ご実家でやってたの?」
「はい。たまにですけど」
「わ、すっごい」
俺が包み終えた餃子を見てミュナは目を丸くする。
「お兄ちゃん、すごーい」
「まあ、何度もやってっからな」
「えっと……ミュナの……ひょっとして……」
ミュナは自分の作品と俺のを見比べて少しずつ語気が小さくなっていく。
「さっき大家さんも言ったろ。丁寧に気持ちを籠めてやりゃそんでいいんだよ。そもそも一回説明聞いただけでできるんなら料理人が商売あがったりなんだわ」
「そう……かな?」
「そうだよ。ほら、気を取り直して次だ次」
ミュナを宥めて次の餃子に取り掛かる。
「あらあら、立派なお兄ちゃんね」
「おだてないでくださいよ」
平静を装うものの普段のミュナとの性活は勿論言えないので心拍数が少し上がる。
「にゃー!!」
「あらあら、詰めすぎよぉ」
悲鳴が聞こえたと思ったらミュナが手を挽き肉塗れにして叫んでいた。タネを詰めすぎて手にまで零れてしまったようだ。
「欲張りすぎだ。こんなん少ないかなってぐらいでいいんだよ。こう、スプーンの背中で伸ばしてやって……良いから手ぇ洗ってきな。俺も昔は通った道だ」
「そうなの?」
「そうそう。懲りずにギリギリまで詰めるもんだから皮が余って怒られたわ」
「ボウルじゃなくてバットに並べて一個分をきっちり分ける方がよかったわねえ」
そんなこんなを言いながらもミュナに手を洗わせて再開する。数をこなすうちにミュナも騒ぐことが少なくなり───
「おわ、ったぁー!」
「お疲れ様。炊飯器は……うん、良い感じねぇ。じゃ、焼きましょっか」
大皿だけでは結局足りずうちにある皿を総動員してずらりと数十個の餃子が並ぶ。ミュナのものは一見して作者がわかるほどには拙いが、それでも最後の方はそれなりに形が整ってきていた。
ホットプレートに油を敷いて早速餃子を並べていく。普段自分で買ってくるときは十個か十二個程度しか焼かないのでこれだけ並ぶと壮観だった。ちりちりと油が跳ねる音とともに少しずつ香ばしい匂いが部屋に広がっていく。
「もうちょっとね。お水をカップに入れてきてちょうだい。それとお玉」
「うっす」
大家さんは餃子を一つ一つひっくり返していく。薄くきつね色に焼き色がついていてこの時点で期待が持てる。
「よいしょっと」
大家さんは全部をひっくり返し終えたらお玉で全体に水をかけ回し、間髪入れずに蓋を閉じた。
「さ、後は暫く蒸して水気が飛んだら最後の仕上げよ」
「これならフライパンで良くないすか」
「それはそうだけど、折角みゆなちゃんが手伝ってくれたんだから見えやすいところで作らなきゃ、ねぇ」
「あー」
確かにミュナは目を輝かせて蓋の下に透けて見える餃子と跳ねる水を凝視している。少しずつ水は減ってきているものの完成まではまだまだ時間がかかりそうだ。
「じゃ、今のうちに食べる準備もして軽くお汁でも作りましょっかね」
「うす、手伝います」
「それじゃ取り皿とお箸と調味料を用意しといてちょうだいな」
餃子の番をしているミュナを置いて俺は俺の作業に取り掛かった。
「ねえねえ、そろそろ?」
「そうねぇ、もう良いかしらねえ」
「うわぁ、良い匂い」
蓋を開けるとふわりと香ばしい焼けた皮の香りが部屋に立ちこめる。
「まだよ、みゆなちゃん。ここから最後の仕上げ」
大家さんはプレートの設定温度を少し下げてごま油を回しかける。小気味良い音とともに素晴らしい香りが広がり、思わずため息が出てしまった。
「あら、ちょうどご飯が炊けたみたいねえ。あ、おばちゃんはご飯そんなに要らないからお皿にちょっとだけ盛ってちょうだいな」
「うっす」
ホットプレートを中心に茶碗や取り皿を並べる。焼きたての餃子にかき玉スープ、それから大家さんが持ってきたサラダというバランスの取れたメニューだ。メニューそのものは至って普通だが餃子が手作りで焼きたてとなるとそれだけでパーティー感が出てくる。確かにフライパンで作るのとはまた雰囲気が違って見えた。
「さ、いただきましょ。ほら、みゆなちゃんも手伝った餃子よぉ」
「いただきまーす!」
副菜のことは今は忘れて焼きたての餃子に箸を伸ばす。仕上げのごま油を纏ってパリパリになっているのを酢醤油をつけて一口齧ると中から熱々の餡があふれ出し口の中に野菜と肉の旨みが広がった。行儀が良いとは言えないが、半分齧って残りはご飯の上にバウンドさせる。白いご飯が酢醤油で穢されその上に齧りかけの餃子が鎮座している。やはり餃子はご飯のおかずだと再認識させる光景だ。
残り半分の餃子は餃子だけで食べずに口の中にあるうちに追いかけるようにご飯をかっ込む。酢醤油を纏ったご飯の味がともすれば濃く感じる餃子の味を中和し包み込むのを楽しめる。
「ん……美味しい……」
「みゆなちゃんがお手伝いしてくれた餃子よ」
「えへへー」
ミュナもばくばくとがっついている。自分が初めて手伝った料理となれば味わいもひとしおだろう。一口ごとに顔を綻ばせるミュナを見ると俺も我がことのように嬉しくなる。ミュナにほっこりしながら次の餃子に箸を伸ばした。
「ちょ、お兄ちゃん、駄目ー!」
「あん?良いだろ別に」
俺が餃子を箸で掴むとミュナは悲鳴を上げる。その餃子は歪な形で外に餡が零れ出ていた。そう、ミュナが欲張って詰めすぎた失敗作だ。
「駄目だよ!美味しくないから!」
「んなもなあ食ってみなきゃわからんだろ」
慌てて止めようとしてくるミュナをひょいとかわして歪な餃子を酢醤油につける。酢醤油に少し餡が浸ったがまあこれはこれで出汁が出るだろう。
「うん。うまい。全然こんなん気にならんぞ」
「やめてー!返してよお兄ちゃん!」
「もう口つけたから諦めて他の食え。どれもうまいぞ」
「もー!」
いつものミュナなら間接キスなど気にせず何なら口に入っていても強引に奪い返しに来るだろうが流石に大家さんの目の前でそんな真似はできないので俺の作戦勝ちだ。それに実際そこまで味の違いはわからないのだ。
「こっちのお兄ちゃんが包んだやつの方が美味しいもん……」
ミュナは口を尖らせて形の整った餃子を一気に三つ取り皿に強奪した。
「拗ねんなって。そんな気になるってんならまた今度もっかいやるか?これぐらいなら俺でも野菜切ったりはできそうだし」
「あら、良いじゃない。レシピはこれ一つじゃないから色々試してみたら良いわよぉ。キャベツの代わりに白菜を使ったらまた違う感じになるし、お肉も今日は合い挽きだったけど豚肉だけにしても良いし。あ、あと鶏胸の挽き肉に紫蘇とマヨネーズを混ぜるってのも面白いわよ」
「……ん」
ミュナは少しうつむきながらも餃子を咀嚼しつつ頷いた。
「じゃ、ホットプレート置いとくから使っちゃっていいわよ。うちの棚でずーっと埃被ってたし」
「いいんすか、じゃあお借りしますね」
「代わりに餃子いくつか貰って帰るわね。お父さんの晩酌用にしちゃうから」
「どうぞどうぞ。あ、このかき玉もうまいすね」
「片栗粉をちょっと入れるのと玉子は余熱だけで火を通すのがコツよ。こっちも簡単でしょ」
ミュナの機嫌も直ったようで、終わってみればミュナは珍しくご飯をおかわりしていた。
「餃子、美味しかったね」
「おう。準備も洗い物も手間だけど良いもんだろ」
家事を済ませて風呂も入り、ミュナと二人和室でごろごろしていた。やはりミュナと二人は気を遣わなくてのびのびできる。
「ねね、次はいつやる?明日?」
「連日は飽きるだろ。まあ、今年中にもう一回はやるかな」
「そっかー」
「布団敷くから手伝ってくれ」
「はーい」
暖房を入れているとは言え木造で隙間の多い古い物件なので冬場は冷え込みが酷い。正直なところエアコン以外にももう一枚暖を取る何かが必要だとは思うもののとりあえず今は布団を被る以外に対処法がなかった。
「さてお兄ちゃん、餃子でスタミナがついたところでですね」
「寒いからとっとと寝なきゃな」
「えー」
布団に寝転がって毛布を被るとミュナは素早く俺と毛布の間に身体を滑り込ませてきた。
「きさまー、頑張ってお手伝いしたいたいけなミュナを労う人の心とかないんかー?」
「あれこれ混ぜすぎだろ……っ」
ミュナが背中にぴったりと張り付いてくる。細い指が俺の服に侵入してごそごそとあちこちをまさぐってきて、思わず息が漏れてしまった。
「ほらほらー、えっちしたくなってきたでしょー?」
「そうは言ってもな……寒いんだわ」
ミュナは寒さが平気なので俺の事情をあまり斟酌してくれないが、この環境で裸になってミュナと交わるのは無理がある。最中は身体が火照っていても終わったら一気に冷え込む上にこちらは出すものを出して体力も喪失しているので落差が激しいのだ。ミュナには悪いが自衛をしなくてはこの季節やっていけない。
「むぅ、しょうがないにゃあ」
「悪いな。もう一個ぐらい防寒手段が欲しいとは思ってはいるんだが……」
「じゃあ、おふとんの中で服着たままいちゃいちゃするのは合法ってことだよね?」
「…………まぁ」
ふっと耳元に息を吹きかけられ全身がびくりと震えた。パジャマ越しにでもミュナの温もりが伝わってきて、鼓動が早まってくる。
「えへへ、じゃあ今日のお夜食にー、お兄ちゃんを美味しく調理しちゃいまーす」
ミュナの指が胸元に入り込み乳首をくりくりと弄ってくる。ぞわりと背筋が震えたところに耳たぶを甘噛みされその刺激だけで直接触られていないにもかかわらず俺のモノはパンツの中で隆起し始めていた。
「あは、下拵えかんたーん」
「ぐっ……」
ミュナがズボン越しに大きくなったモノをぴんと弾く。もどかしい刺激に再び身体が震えた。
「じゃあ本格的に調理を始めよっかなー」
「う、あっ……」
ぬるり、とパンツの中にミュナの尻尾が侵入してくる。尻尾の尖端が俺のモノに触れるとにちゃりと温かい粘膜の感触が広がった。
「はーい、ぱっくん♪」
一気に根元までぬめった感触に呑み込まれる。みっしりと内部を覆う肉襞の感触に一気に俺のモノは限界まで怒張してしまう。だが―――
「えへへ、今日は中を動かさないでじっくりまったり味付けするからね」
ミュナの宣告通り内部の蠕動がないため温かい粘膜の感触の密着感だけが広がっていく。
「えい、美味しくなーれ、美味しくなーれ」
「く……あ……」
ミュナの両手が尻尾に伸び、肉襞を揉み込むように俺のモノを刺激する。ひと揉みごとにぞるぞると快感が竿に走り情けない喘ぎ声が漏れてしまう。
「美味しくなーれ、美味しくなーれ……」
ミュナは俺の背中に張り付いて歌うように囁きかけつつ尻尾越しの責めを継続する。ミュナの指の動きは緩慢で、一気に快感が高まることがなく逆にそれがもどかしい。尻尾内部の水気が増して俺のモノになすりつけられていく。
「ね……お兄ちゃん、こっち向いて気持ち良くなってる顔、見せて?」
言われるままに身体を反転させミュナと向き合う体勢を取る。ミュナもまた上気した表情だった。
「あは、いつでも好きなだけ出して良いから、ね」
ちゅ、と頬についばむようなキスを浴びせられる。ちゅ、ちゅ、ちゅ。逆の頬や額にも続けてミュナのキスが降り注ぐ。
「いーっぱい気持ち良くなって、びゅるびゅるーって出そうね、ミュナがぜーんぶ飲み干してあげるから」
囁きながらもミュナの手は止まらない。ゆっくりと、だが確実にぬめつく肉襞が俺のモノを責め苛んで中から精を搾り出すべく絡みついてくる。
「えへへ、美味しくなーれ、美味しくなーれ」
服越しに胸にも硬い感触が走る。びくりと身体を震わせるミュナとふと目が合った。
「んっ……お兄ちゃんのこともぐもぐしてるうちにミュナも……んんっ……きもちく……」
少しミュナの手の動きが早くなった。尻尾の分泌する粘液も粘度が上がってきている。
「ね、おにいちゃ、ミュナのも、触ってぇ……」
ミュナの手が伸びてきて俺の手を引っ張る。にゅるり、と指が熱いぬめった感触に触れた。ミュナがびくりと痙攣し、尻尾の内部がぎゅっと窄まる。
「んっ、あはっ……」
蜜の溢れる秘所を指で擦るとミュナは身体をくねらせお返しとばかりに尻尾を強めに手で扱き上げた。強い刺激に腰が跳ね奥から射精感がこみ上げる。
「おにいちゃ、指、挿入れてぇ……じゅぽじゅぽってしてぇ……」
ミュナの秘所を愛撫しながら入るべき場所を探る。その刺激がミュナの身体を跳ねさせ、尻尾の収縮を強める。もはやいつ暴発してもおかしくはない。
「あんんっ……!」
つぷ、と指が沈み一気に熱に包まれる。ミュナの膣内は尻尾の中よりも更に熱くぬめっていてぎゅうぎゅうと指を締め付ける。
「んっ、やぁ、ゆびぃ、ごりゅごりゅってぇ……!」
ミュナは腰をくねらせ俺の指をぎちぎちの魔壺の中でこねくり回す。指がそこかしこに当たりミュナの身体が幾度も震え、尻尾も連動するようにわななく。ぴちゃりぴちゃりとお互いの股間から湿った水音がいやらしく響き渡る。
「あはぁ、おにいちゃ、でそう?いいよ、だして。みゅなも、いくからぁ」
うわ言のようにミュナは呟きながら尻尾を扱く手を上下だけではなく左右にも激しく動かす。尻尾の内部がぎゅるぎゅるとうねり俺のモノは上下左右に翻弄される。
「ね、ちゅー、おにいちゃ、ちゅー」
ミュナは喘ぎながら俺に唇を寄せてくる。今までが頬や額の口付けとは違う、粘膜同士の触れあう感触。収まるべきところに収まった、そんな感触とともに下半身から一気に何かがせり上がり───
びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるぅっ!!!
「ああああああああっ!!」
「んあああああっ、あは、お兄ちゃん、美味しい……っ!」
ごくりごくりと俺の精をミュナの尻尾が飲み下していく。お互いの間に架かった唾液の橋を飲み下す勢いでミュナの唇が迫り、唇を奪う。俺の舌とミュナの舌が絡み合い、じゅるじゅると音を立てる。まるでペニスだけではなく口からも精を吸おうとしているようだ。ミュナの尻尾の内部は俺の精を残すまいと搾り出すように収縮を繰り返し、内部から精を吐き出させようとミュナの舌がそれを後押しする。
「ぷぁっ!美味しかったー。お兄ちゃん、気持ちよかった?」
「……ん」
長い長い射精が終わり、ミュナの尻尾とキスから解放される。何やら指が温かいと思ったらまだミュナの秘所に突っ込みっぱなしだった。
「んっ……良いよ?このまま朝まで指挿入れてても。暖房代わりになる?」
「ならんならん」
慌てて指を引き抜くとミュナはまた軽く身体を震わせた。
「じゃあ、ミュナゆたんぽはどうかな?あったかいよ?」
「……まあ、それなら」
ぎゅっとミュナを抱き寄せると確かにぽかぽかと温かい。射精の疲労感と合わせて睡魔が一気に押し寄せてくる。
「えへへ、おやすみ、お兄ちゃん」
ちゅ、と頬に柔らかいものが触れた気がしながら意識は夢へと落ちていった。
「おはよ、お兄ちゃん」
「おう、おはようさん」
翌朝、朝食にとカップ麺を準備していたらミュナがとてとてと駆け寄ってきた。
「えへへ、ミュナが手伝うことないかな?」
「つってもなあ……じゃあ、お湯沸かすからその間に他のを準備してくれ」
「はぁい♪」
いそいそとミュナは麺の上にかやくを振りまく。頑張りたいという気持ちはとてもわかったので好きにさせることにした。
「美味しくなーれ、美味しくなーれ……」
「スープ入れてかき混ぜるだけでそこまでやらんでも」
大家さんを出すと話を回すのが楽ではあるのですが、脱線しすぎて進まない問題も生じるので諸刃の剣ですね。
茹で置きのパスタと小松菜だけで作る炒めパスタは簡単で美味しいので試してみてください。太麺の方が合います。
餃子の手作りは盛り上がるものの後片付けが大変なのであんまりやりません。でも餃子の皮を使ってあれこれアレンジ料理をするのは好き。
この小説に求めるものは何ですか?
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いちゃいちゃ
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