今回はエロ無し。
唐突だけど、実家に帰省する事になった。
うん、本当に唐突なんだよ?いや、確かにカルデアに来てから5年ほど、一度も家に帰っていなかった。
電話も手紙も、一切連絡を取っていない。
最後に会ったのは、確かカルデアに行く為に空港に送り届けてもらった時が最後だ。
まさか、英語の成績が赤点ギリギリの息子が海外に就職なんて思っても見なかっただろうしなぁ。
高3の時、進学するか就職するかで迷ってて、まさか献血が理由で就職が急に決まるなんて微塵も考えてなかったし。
一応、カルデアに就職が決まったのって二学期の中頃ぐらいだったんだけど、高校卒業したら直ぐに来るように、って通達が来たのは本当にびっくりした。
と言うか献血で就職決まるなんて今考えてみると明らかにおかしい。
よく俺も両親も頷いたものだ。
カルデアに到着したその日に、人理焼却があって、直ぐに人理修復の旅が始まった。
あの時、俺の家族は死んだ事になるのかな。あまり考えないようにしていたけどそれでもやっぱりふとした時に家族の顔が浮かんできて、重圧とか、俺が失敗したらどうなるのかを考えると本当に怖くて怖くて仕方がなかった。
人理修復が終わった後もなんだかんだと大忙しで、本当に忙しくてただ一言の連絡もしていないから、さぞ心配している事だろう。
そんな俺を、本当はもっと早い段階で実家に帰省させてあげようって話してたらしいんだけど、魔術協会とのあれやこれやの大騒ぎ、国連とも一悶着どころか十悶着ぐらいあって、更には時折発生する微小特異点の修復やらなんやらで大騒ぎだったから結局今の今までそれは叶わなかった。
って事で、丁度暫く何も無いし特異点の方も観測されなさそうだからと長期休暇を貰えることに。
ダヴィンチちゃん曰く、
『暫くぶりに実家に帰って羽を伸ばしてきたまえよ。と言うのは建前で、実際は君の実家とカルデアを転移装置で繋げちゃいたいんだよねー。藤丸君ってばあっちこっちから狙われてるわけだし、そうなると家族の方が人質にされちゃうかもだし。ってな訳で、今まで纏まった休日も無かったからねー、まるっと3週間の長期休暇楽しんどいでー。あ、そうそう。航空券とか色々必要な申請とかは取っておいたから、心配しなくてだいじょぶよん』
だそう。
その際、護衛に何人か連れていくように、って言われたけど。
人数制限、あります。
全員で八人までなんだよね。
って言っても連れて行く人は、もう決まってるんだけど。
魔術と転移装置関連で玉藻とメディア。
それと護衛に小太郎と一ちゃん、百貌姐さん。
出来る限り日本勢で固めておいた。
燕青には、俺が休暇の間、俺になってもらうからお留守番。
ブーブー文句言ってたけど、燕青にしか頼めないことなんだ、って言ったら満更でも無い顔で嬉しそうに了承してくれた。チョロい。
このメンバーは決定。
既に交渉して了承貰ってる。
あとは、二人だけだ。
仕事が終わってから部屋に帰ると、そこにはスカサハとスカディが思い思いの格好で寛いでいた。
「スカサハ、スカディ、集合」
「なんだ?」
「んぅ?」
スカサハは、ベッドでゴロゴロしながら雑誌を読んでいたところに、声を掛けられて肩越しに振り向き、スカディは風呂上がりのアイスを頬張ってご機嫌だ。
風呂上がりだから、普段はポニーテールで纏めている髪も下ろして髪の毛だけで物凄い色香を放っているというのに、スカディは
下着だけ、それもパンツしか身に付けておらず首からタオルを掛けて辛うじてその豊かな胸の頂上部分が隠れているだけ。
殆ど丸見え、動いたら見えてちゃうだろう。
意外なことにスカサハは風呂上がりに直ぐにパジャマとかを着込むんだけどスカディはどう言うわけかこれがいいとパンイチスタイルでアイスを頬張るんだよね。
うん、眼福だけど他の誰かに見られたくないからその辺は気をつけて欲しいって注意したらその時は魔力で服を編むから問題ないと、斜め上の返答が帰ってきた。
それはともかく、今日何本のアイス平らげたんだろう。冷凍庫の中、随分と少なくなってる気がするんだけど。
まぁ、でも、見慣れた光景だけど凄く幸せだなぁ、って思う。
自然と笑みが溢れてしまう。
椅子に座ると、極々自然に二人が俺の膝の上にストン、と腰掛けてくる。
二人の、凄く柔らかいお尻がムニョン、と形を変える。
二人にそんな心配はいらないだろうけど落ちないように腰のあたりに腕を回して抱き寄せる。
と言うかそうしないと二人が、拗ねると言いますか、すこーしばかり機嫌が斜めになってしまわれるから。
二人に話を切り出す。
「すごい急なんだけどさ、三日後に実家に帰る事になったんだ」
「!?ど、どう言うことだ!?」
「それは、カルデアから出ていく、と言うことか?」
二人して、何やら勘違いをされていらっしゃる。
スカディは涙目でワタワタと、スカサハは戦闘時でも早々見ることが無い、ものすんごく鋭い眼光で身体を起こしてジッと俺を見つめてくる。
「違う違う。休暇だよ、休暇」
「あぁ、なんだそうなのか……。変な勘違いしてしまったではないか」
「うん、言葉が足りなかったのは謝るよ。だけど捨てるとか言ってるけど、俺が二人から離れられる訳ないじゃん?それに、出ていくんなら二人にはちゃんと付いてきてもらうよ?」
「む、まぁその通りか。毎晩毎晩、我らに抱き締めてもらわないと寝られないマスターだものな?」
「うん。それで、実家に帰省する事になったんだけどその間護衛として何人か連れて行くように、って言われてて」
「ほう、それで、私達に護衛として付いてきてほしいと」
「二人は護衛じゃないよ?」
「「は?」」
そう言ったら物凄い威圧された。
うん、そりゃそうだよね。俺だってスカサハに影の国に帰るけど、お前は連れて行かん、なんて言われたらそうなる自信ある。
「えーっと、その、怒らせちゃって悪いんだけど二人には付いて来てもらうよ?」
「ならば護衛ではないか」
「うーん、まぁ結果的にはそうなっちゃうんだけどさ、二人には護衛じゃなくて、俺の恋人って言うか、未来の奥さんとして付いてきて欲しいんだ」
「「!!!」」
「ほら、二人と付き合い始めてもう4年ぐらいでしょ?それなのに、連絡も取れなくて俺の家族に紹介も出来てないからこの機会だからちゃんと紹介しておきたいなぁ、って」
なんか、自分でも何を言っているのかまるで分からなくなってきたけど。
とにかく伝えなければならないことはちゃんと伝えられたかな。
それで、顔を見てみると嬉しそうに笑みを浮かべつつ、ジリジリとその距離を縮めてくる。
あ、首に腕を回された。
「んふふふふふ、嬉しいこと言ってくれるではないかぁ……」
「これはもう今夜は寝かせられんな?」
二人とも、それはもう嬉しそうな声色と顔で、近寄ってくる。
ぎゅっと抱き寄せられて、頬にキスされる。
あぁ、二人の唇柔らかいなぁ。
いやいや、そうじゃない。
俺、三週間も休暇を貰っちゃうわけで、そうなるとそれまでの間に出来る限り仕事を終わらせておかないとならない。
もし、今日このまま二人とセックスする事になれば、間違い無く夜通し搾り取られる事になる。
そうなれば、それはもう翌日の仕事に影響が出るなんてもんじゃない。
疲れと睡魔と格闘する事になるから、ヘヴィメタルやパンクロックみたいに頭をガックンガックン振り回すことになるに違い無いい。
そうならない様に、普段は受け入れちゃうところだけど今日ばかりはどうにかして断らないと。
「あー、あの、二人とも?」
「ん?」
「なんだ?」
「俺、休暇3週間もあって、その休暇の間仕事出来ないからその分明日明後日って凄く忙しくてですね……」
「分かっておるとも。私はよく出来た妻だからな」
「スカディ、それについては全面的に認めるけど、そう言うんなら俺の服を脱がしに掛からないで?」
「夫として、妻の求めには応えねばならんぞ?」
「いや、だけど二人を相手にしたら冗談抜きで仕事どころじゃ無くなっちゃう……」
「なに、それならば私達が手伝ってやる」
「いやでもほら、俺まだ風呂にも入ってないし」
「文句多いやつだのぅ。マスターの匂いは好きだから構わんぞ?」
「そう言うことじゃないんだけど!」
結局、抵抗虚しく二人掛かりで襲い掛かられて。
夜8時くらいから、夜中の2時ぐらいまで搾り取られました。
うんまぁ、それでも加減はしてくれていたらしい。
加減無しだったら多分、次の日も続行だった筈だから。
次の日の仕事はちゃんと言った通り手伝ってくれた。
あ、そうだ。
両親に連絡入れておかないと。
急に帰って、しかも何人も人を連れていたらびっくりするだろうし。
ちゃんと、紹介したい人もいる、って言わないとね。
三日後。
両親に久方ぶりの連絡を入れて、帰ること、紹介したい人がいる事を伝えた時には、人生で一番緊張した。
それでも、二人は変わらず一八年間聴き慣れた優しい声で、待ってるよ、気を付けて帰っておいで、って言ってくれた。
ついでに、空港まで迎えに来てくれるって。
そう言えば、俺って免許持ってないから空港から実家まで行くには電車とかの移動手段を使わなきゃならない。
だけど、それだとお金が結構掛かる。
だから迎えに行ってあげるよ、って言ってくれた。
平日だから父さんは仕事でいないから母さんが迎えに来てくれるそうだ。
「それじゃぁ、行ってくるね」
「うん、暫くぶりの実家を楽しんできたまえ」
ダヴィンチちゃんから航空機のチケットとか必要な物を受け取って皆に挨拶をしてカルデアを出る。
俺と日本に向かうスカサハ達と、氷の大地に降り立った専用機に乗り込む。
荷物は結構多めだ。
ギルガメッシュ達酒好きメンバーに、家族に手土産として訳が分からないぐらいお高いお酒を幾つか持たされていたりと、荷物はちょっと多めだ。
カルデアのある南極は一年中極寒だから、季節感と言えばカルデアのお祭り騒ぎぐらいだけど日本って今は七月半ばで真夏なんだよなぁ。
少なくとも、アルゼンチンのウシュアイアに到着するまでは皆はまだしも俺は厚着をしないと凍え死んでしまう。
ウシュアイアまでは専用機なんだけど、そこからは民間機に。
あの専用機って、本来は必要な物資を運び込んでくる為のものだからお世辞にも乗り心地が良いとは言えないけど、それでも船で行くよりはマシだろう。
秘匿性の高さ故に、他の研究者達と物を一緒に出来ないからね。
ウシュアイアに到着すると、乗り継ぎでブエノスアイレスまで飛ばなければならない。
そこから日本への向かう飛行機に乗って。
途中、燃料補給の為に空港を経由して。
飛行機の中で、時差ボケのせいで猛烈な睡魔に襲われている。
窓際の席で、両側をスカサハとスカディに挟まれているから特に何の抵抗も無く夢の世界へ。
ちょっとした問題としたら、どっちに体重を預けるかで揉めるぐらい。
後々聞いたら交代にしたらしい。
日本の上空に着くと眠くて意識がふわふわしていて何を言っているのかまるで分からないけど皆、それぞれ思い思いの感想を漏らしているらしい。
昔の日本を知っている皆は、その変わり様に驚いている。
飛行機の中でもかなり眠くて寝てたんだけど、段々と日本に近付いて行くほどに時差が凄すぎて時差ボケが更に酷くなって起こされたは良いけど、もう眠くて眠くて仕方がない。
「ほら、マスター。しっかり掴まれ」
「んー……」
もう眠くて何が何だか……。
辛うじてスカサハに支えられているって言うのは分かるんだけど、それ以外が全く分からない。
「仕方が無ぇ、少しばかり何処かの店に入るか……。マスターがこの調子じゃぁなぁ」
「確か、マスターの両親が迎えに来るのは一時間ほど後の事ですからそれまでは寝かせておいてあげましょう」
周りの皆が何か言ってるのは分かるんだけど、何を言っているのか分かんないや。
「ほら、もう少しばかり寝てよいぞ」
「んぁ〜……」
スカディに何か言われた後、俺は夢の世界に旅立った。
それから、どれぐらいの時間が経っただろうか?
目を覚ますと、スカディにしっかりと抱き締められていて周りの目線やらなんやらが凄くて戸惑ったものだけど。
なんでスカディやスカサハは平気なんだろう、と思ったけどそう言えばすっかり忘れていたけどスカサハは女王だしスカディも女神様だから色んな人に注目されるのは慣れているんだった。
一ちゃんと小太郎以外はわりかし注目されるのに慣れてるから違和感感じないのか。
小太郎は小太郎で、周辺確認で何処かに行っちゃったらしいし。
一ちゃんは一ちゃんで、もう俺は空気です、みたいな顔してる。
スカディは、やっぱり周りを気にした様子は無くて、ん?と首を傾げながら手を握ってくる。
あぁ、もう、可愛いなぁ。
それから、母さんが迎えに来てくれる時間になった。
携帯に駐車場で待っている、とメールに書いてあったからその駐車場に向かえばいい。
荷物を持ち会計を済ませて店を出る。
道中、皆が美男美女だっていうのとその中でもとびきりの美人二人が俺と手を繋いでいるっていうのでそれはもう注目を浴びながら立体駐車場の入り口に到着。
意外と人が居るらしく、少しばかり混雑している。
確か、この辺りで待っているから、って書いてあったから居る筈なんだけど……。
少しばかりキョロキョロと辺りを見回すと、少しばかりの人集りの中に、久しぶりに見る懐かしい背丈と顔の人がいた。
「母さん!」
声を掛けると、パッと顔を上げてこちらを向く。
「立香!?」
少しばかり、許される速度で駆け寄ると、抱き締めてくる。
「久しぶり、元気だった?」
「うん、元気だよ。母さんは?」
「元気に決まってるじゃない。それにしても、随分と変わったね?」
「まぁ、色々あったから。その辺の事も後々説明するよ」
「そう、分かったわ。それで、あの人達は?」
「あー、まぁなんていうか、それに関しては家に着いてから詳しく説明するよ。ここじゃ説明出来そうにないし」
「ん、まぁ分かった。そしたら荷物持って車に行きましょ」
「うん。皆、行こう」
それから、車に皆で乗って。
うちの車って結構大きいから、八人乗れるんだけどちょうどピッタリの人数だから良かった。
一番後ろに、一ちゃん、小太郎、メディアが座って、真ん中に俺とスカサハとスカディ、助手席に玉藻が座る事に。
そのまま、家までの道中は会話らしい会話は無く、ごく平穏無事に家に到着することが出来た。
「取り敢えず、父さん達が帰ってきたら説明するよ。その方が何度も説明しなくて済むし。それに、それぞれやらなきゃならない事があるから今は時間取れないしね」
「ん、分かったわ。でも、紹介したい人だけでも紹介してくれないの?」
「あー、いや、それも待ってほしいかな。やっぱり、ちゃんと紹介したいから」
「ん、そう、分かった。楽しみにしてる」
母さんはそう言うと、今日の晩御飯どうする?と聞いて来たから、親孝行って訳じゃ無いけど俺持ちで何か出前でも頼もう、と提案するとそれは悪い、と言う母さんを納得させて近所のお寿司屋さんに注文の電話を入れる。
十一人分だけど、足りないだろうから少し多めに十五人分頼んでおく。
もし残ったとしたら、明日の朝とかにでも食べればいいからね。
そうこうしていると、玉藻とメディアが工房の作成が終わったと報告してきた。
ついでに転移装置も設置完了。
二人は、あてがわれた部屋で思い思いに過ごすらしい。
メディアは、フィギュアやらプラモデルやらを大量に買い込む腹積りらしく早速通販で物色している。
玉藻も、服が欲しいとかなんとかで通販物色中。
一ちゃんはリビングでお茶をふぅ、と一息吐いているし小太郎と百貌姐さんは周辺の見回りとかに出かけた。
となると、俺は自分の部屋で久々にまったりしよう。
部屋に行くとスカサハとスカディが既に物色していた。
幼少中高のアルバムやらなんやらを本棚から引っ張り出して来てきゃいきゃいと楽しんでいる。
その声を聞いてメディアと玉藻まで参戦して、それはもう大騒ぎになった。
なんか、恥ずかしいなぁ。
「たーだいまー」
今聞こえた声は姉さんかな。
父さんはリビングに来て皆の顔が見えてから言うタイプだし。
夜七時ごろになって、仕事から姉さんが帰ってきた。
二人と会うのも、数年ぶりだから結構緊張するなぁ……。
二人は、俺が帰って来る事を当然知っている。
だけど、やっぱり久々に見る俺は、随分と顔付きやら雰囲気が変わっているらしく。
「本当に立香?」
「本人だよ。逆に誰だって言うのさ」
「だって身体付きとか別人じゃん。何?ヤバい薬でもやった?」
「んな訳無いでしょ。鍛えて貰ったの」
まぁ、確かに身体付きは変わったかなぁ。
人理修復、マジ肉体労働だし。
時折出来る微小特異点の修復もなんだかんだと肉体労働だからなぁ。あとは精神的に辛いとか。
ルルハワのコミケは辛かった……。
そりゃ成長もしますよ。
ついでに言うと、カルデアに行ってから謎の第三次成長期が訪れて、170cmだったのに今じゃ177cmを少しばかり超えている。
身体を鍛える事も仕事の一つだから筋肉量も大幅にアップして腹筋なんか板チョコだよ?まさか高校の時じゃ夢にも見なかった板チョコ腹筋だよ?
しかも全ての筋肉を鍛えている訳だから、クー達とは比べるまでもないけどわりかしバキバキってレベルでも無いけどしっかり付いている。
じゃないとワイバーンに追いかけられたりした時に逃げられないからねぇ。
顔付き、は自分でも写真を見ると変わったな、と思う。
高校生の時とか、自分でも本当に辛い事を知らない子供だな、って顔してるもん。
だけど死ぬ目に何度も会ってそれを乗り越えて来たら誰だって俺みたいになるって。
そんな訳で、カルデアに就職した頃と比べるとまぁ変わったかな、とは思うけどそんなに驚くほど変わったかなぁ?
「ま、いいや。取り敢えず、おかえり立香」
「うん、ただいま姉さん」
姉さんには、小さい頃から結構可愛がって貰ってた。
喧嘩したりすることもあったっちゃあったけど、どっちかっていうと仲が良かった。
姉さんは俺が出発の日、仕事で見送りに来れなかったから余程なのかな。
父さんは有給取れて、母さんと一緒に見送りに来てくれたし。
姉さんは部屋着、いや皆が居るから着飾っているけど取り敢えず着替えてきて。
ちょうどそれぐらいに父さんが帰って来た。
リビングに入ってきて、
「ただいま」
「おかえり、父さん」
「おぉ、立香!久しぶりだなぁ」
父さんは寡黙って訳でも無いけど、騒がしいって訳でも無い、良くも悪くも普通の人だ。
空港で、頑張れ、と一言だけ言ってくれた時の事はしっかり覚えている。
着替えてから、全員リビングに集まって晩御飯。
「取り敢えず、諸々の説明とか紹介とかはあとでしっかりやるとして、今は簡単な紹介だけに留めとくね」
「ん、分かった。取り敢えず俺達から自己紹介をしようか。藤丸立香の父です。息子が何時もお世話になってます」
「同じく母です」
「同じく姉でーす」
家族全員が、簡単に自己紹介をしてから皆を簡単に紹介していく。
「えーっと、この人が斎藤一さん。こっちの人が風魔小太郎で、あの人が百貌姐さん、この人が玉藻さんで、あの人はメディアさん。この人はスカサハさんで、この人はスカディさん」
俺が全員を紹介する。
で、取り敢えず晩御飯。
ギルガメッシュ達がくれたお酒も出して。
「いやはや、随分と美男美女が多いですなぁ」
「どの人が立香のイイ人なのか気になるわぁ」
父さんと姉さんは、そんな風に言って母さんは母さんでメディアと盛り上がってる。
皆、思い思いに食事を済ませてから、俺と家族、それとスカサハとスカディをリビングに残して他の皆はそれぞれ充てがわれた部屋に戻る。
「えーっと、それじゃぁ、うん」
「なんだ、緊張しているのか?」
「そりゃ緊張するよ……」
物凄く緊張してます。
人生で一番ってぐらいには緊張している。
何しろ、自分の両親に恋人の女性を紹介なんて事、したこともないんだから。
バクバクと物凄い速さで鼓動を打つ心臓を落ち着かせるべく、深呼吸を数回。
まだ、バクバク言ってるけど一応落ち着きはした。
「その、この二人が紹介したい人なんだ」
「二人?どちらか一人じゃなくて?」
「うん。二人とも、俺の恋人で、結婚を前提に付き合わせて貰ってる」
俺がそう言うと、三人は驚いた顔をする。
そりゃそうだ、自分の息子が二人の女性と付き合ってて、しかも結婚が前提なんて現代日本人の感覚からすれば異常なものだ。
カルデアに毒されていて、最近は気にした事も無かったけど、家に帰るってなった時どうやって説得するのか物凄く悩んだ。
「あー、スカサハさんとスカディさん、でしたか」
「「はい」」
「お二人は、宜しいので?実質浮気宣言しているようなものでは?」
「ふむ、お父上は浮気と仰られるがそれは違う。前提としてこの関係を望んだのは私達の方で最初、立香は悩んでいました。それを、私達二人が、押し倒して説得したのです」
なんか、敬語のスカサハって凄い新鮮と言うか。
それと、押し倒したなんて言わなくてもいいでしょ。ほら姉さんが、キャー!!って顔で俺見てるし!
スカサハは、生まれながらにしての女王だから、どうにも発言とかが物凄い説得力があるんだよなぁ。
「うーん……、だがなぁ……」
「立香、あんたはお二人の事どう思ってんの?」
「え?そりゃ愛してるよ?と言うか依存してる?って言った方がいいのかな。二人が居ないと俺、死ぬ」
そう、答えると姉さんは、
「ふぅん……。それならいいんじゃない?私は元々反対する気は無かったしね。あんたが幸せって言うのならそれでいいかな。姉としては若干寂しくは感じるけど」
俺の味方になってくれたらしい。
母さんも母さんで、驚いてはいるものの、反対している訳ではないらしい。
「国籍的に、問題は無いのか?」
「あー、その事なんだけど俺、自由国籍と言いますか、実際は殆ど無国籍みたいなもんなんだけど、まぁ色々あってそんな感じなんだよね」
「ん?どう言うことだ?」
「それに関しては、ちゃんと説明する。というか先に説明すれば良かったかな。その方が二人の事も飲み込めただろうし」
それから、カルデアのこと、人理焼却の事、英霊のこととか少なくとも説明しなければならない事は全部話した。
元々、この話をすることはダヴィンチちゃんと相談して、了承済みで二人を紹介する上でその方が楽だし、事情を説明しておいた方が護衛を付けたり、転移装置の設置やらも円滑に進められると思ったから。
転移装置に関しちゃ、既に設置済みだからあれだけど。
はっきり言って、俺は魔術協会と国連や各国と少なくとも俺の存在を知っている組織には命やら身柄を狙われている。
そうなると、俺の周りの守りは当然ガッチガチに固められるから手を出せない。
となると俺の家族が狙われる可能性が高い。
そうなったら、正直どうなるか分からない。
多分、俺が言わなくてもこの世界が滅びかねないし、滅びなかったとしても大量の血の雨が降る事になるのはどうやったって避けようが無い。
それらの大惨事を防ぐためにも説明して、納得して貰って、納得してくれなかったとしても護衛を付けたほうがいい。
「……なるほど、それで、そこの二人は英霊、と」
「あー、いや、それがさ、スカサハって細かい説明すると長くなりすぎるから省くけど色々あって死ねないんだ。本当なら世界の外側に住んでて、この世界と外側が消えるまで在り続けなきゃならないんだ。だから、人理焼却の時に死んだっていう判定になったけどそれが防がれたから生きてる」
「英霊じゃないとすると、どう言うことだ?」
「スカサハは影の国からご本人登場、ってこと。スカディもどう言うわけか本物の女神様が態々現界してくれてる。二人とも、本当に生きているんだ」
「そうなのか」
「うん。年齢だけなら、数千歳?数万歳?あ、でも神話の時代の前から生きてるって考えると、数億数十億歳なんて事もあり得るかな?」
「おい、その話は止せ。それ以上口にするならば、今晩辺りにでもしっかりと色々と教え込まなければならなくなるぞ」
「マスター、私はそんな歳取ってないぞ!毎晩とは行かずとも肌のハリとか味わっているだろう!?」
「すいませんでした、許してください」
ちょっと藪蛇突いちゃって、二人が俺の事を殺しに掛かって来る。
物理的にじゃなくて、精神的に。
さっきもだけど、どうして自分の両親姉に夜の事情を暴露されなければならないのか。
「ふぅむ、人類史上ギネスブックに載るぐらいの歳の差婚と言うわけか」
「まぁ、うん、そうなるかな。って言うか父さん反対じゃないの?」
わりかし、抉るようなことを言い放ったけど気にしたら負けだ。
でも、父さん今話した感じ反対しているってわけじゃなさそうだ。
じゃなきゃこんなに普通に話さないだろうし。
「いや、まぁ最初に言われた時はどうかと思ったが、今はそんな事は無いよ。二人の話をしている時の立香の顔は、本当に心の底から二人を愛していないと出来ない顔だ。あれを見せられたら、反対する気にもならないさ」
「それじゃぁ……」
「スカサハさん、スカディさん、どうか息子のことを宜しくお願いします」
胡座をかいていた足を正座に直し、姿勢を正してそう言いながら頭を下げた。
それと同時に母さんと姉さんも頭を下げる。
「はい、息子さんのことは何があっても守り抜いて幸せにしますし幸せにしてもらいます」
「愛すると決めたのですから、手放しはしません」
二人もそう、胸を張って言った。
いやぁ、これほど心強い宣言なんて他にあるだろうか?
ともかく、これで結婚に関しては両親の許可は得た。
いやぁ!!嬉しいなぁ!!
家族に反対されたとしても、と考えてたけどそんな心配は杞憂だったし何よりもこうして祝福してくれるのは経緯はどうであれ嬉しい。
それから、暫く六人で話した。
そう言う訳で転移装置なんかの諸々の許可も貰ったし、取り敢えず今回の帰省の目的は粗方達成する事ができた。
「そうだ」
「ん?どうしたの、スカサハ」
「三週間、ここでお世話になりますが、夜になったら少しばかり騒がしくなるかと思いますが、どうかご容赦下さると有り難い」
「スカサハ!?そんな事父さん達に言う必要ある!?」
「あるとも。言わないで、後々になって指摘されるよりかは心置き無くできるだろう?」
「スカディまで!?」
「立香、孫を楽しみにしてるわ。ちゃんと育て上げられるのなら何人でも良いわよ?」
「母さん頼むから何も言わないで!!」
「はっはっはっはっはっ!」
どうやら、二人は普段はそう言う事は三人でいる時しか口にしないのに、今回は俺の家族に受け入れられたり色々と理由はあるんだろうけど相当浮ついているらしい。
じゃなきゃそんな事言うはずもないから。
まぁ、恥ずかしいっちゃそうなんだけど、二人が幸せそうに笑ってるんならなんだって良いかな、と思っちゃう訳でした。
ーーーー s i d e スカディ ーーーー
ニホンに到着すると、時差ボケとやらでうつらうつらと船を漕いでいる。
いや、飛行機の中でも既に眠くて仕方が無さそうだったが、飛行機から降りると更に酷くなった。
うん、健康状態になにかしらの影響があると言う訳では無いらしい。
斎藤一の提案で、まだマスターの両親が迎えに来る時間まで暫くあるから空港の中にある店に入って少しばかり休憩。
「いや、随分と日本も変わったもんだね」
「えぇ、物凄い変わり様です。これほど大きな建物と言えば城ぐらいなものでしたが、いえ、城でもここまでは大きくありませんでした」
「食べ物も、まるで日本じゃ無いみたいですねぇ。ま、カルデアで慣れているのでこれといって問題はありませんけども」
この国出身の面々は、驚きの声を上げつつなんだかんだと楽しんでいるらしい。
マスターは私の胸でくーすか気持ち良さそうな寝息を立てて、それはもう幸せそうに寝ている。
抱き寄せながら、頭を何時もの様に撫でてやる。
ゴワゴワとしていて硬めの髪の毛だが、心地良い感触だ。
周りからやたらと視線を感じるが、気にするほどのことではあるまい。
なにしろ、今回はマスターの護衛ではなく妻としての同伴なのだからな!
その辺の事は他の連中に任せておけ。
まぁ強いて文句を言うなら、護衛でも良かったからマスターと、もう一人の私だけで此処に来たかったのだがな。
ともかく今は妻として、ここにいる事を喜ぶとしよう。
「オタクら、ただでさえ美人さんなのにそんな事してて物凄く目立ってるんで、イチャつくのやめてもらえません?下手に注目浴びると護衛がやりずらいんですがねぇ」
「ふん、その程度こなしてみせろ。ニホンの、有名な剣士なのだろう?」
「いや、そこまで有名かと聞かれると違うと思うんだけど、まぁ、そう言われちゃうと頑張るしかないか」
斎藤一は、何やら言っているがなんだかんだと納得したらしい。
小太郎とやらは、周りに危険がないか見てくると言って何処かに行ったし、他の面々は視線なんぞ何するものぞ、と普通に茶を飲んでいる。
私やスカサハを始めとした面々は元々、注目されるのに慣れている。
これと言って特に気にしたりする訳も無い。寧ろ、衆人観衆の中でも堂々として居なければならなかったからこれぐらいなんて事は無い。
すやすやと、気持ち良さそうに寝息を立てているマスターを、赤ん坊や小さな子供をあやすように頭を撫でつつもう片方の手で抱き締めながらぽんぽん、と優しくリズム良く背中を叩いてやる。
そうすると、胸に抱き寄せた顔を胸の更に奥に潜り込もうとぐりぐりと引っ付いて来る。
これがまた、どう言うわけかひたすらに庇護欲を擽られる。
その、胸から少しだけ覗く寝顔を見ながら、マスターが起きるのを待った。
「んぇ……、んぁ……?」
「ん、お目覚めか?」
ゆっくりしていると、マスターが目を覚ます。
と言っても、まだまだ眠そうだ。
時差ボケとやらは、調べた限りだと特に酷くなければ健康で若く体力のある人間ほど早く解消するらしい。
マスターはその点私達に鍛え上げられて、更には人理修復を成し遂げたのだから、人間という括りで見れば殆ど人外みたいなところがあるから、早いだろうな、と思っていたから不思議ではない。
「ほら、水でも飲んでしっかり目を覚ませ」
「あい……」
くぁ、と目を擦りながら欠伸を一つしてその後に、んぐんぐ水を飲んでいく。
少しばかりボーッとしてにぎにぎと私の手を握ってから離してぐーっ、と伸びと首をぐりぐり回した後にまだ眠そうな目と少し気怠そうな口調で私に聞いてくる。
「どれぐらい寝てた?」
「一時間も寝ていないな。精々四十分と言ったところだ」
「……もしかしてその間ずっと俺の事抱き締めてた?」
「当たり前だとも」
「そんな自信満々に頷かれても……。あー、だから物凄く注目集めてるのか……」
「ん?嫌だったか?」
「いや、そうじゃないけど」
「ならいいではないか」
そう、納得させる。
何度も言うが周りの目なんぞ気にもならん。マスターを抱き締められるんだったらどこでも構わん。流石に、まぐわうのは勘弁して欲しいが。
まぁ、でも、人の目さえ無ければうん、まぁ、外でやるのもやぶさかでは無い、かな?
空港の、チュウシャジョウとやらでマスターの母上が待っていた。
クルマとやらに皆で乗り込んで、家に向かう。
家に上がると、生活感溢れる雰囲気を感じる事が出来た。
マスターの提案で家族が帰って来るのを待ってから夜、纏めて私達を紹介する、と言う事となった。
それまでの間、三週間暮らす事となるマスターの部屋を物色する。
幼少の頃からのアルバムを引っ張り出して、一ページ一ページ捲るごとに目に入って来るのは、私達の知らないマスターだ。
生まれた時から、カルデアに来るまでの十八歳に至るまでの成長の記録がそこには写真として残っていた。
小さな頃のマスターは、今の面影を残しつつ相応に活発で元気な、やんちゃな子だったらしい。
顔中泥だらけ、服が破れていたり虫網を担いで野山を駆け回る姿や、両手一杯にイチゴを抱えて嬉しそうに笑っている姿も。
海や川で遊び回る姿や様々な季節行事、学校の行事なんかの写真もある。
今でこそ、数多の困難があった人理修復の旅を乗り越えて精悍な顔付きをしているが、昔は年相応の可愛らしい顔付きをしておる。今も可愛いがな。
部屋で、それをスカサハと見ていると思わず声が出てしまっていたらしく隣の部屋から他の皆が入ってくる。
皆も加えてきゃいきゃいと、若干騒がしくアルバムを一ページづつ楽しむ。
マスターはそれを見て恥ずかしそうに笑っている。
「ほら、マスターもこっちに来い。色々と、私達の知らないお前の話を聞かせてくれ」
「えぇ、そんな皆に態々話して聞かせる事が出来る話なんて無いけどなぁ……」
マスターの手を掴んでこっちに引っ張って来て、写真に加えてマスター本人から色々と思い出話を根掘り葉掘り聞き出すとしよう。
マスターの話は、本当に私達からすると、新鮮なものだ。
私達の知らないマスターの事が沢山あって、どれもこれも面白可笑しくて、そして楽しくて。
それを見られなかったのが、とても悔しい、残念だと思うのは、おかしな事だろうか。
晩御飯を食べ終えて、マスターの家族と私達3人だけがリビングに残る。
私とスカサハに挟まれて座っているマスターは、緊張しているからかカチコチだ。
声を掛けてみると、魔術王との直接対決の時よりも緊張するとかなんとか言っている。
んな馬鹿な事ある訳なかろう。
妻を二人紹介するのと、人理が掛かった戦いとでは、明らかに後者の方が重圧も桁違いだろうに。
まぁでも、私達としてはそう言ってもらえて嬉しいものではあるがな。
それでも、私達も緊張しているのは確かだ。
結婚なんぞ、私達はしたこと無いからのぅ、しかも両親に紹介されるなんて考えても見ない事だ。
口調も何時ものものではなく、敬語を使って話す。
慣れないから時々元の口調が出てしまうが、まぁその辺はご愛嬌という事で許してくれないだろうか。
まぁでも、ご家族は気にしている様子では無さそうだし、うん、まぁ、いいかな。
隣に座るマスターの手を、軽く握ってやると嬉しそうに握り返してくる。
それに対抗してか、反対側の手をスカサハが握る。
それから、マスターの家族に私達の事やカルデアの事、人理修復の旅のことを全て、教えられる範囲で話した。
確かに驚いていたし、息子がそんな命を懸けて、とまで言っていた。
だけど、結局最後は納得して受け入れて。
「立香凄いじゃないか、人類を救っちゃうなんて!」
そう褒めていた。
マスターは褒められると気恥ずかしそうに、だけど嬉しそうに笑って頭を掻いていた。
それから私達の事を認めてもらえた。
途中、マスターが私達の年齢に関して何やら言ったりしたがまぁ概ね何も問題は無い。
しかし、お義母様が言っていたがマスターとの子かぁ……。
うん、うんうん!
良いな、良いな!マスターとの間に子は絶対に可愛いぞ!
だがなぁ、マスターとの子供も欲しいんだがマスターを取られるのは嫌だし……。
今までも避妊はしていたが……。
うーん、でも子供欲しいなぁ。
……でも、暫くはこのままでも良いかな?マスターと思う存分にイチャイチャしたいし。
その日の夜。
早速マスターの部屋でマスターを押し倒して。
「ちょっ、スカディ!?」
「なぁ、マスター」
「な、何かな?」
「マスターの家族にちゃんと認められたんだから、その記念にだな」
「いやでも今日飛行機に乗ってきて疲れてるし……」
「ん?でもこっちはもう元気一杯そうだが?」
「いや、それは、スカサハが胸を押し付けて来るからでしょ。あ、ちょっと出さないでよ!」
「んー?聞こえんな?」
「挟まないでって!ちょっとほんとに擦るの一旦ストップ!」
「なんだ……?マスターは、私とするのが嫌か?」
少し上目遣いで、そう言ってみるとぐっ、とした顔で少し悶えた後。
「……わかったよ、スカディ」
「!んふふ」
そう言って結局何時も通り最後は受け入れてくれる。
それから、太陽が昇るまでの間私とスカサハの二人掛かりで搾り取ってやることとなった。