「私がミラボレアスって言う龍の一種‥‥‥?」
「そうだ」
父の永輝から発せられた衝撃の言葉に愛は、信じられなさそうに目を動かし、頭を掻いた。
つまり私は‥‥‥人間じゃないって事だよね?。そんなの絶対有り得ない。
「やだなぁ、お父さんったら‥‥。私は陽咲愛でお父さんとお母さんの子供だよ!。もうエイプリルフールはまだなんだからね」
愛は笑いながら冷蔵庫から牛乳を取り飲もうとした。
すぐに母親あたりが「ごめんなさい!からかったのよ!」とか言って笑い飛ばす筈だ。
‥‥‥ところが、10秒経てと30秒経てど両親は硬い表情を一切変えようとしなかった。
その硬い表情の裏に何処か悲壮を宿した目で愛を見つめる。
「‥‥お父さん?。お母さん?‥‥‥どうしたの?」
そこで初めて愛は両親が『真実』を告げているのだと理解した。
自分が『龍』だと言う到底信じられない『真実』を‥‥‥‥。
「嘘だよ‥‥‥私が龍だなんて!。私は人間だよ!」
「愛待って!」
「待つんだ!愛!」
二人の静止を振り切り愛は外へ逃げ出した。
「貴方。こうなったら‥‥‥」
「あぁ。強制的に分からせるしかないようだ」
‥‥‥‥‥‥
「うぅぅ‥‥!」
泣いて目を赤くしながら愛は見慣れた街道を歩いていた。
私は龍なの?‥‥人間じゃないの?。
告げられた『真実』はあまりにも彼女に重すぎた。
頭をトンカチで思いっきり叩かれた気分だ。
今までの自分の人生はなんだったのだろうか。
「‥‥ははは。龍だから人生じゃなくて龍生か」
絞り出すような声で自笑するとパジャマ姿のまま彼女は道路に座り込んだ。
今日はなんだか静かな日だ。いつもならこの道路は通勤通学する車、社会人や学生が行き交うのに今日は全く見ていない。
父の言葉や母の様子も相まって別次元にでも迷い込んだような感覚だ。
「‥‥‥夢なら早く覚めて。私理解がもう追い付けないよ」
「あっれ〜。道端に座り込んでる馬鹿がいるかと思ったら良く見たらお前陽咲じゃん♪」
ゾクリと愛は肩を震わした。
12年も前に味わった嫌悪感が、その声と共に甦る。
「‥‥吉羽君?」
「良く覚えてたじゃん。馬鹿のクセして。流石に人形遊びは辞めたか?」
吉羽光、昔愛を虐めていたが龍雅に止められてからはちょっかいを出す事はしなくなったものの、時折威圧的な眼光を向けられたりしていた。
中学が別になってからは全く会ってなかったが、噂によれば高校進学後、反社会的勢力団体の傘下に入って悪さを繰り返してきたらしい‥‥。
「おいおいってかお前可愛くなりすぎだろ。一発ヤラせろよ」
膨張したズボンの部分に手を当て吉羽は中指で擦り出した。
「俺は寛大だからお前を彼女にしてやってもいいぜ陽咲」
「‥‥‥ハァ?。キッモ」
「何だとコラ?。テメェ今何つったぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「キッモ!って言ったの!今度は聞こえた!?」
「テメェェェェェェェ!。このクソ陰キャのゴミカスのクセしやがってぇ!」
吉羽光の背中から翼脚が生え愛目掛け振り落とすが愛に軽々と避けられた。
同時に周囲が暗黒に塗り潰され暗くなる。
「ちぃとばかり中学デビュー成功してイメチェン出来たからってイキってんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!」
別にデビューした覚えも認識も一切無いんだけど‥‥‥。
ただ龍雅に愛されるように頑張っただけだし。
愛聞こえるか?。今お前の心に直接話し掛けている。
お父さん!?。
気付いたら父とテレパシーで会話していた。
ピンチのようだな。今俺と乃愛でお前の宿す力を全て解放させる。
ほ、本当に!?。
あぁ。
愛。今日は貴女が『龍』として新たな力を使役出来るようになる門井の日よ。いきましょう永輝。
そうだな乃愛。
2人は同時に唱えた。
『覚醒せよミラユニバース』
両親の声を聞いた瞬間、愛の身体は金色の眩い光に包まれていった。
かの金火竜や、閣螳螂、爛輝龍すら叶わぬ程の黄金の煌めきを放ち彼女は