「うわぁぁぁぁぁぁ!」
「何処なの‥‥?ここは‥‥?」
様変わりした光景に二人は驚きを隠せない。
真っ白に広がる雪原、氷に覆われた聳え立つ岸壁。
それはまるでこの土地が自分達を拒絶してるようにも思えた。
自分達が全く知らない寒冷地に飛ばされた恐怖に加えそれ以前に室内にいた2人は厳寒の大地に素足で立ち尽くしているのである。
「寒いな‥‥」
「えぇ‥‥このままじゃ霜焼けどころじゃ済まないわ。何処か建物に入らなきゃ‥‥」
口にしてる側から藍紅の足は寒さで赤く染まっていた。
「やべぇぞ。お前の言うように霜焼けじゃすまねぇ。最悪壊死だ!」
「でも……民家らしきものは見当たらないわ。本当にここは自然のツンドラ地帯の一帯みたい」
「くっ!万事急須か。取り敢えず動こう。動けば少しでも死ぬ時間は伸ばせる」
陽太の言う通りだ。
厳寒の中ただ突っ立てるよりかはまだ動いていた方がマシであろう。
「……何れにせよ。この状況では死を待つだけね」
「だな……」
そうこれはただの応急処置。
動くのは『何もせずに死ぬ』と言う一番最悪な死に方を回避する為でしかない。
この行動で何らかの希望を見い出せる事を二人は期待し身体を歩ませる。
何も分からずに厳寒の白き地獄に放り出された二人の人間は生存圏を求め彷徨いました。
足を真っ赤にさせ、髪や顔に氷を付着させながら。
実は生存圏はすぐ近くにあるので二人はすぐ気付くでしょう。
二人の人間はそこで一先ず落ち着き安寧を取り戻す筈……。
無垢で無知な彼らはそこで哀れに待つのです。
「私と言う
「見ろ!湯気が立っているぞ!」
「本当だわ……」
前方200m程前に湯気立つ水源を見つけた。
この際、二人の心に『希望』の二文字が湧いたのは言うまでもない。
却って焦って滑って怪我しては元も子もないと判断した二人はあくまでもゆっくりとその水源を目指す。
そして―――。
「はぁ。やっと着いた……あったけえ……」
「ふぅ。休止に一生ね」
腰掛けて座りたかったがお尻が冷えてしまいそうなので立ったまま二人は身体を温めた。
「駄目ねGPSも機能しない」
「ハッ、マジじゃん。一体ここは何処なんだよ……」
ポケットに入っていたスマホで場所を確認しようとするも何も表記されず電波が飛んでる様子もない。
自分らは辺境の地にでも飛ばされてしまったのだろうか。
「ここは私が創った世界……あなた方二人は私に閉じ込められたのよ」
途方に暮れる2人の前に吹雪を伴い一人の少女が現れた。
二人はその顔に見覚えがあった。
「お前は…綺里華じゃないか」
「舞雪……」
成績優秀だが持病を持ってる為学校を休みがちな女子生徒だ。
来れたとしても保健室登校が殆どで陽太と藍紅のクラスに来たことは殆どない。
……それでもこの三人は『とある出来事』で面識があった。
病弱だと言うが舞雪の容姿は陽太から見ても藍紅にも勝るとも劣らない。
どころかその身体が弱い舞雪がまるで健康体であるかのように振る舞っている。
「あぁ、陽太君、藍紅ちゃん……貴方達が限りなく愛しくそして憎いわ」
「グッ!」
「あぁっ!」
2人の足元が急速に凍りついていく……。
「病弱な私はもういないの。『白い天使』が私に力を与えてくれて生まれ変わったのです……だから私は力を使うわ。私自身の幸福を満たす為に……!」
猛吹雪が雪原を覆う。
温度が急激に下がる中で二人の意識は遠のく。
「うふふふ、さぁ終わりの喜劇の始まりです」
肉体的病魔から解放された少女を今度は精神的な病魔に支配された。