‥‥‥龍雅達が黒衣の少年と話していた頃。
石井翠夢は停電により暗闇が訪れたベッドの上で一人狼狽えていた。
「き、急に電気が‥‥」
日常に有るべき灯りが突然無くなって驚かない人間の方が少ないだろう。
この恐怖は本能的なものと言ってもいいが人間は考える事が可能な動物である。
原因さえ分かれば恐怖も和らぐ。
「停電が起きたのですね‥‥」
落ち着いた彼女は一度軽く息をつくとまたベッドに身を寝かせた。
それにしても急に停電になるなんて‥‥。
季節的に雷はほぼあり得ませんし、暖房器具の使いすぎでオーバーでも起こして一時的に消えたのでしょうか?。
瞼を閉じ停電の原因を探っている中‥‥‥僅か5mも距離が無いところから‥‥ドン、ドンと足音が聞こえた。
「誰!?」
物盗りか、同じ勾玉使いか。
直ぐ様
停電について単に電力の使い過ぎにより巻き起こされたものだと思っていたが‥‥勾玉使いが奇襲の為に仕掛けた可能性も有り得る。
身構えるが相手は動かない。
‥‥だが暗闇に目が慣れるに連れぼんやりと人のシルエットが浮かび上がる。
もう一度その人物に問いかける。
「あなたは誰なのですか?」
「‥‥凄いや。あの子の力‥‥本当に勾玉使いに察知されないんだ」
「この声は‥‥‥っ!?」
翠夢はこの声と長く一緒に過ごしてきた。
落ち着きのある声で安心した物言い‥‥‥。
自分の愛する弟の声だ。
「蒼王ですか‥‥!」
警戒心が解かれ一気に、心が和んだ。
状況が状況なので聞きたい事はいっぱいあるが‥‥‥あの事件が起きてから蒼王が部屋から出れた事に感嘆の涙を流す。
「よく殻を破ってくれました蒼王‥‥」
「簡単じゃなかったよ翠夢。でも僕は強くなれた。だから安心してほしい……」
『僕が君を守る』
吐息が感じられる距離まで彼は近づいていた。
いつもと変わらぬ声音だが、何処か違和感を覚える。
まるで心に闇が籠もったような……。
現在二人を覆ってる漆黒の闇のごとく。
「そ…う……き…?」
蒼王の様子は何処か変だ。
普通の者には気づかないかも知れないが近い姉だからこそ感じられたのかもしれない。
「そう言えばさっき勾玉がどうとか……。あなたも勾玉使いに?」
「……あぁ、なったよ。『黒龍ミラボレアス』が僕にリオレウス亜種の勾玉を授けてくれてね」
バサァと音を立て薄暗いシルエットに2つの翼が浮かび上がった。
しかし今の翠夢には『そんなこと』どうでも良くなっていた。
歓喜の涙は乾き、幸福の感情が絶望に置き換わっていく。
「蒼………王‥‥あなた今何と言ったの?」
「ミラボレアスだよ。翠夢」
おでこをあわせ翠夢の顎をクイッと持ち上げるが彼女は放心状態になっていた。
目から光が消え人形のように目を見開き何かブツブツと呟いている。
ミラボレアス‥‥‥‥黒龍ミラボレアスは伝説の
世界を数日で焦土に変えるとされ、粉塵爆破や床をも溶かす炎を吐き出し、更には『劫火』と呼ばれるあらゆる者の命を一瞬で消し去る悪魔のような技まで持ち………またそれだけではなく空中に光を遮り闇に包みこむ『巨星』を産み出しそれを墜落させ周囲を一掃する技もあるらしい………。
彼の者が住む世界では『黒き悪夢』とも称されるのだとか。
勾玉所有者になっても尚、ミラボレアスを始めとする禁忌のモンスター達の全容は掴めない。
察知能力の限界なのか…彼らが意図的に遮断してるのか翠夢には知る由もないし知りたくもなかった。
………だが愛する
黒龍により蒼火竜リオレウス亜種の勾玉を貰い精神が快復しているではないか。
皮肉にも『
私は………この事実を………素直に喜べば良いのでしょうか………誰か教えて……。
「考えごとばかりしてちゃ壊れちゃうよ。以前の僕みたいに……」
蒼王が翠夢の柔らかい唇を奪うと同時に黒龍から勾玉とは別個に授けられた能力を解除し、翠夢に勾玉のモンスターを察知させた。
「……!」
流れ込む情報に現実に引き戻された翠夢はまたも今の状態に驚く。
0距離で彼と接吻している。
「……いやぁ!」
ブンブンと頭を振るい、無理やり顔を引き離す。
「あれ?、翠夢…僕のこと嫌いになったの?」
抑揚のない声が翠夢の恐怖を更に煽った。
蒼王の声と姿型をしているだけで別人と話してるみたいだ。
「しっかりしやがれです……蒼王!貴方はこんな行動絶対取ったりしません!」
「人は変わるものだよ翠夢」
諭すように蒼王は続ける。
「………あんな思いしてさぁ………変わらない方がおかしいよねぇ……翠夢ぅ……」
ふらりふらりと暗闇で揺れながら蒼王は翠夢との距離を縮めていく。
「来ないで…!」
「大好きなのに………!こんなにも君を愛してるのに………!なんで拒絶するのさ!」
暗闇からでも分かった…彼が泣いているのが。
滅多に泣かない蒼王が泣くのは辛い思いをした時だけ………まだ快復などしていない。
あの悪夢は蒼王の中で燻り続けているのだ。
「違う!拒絶してるんじゃありません……今の貴方は正気を―――」
「黙れ!」
彼の一声に静寂が訪れた。
「そんなに僕が嫌い?男に犯されて醜い?引きこもりになって弱いと思ってる?」
「誰もそんなこと言ってないのです!」
「あ、そっかぁ。内心では僕のこと見下してたんだ。分かるよ誰もが立場が下の者には威張りたくなる者さ今の君みたいに」
機関銃のように発せられる彼の言葉に翠夢は絶句した。
今の蒼王に自分の声が届くと凡そ思えない。
この子を救いたいのに……諦めるしかないのですか……?。
「そう言えばね僕された時意外と嫌じゃなかったんだよ。勿論全部とは言わないけどまた新たな刺激が僕の中で目覚めたんだ。双子の弟として僕だけがこの快感を味わっちゃ不公平でしょう?」
「一体何を言っているの……?。あぁっ……」
恐るべき速度で蒼王は翠夢をベッドの上で押さえつけた。
こちらも纏身してるのに彼の力を振りほどけない。
「やめてぇ、蒼王ぃ……!」
「抵抗するな!」
右頬に鋭い痛みが走った。
「君にも分けてあげようと思ってこの快楽を……大丈夫痛みも苦しみも全てが快楽に変わるから」
「きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
寝台の上で取っ組み合う同じ顔をした双子の表情は片方は絶望に……もう片方は幸福に彩られていた。
藍紅「私の次の出番はいつかしら…?」
陽太「まぁまぁ。待ってりゃその内来るって」
銀羽「あらぁ。あなた達みたいな『脇役』にスポット当てられたらたまらないわよぉ。脇役は脇役らしく大人しくしてなさ〜い」オホホホホ
藍紅「口だけは勇ましい子ね。私と同じお嬢様のようだけど貴女みたいに煩くはなくてよ」
銀羽「何ですってぇ!」
舞雪「あの二人が喧嘩してる内に陽太君は私が……」
姫華(出番があるだけマシでしょうっては言わない方が良さそうね)
愛「私はいつ出れるのかなぁ?舞雪ちゃんや蒼王君みたいに龍を愛したい!」
姫華「愛ちゃん。その2人をモデルにするのは凄く危険よ」