※この作品はR-18です。

転生して魔法使いになって○○に会いに行く(その後生活)   作:紅霧竜

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奪われた熱は哀しみと絶望の先に

雪に包まれる幻想郷

本来であるならばすでに春を迎えても良い頃合いだが

 

「今日も冷えるわね直人」

「ええ…すでに暦では春ですがそのきざしも見えませんね」

「誰かが止めたのかな?」

「一度調べて見ましょうか?」

「私もいく!面白そうなんだもん!!」

 

二人は身支度をし調査に乗り出す

まず向かうはレイムの神社

 

「れいむーいる~?」

「だれ?…フランじゃない!どうしたの?」

「終わらない冬について調べてるの」

「それは私にもわからないわねー…あっそうだなんかこれがヒントになるかもよ?」

 

霊夢が見せたのは桜の花びら

それはほのかに暖かく触れても形崩れない

 

「…上空に花びらを多量に発見しました、向かわれますか?」

「いく!たのしみだなぁ~」

 

二人は神社を後にして上空へ

するとどこからか音楽が聴こえてくる

 

「お客さんだ!」

「リリカ!止まりなさい!!」

「そんなに慌てないの…全く」

「こんにちは!私はフランよこっちは従者の直人」

「フランちゃんこんにちは私はメルラン」

「私はルナサだ」

「リリカだよ!よろしく!!」

「演奏してたの?」

「ええお客さんはいなかったけど…良かったら聞いていく?」

 

二人は一曲聞いていくことに

 

躁・鬱・幻想からなる狂気の演奏

しかし彼らに映るは今までの軌跡

三人はいつも通りの音で自らを表現し続ける

それは常人には耐えられぬ狂楽

しかし彼らには心地よい子守唄

 

「ありがとう…初めて最後まで聞いてくれる人がいたわ」

「私たちには効かないわよ?『もう壊れてるから』」

「なるほど…ほら目的地はあそこよ」

 

さらに上に結界が見える

それは現世と冥界を隔絶するものであった

 

「…壊さずに入ろっと」

「そうですね…お供します」

 

 

中に入ると石畳の階段が現れる

桜並木に飾られたそれを登っていると

 

「あなた方のなけなしの春をいただきます!」

「へぇ~ソノテイドデカテルノカシラ?」

 

目の前に現れた少女はフランの発する狂気に飲まれてしまう

 

「壊れちゃった…どうしよう」

「このままで大丈夫ですフラン様、誰かに牙を向けるときそれは自らにもむくということを怠ったのは彼女ですから」

 

そのまま階段を上がるとお屋敷が見える

縁側で寛ぐ女性はこちらを見ると一礼する

それに応えるように二人も一礼し近づく

女性が座る横にフランも座り直人がその横に座る

 

「いらっしゃいませ」

「こんにちは、私はフランドール」

「フラン様の付き人をしております村井と申します」

「私は幽々子…ここの管理人よそして今回の異変の首謀者よ」

「どうしてこんなことしたの?」

「あの桜が咲けば何かを思い出せる気がするの…それには大量の力がいる…」

「しかしあの桜は数多の死を運ぶ」

「そうね…でも邪魔はさせないわ」

「私は止めないわよ?今のを聞いちゃったらね」

「そうですね…しかしあの桜が咲けばこの世界に生けるもの全てが死にます」

 

フランはそれを聞いて悩み始める

夢を叶える人を差し置いて阻止するか否か

 

「もう…逃げない…私は…逃げない!」

 

階段から一直線に斬りかかってくる少女を

一瞥もせず手刀で空間を切り弾く

 

「なっ!?渾身の一撃を!?!?」

「遅い・軽い・見え見え…あなたの剣は届かないわよ?直人お願い」

「かしこまりました」

 

直人は立ち上がり二刀を構える少女を見ながら手を握り開く

 

すると紅き六芒星の結界が現れ少女を閉じ込める

 

「今のあなたではこれを破ることは愚か傷一つつけること叶わぬでしょう」

「なっ!小癪な!!」

 

結界の中で数多の術を繰り出そうともそれは揺るがない

 

「あの子もまだまだね…」

「成長途中は仕方ないわよ」

「お待たせいたしました…暖かい内にどうぞ」

 

直人はお茶を二つ用意し渡す

ついでにクッキーも用意しお茶うけにする

 

「あら、気が利くわね」

「そうでしょう?自慢の従者であり友人ですもの」

「お褒めの言葉ありがたく」

「そういえばなぜあなた方は私を止めようとしないの?」

「多分同じように同じものがあればそうするもの…たった一人考え叶える術を見つけたのなら」

「私も同じです、一度この命尽き再び合間見えるためにあらゆる手段を考え実行した…私たちとあなた方に何の違いがありましょう」

 

首謀者の女性は驚いた様子であった

自分は「この世界を壊す」と言ったのにそれを受け入れ尚肯定した

 

そこへ現れる紫の服を着た女性

 

「あら?あなた達どうしたの?」

「終わらない冬を調べてたらここにきたの!この人が首謀者らしいけどおこした理由聞いたら止める必要ないかなって」

「そうね…でも幽々子?あなたが記憶を取り戻したら…」

「なるほどそういうことですか」

「直人?あなた何を…」

 

直人はおもむろに冬を加速させる

それは幻想郷に寒波をもたらし全ての勢力に警戒を知らせた

 

「なるほど~マリサや霊夢を動かしたのね」

「はい…彼女らがいた方がやり易い」

「あなた…何をするの?」

「あの桜を再度封印します…そのために一度開花させる」

「私はいてもいいわよね?」

「あまり危険に晒したくはありませんがお望みとあらば」

 

パリンと何かが割れる音が聞こえる

それは一人の少女が己と向き合い弱さを受け入れ全てを賭けた一撃を放った証

 

「おめでとう!君は半人前ではなくなった!!さあその高みを目指すがいい!人を導き霊を鎮めその先を見せよ!」

 

 

その日は幽々子の好意に甘え泊まることに

 

翌日

直人は日が昇るより早く目を覚ます

キッチンに向かおうとしてここが館ではないことを思いだし庭に向かう

 

ヒュッ…ヒュッ…と何かが空を切る音が聞こえる

 

そこには先日の少女が二刀を振る姿が見えた

 

直人は何を言う事もなく見守る

 

ほどなくしてフランも目覚め直人の隣で見守る

 

「フゥ…まだまだ足りない…もっと強くあらねば…」

「急ぐことと積み重ねねることは相反しますよ?」

「あなたは昨日の…」

「もう一言言うなら今のままだと何も得られないわよ?」

 

それは彼女が怒るには十分だったが

 

「半人前なんです…あのときからずっと!お祖父様がいなくなってからずっと!!」

「半人前に甘え幻想を追い求めるのであればそのままですよ」

「あなたに…何がわかる!!」

 

少女は直人に刃を向けようとして…硬直した

己が刃を向けようとしたその先に深い闇を見たから

 

「私を愚弄することは許しましょう…しかし我が主にもその刃向けるならば…誰であろうと例え神であろうと相手になりましょう」

「あなたは…強い…」

「いえ私は弱いです…しかし誰よりも己をとして誇りを抱き、仕える主人を護るのが従者としての役目ですから」

「護るべきは主人…そう…ですか…」

 

その日少女はどことなく考えるようになった

今までの鍛練は何のために行っていたか

 

「これは失敗したか…」

「そんなことないよ?彼女は彼女なりに見いだすはずだから」

「ええそうね…ありがとうあの子に道を与えてくれて」

 

その日は家の中を見て回り庭を探索し幽霊を捕獲して終わった

 

翌日

 

侵入者が現れる

それも三人

 

「幽々子様行って参ります」

「気を付けて妖夢」

 

少女は階段下へ向かう

 

程なくして剣檄の音が聞こえる

しかしどうにも部が悪いようだ

 

「気づくといいんですが…」

「そうね…あとはあの子に任せるしか…!!」

 

一瞬の静寂、聞こえるは風の音

 

それは少女が「護る者の為に振るう」音

 

「やりましたね」

「そろそろ準備しましょ?」

 

風の音がやみ三人が現れる

 

「で?誰が犯人なわけ?」

「私よ?桜が咲けば何かを思い出せる気がするもの…誰にも邪魔は…!?桜が…咲いて…」

「レイム!気を付けなさい!!あれは全てを奪うつもりよ!!」

「紫!?わかっていたならなんで止めないのよ!!」

「まさかここまで強くなってるとは思わなかったのよ」

 

三人が構えると

 

「六方六亡六陣結界…これ以上は好きにはさせん」

「みんなやっほー」

「フランじゃないか!心配してたんだぜ?」

「妹様!?なぜこちらに??」

「異変の調査してたらここについたの、すごいでしょ!!」

「そんなことより来るわよ!」

 

 

直人とフランはすでに縁側で待機している

三人は必死に応戦していると階段からボロボロの少女が現れる

 

「幽々子様…あなたに刃を向けること…お許しください」

「その心意気よし!受けとれ!」

 

直人は結晶を投げ渡す

少女が受け取った瞬間今までの傷が癒えその疲れさえなくなる

 

「ありがとうございます…幽々子様…私はあなたを護る為に…一度だけこの刃を…振るいます!!」

 

少女は納刀したまま桜へ近付き

刃よりも太く長い気を横一閃に切る

 

「幽々子様!過去を忘れてくださいとは言いませんが!今この未来を共に歩みましょう!!いつかの記憶と共に新しく紡ぎましょう!だから…帰って来て下さい!!」

 

放たれた二撃目

それは下から上に振るわれる

 

それは今は亡き姿に向けて

それは亡霊となった今に向けて

 

「レイム!」

「わかったわよ!『無双封印』!」

「これで終わりね!」

「いえまだです」

「私の夢が…希望が…」

「過去に囚われるのもいいですが…」

「だったらなぜ!?」

「あなたの友人や家族を大切にしてください」

 

幽々子の目に映ったのは

 

かつてその終わりまで近くにいた友人

この体となっても仕えてくれた少女

目を閉じれば堅物だったが優しい指南役

そして目を開ければそれらを塗り替えるような新しい出会い

 

「ああ…儚くも美しく…色褪せても思い出す…私は大切なことを…忘れていたみたい…」

「これからも大切になさってください」

「そうだよ?私よりいろんなことを見てきたんなら…これからはちゃんとそれも大事にね?」

 

 

 

こうして長い冬が終わり

幻想郷に春が訪れた

桜は狂い咲き

神社では宴会が開かれた

桜は封印され

幽々子は新しい友人を得て

妖夢は新たな誇りを得て

異変は終わりを告げた

 

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