「本当にありがとう御座います神様。愛する孫に会わせてくれて」
奇跡としか形容しようがない姫華との再会に孫と祖母の関係がこれ程尊かったと言うことを淑子は改めて強く思い知らされた。
自身に膝枕されてスヤスヤ眠る姫華は大きくなったとは言え安らかな眠りにつく彼女の顔は幼少期と全く変わらない。
歳は聞いてないから定かではないが、姫華の年齢は大体高校2年生から、3年生ぐらいに見える。
生前最後に姫華を見た時よりも祖母である自分の面影が顔に出ている気がする。
私の若い頃をこの子に見せられてるようだわ
順風満帆とは言えなかった10代の頃の記憶が脳を回帰する。
思えば事業を息子に譲るまで振り子のような人生だった。
人生を共にする伴侶も息子が出来た後に無くし筆舌に尽くしがたい悲しみを仕事にぶつけていたのかもしれない‥‥‥‥。
仕事人生が終わって老いた淑子にまた新たな楽しみを与えてくれたのは姫華だ。
初めて彼女を目にしたのは2歳の頃である。
‥‥‥
‥‥‥‥
‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥
「お袋。ただいま」
「御無沙汰しておりますお義母様」
姫華が産まれてから息子夫婦が淑子の家に初めて遊びに訪れた。
息子の華月と義娘の咲姫が其々挨拶する。
二人の間にはカチューシャをした小さな女の子が立っていた。
初めて会う淑子が怖いのか、姫華は咲姫の後ろに隠れてしまった。
「こらこら、姫華。お婆ちゃんにちゃんと挨拶なさい」
挨拶するよう母に促されるが姫華はギュウっと母の服を握り中々出てこない。
「全くあとちょっとしたら保育園だってのに‥‥‥挨拶は人と人とが繋がる基本なんだぞ姫華。きちんとしなきゃな」
「お父さんの言うとおりよだからお婆ちゃんに挨拶を‥‥‥‥」
「やっ!」
困惑する両親に、淑子は苦笑していた。
「ごめんなさい‥‥。お義母様」
「いいのよ咲姫さん。頭を下げないで、初めて会ったんだもの無理もないわ。姫華ちゃん貴女が好きな時に話していいからね」
頭をうつ伏せにしたまま姫華はコクンと頷いた。
「うん。それでいいからね」
家に三人を招きソファに座り他愛もない話をし初めた(以前姫華は黙って俯いていたが)。
話してる途中、華月の携帯が鳴り響いた。
開いて着信先を見ると彼は露骨に嫌な顔をし、「ごめん商談先だ。ちょっと掛かるわ。はい氷魅夜です」と携帯を耳に当て外の方へ出ていった。
「ママ‥‥‥パパ今日もお仕事?確か今日日曜日だよね」
子供ながらに不思議に思ったのか咲姫に抱っこされた姫華は訪ねる。
「う〜ん。本当は休みなんだけどお父さんは仕事が好きだからたまに休みの日も仕事するのよ」
「ふーん。変なの」
「お母さんの言う通りよ。姫華ちゃん。お父さんは休みの日も頑張ってるのよ。あなたとお母さんの為に」
「そうなんだね‥‥」
特に警戒する事なく自分に相槌を打った姫華に淑子の心は少し嬉しくなったがその時の会話はそこで途絶えた。
淑子と咲姫が話し合ってる内に姫華はスヤスヤと眠ってしまった。
「まぁ。気持ち良さそうな顔で寝てるわね」
「本当ですね。車で移動してて疲れてたのかも知れません」
咲姫は自分のセーターを脱ぐと毛布代わりに姫華に被せた。
「華月も戻って来ないし、私皆に夕食でも作ろうかしら」
「お義母様。そしたら是非私にも手伝わせて下さい」
「あらぁ。ありがとう。じゃあ姫華ちゃんの大好きな物でも作りましょうか」
「良いですね!」
「姫華ちゃんは何が好きなの?」
「はい姫華は――――――」
咲姫の口から姫華の大好物が語られた。
「それなら私も結構得意だわ。華月にも良く作っていたから」
淑子は早速準備に取り掛かる。
「じゃあ初めましょうか」
「はい」
二人は張り切って料理を初めた。
ガソリン価格これ以上高くなったら怖いね