この世に神様が存在するとしたら―――。
なんて不公平な世を創ったのでしょう?。
そう文句を言いたくなるの。
他の子達は五体満足で病も持たずに産まれ、『いつ命が果てるか』と死の恐怖に脅えることもない。
何故私ばかりが。
物心着いた時から私の生活の場所は病院の狭い一室だった。
死と生の狭間の中で………一番古い記憶は2歳の頃かしら。
胸が焼けそうなほど熱く、頭を無限に強打されるような感覚に泣き喚いていた。
確か酸素マスクもしてたっけ?。
今思えばあれも『持病の発作』だったとすぐ分かるけど当時の私にはそれが怖く、命とか人生とかそんな単語が分からなくても………。
この感じが続けば自分は終わると幼いながらに悟った。
最初の頃は私の両親も不安と焦燥に駆られ、毎日付き添っていてくれたけど‥‥時が経つに連れ私の元を訪れる間隔は空き‥‥‥病魔も小学校に少し通えるぐらい快復した頃にはお父さんもお母さんも月に1回か2回ぐらいになったわ。
あくまで学校に通えるようになっただけで相変わらず死の恐怖が365日常に付き纏っているのだけどね‥‥。
そりゃそうよ。
両親が面倒臭くなるのも無理はないわ。
こんな
産まれて間もない赤ん坊の時は4歳までしか生きれないと言われ、物心ついた4歳になった時は直接医者に10歳までしか生きれない‥‥とこの耳で直接聞いた。
幸か不幸か私は医者に言われた余命より8年生きながらえてるけれどね。
私の人生なんて産まれた時から失敗だったけれど対して関わりたくもないのに他者と一緒に過ごさなければいけない学校のシステムは本当に最悪だわ。
どの人間も上辺だけで人を憐れんだり、陰口叩いて馬鹿にしたり、特に高校の時は最悪だったわ。
まぁ、その最悪な思い出が死ばかり考えて幻滅してた私に色んな感情を教えてくれたのだけど。
1年前、偶然体調が良かった私は在籍するクラスに直接テストを受けに顔を出すことになった。
私はあまり乗り気じゃなかったが担任の大村智美先生に「舞雪ちゃんが出てくれたらきっと皆喜ぶわ」と言われたので渋々出た。
全然顔出してないのに、皆が喜ぶって何よ。
あなたのエゴを私に押し付けないで。
部屋に入ると珍し物見に色んな言葉が耳に飛び交う。
「可愛いくね?」
「でも友達いなさそう……陰キャみたい」
「病弱であまり来れなかったみたいだけど、本当はお嬢様ぶってるんじゃないの」
クスクスと笑い声が教室に響いた。
はぁ、なんて下賤な世界なの。
これだったら病室の方が全然マシね。
わけの分からない言葉も聞こえるし。
本当の意味でここは別の世界だわ。
程無くし始業のチャイムがなり私は綺麗な席に着きテストを受けた。
「はぁ……」
休み時間。特にやることも無く溜め息をつく。
「ねぇ、君さぁ、綺里華さんって言ったよね?」
顔に手を当てる私に男子生徒が話し掛けて来た。
明らかに下心丸出しでキモチワルイ。
「こんな綺麗な子見たことないよ。御世辞じゃなくて本当に」
「それはどうも」
顔を一切動かさず返事した。
「もし良かったらさ俺と付き合わ……」
「ちょっとあんた何言ってるのよ!?」
男子生徒の声を女子生徒が遮る。
「私と言う彼女がいながらこんな病弱陰キャ女に浮気する気!」
何そのラップの一節みたいな台詞。
って言うかインキャって何かしら?さっぱり意味が分からないわ。
「落ち着けよ……お前が一番に決まってるだろ。
「じゃあなんでその女に話し掛けたの!?」
「それはこの子があまりに可愛い過ぎて……」
ぁは。なにこれ。昼ドラマでおばさんやお婆ちゃん達が見てた修羅場ってやつ?。
「ふふふ。あなた達面白いのね」
「ハァ!。何笑ってるの……ちょうどいいわ。誰がこのクラスで一番偉いか教えてあげる。ちょっと面貸しなさいよ!」
「何々?、学校でも抜け出して何か買いに行くの?。楽しそうね」
「……なめんなよこのクソ女が。死ね!」
何故か怒りが頂点に達した妃刺榎という女子が思いっきり手を振り上げる。
私はただ会話しただけなのに、コミュニケーションって思ったより大変なのね。
「顔殴ってめちゃくちゃにしてやる!」
騒ぎながら彼女の拳が顔に当たる前に、また別な手が攻撃を防ぐ。
「ちょっと藍紅!。なんのつもりよ!?」
「やめなさい妃刺榎。勝手に怒って当たり散らして。ここは動物園じゃあないのよ」
「全くだ。そもそも一番悪いのはお前がその子に声を掛けたからだろうが黒真」
これが私と二人の出合いだった。