※この作品はR-18です。

壊滅の劫火   作:獄華

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生徒会副会長、氷魅夜 姫華(ひみや じゅりあ)は龍雅に1つ警告をした。


深き心を見抜く者

「各部、委員会の推定予算はこんなものか」

 

『赤瀬東高校令和2年度予算案』と堅苦しく書かれた紙を俺はテーブルに置いた。

なんてことはない。

前年度の予算のデータを今年度の各部、委員会の拡張、縮小に合わせスマホの電卓機能を使い算出すればいい。

「氷魅夜。こっちは終わったぞ」

 

 

「あらもう。流石早いわね」

 

 

整った綺麗な顔立ちにショートヘアにヘアバンドをした女氷魅夜 姫華は呆気なく答えた。

こいつとは生徒会に俺が入会した1年の時から2年間一緒だ。

共に書記として生徒会へ入り、確実な実績を残した俺達は生徒会長とその副会長となった。

当然生徒会長はこの俺である。

 

 

「彼女の為に早く終わらせたの?」

 

 

「ぐー……ぐー……」

 

 

机に突っ伏し健やかに眠る愛の方を向いて尋ねてきた。

 

 

「まぁ、そんなところだ。あの馬鹿が俺と居たいと煩いもんでな」

「ふーん、そう……。強面に見えて意外と優しいところもあるのね。黒結君は」

 

勘違いするな。と言いたかったが氷魅夜と口喧嘩なんかしてもなんの得にもならないのでやめた。

この学校で俺と愛が付き合ってることを知ってる人間は数少ない。

氷魅夜は付き合い始めてから毎日あの馬鹿が生徒室に来るのですぐ勘づかれてしまった。

幸い他の生徒会には幼馴染みとして誤魔化しが効いているが。

あとは幼馴染みの6人だけだ。

あいつらには愛が嬉しそうに報告しすぐ伝わったのである。

しかし俺は愛があいつらに俺達の関係を暴露したことは何のリスクとも捉えていない。

腐っても幼馴染み、奴等の口は堅い。

まぁ、念の為俺からも『他者に言いふらしたら貴様らとて容赦しない』と針を刺して置いたのだが。

「氷魅夜、俺はこれで失礼する」

 

「分かったわ。生徒会長」

 

 

さぁ、あの馬鹿を叩き起こそう。

 

「――待って」

 

 

愛の方に寄ろうとした俺を氷魅夜の一声が止める。

 

 

「あまりぞんざいに扱っては彼女が可哀想よ。その代価を支払う時になるとき傷付くのは愛ちゃんだけではすまないわ」

 

「ハハハハハ!」

 

思わず笑いが出る。

こいつは驚いた。

氷魅夜には人の心を読める力でもあるのか?。

俺は表情を崩さずそのまま氷魅夜に聞き返した。

 

 

「つまり、お前は俺も怪我すると言いたいのか?」

「100%と言う確証は持てないけど恐らくね。元々私の家は人の深層心理に携わる稼業についてたから、私も小さい頃祖母や両親に教育された。だから分かるのよ」

 

 

その道に進むかはまだ決めてないけどと氷魅夜は付け加える。

 

 

「ほう、中々役立ちそうな術を持っているな。俺も教えて貰えればもっと人を掌握するのに役立ちそうだ」

 

 

「ふふ、社会主義国家や独裁体制国家の元首でも目指してるわけ?。こんな小手先の術身につけなくても貴方は充分人望も権力も持ってるように思えるけどまだ物足りないの?」

 

 

「満足し努力を辞めたら終わりだと考えてるんでな。高みを目指すからこそ人は無限に成長するのだ」

 

 

「その為には人を利用し欺くことも必要だと?」

 

 

「そうだ」

 

 

躊躇い無く俺は答えた。

 

 

 

 

「人生は一度しかない。大抵の人間は結果を出せずに終わりを迎えるが俺はそうはなりたくない―――」

 

 

 

 

 

 

「この世に生を受けた以上頂天を……いや、その先を目指さなければならないのだ」

 

 

 

「高尚な考えね、捉え方によっては傲慢共思えなくないような。まぁ貴方とあの子の問題だから私はこれ以上口は出さないけど…呉々も飼い犬に手を噛まれないようにね」

 

「俺を誰だと思っている。しつけには自信がある」

 

 

今度こそ愛の元へ行くと、頭を叩いた。

 

 

「いった~い!……起こすなら他の方法があるでしょ!」

 

 

「お前にはこれが手っ取り早い。一緒に帰るぞ愛」

 

 

「もぅ!。恋人になっても強引なんだから!じゃあね。姫華ちゃん!」

 

 

「じゃあね愛ちゃん。黒結君」

 

 

 

「あぁ。じゃあな氷魅夜」

 

すっかり漆黒に包まれた廊下に俺達は出て帰路に着く。

明日は土曜日だ。

 

「今日は帰らないでこのままホテルに寄ってくか?」

 

「うん!いいよ」

 

右肩に身を委ねる愛の頭を優しく撫でる。

今日はコイツと寝て明日の午前9時からまた勉強を始めるか。

校舎から出た瞬間、徐々に秋から冬に変化してきている寒さが俺達を襲う。

 

「冬も近いな」

 

「そうだよね。でも私は龍がいるから平気!」

 

馬鹿げた答えだが、「くだらん、精神論だな」と答えるのは些か酷だろう。

 

 

「ならいいが」

 

 

目的地を目指し暗い夜道を俺達は歩く。

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