※この作品はR-18です。

壊滅の劫火   作:獄華

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3人はルーツから『プリマ・ツァーリ』ゲームの全貌を聞かされる……。


所有者達の結託

廊下に佇む、龍雅、金皇、銀羽、ルーツ。

龍雅の関心は挑発染みた言葉を吐いた銀羽から虚空から突然現れたルーツに移っていた。

 

 

 

ルーツ……何もない空間から突如として姿を現した女。

人の姿、格好はしてはいるが……。

 

 

 

 

「まぁ先ずは自己紹介からいきましょうか。銀羽からお話があったように私の名前はルーツ。ミラルーツって呼び名もあるけれど貴方達の好きなように呼んで構わないから宜しくね二人共」

 

 

「龍雅だ。宜しく頼む」

 

 

「同じく、金皇だ。こちらこそ宜しくなルーツ」

 

 

軽く頭を下げたルーツを見て、二人も頭を下げる。

これで挨拶はすんだわけだ。

 

 

 

「じゃあゲームの話をしましょうか―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………

 

 

 

 

 

 

 

『プリマ・ツァーリゲーム』

このゲームに参加した者は究極の存在ツァーリ(皇帝)を目指してもらうわ。

自分以外の全てを倒し頂天に立った者に『皇帝』はいい名称でしょう?。

どうやって最強の玉座を目指すかだけど……それはこれから私が配る『召喚の勾玉』と『纏身の勾玉』を用いてあなた達が戦うの、同じ勾玉所有者とね。

この『勾玉』には別の世界の生物、モンスターの力が宿っていて2つの『勾玉』にはどちらも同じモンスターの力が入っているわ。

勝つ条件は相手に負けを認めさせるか、相手のモンスターもろとも『勾玉』を破壊するか、『勾玉』をどちらも奪うか……。

そこは勝者と敗者の折り合いもあるけどある程度自由よ。

見事『皇帝』に輝いた者にはどんな願いでも1つ叶えることが出来るわ。

分かってくれたかしら?。

 

 

 

 

 

………………

 

 

 

「モンスターに加えどんな願いも1つ叶えるとは大きく出たな。如何にもゲーム的だ」

 

 

「モンスターだろうが何でも良いだろう!。そのゲームが本当なら退屈しのぎにはなりそうだ」

 

 

 

全く龍雅の疑ぐり深さは病的ねぇ……金皇のように純粋に楽しめば良いのに。

 

 

銀羽が呆れてると、更に龍雅は納得が行かないことがあるようでルーツに訪ね始めた。

 

 

 

「俺は疑問がある。あの愚妹は命を懸けて戦うと言ってたが殺しても構わないと言うことか?」

 

 

 

「それは個人の自由よ。人は考え方が違うでしょ?それと同じ……勾玉所有者の判断に任せるわ」

 

 

 

「……そうか。生かすも殺すも俺達の自由……か」

 

 

「あら?龍雅ったら殺すことに抵抗感でも覚えちゃったわけぇ?」

 

 

 

「いや……」

 

躊躇してると踏んだ龍雅に銀羽はまた冗談めいて悪態をつくが帰ってきた返事は意外なものだった。

 

「人の生き死を俺の考え1つで選択出来ることに歓喜している。成る程―――」

 

 

 

 

「面白いゲームになりそうだ」

 

 

 

サディスティックな笑みが3人に映る。

 

 

 

 

 

 

「ふふ、やっぱりお前ら双子はそっくりだ。普段は頂天を目指す以外に興味が無いような素振りをしながら残酷な面も覗かせる。俺は嬉しいぞ、お前らの従兄弟でな」

 

二人は口を揃え「ふん……」と言った。

 

 

 

「銀羽、龍雅。あなた達には『黒狐竜ミ・ル』の勾玉を授けるわ」

 

 

 

「こいつと一緒だと?」

 

「こっちの台詞よ。何で龍雅なんかと……」

 

二人とも嫌そうな顔をした。

 

「まぁまぁ喧嘩しないで受け取りなさいな。中々に強いモンスターよ」

 

言うとルーツは二人にそれぞれ2つずつ勾玉を渡した。

 

 

手にしたミ・ルの勾玉は黒いのに白く輝くと言う摩訶不思議な色調をしていた。

まるで結晶のような煌めきだ。

 

 

「金皇貴方には『金獅子ラージャン』の勾玉を渡すわ」

 

「ほう。金色の獅子の勾玉か。俺に相応しい」

 

 

「此方も『猛き狂王』の異名を持つ暴君のようなモンスターよ」

 

 

言いながら金皇には金色の勾玉が渡される。

 

 

「 『召喚の勾玉』は言葉通りモンスターを召喚し、『纏身の勾玉』はそのモンスターの持つ力を自分に纏うことが出来るの。そうね……三人共試しに胸に『纏身の勾玉』を入れてみて。言うより実践した方が早いわ」

 

 

「胸に……?」

 

「翳せばいいのか?」

 

 

聞く黒結兄妹に「そうよ」とルーツは首を縦に振る。

 

 

「では有言実行だ!。おぉ!?」

 

ルーツの言葉通り勾玉を翳した金皇はそのまま身体に勾玉が吸い込まれていった。

それだけではない。有りとあらゆるモンスターの情報が血液のように頭の中に流れて来たのだ。

当然自身が宿したモンスター『金獅子ラージャン』の情報も。

その光景は圧巻だった。

猛き狂王は雪山に佇み堂々と闊歩しながら突如、咆哮をあげ、一匹のモンスターに襲いかかる……『幻獣キリン』他の種と一線を越す古龍種に属するモンスターで一角獣を具現化したような体躯を持つ。

キリンもラージャンに気づき「ヒヒィーン!」と雷を纏い白き鬣を逆立てラージャンに対抗し突進と落雷を繰り出すも、ラージャンは物ともせずそのままキリンの体と美しい蒼角をギュウと掴んだまま片手で押し倒した。

 

 

 

ボキッ……と粉砕される音が鳴る。

 

 

ラージャンの握力は底知れぬものでキリンは角を折られてしまったのだ。

恐ろしい腕力で抑え込まれ何も出来ないキリンを後目にラージャンは角を食す。

 

 

 

「ヴォォォォォォォォッ!」

 

 

 

 

食したと同時に猛き狂王の身体は金色に染まった。

もう用がないと言わんばかりにラージャンは片腕でキリンを放り投げると、またどこかへ歩いて行く……。

 

 

 

 

 

 

これが俺が宿したモンスターの光景……。

 

 

 

「素晴らしい!素晴らしいぞ!。確かに怪物(モンスター)だ!だがこいつに俺は心酔した!」

 

 

 

「どうしたんだ金皇?」

 

 

「頭でもイカれた?」

 

 

 

「まるで俺が変人みたいに辛礎な目を向けるな。お前らも宿して見れば分かる」

 

「宿すねぇ……」

 

 

「この愚妹と一緒なのは少し癪だが戦うと決めた以上やるしかあるまい」

 

 

「だからこっちの台詞だってば馬鹿兄貴。……ったくもう」

 

 

文句を言い合いながら二人も勾玉を翳し吸収させた。

金皇と同様様々なモンスターの情報が流れて来た後、二人が宿したミ・ルの光景が最後に映る。

しかし同じモンスターでも二人が見た光景は全く異なるものだった。

 

 

龍雅は顔と前脚の両方が筋骨隆々となり真っ赤に染まり咆哮する姿を。

 

 

銀羽は前腕に結晶を生やし、結晶を纏った竜巻を複数発生させる姿を。

 

 

ただ同じなのはどちらのミ・ルもモンスター相手に戦ってるのではなく人間相手に戦っていた。

 

 

 

「「これがミ・ル……」」

 

 

 

意図せずともその声は重なっていた。

ミ・ルなるモンスターの存在には勿論驚いたがモンスターと戦う人間がいることに更に驚いた。

 

「お前らも見たか!自分が宿したモンスターの勇姿を!」

 

 

「あぁ」

 

 

「まぁね」

 

 

金皇ほどハイにはなれないがあれを見れば騒ぎたくなるのも無理はない。

とにかくモンスターのことは分かった。

纏身した適合者が身に付ける『発現能力』のことも。

この能力のことを言わずにいたルーツのことを龍雅と銀羽は睨む。

 

「おいルーツ。いやこう呼ぶべきか。『祖龍ミラルーツ』」

 

「何故発現能力について黙ってたの?」

 

 

「人間って自分で学び色んな術を身に付けてく生物でしょう?。教えたらつまらないかなぁって思って」

 

 

官能的な仕草で指に手を当てながら、ウフフと笑う。

「ふざけているのか?」

 

「さぁ、どうかしらね」

 

 

バサァ、と白き翼が彼女を包む。

グングンと彼女は羽ばたかせながら上昇していく。

「他の勾玉所有者も皇帝の玉座を目指し動き始めてるわ。勾玉所有者は所有者同士一度出会えばその場所を察知出来る」

 

「ちょっと天井に……!」

 

 

銀羽が声を挙げたが三人は我が目を疑った。

なんとルーツはそのまま天井をすり抜けて行ってしまったのだ。

彼女が消えた後に姿なき声だけが響いた。

 

 

 

発現能力は勾玉所有者によって様々よ。

勾玉を宿した段階では概ね1つだけだけど、戦い自分を磨いて行けば2つ目、3つ目と覚醒させて行くのも不可能ではないわ。

これで勾玉に関する説明は終わり……後は目指すのね。『皇帝(ツァーリ)』の玉座を……また会いましょう我が子供達を宿した戦士達よ。

 

 

 

「完全に存在が消えたな」

 

 

「えぇ、さっきまでは見えなくてもそこにあの子が居ると感じ取れたのに今度は察知出来ないわ」

 

 

「ふっ、だが面白い。モンスターである祖龍が人間に化け俺達を競わせようとするとは……」

……だが今すぐこの面子で戦うのはちと愚策か。

俺のラージャンがこいつらのミ・ルに今の強さで勝てるかどうか……ミ・ルは分類不明の不思議なモンスター。

挑みいきなり負けるなんて笑えん話だ。 

それに龍雅と銀羽には仕掛ける様子も見れんしな。

暫く二人がどう動く見るか。

 

 

 

「今すぐことをおっ始めてもいいけど他の所有者の所在も全然不明な上に懐柔出来そうな奴がいるかも知れないことを考えれば、今荒波を立てるのはとてもいい判断とは思えないわね」

 

 

「同感だ。銀羽、金皇。戦っても無いのに休戦協定なんてのも甚だおかしな話だが暫く俺達同士で争うのはやめよう。まだ所有者の全貌も掴めてないんだ。ミ・ルの能力だってまだ頭に刻んだだけに過ぎない。実際に動かしたわけではないからな」

 

 

やはり、今すぐ戦う意思はなかったか。

 

 

 

「あぁ。乗ったよお前らの考えに。龍雅。休戦協定なんかじゃなく共同戦線でも俺は全然構わんぞ」

 

 

「えー、そんなのごめんよ。あんたらに合わせてたら狩りたい獲物も狩れなくなるもの」

 

「休戦協定だろうが共同戦線だろうがこの3人が暫く争そわなければ俺はどっちでもいい。敵に関する情報も共有出来ればもっと幸いだ。敵によっては金皇、お前の言う通り協力することはあるかもしれんな」

 

「流石、我が従兄弟。そうでなくては。何れは決着をつけねばならんのが非常に残念だがその日が来るまでは協力しよう」

 

「あぁ」

 

 

龍雅と金皇は拳を合わせた。

 

 

「銀羽お前も……」

 

 

「嫌よ。汗くさい。情熱燃やしたかったらあんたら二人で勝手にやってなさいな。休戦協定と情報共有だけは守ってあげるから」

 

金皇の誘いを無視し、銀羽は部屋に向かった。

 

 

「相変わらずだがあいつは約束は守る奴だ。信用していいだろう」

 

「ならば安心した。最後にお前と戦えるのを楽しみにしている」

 

 

「俺もだ金皇」

 

 

 

「では久々に来た従兄弟と遊んでもらおうか」

 

 

 

「勉強やジョギング。岩登り等色々あるが付いてこれるか?」

 

「俺を誰だと思っている。望むところだ」

 

 

二人は笑い合いながら廊下を歩いて行く。

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