「ふん負傷者って言うお邪魔虫を抱えたんじゃお前も満足に戦えねぇだろう。尤も実の妹か姉を見捨てるって選択肢はお前にはないんだろうがな!」
勝ち誇ったように笑う彩人に少し疑問を覚えた。
「……どうして俺達が兄妹だと分かった?」
「そりゃテメェらの言動から大体想像はつくさ。さっきの連携もあれぐらいの口数で足並みを揃えられるなんざ思考がとても似通ったもんじゃなきゃ出来ねぇ。おまけにクソムカつくが美男と美女、容姿もそっくりなんだよお前らは」
「………くっ!」
銀羽でなく愛であれば……他人だったら、……言葉は悪いが使い捨ての道具に躊躇なくしていただろう。
だが銀羽は時に競いあい、憎みあいながらも同じ家で育った血の繋がった家族。
如何に龍雅とて(共同戦線を張った件もあるが)共に組んで戦ってる状況で実の妹を見捨てることは出来なかった。
「……馬鹿ねお兄様。こんなところで躊躇してるようじゃとても『
「銀羽……」
険しい表情を浮かべる龍雅に無理矢理笑みを作りながら銀羽は語りかける。
激しく肩を揺らし彼の胸の中で抱かれる彼女の出血は未だに止まらない。
「けっ、兄妹でメロドラマのワンシーンなんざ演じてんじゃねぇ。あいにく
言い終えると同時に彩人は右腕を前に出した。
『クォォォォォ!』
まるでその仕草が合図だと言わんばかりに、紅蓮滾るバゼルギウスは『紅蓮状態』となり青白く染まった爆鱗を周囲に巻き散らした。
当然ばら撒かれた爆鱗は龍雅と銀羽の元にも設置される。
「龍雅まずいわっ!」
「言われるまでもない!」
紅蓮状態時に設置された鱗が壊滅的な爆発をもたらすのを勾玉所有者となった二人は知っていた。
数秒後に一帯で連鎖して大爆発が起こった。
岩壁などに張り付いて爆発した鱗が巨大な落石となり二人の元へ降り注ぐ。
爆発と共に砂塵が舞い上がる。
「はっ、あのカス共は手足がぶっ飛んだか…それとも岩に押しつぶされたか…いずれにせよ当たりゃただじゃあすまねぇだろうな」
もくもくと立ち上がる砂煙をクルペッコの力を使い風圧大で消し飛ばした。
「ほう…消えやがったか」
砂煙を払い晴れ渡った後に二人の姿はなかった。
黒狐竜ミ・ルの力は伊達ではないようだ。
「さあてこっちはどうするかねぇ、へへへへへへ」
戦闘に怯え端の方で蹲るジャギィやジャギィノスを見ながら彩人は不適に笑う。
「こんな雑魚共でも索敵ぐらいの役には立つか」
……
………
…………
……………
「ハァ……俺もまだまだ甘いな」
「本当にね。龍雅お兄様」
ミ・ルの力で瞬間移動した龍雅は銀羽を抱えたまま水辺の近くにある砂原の洞窟に移動していた。
銀羽を膝に寝かせ頭を優しく撫でる。
幼い頃泣き虫だった銀羽をあやすために良くしていた行いだった。
『お兄様の馬鹿ぁ!』
『テストで負けたくらいで泣くな。泣く暇があるなら勉強しろ』
『ううぅぅぅ……お兄様が寝かせてくれなきゃやらない!』
『小学1年生にもなって……いい加減卒業しろ』
『いや!お兄様の膝がいいんだもん!』
あの時の光景が昨日のように浮かぶ。
「私なんて見捨てれば良かったのよ……。あいつに勝つ為にも。あなたの敵を減らす為にも」
………あの時に比べればこいつは強くなったな。
「ふっ、ははははっ。こんな時に強気でいられるなんてお前らしい」
「だから私を誰だと思ってるの。黒結銀羽。黒結家の一族にしてあなたの妹よ……見て傷も癒えてきてる。あんな奴にもう後れは取らないわ!」
「むっ…」
銀羽の腹部を見ると確かに血の流れは弱まっていた。
「戦えるんだな?」
「当然よ!」
銀羽は自分の足で立ち上がる。
「こっから巻き返すわよ、龍雅!」
「あぁ」
二人は背中に結晶の翼を生やした。