ミラユニバースとして覚醒した陽咲愛は動き出す‥
―――――寂しい朝だ。
目を覚まし朝食を取りながら改めて龍雅は思った。
勾玉適合者以外の人間は消えこの家に残ったのは黒狐竜ミ・ルの勾玉を宿した龍雅と妹の銀羽のみ。
二人しかいなくなったこの家がいつもよりも大きく見える‥‥‥。
「静かだな‥」
「‥‥そうね。お兄様。凄く、凄く‥‥静かでちょっと不気味」
いつもは勝ち気な銀羽も言葉通り、この変わった世界に恐怖を抱いているようだ。
「嫌ねぇ‥もう子供じゃないのに私なんでこんなに怖くて哀しいんだろう?」
銀羽は泣いていた。
彼女は龍雅と同じく全く泣かない‥‥それこそ龍雅の記憶で知り得る限り最後に彼女が泣いたのは小学校低学年の時以来か。
「お前の分も俺が洗っとく。だから今は部屋で体と頭を休めろ」
「自分が食べた皿ぐらい洗えるわよ‥」
「そんな弱々しい姿を見せられてやらせられん」
龍雅は泣く銀羽の頭を撫でた。
すると彼女は「膝枕してくれなきゃいや」と言ったので龍雅は苦笑しながら銀羽の申し出を聞く。
「どうした、こんなことでは
「‥‥意地悪。お願い、今だけは私が幼少期から目標にしてきた龍雅お兄様に甘えさせて」
「昨日のクルペッコの勾玉使いとの戦いの時もこんなシチュエーションがあったな」
「あ、あれは!、お兄様の甘えよ!」
赤面しながらもいつもの調子で言い返す銀羽にまたも苦笑すると銀羽も銀羽で兄に遊ばれてるのが分かりながらも「あら、私意外と強気でいられるのね」と龍雅と顔を見合わせ笑った。
「ありがとう‥少し元気になれたわ。あとやっぱりお兄様の膝は心地良い」
「暫く眠っても構わんぞ。俺としてもお前と言う
「‥‥‥ううん。大丈夫‥‥‥‥‥‥私には愛を注いでくれないのに妹の銀羽ちゃんの事はこんなに大切にするんだぁ―――」
『龍雅』
名を呼ばれた瞬間、銀羽の姿は一瞬で消え右腕の感覚が数秒なくなり、宙に舞った自分の右腕を呆然と見ていた。
「ガァッ‥‥‥!」
程なくし痛覚が戻り龍雅は切断された腕の断面を抑える。
銀羽はソファーに座り痛がる龍雅を見ながら歪んだ笑みを浮かべていた。
「グゥッ!。猫をかぶり見事な不意打ちを仕掛けたと言うわけか!」
苦しみながらも身に宿された勾玉のおかげで右腕は再生した。
「違うよ龍。これは銀羽ちゃんの本音‥‥銀羽ちゃんは本当に心から兄である
見慣れた筈の妹の笑みが違う物に見えた。
「‥おかしいとは思っていた。あの状態の銀羽が狡猾な手段に出る可能性は0に近いし、お前はまるで銀羽を第三者の立場からみたような視点で話し、そして俺を親しく龍と呼ぶ――――」
「愛。お前なのか?」
「ピンポーン♪正解!ヒント出しすぎちゃったね」
「お前も勾玉使いになったか。人の身体を乗っ取る発現能力を手に入れたとは厄介極まりないな‥‥」
「違うよ」
龍我の台詞に笑みを崩さず愛はゆっくり首を振る。
「私は勾玉使いじゃないよ。万象龍ミラユニバース。
「なんだと‥‥。お前がミラボレアスの一種?」
「ふふふ。貴方がそんな絶望した表情を浮かべるなんて‥‥‥彼氏の新しい顔が見れて幸せ♪ねぇ試させて?」
『貴方が私を愛しているかどうか?』