「あかりをつけましょぼんぼりに~♪」
「ご機嫌だな」
食卓に布巾をかけながらミュナは楽しそうに歌っている。俺には縁遠いイベントだったのでよくわからないがまあ楽しそうなら良いかとも思う。
「グイと白酒飲みほして~♪」
なんか色々と違う気がしてきた。
「ひなにんぎょうにー ひなにんぎょうにー ひなにんぎょうにー♪」
縁遠くともわかる。これは絶対に違うやつだ。
「よーし、そろそろ並べるぞー」
「はいはーい。わ、すっごい!」
出来あいのものばかりだが並べるとそれなりに壮観だ。寿司をメインに彩りのあるサラダやオードブルセットがうちらしからぬ華やかさを演出している。スーパーで適当にひな祭り特集と銘打ってあるものを買っただけでここまで体裁を整えられるというのはどうなのかとも思うが自分で作ることを考えると絶対に俺はこっちの方が良い。給料も出たし快気祝いも兼ねて思い切って奮発することにした。
「白酒…はアルコール入ってるからカルピスで良いな」
「今はそれでいーよ。い・ま・は・ね♡」
ミュナの舌なめずりにどきりと心臓が跳ねる。風邪をひいて以来薬を飲みきるまではと約束していたしミュナも責任を感じていたからか誘惑もせずにいたので不意打ち気味だった。
「ま、なんだ。とりあえず食うか」
「はーい。いっただっきまーす」
どれから食べようかと少し迷ってからオードブルの端のスパゲッティに箸を伸ばす。コンビニ弁当の端に入っているような付け合わせを想定していたが意外や意外、きっちりと味付けされたミンチ肉と玉ねぎの香りが後を引く一品だった。隣のペンネもバジルがしっかり効いていてクオリティが高い。
「んー、美味しー!」
ミュナは好物のサーモンの握りをがっついている。ひな祭りと言えばちらし寿司だろうと買ったはもののそれだけだとボリュームが少なくて寂しかったので握り寿司も買ったのだが並べると握りの方がメインに見えてしまうのは失敗だったかもしれない。
「ミュナは昔ひな祭りやったとか覚えてないのか?」
「記憶にございませんなー」
ちらし寿司に箸を伸ばす。桜でんぶがかかっていて玉子の黄色と合わせて彩りが豊かだ。味の方は桜でんぶの甘味と酢飯の酸味が相俟って地味ながらほっこりとするものだ。玉子や蓮根の食感がたまに挟まるのが刺激になってありがたい。
「ミュナ、ちらし食べるならスプーン持ってこようか?」
「おねがーい」
一人一パック買ったちらし寿司が手付かずだったので水を向けてみる。ミュナの箸づかいだとでんぶを零しかねないというのもあった。
「ん、これ美味しいね。美味しい。けど……」
「けど……?」
「……前に食べた海鮮ちらしの方が美味しかったかな」
「うーん、そりゃまあそうだろ。いくら余りもの詰めたっつってもスーパーの大量生産品と比べちゃあかん」
ごめんね、とミュナはいたずらっぽくぺろりと舌を出す。
「お兄ちゃんのバイト先でも先月の海鮮巻きみたいにテントーハンバイしたら良いのに」
「そうしたら俺が駆り出されるな」
「あ、そっかー。それだとゆっくりできないね」
納得した様子でちらし寿司をつつくミュナを見ながら安堵半分申し訳なさ半分だった。本当はスーパーでも海鮮ちらしが置いてはいたのだが、文字通り桁が違っており予算オーバーにつき地味な方を買うに至ったのだ。華やかなちょっとした記念日の食卓と限られた予算の板挟みの結果である。
「まあまあ、海鮮ちらしはないけどデザートはあるから」
「そう、お兄ちゃんだよね」
ぺろりと舌を出す仕草は同じながら纏っている雰囲気は先ほどとは明らかに違う捕食者のそれでどきりとしてしまう。
「桃の節句だから桃のスイーツ買ったんだけどそっちは要らないか」
「訂正しまーす。お兄ちゃんはインフラ!」
だがまあこっちも一年近く一緒にいるので怯まずに返す。ミュナの返事はもっと剣呑なものになってしまったが、いったん頭の隅に放置して食事を再開することにした。
「ほい、お待ちかねのデザート」
「おおー、カワイイ」
桃の節句限定という触れ込みで買ってきたプリンアラモードにミュナは歓声を上げる。ガラスの器越しにも艶めいたカスタードが映えておりその上にホイップクリームとジュレとシロップ漬けの桃が乗っている見た目からして期待が持てる。
「いっただきまーす……んー、これ、美味しい」
一口食べたミュナの顔が綻んだ。俺もミュナに続いてプリンの表面にスプーンを挿し込んだ。
「お、いいなこれ」
「ほんとほんと。限定とか言わずにいつでも食べたいな」
こってりと濃厚な甘さのカスタードにさっぱりめのホイップクリームと桃味のジュレが絡んで甘すぎず薄すぎずといった絶妙なバランスが築かれている。プリンを掘り進めていくと中にも桃の果肉が入っており、味が途中から変わってくるのがありがたい。底に入っているカラメルもその苦みで甘さ一辺倒だった口の中に喝を入れてくれて流石プロの仕事だと言わざるを得ない。
「ごちそうさまでしたー!ふー、まんぞくまんぞく♡」
「洗い物してくるわ」
「はーい。食器持ってくね」
綺麗に完食するミュナを見ると自分が料理したわけでもないのに嬉しく思ってしまう。ミュナの手伝いもてきぱきとしたものになっており、成長を感じられた。
「……じゃあ、ご飯も食べたことだし」
「ん」
きっちり片付けまで終わって二人で向かい合う。暫くお互いに自重していたせいかいざやるとなると言葉が出て来ない。ミュナももじもじと歯切れが悪い。
「……ん!」
さっきまでの挑発はどこへやら、ミュナは頬を赤らめて目を閉じて俺に向かって唇を突き出した。そっと俺の方から唇を寄せて軽くキスをするとミュナの舌がすぐに入り込んできた。
「ん……」
ぴちゃりぴちゃりと舌を絡め合う水音が部屋に響き渡る。ミュナがそっと身体を俺に預けてきて、俺もミュナのささやかな膨らみに手を伸ばし───
突如、甘い空気を切り裂くようにインターホンの音が響き渡った。
「げ、大家さんじゃねえか。ミュナ、離れて!」
「あちゃー、タイミング悪いー」
慌ててミュナを引き剥がして何事もなかったかのように大家さんを部屋に上げる。完全に勃起していなかったのが幸いした。
「ごめんなさいね、お夕飯時に」
「いえ、もう終わって片付けたとこだったんで」
「それは良かったわ、チーズケーキ買って来たの」
渡された箱はホールケーキでも入っているのかというぐらい大きく、ほんのり温かかった。唐突な来訪と豪勢な差し入れに一抹の不安を覚えながら三人分の食器を用意する。
「急で悪かったわねぇ」
「いえ、今日は休みだったから良いんすけど」
もう少し後に来られていたら間違いなく居留守を使っていたのでタイミングが良かったのやら悪かったのやらだ。
「何これー、ほんとにチーズケーキ!?」
「焼きたてだと全然違うでしょ」
いい雰囲気を邪魔されて面白くなかったであろうミュナはミュナでチーズケーキに歓声を上げている。ミュナにここまで言わしめるチーズケーキとはどういうものかと俺も一口齧ってみる。
「んんっ……?」
生地が舌に触れた途端に泡のように溶ける感触が広がる。最初から固体ですらないかのように口の中で解けて消えていく。底に敷かれたレーズンの存在だけが最後に残って歯ごたえと甘酸っぱさが歯と舌をリセットする。
「良かったわぁ、冷える前に持って来れて」
「確かに美味いすけど……大家さん、これ持ってきただけじゃないすよね?」
「……そうね、本題に入りましょっか」
ただ焼き立てのチーズケーキを持ってくるだけなら事前に電話なりメッセージなり送ってくるはずの大家さんがいきなり強引に訪問してくるのは何かしら喫緊の問題があるのだろうと思ったがやはりそうだったか。本題に入ると言ったはずの大家さんはしばし押し黙り、意を決したようにお茶をひと啜りして口を開いた。
「お昼にね、みゆちゃんとゆなちゃんから電話がかかってきてね」
「……っ!」
流石にミュナも我関せずともいかないようで食べる手が止まってしまっている。
「その……今月に来るって話聞いてたすけど」
「ええ、一番最後の土曜日に来ることになったんだけど……それだけじゃなくてね」
奥歯に物が挟まった風な言い方で大家さんはお茶をもう一啜りして話を続ける。
「ここに住んでた時の記憶が全くないみたいなんですって……どれだけ思いだそうとしてもダメだって」
「それって……」
ミュナはある程度過去の記憶があるようだが、ミュナを生み出したであろう二人にはない。あまり考えたくない仮定が頭に浮かぶ。
「みゆさんとゆなさん……が、ここで起きたことを忘れたくて置いてったのが……ミュナになった……ってことなんすかね」
「うーん、そうなのかしらねぇ」
「そーなのかー」
当人がわかっていない以上これは資料を貰った上での憶測でしかないがあながち外れてはいなさそうだ。
「ねえ、みゆなちゃんは昔のことは覚えてるのかしら?」
「全部は覚えてないけどちょいちょい覚えてるよー」
「だったら……二人が来た時にでも会ってみてくれない?」
「良いよー。ミュナのことが見えるかはわかんないけどね」
あまりにもあっさりと承諾するミュナにこちらの方が驚いてしまう。もしミュナが本体たる二人に接触してしまったらどうなるのか。口の中で儚く溶けるチーズケーキにミュナを重ね合わせてしまって悪い考えばかりがぐるぐると頭に渦巻き味がわからなくなっていく。
「それじゃ、二人とも月末よろしくねぇ」
「おやすみなさーい」
大家さんが去って部屋には食べきれなかったチーズケーキだけが残される。ミュナはまだ少しずつ食べ進めていってはいるがホール丸ごとは無理だろう。
「……なあ、ミュナ。本当にいいのか?」
「何がー?」
「や、その……みゆさんとゆなさん?に会うなんて安請け合いしちゃって」
二人のことを知っている大家さんやなんとなく覚えている程度でしかないものの当事者であるミュナと比べたら
正直なところ俺はミュナ以外に思い入れがないので冷たいようだが優先度はどうしても低くなる。事情を聞いてしまっているのもあって思い出したところで……という思いもあった。
「んー、ミュナもね、思い出せなくって気持ち悪い感覚ってのはわかるもん」
「そんなもんか」
「むしろお兄ちゃんはあんまり気が進まないっぽいけどなんで?」
「んー……その二人って言うなればミュナの本体的な存在だろ。対面しちゃったらどうなるかわからないってのが不安でなあ」
「最近その辺調べてたりしたよねー」
「実例があるわけじゃないからどこまで信じられるかはわからんけど、だいたい本体に統合されて消えちゃってるんだよな……」
「そっかー。そりゃお兄ちゃんからしたらオオゴトだよね」
「あと、作品によっては記憶も統合したり……」
改めて自分の懸念を言語化してミュナに伝えているうちに、全てが自分のエゴのように思えてきて言葉に詰まってしまう。ミュナはみゆさんとゆなさんの境遇に共感して会っても良いと思っているのに対し俺はミュナを失いたくないのと自分が社会的に破滅することを恐れているだけではないのだろうか。思い悩んでいるとふんわりとミュナの温もりが俺の肩を包んだ。
「お兄ちゃん、シンパイショーだねー。そんなの、起きてみないとわからないじゃん」
「まあそれはそうなんだが……」
「えいっ」
目の前に何かが降ってきたかと思ったらミュナの服だった。ぎゅっと後ろから抱きしめられミュナの裸の胸の感触が背中に広がる。
「よし、お兄ちゃん、さっきの続きしよ、続き♪」
「ミュナ、俺の話……聞いてた?」
「聞いてたからだよ。もしミュナが消えちゃうんならそれまでにいっぱいシとかなきゃ損でしょ?」
「いや、損とかそういう……」
「それに、もしお兄ちゃんとミュナがえっちしてることが共有されるんならもうとっくにアウトなんだし、だったらやっぱりいっぱいシといた方がお得じゃーん」
暴論とともに反論の隙すら与えられず後ろを振り向かされて唇を奪われる。さっきとは逆にミュナの方から貪るようなキスで舌が俺の口内を暴れ回る。
「ん……ぷぁっ」
唇の間に唾液の橋がかかる。甘いキスの余韻に浸って呆けているとミュナは態勢を変えて俺の正面に陣取って再び唇を寄せてきた。唾液の橋が俺の口に流し込まれ舌が捻じ込まれる。肩越しでなくなった分お互いの手が動かしやすくなったのをいいことにミュナの手が俺の手首を掴んでささやかな膨らみに導いてくる。
「ん……ふふっ……」
口づけながらミュナはくすぐったそうに目を細めて笑う。柔らかな膨らみの下からはとくんとくんと少し早い鼓動が俺の手に伝わってきた。
「えへへ、お兄ちゃんもうギンギンだね……♡」
ズボンの中で屹立する俺のモノを優しくさすりながらミュナは熱っぽい吐息を零す。
「お兄ちゃんもだけど……ミュナも、なんだよ……?」
胸に添えていた手がそっと引かれてミュナの股間に導かれる。下着に指を入れた瞬間むわりと暖かくぬめるような空気が指に絡みつく。
「あんっ」
指がぬめつく空気の発生源に触れるとミュナは甘い声を上げて俺にしなだれかかった。
「ね、ほら。ミュナがいるうちに……いっぱいシよ?」
「お、おう……」
ミュナの手が俺の腕を導き下着に手をかけさせる。震える手で薄布を下ろすとミュナの蜜でてらてらと輝く秘所が露になって思わず息を呑んだ。
「ほーら、ミュナがいるうちにやらなきゃ損損……ってね」
ミュナはぺたりと床にうつ伏せに寝転がり、見せつけるように尻を上げて蜜の溢れる泉を俺の眼前に惜しげもなく晒す。
「お兄ちゃん……今日は、お兄ちゃんからシて欲しいな……♡」
ミュナは秘所に指をやってくぱりと開いてみせる。ひくひくと粘液に塗れた淫肉が蠢いてごくりと生唾を飲んでしまう。俺のモノは既に限界まで勃起していた。
「ほら、早くぅ」
「お、おう……」
ズボンとパンツを脱ぎ捨て、膝立ちになって竿に手を添えミュナの秘裂に尖端をあてがう。ぬちゅりと湿った感触が走るとともにミュナの身体がびくりと震えた。
「ミュナ、行くぞ……」
「うん、来てぇ」
ずにゅにゅにゅにゅにゅっ!
「あんんっ!」
「うぁぁっ……」
熱くぬめったミュナの膣内は俺のモノを奥まで迎え入れてぎゅっと淫肉を絡みつかせる。
「ね……ちょっとこのままでいて……お兄ちゃんを感じさせてぇ……」
「ん……」
ミュナに請われるまま最奥に突き入れた状態で二人して動きを止める。暖房の音が響く室内で、どくんどくんと響く鼓動がどちらのものかわからない。ムードが高まった直前で大家さんの来訪を受けてお預けされていたのもあって、気を抜けばうっかり漏らしてしまいそうだ。
「あは、お兄ちゃん……出しちゃいそうなのぉ?」
ミュナが挑発的な言葉を投げかけてくる。だが、そのミュナも軽く身体を震わせていた。
「実は……ミュナも……だから……っ……お互い……がんばろ……?」
「わかった……動いて良いか……?」
「良いよぉ……っ!」
こみ上げてくる射精感に抗いながらゆっくりと腰を引き、ぎりぎりのところで一息に突き入れる。
「あんっ」
ミュナは甘い声を上げて身体を震わせる。ぞろりと膣肉が蠢いて俺のモノを刺激するが意地で耐えながら引いては突き入れを繰り返す。
「んっ……んぅっ……あはぁ……」
突き入れる度にミュナの尻尾が無軌道にびたんびたんと揺れてあちこちに当たり、ミュナの余裕のなさが見て取れる。俺も余裕など全くないのだが。
「やぁっ、おにいちゃ、おにいちゃぁ……」
射精感を耐えながら必死にピストンを繰り返すうちにどこか冷静にミュナの行動を分析している自分がいた。
ミュナが俺からして欲しいというのは初めてではないが、今日のは気まぐれとかではないように思う。きっとミュナはいつものように雰囲気や誘惑に流された俺を押し倒すのではなく、俺からミュナを求めて欲しかったのだと思う。ミュナ自身のことよりも自分の保身を優先してしまう情けない俺だがそれでも───
「んあっ、あああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「ぐっ……!」
ミュナが一際大きく身体を震わせ膣壁がぎゅっと強く閉まり、思考が一気に引き戻される。今まで堪えに堪えていた反動でまさに決壊するように───
びゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅるびゅるっ!
「う……あぁぁぁぁ……」
「あは、いっぱいでてるぅ……」
奥から引き抜かれるかのようにどくりどくりとミュナの膣奥に白濁が吐き出され続けている。大家さんの来訪でお互いおあずけになってしまった反動だろうか。腰を引こうにもミュナの尻尾ががっちりと巻き付いてしまっていてなすすべなく吐精を続けさせられる。
「ミ、ミュナ……尻尾放してくれ……力が抜けて……」
「ダメでーす♪」
「ちょ……マジで……ぐえっ」
「きゃー」
大量射精に消耗した身体を腕が支えきれずべしゃりとミュナの身体を押し潰すように倒れ込んでしまった。ミュナは俺の体重を支え切れずに繋がったまま床に叩きつけられる。
「ミュナ!大丈夫か!?」
「えへへー、重いけどお兄ちゃんを感じるー」
「あのなあ……」
こんな目に遭ってもミュナは尻尾を離そうとせず俺のモノはまだ挿入されたままだ。仕方がないので力を振り絞ってミュナを抱いてごろりと転がって態勢を上下入れ替える。ミュナがそのまま俺の方を向いたので俺のモノにぞろりと膣肉の感触が走り息が漏れる。
「やーん。もうちょっと感じてたかったのにー」
「こっちが気が気じゃないんだよ……」
繋がったまま俺を見下ろしてミュナはしくしくとあからさまな噓泣きをする。確かにさっきの態勢の方がミュナの体温や感触を感じられたのは事実ではあるが、流石にそれは口に出せなかった。だが、ミュナはそんな俺の内心を覚ったのかにやりと口角を上げて俺に向かって倒れ込んできた。
「ほれほれ、お兄ちゃんもほんとはミュナのことむぎゅーってしたかったんでしょ、ほら、むぎゅー♪」
ミュナがべったりと俺に密着してきて否応なしに少し高い体温と柔らかな感触を堪能させられる。尻尾が離すまいと強く巻き付いてきた。
「えへへー、うりうりー……」
「ちょ、やめろって」
「あは、おっきくなった♡」
ミュナの指が服の中にするりと滑り込み乳首を弄ぶ。その刺激に俺のモノはミュナの膣内でむくむくと再び隆起を始めていた。
「じゃあこのまま二回戦しよ。ミュナが動いてあげるね♪」
「ぐっ……」
ミュナはぺろりと舌なめずりをして身体を持ち上げ俺を見下ろす態勢に移行した。そのままゆっくりと焦らすように腰を上げ……叩きつけるように一気に深く沈める。
「ミュナっ……もう少し……ゆっくり……」
「やだぁ……っ」
射精直後の敏感なペニスに容赦ない刺激が与えられ弱音が出てしまうがミュナは聞いてくれない。舌を垂らして陶然とした表情で俺を責め苛む。ミュナの細い裸身が躍るように俺の上で跳ねるのを見上げながら暴力的ですらある快楽にされるがままになってしまう。
「あはぁ、おにいちゃ……すき、すきぃ……っ」
「!!」
ミュナの喘ぎ声に混じった言葉を聞いてはっとした。搾られて消耗した身体に喝を入れておもむろに起き上がってミュナを抱きしめる。
「きゃっ……?」
「俺も好きだぞ……ミュナ……!」
ミュナは一瞬きょとんとしてからぽろぽろと涙を流しながら笑顔になった。
「好き、お兄ちゃん、大好き……っ!」
ぎゅっとミュナからも抱きつかれてキスを見舞われる。尻尾も俺の腰にぎゅっと巻き付いて放そうとしてくれない。
「えへへー、ソウシソウアイだねー」
「おう……ちょっとだけ放してくれ」
上だけ着ていた服を慌てて脱ぎ捨て、肌と肌を合わせてミュナの感触を再確認する。暖かく、柔らかい。それに甘い香りもする。あと下は熱くてぬめっていてとにかく気持ちいい。
「お兄ちゃん、好きー。ね、お兄ちゃんも言ってー」
「ミュナ……好きだ……」
本音を包み隠さずに告げながら消えてしまわないようにミュナを必死で抱きしめる。その間にもミュナは腰を跳ねさせて多幸感とともに射精感がこみ上げてくる。
「ミュナ……ごめん、俺、もう、出そう……」
「いいよぉ。いっぱい出してぇ……っ」
「ああああぁぁ……ミュ、ナ、好きだぞ……っ」
「うん、ミュナもぉ……っ!」
どぷどぷどぷどぷどぷどぷどぷっ……!
二度目と思えないほどの勢いでミュナの膣内に精液が迸る。ミュナも絶頂に身体を震わせ膣肉が俺のモノを咀嚼し噴出した精を飲み下していく。そちらだけでは足りないとばかりにミュナはおもむろに唇を寄せて舌を入れる。水音だけが長い間部屋に響き渡っていた。
「……そのまま三回目、する?」
「や。流石にもう無理だわ……」
告白した直後はいくらでもできそうな気がしていたがいざ出してしまうとどっと疲労が押し寄せてきて床に寝そべったまま動けなくなってしまった。
「なあミュナ、俺、本当は───」
みゆさんとゆなさんに会わなくても良いんじゃないか、と告げようとした唇が強引に塞がれる。ミュナの舌が口内を這い回って舌に絡みつく。皆まで言わせまいとしたミュナの気持ちが伝わってきてしばらくされるがままになっていた。
「ね、お兄ちゃん。ミュナね、きっと知らないところでみゆとゆなに色々貰っていると思うんだ」
転がっている俺を尻目に一人立ち上がったミュナは裸のままで俺を見下ろす。
「だってさ、二人がここから出ていった時って五歳だよ。置いてかれたミュナも一緒。でも、今はお兄ちゃんとちゃんとお喋りできるぐらいになってるじゃん」
それは前から仮説程度だが思っていたことだった。今まで誰にも見えずに独学でミュナがここまで成長するとも思えない。
「だからね、貰った分のお返しってことで要らないからって捨てていったものぐらいは返してもいいんじゃないかって」
返してしまったらミュナはどうなるのか。それが口に出せなかった。ミュナは一人階段へと向かい外へと向かって手を伸ばした。
「それに、ほら……ミュナにはこの家が全部なんだよ」
階段から下には見えない壁があるかのようにミュナの手を押しとどめる。
「お兄ちゃんがミュナの世界を広げてくれてるのは本当だしそれはすっごい嬉しい。でも、それでも、ミュナはここから出られない忘れ物、落とし物だってのはどうしても変わらないんだ」
「ミュナ……」
そんなことはない、とは言えなかった。こればかりは俺ではどうにもならない。ただ、気分だけでもとやれることはやったが根本的な解決とは程遠い。
「だからね、みゆとゆなに会ってみたいの。忘れ物の“ミュナ”がどうなるか、わかんないけどやってみたいの」
「……わかった」
「ごめんね、お兄ちゃん。ミュナのわがままに付き合わせて」
「そんなことない」
我儘なのは俺の方だ。最初は性欲に流されて、それからは成り行きで精神的に助けられて、ミュナといるのが楽しくなって、離れたくなくなってしまっていた。保身もあったがそれも全てミュナと離れたくないがための理屈だった。
「お兄ちゃん、泣かないで。ミュナが消えちゃうとも限らないんだしさ、とりあえず悔いを残さないように毎日いっぱいえっちしょ?」
けらけらと笑いながら俺に抱きついてくるミュナを抱き返す。ミュナの身体も震えていた。
次の日、朝ごはん代わりに残ったチーズケーキを二人で食べた。一晩経ったチーズケーキは焼きたての時の質感が嘘のようにしっかりとした食感で食べているうちに何故か涙が出てきてミュナに笑われたが、そのうちにミュナも涙を流していた。
大家さんは本来は訪問前に連絡するという約束をしてましたが、今回は出先でみゆとゆなからの急な連絡があってその辺をすっ飛ばしてしまっています。
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