※この作品はR-18です。

ちょっとした思いつき(R指定)   作:歩輪気

18 / 18
パラレルワールドのお話です。

キャラ崩壊、キャラ改変、オリジナル設定あります。長いです。

エロは中盤です。

今回は色々と無理やりです。ごめんなさい。


ちょっとした思いつき(R指定)その18

 ──────────────────────

 

 ここはどこかの世界にある場所。そこでは、なんやかんやあって怪獣や宇宙人が少女の姿へと変貌した『怪獣娘』達が楽しく暮らしていた。

 

「ふふーんふーふーんふーふーん♪」

 

 そんな場所のある街中。丁度お日様が頭のてっぺん辺りに登ったお昼頃、ポカポカとした暖かさが寒さを忘れさせてくれるお散歩日和の道中を、暗殺宇宙人こと怪獣娘ナックル星人はルンルンな気分で鼻歌を歌い、コートのフサフサを揺らしながらスキップしていた。手には相棒のブラックキングから貰ったお揃いの財布を持っている。

 

「今日はブラックと……へへ」

 

 ナックルは惚気ける少女の笑顔をこぼした。今日の彼女はブラックと一緒に買い物をする約束をしている。ただいつもみたいに普通にあってはつまらないと感じた彼女は、ブラックにちょっとしたドッキリを仕掛けてやろうと考えているのだ。

 きっとブラックのことだからドッキリを本気にして何かしら心配してくれるかもしれない、それはそれでかっこいいブラックを見れるし、お姫様抱っこもしてくれるかもしれないから良し、と彼女は思った。

 

「あっ!」

 

 そうこうしているうちに、彼女の目にとある店の入口で立っているブラックキングが映った。なんという偶然、待ち合わせ場所とは違うが、この際やってしまってもいいだろう。

 

「おーい!ブラッ……」

 

 相変わらず髪型がなんともかっこいい、そう思いながらナックルは声をかけようとした。が、彼女はすぐさまそれをやめ、急いで電柱の影に隠れた。

 

「……あれって」

 

 ナックルは電柱からひょこっと顔を出して、店前のブラックを凝視した。よく見ると、ブラックは見知らぬ男と会話をしていた。服装からして、あの店の店員ということは分かった。

 

「何を話しているの?」

 

 二人の会話が気になり、ナックルはそっと聞き耳を立てた。

 

 

 

『ああ…………好きなんだ…………君が…………ありがとう……』

『いや、こっちこそ』

 

 

 

「……ぶら……く?」

 

 そしてナックルは聞いてしまった。今、確かにブラックはあの男に向かって『好き』といった。しかも男はそれに対してハッキリと自分もそうだと答えた。これがどういうことなのか……ナックルは放心としながらも理解した。

 

「そんな……どういう……」

 

 ナックルは目の前の光景に頭を錯乱させた。あのカッコイイブラックが他の人と……しかも男に対して告白していた。いくら怪獣娘で女の子になったからと言って、自分という相棒がいる彼女が告白するなんておかしなことだ。

 いや、別におかしくはないしそういうことではないのだが、まさかブラックがこんなにも乙女だったなんて。

 しかしナックルは思い返す。よく考えると、この前からやけにブラックの態度が冷たくなったような気がしていたからだ。おまけに最近はブラック1人でこそこそと何か隠し事をしているようにも。もしやそれもあの男が……。

 

「(いや、わ、私の勘違いよ。だってブラックに限ってそんな……)」

 

 そんなわけがないと、ナックルは心の中で復唱した。彼女は私の相棒であり、クリスマスケーキに目を輝かせながら私と過ごしたいと言ってくれた相棒だ、それにこの前なんてお揃いのTシャツも買った。あの子が私に愛想をつかしてポイっと捨てるようなことなんてしない、と、ナックルは何度も繰り返した。

 

 しかし

 

 

 

『あ』

 

 

 

 チュッ……

 

 

 

 ナックルはその目で見た。ブラックが今、奴の頬にキスをしたところを、男が恥ずかしそうにしているところを。ついでにブラックも恥ずかしそうにしているところを。

 偶然だとしたらどんなラブコメだ、漫画の序盤でパンを咥えた少女とぶつかった主人公が相手の股間に顔を埋めるぐらい不自然すぎる、そんな言葉がナックルの頭に浮かんだ。

 

『す、すまない』

『い、いや、大丈夫……い、行ってらっしゃい』

 

 2人はお互いに恥ずかしそうに顔を逸らし、そのままブラックは立ち去っていった。

 

「そんな…………ブラック…………うぅ……」

 

 決定的な瞬間を見てしまった以上、二人の関係を否定することはできない。そう思ったナックルは目から涙を流しながら、離れていくブラックの背中を曇った瞳でいつまでも見つめていた。

 彼女の心の中に、まるで墨汁のようなドス黒い悲しみが渦巻いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────

 

「……で、それで泣いて逃げてきたということか」

「ヒックッ……暗殺の女王と恐れられた私もこのザマよ」

「そんな呼び方されていたか?」

 

 その日の夜、失恋同然の経験をしたナックルは逃げるように街中を走り、いつの間にか知り合いの怪獣娘である女騎士ことエレキングとともに、スナック『marimo』で焼け酒(ほとんど水割)を飲んでいた。ここは怪獣娘マリキュラが営むスナックであり、日常生活に疲れた者たちがマリキュラの胸と癒しを求めて、レトロ色な灯りのもとへ集まるのだ。今日も今日とて、店内にはナックルとそっくりな名前のアーティストの曲が流れており、マリモのオブジェとともに店内の雰囲気をより一層、醸し出していた。

 ちなみにここのオススメは、マリキュラ特性ミックスジュースである。お酒ではないが、まるで血液のように深紅の色をしており、飲んだものを別の意味で酔わせてしまうのだ。

 また店の壁には、彼女がとある軍団に加入した際に貰った記念のTシャツが額縁で飾られている。何ともセンスがない服だとよく言われているらしいが、本人は気に入っているようだ。

 

「ヒックッ……別に付き合ってるわけじゃないけどさぁ、こんな体になってからずーっと一緒だったわけよぉ……それなのにさぁ……2人で色々してきたのに、クリスマスだって一緒にケーキ買いに行って祝ったのに、オソロのTシャツ姿で歩いたのに、知らない男に惚れて……所詮、ブラックにとって私は友怪獣でしかなかったのよ。全部、私の一方的だったってこと」

「すぐ疑うのはどうかと思うが……」

「好きって告白してチューしたのに?疑わない方が無理よ……んっ、ぐはぁ……ヒクッ」

 

 酔ったナックルはグラスを持ち上げ、中の酒をグイッと胃袋へ流し込む。アルコールが喉に焼けるような感触を与えるが、彼女にとって心の傷に比べればどうってことは無い。

 

「随分と荒んでますねぇ」

「巻きこまれたこっちの身にもなって欲しい」

 

 空になったテキーラのボトルを持ったマリキュラはバーのママのように笑い、エレキングはクールな表情で心の中でため息を吐いた。湖でいきなり遭遇したかと思えば、そのまま釣り竿で引っ張りだされて泣きつかれてここまで連れてこられたのだから、エレキングからすればはた迷惑なことなのだ。

 

「なあエレキングさんよぉ、気になる相棒に恋人が出来たなんて知ったら、あんたどうすんのよ」

「ワタシに相棒などいないが……恋愛に関しては相手の自由だから、そこはキッパリと諦めるだろう」

「けっ、さすがは女騎士……くっ殺言ってりゃあ大体の奴は食いつくもんねぇ、取っかえ引っ変えだわ」

「何が女騎士だ……て、君はそんなキャラだったか?」

 

 エレキングは焼け酒でキャラが変わってしまったナックルの言葉に首を傾げる。

 暗殺宇宙人と呼ばれ恐れられていたナックル星人、そんな彼女は今、心にぽっかりと空いた穴を酒で埋めようとする哀れな怪獣娘へと変わっていた。

 

「こうなったらここらで侵略やって全員地獄へ……」

「いくらなんでも飲みすぎです。ほらお水」

「んぐっ」

 

 マリキュラはマリモ柄のグラスの縁をナックルの口に当てて、やや強引に中の水を飲ませた。

 スナックを経営するマリキュラにとって、今日のナックルのような客は早々珍しいものではない、嫌でも扱いになれてしまうのだ。客を癒し、時にはアメを与え、時には鞭でしばくのも彼女の仕事だ。

 

「うえーん、どうして私じゃだめなのよー、ブラックー」

「あまり体を密着させないで欲しい」

 

 ナックルはエレキングの体に泣きつき、彼女の自分のよりも一際大きい膨らみに顔を埋める。ブラックのものとはまた違う柔らかい感触だ。

 

「ナックルさんは本当にブラックさんのことが好きなのね」

「それはもう、ブラックはかっこいいし、綺麗だし、でもちょっとやんちゃだし、ずっと一緒にいたもん…………ブラックー、私じゃ貴方のハートを射抜くことは出来ないのー……」

 

 ナックルはエレキングの胸の中で泣きわめく。ナックルの反応からしても、彼女がブラックキングに対して特別な感情を持っているのは明白だ。

 

「エレキングー、何かあった時は私の相棒になってよー」

「断る、ワタシは忙しいんだ。バリケーンにでも頼んでくれ」

「あの子の天然さはブラックとは方向性が違うのよー」

 

 ナックルにはバリケーンというクラゲみたいな容姿をした怪獣娘仲間がいるのだが、ブラックキングのような女戦士的な雰囲気とはかけ離れており、どちらかと云えばもの知らずなお嬢さん的な、ガチ者の天然っぽい性格をしているのだ。知り合いとしてなら付き合えるが、相棒として付き合っていくには辛いものがある。

 

「マリキュラ!ウイスキー!水割り!」

「はいはい」

 

 ナックルは泣きながらウイスキーを頼み、マリキュラは後ろの棚から1瓶を手に取る。

 

「諦めろ、そういうのは他人がどうこうできるものではない」

「そんなー」

 

 そんなこと言わないでと言わんばかりにナックルはエレキングに擦り寄る。

 

「そういえば、この前常連のお客さんが言ってたんですけどね」

 

 ナックルが泣きわめく中、ふと、グラスに酒を注いでいたマリキュラは思い出したかのように呟いた。

 何でも、この店の常連客にはナックルと同じように相棒の怪獣娘がいるらしいのだが、その客が以前、ひょんな事から相棒が人間の男に取られてしまったということを泣きながら話していたのだ。ただでさえ人間が嫌いな彼女にとっては、相棒がその人間に取られたのは屈辱的だったに違いない。

 

「それでね、そのお客さん言ってたのよ。人間の世界には『NTR』っていう相手の恋人を奪うことができる儀式があるって。それをやってみようって言ってました」

「NTR……NTRってあれか?」

 

 NTR……それは説明しなくても大体の者は分かるであろう、あの成人向け漫画やアダルトビデオでよく見かけるジャンルのことである。

 ラブラブな夫婦の間に入り込んでビデオを送り付けたり、大好きな弟を他の女なんかに渡さないという理由で性行為に及んだり、自慰行為を録画されて彼氏に見せつけると脅されたり、夫の仕事のミスの責任を取らされたりなど、普通に考えてもそうはならないだろうという首を傾げる展開を極めたエロスが繰り広げられるあのNTRを、その怪獣娘は実行したというのだ。

 実際はかなり間違った知識のままやったようだが。

 

「それで、結局その怪獣娘はどうなったんだ?」

「さぁ。でもこの前見かけた時は2人仲良さそうに歩いてたから、なんのかんの行って上手くいったんじゃないかなー。はい水割り」

 

 マリキュラはウイスキー(殆ど水)が入ったグラスを2人に差し出す。

 

「……だそうだ、どうする?」

「うーん、NTRかー……」

 

 ナックルはグラグラとする脳内を回転させて考える。ナックル自身はそういったことには初心なのだが、NTRがフィクションの言葉なのは分かっていた。しかし人間でさえフィクションとしてやっていることを実行しても良いものだろうか、流石にそれは阿呆なのではないかと考えた。

 かと言って、本当のことをブラック本人に聞くのは、下手をすれば友情に亀裂が走るかもしれない。といってこのまま何もしないなんてことなできない。

 

「えーいもう!さっきからウジウジしててイライラするのだー!ナックル!お前も宇宙人なら覚悟を決めるのだー!極悪なことをやってしまうのだー!」

 

 突然ナックルの隣に座っていたとある怪獣娘……極悪大好きテンペラー星人が机を殴るように叩き、大声を上げた。どうやらナックル達の話を聞いていたらしく、その内容に苦言を呈したいようだ。

 

「や、やるって……」

「決まってるのだ!極悪極まりないNTRをやっちまうのだ!本来の意味なんか置いといて、さっさとその男を手懐けて投げ捨てるのだ!そんでもってとっとと傷ついたブラックをナックル無しじゃ生きられない体に調教してしまうのだ!」

「お前、それは流石に……」

「猿は黙っとれ!」

「ちょ、調教って、な、何言って……私無しじゃ生きられない体に……」

 

 テンペラーの言葉にナックルはぽわぽわと脳内で妄想する。

 

 

 

 

 

 

『ナックル……君から離れようとしてすまなかった。やはり私には君しかいない……もうナックル無しでは生きていけないんだ』

『ブラック……』

『ナックル……私とずっと一緒にいてくれ』

『……うん』

 

 

 

 

 

 

「へ、へへ、へへへ」

「……とんでるな」

「まあ、ナックルさんからすればかなり変化球なやり方ですよねー。ナックルだけに」

「それが言いたかっただけだろ」

 

 妄想で顔から湯気を出してにへら笑うナックルの体を支えながら、エレキングは寒い言葉を吐いたマリキュラを冷めたジト目で見つめた。

 

 ────♪♪……

 

「あら、曲が終わっちゃった」

「マリキュラー!もう海外の曲は飽きたのだー!あれを流して欲しいのだー!」

「はいはい、いつものですねー」

 

 酔ってハイになったテンペラーの要求通り、マリキュラはレコードプレーヤーから円盤を外し、別の円盤を設置してレコード針を降ろす。すると店内に流れる曲が切り替わり、今度は一昔前に流行った曲が流れ始めた。

 

「ぷはぁー……やっぱり私の方の青い鳥は素敵な歌なのだ。色々やり合ったあの時代を思い出すのだー、あーごくあくごくあく……かぁぁ……zzz」

「あらあら、酔いつぶれちゃって」

「すまんねママ、いつもこんな感じで」

「いいんですよ」

 

 いびきをかきながら深い眠りに落ちたテンペラー星人に、マリキュラは微笑みながら彼女の体に毛布を被せた。

 

「へへへ、ブラック……」

 

 その横で顔を真っ赤にしながら興奮するナックルは頭がクラクラする中、とりあえずウイスキーを豪快に飲んだ。

 

 

 

「いいなぁ、恋に迷信する乙女って」

「あら、バルタンさんも十分いけると思いますよ?」

「教師はね、色んなことをやらないといけないから、そういうことに時間を割いてられないんだ。マリキュラママに会うことぐらいしか今のところ心の休息はないよ」

 

 カウンター席の端で一部始終を見ていた怪獣娘パワードバルタン星人は、恋に悩むナックルを羨ましそうに見つめながらジョッキに注がれたビールを揺らした。彼女もまた色々と悩みを抱えているようだ。

 

「ねえバルタンせんせー、私って教師に向いてないのかしら」

 

 そんなバルタンの心の内を知らない教師仲間兼飲み仲間の怪獣娘ヒッポリト星人は、彼女の肩に頭を擦り付ける。ほんのりと酔っ払った彼女の頬は、林檎よりも薄い赤色に染まっている。

 

「何を言っているんだ、ヒッポリト先生は十分教師としての仕事を真っ当してるよ」

「でも、エースキラーったらまた勝手に人の能力取ったのよ?盗みは犯罪だからダメって言ってるのに……全然聞いてくれないのよ」

 

 ヒッポリト曰く、担任を務めるクラスに所属する怪獣娘エースキラーが、学校内で他生徒から力を盗む癖を辞めようとしないという。それ自体は彼女の能力であり、実際に盗んだとしても全くと言っていいほど使えていないので、今のところ問題は起きていないのだが、僅かに苦情も来ている上に、流石に幼稚な面を持つ彼女にこれ以上悪い手癖を付けさせるけにはいかないと、ヒッポリトは教師として指導しているのだ。

 しかし、当のエースキラーはその説教を全く聞いていないようで、今日もヒッポリトの目の前で堂々と盗みを働いたらしい。

 

「お母さまにお話しても『ごめんなさいねー、あの子ったら昔から誰かの物をすぐ欲しがっちゃってー、甘やかしすぎたかしらー』て他人事みたいに笑って誤魔化されたわ。ベロクロンもバキシムもいつもの事だからって笑って受け流すし……放任主義ってあんな感じなのかしら」

「まあまあ、あの子もまだまだ子どもみたいなものだ。これから成長して少しずつ理解していくだろう。それに、あの能力はエースキラーの強みでもあるんだから、ワタシはそんな無理に辞めさせる必要はないと思うよ」

「そうよね、あの子も成長すれば分かるわよね……でもこのまま何かしなかったら苦情を入れた子たちにも申し訳ないし……うーん」

 

 ヒッポリトはエースキラーの個性を理解しつつも、このまま放っておくのはそれはそれで解決にはならないと考えた。

 

「頭の良さを買われて学園の教師になったはいいものの、生徒指導はまるっきり素人……宇宙最強の名が泣いてるわ」

 

 優れた頭脳と身体能力、そして多彩な技を持つ自称宇宙最強のヒッポリト星人。少々ナルシストながらその優秀さを買われて学園の教師として就職した彼女も、触れたことのない未知の職業においてはヒヨコも同然だった。

 

「私には侵略がお似合いってことかしら……」

「ほら、そんな弱きにならないで。今日はもう解決案は思いつかないだろうから、今は飲んでスッキリして、また明日考えればいいよ」

 

 落ち込むヒッポリトに、パワードバルタンは軽く笑みを浮かべながら彼女にビールジョッキを差し出す。ヒッポリトはジョッキの中の白い泡を数秒間見つめた後、右手を伸ばしてジョッキの手持ちを掴む。

 

「乾杯」

「……ええ、乾杯」

 

 2人はジョッキを軽くぶつけてカチンっと鳴らすと、ビールを胃袋に流し込んだ。

 

「ふむ、あっちも楽しそうだ」

 

 そんな2人を、ナックルに寄っかかれたままの状態のエレキングは物珍しそうに見つめた。大人の女性同士の飲み合いというのは、何処か色っぽいものを出すものなのだ。

 

 

 

「ふふ、ここが大人のお店……大人のお店ってなに?」

「わかんないのに来たの……」

「ごめんなさいねー、未成年の怪獣娘さんはお断りなんですよー」

「わ、私たちは大人よ!」

「ほんとに?じゃあこれが読めたらいいですよ、読める?」

「え……えーっと……えんたに」

「えんやだ、えんや!前も間違えたでしょ!」

「ぶぶー!どっちも不正解」

「「え?」」

 

 こうしてスナックmarimoの大人な時間は過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────

 

「……クル」

 

「ん」

 

 

 

「……ックル」

 

「んー」

 

 

 

「ナックル?」

「はっ、あ、あれ、ブラック?」

 

 自分を呼ぶ女性の声にナックルは目を覚ますと、心配するブラックキングの顔が映った。

 

「な、何でブラックが?」

「覚えてないのか?マリキュラから連絡があってな、ナックルが酔いつぶれたから迎えに来て欲しいと言われたんだ」

「え、酔いつ……」

 

 ナックルはぼやけながらも、辺りに目をやる。どうやらここは、ブラックが生活している賃貸の一室のようだ。どうやらナックルはあの後泥酔してしまったようで、仕方なくマリキュラがブラックキングに連絡を入れたようだ。

 

「あれ」

 

 ふと、ナックルは後頭部の柔らかい感触に気がつく。この太ももの柔らかさ、いつも耳かきの時に感じるあの柔らかさと同じもの……今ナックルは、ブラックから膝枕をされているのだ。

 

「ぶ、ブラック?」

「ん?どうした?」

「あ、その……起きていい?」

「ああ」

 

 ナックルは何とも言えない恥ずかしさで顔をほんのり赤くしながらゆっくり起き上がり、ブラックに背を向ける形で座る。

 

「全く、約束の時間になっても来ない上に夜になっても連絡がないから心配したんだぞ」

「ご、ごめん、色々あってつい飲んじゃって……あ、あの……ここまでどうやって運んだの?」

「ん?普通に抱きかかえたが?」

「どんな感じに?」

「両手で」

 

 ブラックは両手で抱えるようなポーズをとる。つまりナックルはブラックからお姫様抱っこでここまで運ばれたということだ。王子様と姫様の図のように自分を担ぐブラックを想像したナックルは、あまりのカッコ良さに今度は顔から火を吹いた。

 

「どうしたナックル、顔が赤いぞ。熱でもあるのか?」

「あ、いや……あ」

 

 そんなナックルの気持ちなど知らず、心配したブラックは彼女のおでこに手を当てた。

 

「うーん、かなり熱いな……大丈夫か?」

「だ、だだ、大丈夫……お酒飲み過ぎたせいだから」

 

 不安そうに見つめてくるブラックの表情をナックルは直視することが出来ず、顔を逸らした。こんな間近で見られては、酔いもすぐに覚めてしまう。

 

「お粥でも作ろう」

「い、いいわよ。このくらい平気……ほ、ほっといて」

「何を言っているんだ、大切な相棒を放っておけるわけないだろう」

「ブラック……」

 

 大切な相棒を放っておけおけるわけがない、イケボ(脳内処理で5割増)なブラックの言葉がナックルの頭で何度もリピートされる。この前まであれほど冷たいと思っていた相棒の態度が一変したような気がした。いや、もともとそれは自分の思い込みだったのかもしれない、ブラックだって1人で何かやりたい時があるんだもの、とナックルは心で呟く。

 

「(……私ってチョロい)」

 

 そして改めて自分のチョロさを思い知らされたのであった。

 

「シャビシャビがいい?少し硬い方がいい?」

「しゃ、シャビシャビ……」

「よし」

 

 ブラックは微笑むと立ち上がり、そのまま台所へとトコトコ歩いていく。

 

「(そうよね、これは私の勝手な思い込みだったのよ。あの時の話もきっと私の聞き間違いだし、キスだってうっかりよ。うん、絶対そう)」

「卵は入れるか?」

「……うん、崩したやつ」

 

 今はブラックがお粥を作ってくれている上に、ほんの少しだけ甘えさせて貰っているので、これ以上考えるのはやめようとナックルは思った。全ては自分の勝手な妄想だ、こんなことさっさとわすれて今日はこのままブラックの部屋でお粥を貰って一緒の布団で眠って……

 

「ん?」

 

 なんてことを考えていると、ナックルの目にとある一枚の写真が写った。カバンから少しはみ出ているそれには、ブラックともう1人知らない人物が写っていた。

 ナックルは恐る恐る手を伸ばし、はみ出たそれを手に取る。

 

「……これ」

 

 写真に映るものにナックルは言葉を失う。

 

 そこには、自分の行ったことのない場所で、例の男と仲良く並んでピースをするブラックキングが写っていた。まるで付き合っているようにブラックと男は体を近くに寄せ、ブラックはブラックでぎこちないが素敵な笑顔を見せていた。

 

「ねえ、ブラック……この写真……」

「え?……あ、それは」

 

 ナックルは振り向いたブラックに写真を見せる。するとブラックは何か不味いものでも見られたかのように声を漏らした。

 

「ねえ……どういうこと?これ、なに?」

「ああ、それはな……その」

 

 瞳を濁らせたナックルの問いかけに、ブラックはどこかモジモジしたように指をいじる。その顔は何処か恥ずかしそうで、普段のブラックからは想像もできない乙女さを出していた。

 

「……やっぱり」

 

 ナックルは心の中で確信する。この2人がどういう関係なのか、どうして最近冷たかったのか、今のブラックの態度からして、その答えをは明白であった。そしてあの時の光景はやはり勘違いではなく……。

 

「……うぅ」

「な、ナックル?」

 

 ナックルは俯き唸るような声を上げる。

 

「ブラックのバカー!」

「へ?」

 

 そして顔を上げたかと思いきや、ナックルは子どもが泣きわめくように叫ぶ。突然のことにブラックは目を点にする。

 

「ナックル?どうした?」

「浮気者ー!1週間電話かけてくんなー!3日間うち来んなー!バカー!」

「あ、ナックル!」

 

 止めようとするブラックの手を振り払い、ナックルは叫びながら部屋を飛び出す。

 

「(やってやる……あの男をブラックから取ってやる!とってブラックを、わた……私なし……うあぁぁぁぁ!)」

 

 とうとうあれをやる決心をしたナックルは心の中で叫びながら、街灯に照らされた夜のコンクリート道路を走り抜ける。

 

「……ナックルに嫌われた」

 

 その頃、ナックルから拒絶されたブラックはしょんぼりと肩を降ろしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────

 

「というわけで実行したけど……」

「…………」

 

 数日後、真っ暗な室内にて、ナックルは頭を抱えていた。目の前には、あのブラックとキスをした男が床に座る形で縛り付けられている。そう、ナックルはNTRを実行しようと、例の男を自分の部屋に拉致してしまったのだ。

 

「いや、待って。やっぱりおかしい。こんなこと絶対おかしい……でもここまで来たんだから」

 

 やるしかない、そう自分に言い聞かせた。ここまでやって引き下がるようなことは、悪のカリスマとしてのプライドが許さない。

 

「んー……あれ、なんでここに……え、これは?」

 

 ようやく男は目を覚ますと、辺りの光景に呆然とする。知らない部屋で手足を手錠のようなもので固定されている上に、目の前には見知らぬ娘が立っていた。こんなの混乱しない方が無理なのだ。

 

「目が覚めたか」

「……あなた、誰ですか?」

「……お前に相棒を盗られた宇宙人だ」

「はい?」

 

 突然のナックルの言葉に、男は思わず声を漏らす。いつの間にか気絶して、目が覚めたら見知らぬ怪獣娘が目の前にいる上に訳の分からないことを言われたのだから、当然の反応だろう。

 

「あの、相棒って?」

「とぼけて……ブラックのハートを盗ったくせに」

「ブラック……あ、もしかしてブラックキングさんのおとむぐっ!?」

 

 彼が何か言いかけたところで、ナックルは彼の口に怪しいマスクを装着させる。これは、知り合いの花粉症な怪獣娘からオススメされたマスクを少し改造したナックル特性のマスクであり、付けたら話すことが出来なくなるという猿轡のような代物だ。

 

「うるさい、それ以上話すな」

「ん……?」

「今から私はお前からブラックの心を取り返す、覚悟しろ」

 

 ナックルは杖の先を突きつけ、鋭い目つきで彼を睨む。彼は彼でその表情に背筋を凍らせながらも、なんの事だかさっぱり分からず首を傾げた。

 

「(……で、ここからどうするんだっけ?)」

 

 さて、いざNTRをやろうとしたナックルであったが、具体的に何から始めるのか迷っていた。暗殺宇宙人の名は伊達ではなく、この日のために数日間NTRについて研究をしてきたのだ。しかし色々とシチュエーションがありすぎて彼女自身もどうやればいいのかわからなくなっていた。

 

「(えーっと、とりあえずズボンを脱がして、パンツを脱がすか)」

 

 とりあえずナックルは彼の股間辺りに手を伸ばすと、スボンのボタンを外してチャックを降ろし、そのまま太もも辺りを掴んで引っ張るように脱がせる。当然、彼は脱がされまいと抵抗しようとするが、手も足も体も完全に固定されているため、ビクともしない。

 

「で、今度はパンツを……」

 

 ブルンッ

 

「え」

 

 ある程度までズボンを下ろしたナックルはパンツに手を伸ばし、一気に下ろす。すると中に収まっていた物が姿を現した。

 極太ビーフジャーキーより少し太く、その下に2つの玉の入った袋をぶら下げている……雄の持つ生殖器、すなわちペニスがその身を現したのだ。そんなものを目前で見てしまったナックルは唖然とした顔で声を漏らす。いくら事前に研究していたとはいえ、実物がこれほどまでにグロテスクなものだとは思ってもいなかった。

 

「こ、これが……男の……」

 

 肌よりも黒く、ヒルのようにいびつで、キノコのような頭で伸びる肉棒に、ナックルは一種の恐怖心を覚えた。しかしそれとは反対に彼女の腹部の中で何かが疼くような、まるで肉棒を欲しがっているかのように殻に覆われた秘部がキュッと締まる。

 

「(何これ、初めて見るのに……なんでこんなに)」

 

 無意識にナックルは四つん這いになり、ペニスに顔を近づけ鼻をヒクヒクとさせる。汗臭さとは少し違う痺れるような独特な臭いにナックルは顔を歪ませつつも、病みつきになったように肉棒を嗅ぎ撫でる。

 

「……こ、こんなものをブラックは……」

 

 いつの間にかナックルは自分の左指を臍辺りに伸ばし、殻の上から秘部を弄り始める。

 怪獣娘になった自分達には付いていないこのペニス、研究したことが本当なら、これは女性の体の中を掻き回す危険な一物である。こんなものをブラックはあの体で……そう考えただけでも、ナックルの秘部は疼いた。実際に彼女が彼とやったかどうかは分かっていないのだが。

 

「……んあっ」

 

 ペロッ

 

「ん……」

 

 気がつくと、ナックルは舌で亀頭先をひと舐めしていた。ざらついた舌背が裏筋を擦りあげる刺激に、彼は体を跳ねさせる。

 

 ちゅ……レロ……レロっ

 

 そのままナックルは肉棒を舐め続ける。唾液で潤った舌先で、血管が浮き出た陰茎を下から上へ擦り上げ、亀頭裏のカリ部分を円を描くように貪る。その姿はまるで名犬ガー……ではなく、飼い主の手を舐め回す犬のようにも見える。

 

「(これ、苦くて不味い……)」

 

 陰茎にまとわりつく汗のようなものを舐めとる度に舌に異様な苦味が走り、ナックルの顔を歪ませる。

 

 れろっ……ちゅむっ

 

「はむっ……れろっ(でも……舌が止まんない……♥)」

 

 しかしそれとは反対に、ナックルの舌は止まらず、濃い色素に染まった陰茎を舐め続ける。彼女自身も苦くて舐められるようなものでないと分かっていながらも、その苦味がクセになってしまい、やめられないのだ。

 

 ぺろっ、ぺちょ……れろっ

 

「ん、んん……」

「(あれ、なんか変……もしかして気持ちいい?)」

 

 ナックルがひと舐めする度に彼女の舌に新たな唾液がまとわりつき、それがペニスに塗られていく。自らのペニスがナックルの温い口液でコーティングされるその感覚に、彼は唸る声を出して気持ちよさを感じて体を震わせた。

 そんな彼の様子を、ナックルは細めた赤い瞳で観察する。分析したとはいえ、実際にこのような行為をするのも、反応を見るのも今日が初めてな彼女にとっては、彼の色んな反応に自然と興味を持ってしまうものなのだ。

 

 ぴちゅっ……ぴちゅ♥

 

 しばらく舐め続けていると、ペニスはさらに固くなり、亀頭先から粘ついた我慢汁を溢れさせた。どうやら射精する前の前の段階に入ったらしい。ナックルの舌先にも、竿に浮き出た血管に血液がどんどん送られていく感覚が伝わる。

 

「(あ、これ……確かこうやって)……はむっ」

 

 ぢゃぽっ、ぢゅるるるっ……

 

 我慢汁が出ていることに気がついたナックルは舐めるのを辞めると、亀頭部分を口内に包み、口を窄めながら絞るように一気に吸い上げる。

 そしてある程度吸い出すと、また再び陰茎を舐める。

 

「んあっ、えぁっ」

 

 勉強通り、ナックルは無駄のないように、この後の段階をスムーズに行うために、口に含んだ苦い苦い我慢汁をペニス全体に塗っていく。侵略者ともあろう自分が、まるで性行為の相手を奉仕するようなこの姿、もしも相棒のブラックが目撃したらどうしよう。そんなことを考えつつも、ナックルは口の動きを止めなかった。いや、止められなかった。

 

「ん……んん……」

「レロッ……よ、よし。大体はできたな」

 

 そう言うとナックルは、我慢汁と唾液の混合液で粘ついた糸を引きながら、ペニスから口を離す。そしてそのまま立ち上がり、纏っている自分の殻ともいえるファー付きのフサフサコートの肩袖を降ろし、ファサっと足先にまで脱ぎ捨てると、自分の素肌を露わにさせる。

 

「(うぅ……ブラックにもあんまり見せたことないのに……)」

 

 控えめの胸と秘部、肩といった箇所は隠しているが、殆どの肌が露出している下着なのかよく分からない謎の服と白い肌を見せたナックルは、モジモジとさせながら恥ずかしがる。ブラックとは対照的で、一部のマニアなら釘付けになるだろうこのナックルの体型、こんなものはブラックにすらあまり見せたことがないのだ。

 

「(で、でも、ブラックを取り戻すためだもん……やんなきゃ)……ふん、私の裸を見て興奮したか、この下衆め」

 

 どうしてこの男にこんな姿まで晒さなければいけないのか、そう思いつつも、目的を果たすためにナックルは強がった態度と口調で彼を嘲笑う。

 彼は彼でナックルからの猛攻フェラを受けたせいで意識が飛びかけていた。

 

「(うわぁ、もうこんなに溢れてる……)」

 

 ナックルは自分の下半身に手を伸ばし、秘部を覆う殻をカチャカチャと弄って外す。すると外れたと同時に、彼女の下の唇から透明な愛液が床へ垂れた。一部は服に付着して糸を引いている、どうやらペニスの臭いに当てられたせいで、一般怪獣娘よりも早く愛液が漏れ出てしまったようだ。

 

「……よし、やるぞ」

 

 自分の雌さに少し驚きつつも、ナックルは依然として強がり、彼の体にまたがる。

 

「……い、痛いって言ってもやめないから、覚悟しろ」

「ん?…………んん!?んふんっふ!」

 

 ナックルの言葉に、彼は一瞬呆気に取られ、すぐさま我に返って暴れるように唸る。しかし固定された体はビクともしない。

 

「(だ、大丈夫、イメトレ通りにやればいいのよ……ここの穴に入れることだけ考えれば)」

 

 そんな彼の唸りも無視し、ナックルは彼の両肩を掴みながら、M字開脚の姿勢で少しずつ腰を下ろしていく。間違ってケツ穴や尿道に挿入しないよう、亀頭先をびらびらとした陰唇に触れさせながら膣穴にあてがう。

 

 ピトッ……

 

 そして狙いが定まると、ナックルは慎重に尻を降ろし、膣穴に亀頭を挿入させていく。

 

「うぐっ……なにこれ、全然入んない」

 

 しかし、亀頭は上手く膣穴に入ろうとしない。それもそのはず、ナックルは生まれて初めて怪獣娘として性行為を行うのだ。当然、生殖器である膣穴は穢れを知らない状態であり、親指1本がようやく入るか入らないかの広さしかない。親指よりも一回り以上大きいペニスが入らないのは当たり前のことなのだ。

 

「(こ、これしきのこと)……いっ」

 

 ナックルは負けじと、踏ん張るように亀頭を膣穴に無理やり押し込んでいく。

 

 ズッ……ブチッ……ジュ……

 

「(な、なに……い、痛いぃ……こんなの、聞いてない……)」

 

 ナックルは顔を顰めて涙を堪えながら腰を降ろす。

 これは例えるなら、鼻の穴に極太のペンシルを突っ込まれているようなものだ。そのようなものが痛くないはずもなく、何かが破れていく音とともに、ナックルは体が引き裂かれるような痛みを味わう。

 しかしそこは暗殺宇宙人、プライドにかけても、か弱い娘のように泣くわけには行かないのだ。

 

「ん……んんっ」

「い、痛……くない、もん…………んぐっ」

 

 こんな痛み、空中に放り投げられて地面に叩きつけられるのに比べれば、光線を浴びせられて爆散するのと比べれどうってことはない、そう思いながら、ナックルは苦しむ声を堪えて挿入を続ける。だが奥へ行けば行くほど痛みは増していき、少量ではあるが、結合部から赤い血が流れ始めた。

 

「(も、もう少し……もう少しで……

 

 ……あれ、なんで私、こんなに必死になってるんだっけ?)」

 

 あともう少しというところで、ナックルは一瞬我に返って、冷静に今の状況を考えた。そもそもどうしてあんなにNTRについて研究したのか、何故こんな痛い思いをしてまでこの男のペニスを体の中へ入れようとしているのか、あの時は酒の勢いとショックで夢中になっていたが、よくよく考えればおかしなことだ。いや、そもそも彼を襲うよりも、初めからブラックにアタックして自分のものに……。

 

 ……ブチンッ

 

「ぁっ!……あがっ……(あ、これ、絶対間違えた)」

 

 根元までペニスを挿入させたナックルは苦声を上げながら、最初から間違っていたことに気がつく。

 しかし時すでに遅し、彼女の膣穴は肉棒によって完全にこじ開けられた。さらに中を突き破られた激しい痛みがナックルを襲い、彼女の思考回路を弾けさせる。

 

「(は、早く、こんな痛いの、抜かなきゃ……でも……)」

 

 じゅぶ……じゅぶっじゅぶっ

 

 こんな痛いことさっさとやめて抜いてしまおう。残った理性で考えたナックルであったが、それに歯向かうように彼女の体は独りでに動き始める。M字の姿勢で膝を屈伸させ、腰を上下に動かし、彼の陰部に打ち付ける。

 

「あっ、あぅ、あぁ(な、なんで……体が勝手に動いちゃうのよぉ……♥)」

 

 泣きたいぐらい痛いはずなのに、自分の意志とは反対に体が勝手に動いてペニスで膣内をめちゃくちゃにしたがっていると、ナックルは苦しみに近い喘ぎ声をあげながら思った。

 

 ぐじゅっぐじゅっぐじゅっ

 

 まだ破られたばかりの膣内を、肉棒がグジュグジュと掻き回す。その音はナックルと彼の耳にも聞こえており、2人を無意識に興奮させた。

 

「あ、あぅ……なんでぇ……なんで止まんないの♥」

 

 ナックルの膣はバキュームのように彼のペニス全体を締めつける。腰を上げると、膣内のイボイボとした肉襞が陰茎とカリ裏に吸い付き、チューブを絞り出すように搾り上げる。

 

 ぐちゅっじゅぶっ

 

「あっ、あんっ♥い、いや……痛いのに、気持ち悪いのにぃ……体が止まんないよぉ」

 

 初めてを散らしたばかりで、ペニスが奥を突くたびに体が裂けるような痛みがナックルに走る。しかし、同時に目に見えないうえに、手では届かないであろう性感帯を突かれる快感が彼女に襲いかかり、嫌なのに辞められないという矛盾を起こしていた。

 

「(ま、まずい……本当に気持ち良くなって)」

 

 ……ズボッ!

 

「あひぃっ!?」

 

 膣が彼のモノに馴染んできたと思った瞬間、偶然、亀頭がナックルの弱い部分を突き上げる。その刺激にナックルは甲高い声をあげると、彼の肩をギュッと握りながら、動きを止めて震え出した。

 

「あ、ああ……あぁっ(これ……い……た?)」

 

 力が抜けたような息を吐くと、ナックルは倒れるように彼に寄りかかり、肉付きの少ない体と胸を押し付ける。弱点を突かれたことで、彼女は彼よりも先に軽く絶頂してしまったようだ。

 

「(うぅ、どうしよう……もっと欲しいよぉ……でも、体に力が入んない)」

 

 本来の目的を忘れて彼の肉棒を求めるナックルだが、絶頂したばかりで思うように体は動かない。

 

 がちゃんっ

 

 突然、鍵を弄る音が聞こえたかと思うと、彼の体を固定していた手錠等が外れる。どうやらナックルの気が緩んだことで、拘束具が解けてしまったようだ。

 

「ん……んん、んふっ……ぷはぁ!……はぁ、はぁ」

 

 彼は口元を覆うマスクを掴んで引き剥がし、荒い呼吸で新鮮な空気を取り入れる。

 

 ……ガシッ

 

「んあっ♥」

 

 一呼吸置くと、彼はナックルの2つに割れた尻を掴む。ブラックからもやられたことのない強引な掴みに、ナックルは雌声を漏らした。

 

 ……じゅぶっ♥じゅぶ♥じゅぼっ♥

 

「え、や、やだ。まだいった、あっ♥」

 

 そして今度は、彼がナックルの膣内を抉り始める。勿論ナックルは抵抗しようとするが、痺れるように体が動かず、対面座位の姿勢で体を一方的に掻き回され、弱点部分を何度も攻められる。

 

「……あ、あんまり暴れると危ないから、そのままこっちに任せて」

「へ……?」

 

 いきなり彼はナックルに自分に体を許すように話しかけてきた。本来ならこんなことをしたのだから、罵倒の一つや二つあっても良いはずだが。これにはナックルも腑抜けた声を出した。

 

「(な、なによ……こんな……)」

 

 腰を掴まれて中を弄られる中、いきなり優しい言葉をかけられたナックルは、残った思考で彼の謎の行動を考えようとした。

 

「あ……あっ、んんっ、あんっ♥」

 

 しかし、その前に体が先に反応してしまい、ナックルは彼の言葉通り身を任せる。

 

 ぐちゅっぐちゅっごりゅ♥

 

「あっ、あぅ!(あ……突けないところ、突かれて……抉られる♥)」

 

 軽い絶頂でナックルの膣内はより一層締まっており、肉棒をさらに絞めつけるが、彼の一物はそんなことはお構いなしにナックルの中を突き進んでいく。

 血を吸ったヒルのように歪でガチガチに固まった彼のペニスは、奥へ進ませると膣道に立ち塞がる肉をこじ開け、無数の肉ヒダを擦りあげる。そしてナックルの尻を持ち上げ、引き抜く動作をすると、亀首のエラで外へ引き出すように巻き込む。

 そんな動きを1秒に3回のペースでヤられ、体を掻き乱されるナックルは、未知の快感にトロ顔を浮かべながら喘ぎ声を漏らす。

 

「んっ、んあっ、あっ……きゃんっ♥(な、なんで、一気にやってくれないの?)」

 

 しかし、ナックルには、彼が激しく攻めながらも、どこか加減しているように、上手く傷がつかないように突いていることがすぐに分かった。

 

「んん、あっ……んむっ♥」

 

 気がつくと、ナックルは彼の首後ろに腕を回し、ギュッと抱きつきながら、目の前の唇に自分の唇を重ねていた。ブラックとさえしたことのない深いキスを捧げたナックルは、貪るように口元を動かし、デスマスクで湿気に満ちた彼の口内に舌先を滑り込ませ、自分の唾液とシェイクさせる。

 

「ん……ちゅむっ(こ、こんなの……これじゃあ私、こいつに心を盗られてるみたいじゃない……)」

 

 彼にされるがままに腰を振らされ、アツアツのペニスを打ち込まれる中、ナックルは心の中で自分の情けない状態に悲鳴をあげる。

 ミイラ取りがミイラになるのとは少し違うが、相棒から彼を寝取ろうとして、逆に彼から手懐けられてしまっている有様に、ナックルの暗殺宇宙人としてのプライドに傷がついた。

 

「あぇっ……んんっ♥」

 

 だが、それを分かっていても、ナックルは自分の舌を止めることができず、彼の唾液腺や歯茎を無我夢中で攻める。

 今の彼女の頭の中は、傷ついたプライドを癒すことではなく、早く絶頂したい、彼の甘さが欲しいという、淫乱なものに染まっていた。

 

 ぢゅぶっぢゅぶっ……ぐちゅっ

 

 しばらく腰を振られていると、ナックルは彼のペニスが、体の中で少し大きくなり、さらに熱くなったことに気がつく。

 

「んあ…………あっ、はっ、あんっ(あれ……もしかして、出るの?)」

 

 ナックルは、彼があの生命を繁殖するために必要な精液を出す準備が出来たと察する。いくら宇宙人とはいえ、そんなものが出されればどうなるか分かったものではない。

 

「(……欲しい。精液、欲しい♥)」

 

 しかし、自分の性欲を抑えきれなくなってしまったナックルは、さらに蕩けたトロ顔で精液を求めた。その願いが届いたのか、彼もナックルの腰振りを早めさせ、彼女の中をピストンする。肉壁の無数のイボ襞も、彼のものを離すまいと、竿から亀頭にかけてギュウギュウと締め付ける。

 

 パチュッバチュッパチュッ!

 

「んっ、んっ、んっ……あっ」

 

 ばちゅんっ

 

「あぁぁっ!」

 

 数十回、水気のある肉がぶつかりあう音が響き渡った後、彼は最後の一撃と言わんばかりにペニスをナックルの奥深くまで差し込み、玉に溜まっていた精液を盛大に吐き出した。

 肉棒は肉壁によってポンプのようにキツく絞められながら、初めは少しずつ、そこから崩壊するように激しい脈を打って白濁液を子宮内へ注いでいく。

 そして、その感じたことのない熱さと快感に、ナックルは大きな喘ぎ声とともに背を仰け反らせた。

 

「あ、ああ……(ブラック……)」

 

 彼と一緒に体を震わせ、子宮内の熱さに火照った顔をしたナックルは、壊れた機械のように声を出しながら、心の中で相棒の名を呼んだ。

 

 

 

 ブラックから彼をNTRするはずが、まさかこんなことになるなんて……そう思いながら、ナックルはだらしない乙女顔を晒した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────────────────

 

「……」

「……」

 

 次の朝、ナックルと彼は向き合う形でお互いに正座していた。どちらもきちんと服を纏っている。

 

「ぶ、ブラックキングさんのお友達のナックルさんであってますか?」

「……ええ」

 

 彼からの質問に、ナックルは控えめに答える。

 

「あ、お風呂ありがとうございました」

「い、いいわよ」

 

 空気を読んだ彼が礼を言うと、ナックルは目を逸らしながら返事をする。このなんとも言えない空気が、2人の息をさらに詰まらせた。

 しばらくして、ナックルが恐る恐る彼に視線を向け、口を開いた。

 

「えっと……さっきあなたの言ったことが本当なら、ブラックはただ単にあなたに手伝ってもらってたってことでいいの?」

「はい、ナックルさんの誕生にサプライズしたいから協力して欲しいってことで」

 

 彼は真相を語る。

 彼は以前、ブラックがナックルにプレゼントした、あのオソロの財布を勧めてくれた人物であった。

 そしてそれがきっかけでブラックと親しくなり、今回、彼女が計画していたナックルの誕生日サプライズの手伝いをしていたのだ。

 

「ブラックが冷たかったのって……」

 

 ここ最近ブラックの様子がおかしかったのは、ナックルの誕生日にちょっとしたサプライズをやろうと色々と準備をしていたからで、それを彼女に悟られないようにしようとしたのだ。簡単に言えば、ドラマやアニメでよくある『なんか最近、みんな冷たいなーと思ってたけど実はサプライズを用意していることを悟られないようにわざと冷たくしてただけでしたー』というやつだ。なんともベタなものか。

 

 そしてブラックはあの日、ナックルの誕生日プレゼントの購入と、サプライズ準備のお礼を言いにあの店を訪れていただけだったのだ。

 

『この柄ですよね?』

『ああ、それだ。この柄はナックルが好きなんだ。この前、君がオススメしてくれた財布も気に入ってくれたよ、ありがとう』

『いや、こっちこそ。気に入ってもらえて良かったです』

 

 ということらしい。つまり、ブラックが彼と付き合っているなんてことは、部分部分だけ聞こえたナックルの勘違いで、実際、彼はブラックとはただの客と従業員の関係でしかなかったのだ。

 

「き、キスしたのは?」

「キス……あ、あの時はブラックキングさんが躓いちゃって、偶然、僕の頬に……すみません」

 

 そしてあのキスは、道に躓いたブラックがそのまま彼に倒れかかり、偶然、唇が彼の頬と接触してしまっただけであった。

 

「ふ、2人が写ってる写真は?」

「はい、それは前にブラックキングさんを案内した時に試しに撮ったんです。ナックルさんの誕生日に何処か素敵な場所に連れて行きたいって言ってたので」

 

 当然、あの写真は恋人写真でもなんでもなく、彼とブラックがデートスポットの下見に言った際に、ナックルと一緒に行った時に備えてブラックが試し撮りで彼と写真スポットで撮影したものだった。2人が近くに寄っていたのは偶然であり、またブラックが乙女な笑顔をしていたのは、ナックルと一緒にとった時の為の練習でああなってしまったのだ。

 あの写真がバレた際に、ブラックがあんなに恥ずかしがっていたのは、ナックルにサプライズのことがバレてしまったと思ったからであった。

 

「…………分かるわけないわよぉ……何よこれぇ……こんな話があるなんて聞いてないわよぉ……これじゃあ私、完全に拗らせて暴走した変な宇宙人じゃない……こんな犯罪紛いなことまでやって……あんな痛い思いまでして……こんなのってないわよ……」

 

 ナックルは手と膝をついて、自分の仕出かした過ちに絶望する。全てはタイミングの悪さと、ナックルの勘違いと、最悪の偶然が重なり起きた出来事だったなんて、こんな小説でもそうそうない出来事など、いくら宇宙人でも分かるわけがないのだ。

 

「(うぅ、ごめん、ブラックぅ……)」

 

 そして大切な相棒のことを信じてやれず、勘違いで罵倒してしまったことを悔いたナックルは、泣きながら心の中でブラックに謝った。

 

「あの、勘違いさせちゃった僕も悪かったです。ていうか、昨日の件は僕もやっちゃったし……ごめんなさい!」

 

 あからさまに落ち込むナックルを見て、彼は今回の件と昨夜の件で頭を下げる。しかしその行動が余計にナックルの心を落ち込ませ、2人揃って頭を下げたまま、数十分の時が流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────────────

 

「ご、ごめんなさい……こんなことしちゃって」

「いえ、もういいんです。とりあえず行きましょう」

 

 2階の部屋の玄関前にて、ナックルは彼に頭を下げる。

 今回のことは完全に自分に非があると思った彼女は、この前の謝罪の意味も込めて、これからブラックに謝りに行こうと考えており、それについて行く形で彼も同行することになったのだ。勿論、昨夜の事後は2人だけの秘密である。

 

「でも……ブラックったら、どうしてサプライズのこと、そんなに秘密にしたがってたのかな」

「あ、それについては前にブラックさんが言ってました。いつも一緒に楽しく過ごしてるから、たまにはこっちから相棒を祝いたいって。あの写真を撮った場所もブラックさんがナックルさんの誕生日を祝いたい一心で探し出したんですよ」

「ブラック……私のこと(やっぱりブラックはカッコイイなぁ……へへ)」

 

 やはり我が相棒のブラックはかっこいい、と惚気け顔でそう思いながら、昨日のことなど忘れたかのように、ナックルは彼に続くかたちで階段を降りる。

 

「(私、やっぱりチョロい)」

 

 そして改めて自分のチョロさを思い知った。

 

 ズルッ

 

「あ」

 

 なんて考えていると、ナックルは階段に足を滑らせ、そのまま下へ下へと宙を舞うように落下した。まるでタイミングを見計らったような、とんでもない偶然だ。

 

「え?」

 

 声がしたと思い彼は咄嗟に振り返るが、その時には既にナックルの顔が目の前まで迫っていた。

 

 ガンッ!

 

「「ぎゃっ!」」

 

 そして彼の体にナックルの体がぶつかり、2人はその場で重なるように転倒した。

 

 チュッ

 

 と同時に、お互いの唇に柔らかくて温かいものが重なる。その感触に2人はしばらくの間固まり、慌てて体を離す。

 

「こ、ここ、こんな……なんで、続けてピンポイントに……」

「だ、大丈夫です、一瞬でしたから」

 

 冷静にさせようと彼はナックルを宥めるが、ナックルはファーを弄りながら目を回してアワアワとしていた。

 しばらくしてから、ナックルは辺りを見回し、誰も見ていないことを確認すると、ホッと息を吐き、唇を拭きながら立ち上がった。

 

「と、とりあえず行きましょ……い、今のは忘れて」

「は、はい」

 

 なんとも言えない気まずい空気が流れる中、2人はブラックの住むアパートに向かって歩き出した。ただ昨日のこともあってか、少しだけ2人の距離は近いようにも見えた。それは多分、両者とも無意識でやっているのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナッ…………クル?」

 

 そんな2人の一部始終を、電信柱の影から甲冑を纏った怪獣娘が濁った瞳で見つめていたのだが、ナックルが彼女に気づくことはなかった。

 

 

 

 勘違い、それは積み重なれば時にとんでもないハプニングを引き起こすのである。

 そしてそこに最悪の偶然が交われば、事態はより大きなものとなるのだ。

 

 

 

 

 

 




今回はちょっと酷い……

あとやるまでのお話が全く浮かんでこない……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。