※この作品はR-18です。

壊滅の劫火   作:獄華

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死の狭間

 

 

「只今より馳躍彩人の死刑を執行する」

 

 

……見るも息苦しくなる密閉された一室に刑務官に両脇を支えられながら一人の男が連行されていた。

 

 

死刑囚、馳躍彩人(はせおどりはやと)24歳。

この男はあと僅かでこの世から姿を消す。

何故この男が死刑を受ける運命になったか……。

彩人は18歳の時に深夜眠りについた同級生宅に放火、深い眠りについた同級生一家が火事に気付くすべなく同級生の妹を残し同級生一家は皆焼けしんだ。

更に驚くべくことに彩人はその様子を配信サイトを使いネット上に垂れ流すと言う奇業を行った。

現在は検閲され見れなくなったが動画には彩人の「おぉ、すげぇ!」、「同級生宅燃えててクソ笑えるわ」等と興奮し嬉しがる様子が見られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「綺麗なグラデーションだねー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狂気の犯行と配信から半日もせず彩人は捕まった。

この事件は世間を騒がせ当初、未成年だから彼に死刑の判決は出ないと思われていたが

 

 

「俺は未成年だから死刑にならねぇ!。残念だったな検事のおっさんども!そして俺に死んで欲しい親族共!誰がテメェラの思い通りになるか!バーカ!」

 

裁判での罵詈罵声。

 

 

「あなたは何故、同級生宅に火を放ったのですか?」

 

 

「暇潰しっす~。あと火事の様子を生配信すりゃあそれなりに視聴者が稼げると思ったからかな」

 

 

検事の質問に笑いながら答えたのだ。

他にも裁判の取材に訪れた新聞記者やマスコミのカメラにピースサインをしたりと、度を越えた挑発行為を幾度となく行った。

結果極めて悪質な行為をしたにも関わらず一切反省の色がないと見なされ…………。

 

 

 

 

 

「被告、馳躍彩人を死刑とする」

 

 

 

 

彼に死刑判決が下ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふざけんな!。俺は未成年なんだぞ!何で死刑になるんだ!……ふざけんなぁぁぁぁぁぁ!」

 

喚き散らしながら、机を蹴飛ばしたところを取り押さえられ彩人は退場した。

この日から死に怯え暮らすことが確定したのである。

 

 

 

 

そして、今―――

 

 

 

 

目隠しをされ首に太い紐を巻かれ彩人は『その瞬間』を待っていた。

 

 

 

 

「何か言い残すことは……?」

 

 

 

「特にねぇよ。さっさとやりやがれクソッタレのイヌどもが」

 

 

我々が法に基づき動いているから最後の悪態か、と聞いた刑務官は思った。

ただそれにしては少し変だ。

死刑を前にここまで落ち着いた死刑囚を中々見たことがない。

まるで何か隠し玉でも持ってるかと勘繰ってしまうが彩人の体は隅々まで検査してあるのでそれは有り得ない話だ。

 

 

 

 

「執行準備完了!」

 

 

 

彩人に装具を着けた刑務官が執行室の外で待機してる刑務官に届く声で言った。

その言葉を皮切りに執行室には彩人を残し次々と刑務官達が出ていく。

 

「ハハハッ」

 

 

「うん?」

 

 

「奴め……まさか笑ってるのか?」

 

 

「構うな。死を前に精神錯乱でも起こしたのだろう。こちらはこちらの仕事をすればいい」

 

 

彩人の笑みに戸惑った刑務官2人に年長の刑務官が声を掛けて退出を促した。

扉が閉められ彩人一人となる。

執行室のすぐ横の壁には3つの赤いボタンがありボタンと同じく3人の刑務官が待機していた。

「あとは頼む」と年長の刑務官が3人に言い、3人はそれぞれ「はい」と返事すると……赤いボタンが押された。

ガタンと床が開き、彩人の身体はそのまま吊るされた。

 

 

 

「完全に息耐えるまで3分は要するから吊るしておけ、万が一生きてたら困るからな」

 

 

 

年長の刑務官の発言に5人の刑務官が吊るされた彩人の様子を見守った。

 

 

 

 

 

「クククク……!」

 

 

 

 

 

……

…………

………………

……………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「りーお君」

 

朗らかで優しい声が、少年を引き留める。

 

「玲里ちゃん」

 

呼応するように少年も彼女の名を呼ぶ。

玲里は黄色のカジュアルな服を着て半ズボンのところまで覆ったその姿は何とも理雄の肉感的な感情を燻った。

対する理雄は、黒一色で統一されたジャケットとズボンを身に付けていた。

 

「心配だ……君に変な虫が寄らないか」

 

「私の服装そんな際どいかなぁ?。桜花お姉ちゃんに比べれば全然マシだと思うけど」

 

 

「確かにそうだけど」

 

顔を見合せ二人は苦笑する。

玲里の言う通り彼女の『二人目』の姉は少々やんちゃな面があり玲里が可愛く見えるほどの化粧や服装をしている。

それに比べれば雲泥の差だ。

「ねぇ、あの子達今日も喜ぶといいね」

 

 

言いながら玲里は理雄に肩を預け腕を組む。

「そうだね」

 

 

期待を込めながら二人はある場所を目指し歩いていった。

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