長文です。
今回の怪獣娘は情報が少なかったため、ほぼオリジナルキャラみたいな感じになってしまいました………すみません。
あとエロは前半で、後半は殆どありません。
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とある日の街中。ここは毎日のように人々が行き交う汗水垂らして銭を稼ぐ仕事場であり、暇人が暇を持て余す憩いの場でもある。
しかし今は、辺りにシャドウの残骸と思われる何かが散らばっている。
その日、東京の都心部にシャドウが出現した。大半のシャドウは数ヶ月前に怪獣娘ゼットンや東京支部の隊員たちの活躍により殲滅されたものの、まだ残党が残っていたのだ。
連絡を受けたGIRLS隊員たちは現場に急行、早速シャドウ駆除を開始し、今に至る。もはや彼らに怪獣娘に対抗する力は残っていなかった。
「待てー!」
「ま、待って〜!おわ!」
「待つわけナイワ!」
そして今、GIRLSの隊員であるマガバッサーとマガジャッパは、現場から逃走したシャドウの追跡を行っていた。バッサーが足でジャッパを掴みながら猛スピードで飛行しているため、ジャッパは今にも振り落とされないかとアワアワしている。
「逃がすか!」
「おわわっ!」
バッサーは両腕を振るい、鋭い刃、所謂鎌鼬をシャドウ目掛けて放つ。
ドガァァン!
しかし寸前のところでシャドウに躱されてしまい、鎌鼬は道路を抉り、辺りに砂煙を撒き散らす。
「や、やっべぇ……先輩に怒られる……」
「また巻き添いですかー……」
バッサーはエレキングから落とされるであろう雷に顔を青くした。
「グワァァァァァ!!!」
突然、前方の砂煙からシャドウらしき叫び声が聞こえてくる。まるで何かに襲われたかのような、苦しむ叫び声だ。
「な、なんだ?」
「え……あれは……誰?」
砂煙が晴れ、2人は目の前に現れた人物に首を傾げる。
現れたのは、金髪の癖毛が伸びた髪の毛を持ち、首からペンダントらしきものを下げた少女だった。
胸元から臍を露出させたパーカーのような硬いシェルを身に纏い、左手甲から生えた鋭い2本の鉤爪でシャドウの腹部を深深と突き刺していた。
「逃がさねえよ」
そう言うと少女はそのまま左手から黄色い光弾を放ち、叫び声をあげるシャドウを爆発させることなく焦げに変える。
「あー終わった」
「だ、誰だよあんた」
「か、怪獣娘……ですよね?」
突如現れた少女にバッサーは警戒し、ジャッパはアワアワと大量の汗をかく。
「……ふーん、見ない顔だけど……お前らGIRLSの新人か?」
「は、はい」
「…………くっさ」
「え」
少女の言葉にジャッパは一瞬固まり、直ぐに自分の二の腕の臭いを嗅ぐ。
「…………」
「…………ごめん、結構臭う」
目線を逸らしながらそう言い放ったバッサーに、ジャッパは落ち込むように俯く。
どうやら本当に臭かったようだ。
「ま、そんなことはどうでもいいからさ」
少女は2人に近くと、右手を差し出す。
「はい」
「は?」「へ?」
「討伐代、お金ちょうだい」
少女の言葉に2人は唖然とする。
「な、何いってんだよあんた!いきなり現れたと思ったら金よこせって」
「あんたらが仕留め損ねた奴をあたしがやってあげたんだから。金ぐらい払えよ」
「別に仕留め損ねたわけじゃ……」
「さっき外してめちゃくちゃにしたくせに」
「う……」
それは事実であり、現に辺りの道路やコンクリートは、バッサーの鎌鼬によりズタズタに破壊されていた。
「…………と、2人合わせてざっと7万か……相変わらずけっちな組織だなぁ」
いつの間にか、少女は薄い札束を手で数えていた。
「あれ、そのお金…………まさか!」
2人は大急ぎで自分の財布を取り出す。怪獣娘の状態で何故財布が取り出せたのかなどとつっこんではいけない。
「あ!万札が1個もない!」
「いつの間に!?」
そう、少女が今数えている万札の札束は、2人の財布から拝借したものであった。これは立派な犯罪行為である。
「返せ!」
「私の財産!」
「やなこった」
少女は飛びかかる2人を軽々といなす。
「んじゃ、また会えたらよろしくー、金盗られたくなかったら今度は逃すんじゃねーぞー」
「あ!待てこら!」
「ドロボー!」
少女は現場から猛ダッシュで逃走する。2人は追いかけようとするが、少女はあっという間にビルを飛び越え、その場を去っていった。
「くそ、逃げ足が速い……」
「うう、今月のお小遣い……」
数分後、2人のもとへエレキングが駆けつける。
「帰りが遅いと思ったら…………どうしたの?」
「「せんぱーい!」」
2人はエレキングに泣きつく。
「(あら、大胆)」
「聞いてくださいよ〜!さっきいきなり金髪の変な女の子が目の前に現れたんですよ!」
「金髪?」
「それでシャドウを倒したと思ったら私達に討伐代とか言ってお金を要求してきたんです!」
「(ジャッパ……なかなかきついわね)それでどうしたの?」
「こっちは断ったんですよ!そしたらそいつ、私達の財布から万札全部抜きやがったんですよ!」
「うう、ただでさえ新人だから安月給なのに……」
バッサーとジャッパはエレキングに先程の少女について泣きながら説明する。
「はあ、またあいつか……」
2人の説明に、エレキングは何か心当たりがあるように呟く。
「先輩、知ってるんですか?」
「ええ知ってるわ」
「一体誰なんですか?」
「…………そいつの名前は『雅夢』、GIRLSには入隊してない野良怪獣娘よ……所謂チンピラね」
「(そ、そいつって……)」
「(チンピラ…………)」
エレキングは話していく。
先程の少女の名は雅夢、彼女はサタンビゾーという怪獣の魂を受け継いだ野良怪獣娘であり、GIRLSが目をつけている1人でもある。
住所、及び経歴について既に調査は行われたが、データは全て幼少期のものであり、現在の彼女の居場所は不明である。
エレキングはGIRLSに入隊したばかりの頃から雅夢とは顔見知りであり、何かにつけて金を盗られていた(戻って来たことは1度もない)。
さらに彼女はエレキングを食事に誘っておきながら、自分が食べ終わるとそのまま何処かに逃げるという食い逃げ同然の行為を何度も行っている。
今は余裕が出来たが、当時のエレキングにとってはとんでもない出費であった。
また、彼女から被害を受けた怪獣娘はエレキング以外にも多くおり、ここ最近ではあのかぷせるがーるずの3人もいくらか持ってかれていた。
「あいつ、先輩達にもやってたのか……」
「でもまさか先輩が……」
「私だってGIRLSに入隊したての頃は右左も分からなかったわよ…………それをいいことにあいつに金を取られて、おまけに時間を取られて……おかげで狙ってたものが…………あいつ……」
「せ、先輩?」
何やらエレキングは雅夢に対する恨み言をブツブツと呟き始める。
いつものクールな彼女らしくない言動から察するに、どうやらエレキングと雅夢との間には深い因縁があるようだ。
「……と、まあいいわ。お金に関しては後日用意しておくから」
「お、お願いします……」
「……ところで、辺りの惨状はどっちがやったのかしら?」
「いや、これは……あはは……」
バッサーはとぼけるかのように笑い、ジャッパはそれをジト目でみつめる。
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「ふーん………………なるほどなぁ」
場所は変わって、現場からかなり離れた町に在る廃墟ビル。ここは金銭面の事情から、一向に取り壊しを受けていない三階建てのビルである。
そのビルの2階にある一室、そこではとある青年がやや幅広な拾い物の古びたソファに座りながら、睨むようにジャンク品のスマホの画面を操作していた。
やや暗い部屋の中には、古びてやや壊れかけたタンスやデスク、テーブルなどが置かれている。
「ただいまーっと」
そこへパーカーを纏った1人の少女が部屋の中へ入る。頭に被ったフードからは、ウェーブかかった癖毛が飛び出していた。
「おう雅夢、どこいってたんだよ」
「ちょっと街に現れたシャドウをシバいてきただけだよ。寂しかったか?」
「寂しいのは懐だ」
「仕事は?金貰ったんじゃねえの?」
「それが開始早々お尋ね者の猫の野郎が飼い主のとこに戻りやがったんだよ。おかげで報酬はなしだ」
「うはは、そりゃあ運が悪い」
雅夢は腹を抱えながら笑い、ヒロトは目を細めて雅夢を睨む。
「笑うなよ、たく」
「ごめんごめん……あ、そうだ」
雅夢はパーカーのポケットから横に丸めた万札を取り出す。
「ん?なんだ?」
「シャドウぶっ倒した報酬、GIRLSの奴らから貰ってきた」
「…………お前、またあいつらからカツアゲしたのか」
「カツアゲなんてしてねえよ、ただちょっくら新人ちゃんからお金を強請っただけ」
睨むヒロトに、雅夢はとぼけた顔で万札を仰ぐ。
「お前なぁ、前に約束したばっかだろ。GIRLSの奴らからはこれ以上金取るなって、ただでさえ目ー付けられてんのに」
「へいへい」
「…………たく、とりあえずその金、返してこいよ」
「そのうちねー」
雅夢はバッサーとジャッパから『貰った』万札をタンスの引き出しへしまう。
先程も説明したように、雅夢はこうやって街に出ては、毎回のように一部のGIRLS隊員から金をカツアゲしている。GIRLS隊員だけでない、そこらにいる質の悪いチンピラやうるさいおっさん共からもいくらか拝借しているのだ。
「今後カツアゲすんならうっさいチンピラとか、イキったおっさんとかにしろよ」
「分かりましたよー」
雅夢はヒロトの言葉を半分聞き流しながら、タンスの開きにしまっておいた袋菓子を取り出す。そしてヒロトの隣に座ると、袋菓子の封を開けて貪り食べる。
「あ、そういえば今日金かっぱらった新人なんだけどさぁ」
「あー、新人がどうしたー」
「ああ、超臭かったんだよ。何か何日も風呂入ってないみたいな感じで」
「ふーん」
「でも確か風呂に入りすぎても臭くなるんだよな、前にヒロトが言ってただろ?」
「まあなー」
「…………聞いてんの?」
「聞いてるぜー」
ヒロトは雅夢の話を聞いていると言うが、目線はあからさまにスマホの画面に釘付けであった。
「……何見てんだよ」
「お前には関係ないもの」
「…………」
雅夢はスマホの画面をこっそり覗こうとするが、ヒロトは見せようとしない。
「なんで見せないんだよ」
「見せたくねえから」
「関係ないもんなら別に見てもいいだろ」
「だから見せたくねえって」
「……ケチ」
雅夢は拗ねるようにそっぽを向く。
そしてソファから立ち上がり、部屋の窓に移動する。
「もーらい!」
「あ、おい!」
と見せかけて、後ろからヒロトのスマホを取り上げる。
「えーっとなになにー…………………………は?」
画面を見た雅夢は思わず声を上げる。
画面には、モデルを営む怪獣娘の際どい写真などが大量に映し出された。
中には秘部が映るスレスレのものから、そっくりさんのヌードの画像まである。
「……なんだよこれ」
「なにって…………ナニ「お前ー!あたしというものがありながら他の女に移ろうとしたのかこらー!処女返せー!」痛っ、ちげぇよ」
雅夢は涙目でヒロトをポカポカと殴る。
「どう違うんだよ!説明しろ!」
「分かった、説明するから、とりあえず落ち着けよほら」
ヒロトは怒る雅夢をソファに座らせる。
「で、これなんだよ」
「いいか雅夢、これはな………………
オカズ探しだ」
「ぶっ殺すぞてめぇ!」
雅夢はヒロトに飛びつき、殴りかかる。
「なんだよ!別にいいじゃねえかオカズ探すくらい!」
「それを抱いた女の前でやるとか正気かこらぁ!」
「抱いたとか関係ねえだろ!」
「シコッてる暇あんなら仕事とってこいや!てかなんで寄りにもよってあたしよりも乳でかい怪獣娘のパチモンでシコッってんだよ阿呆!」
「別にお前より乳でかい怪獣娘のパチモンでシコるぐらいいいだろうが!てか口くっせ!」
「菓子食ったから当たり前だろ馬鹿!」
ヒロトと雅夢は互いに掴み合い、噛み付くように喧嘩する。この攻防戦はしばらくの間続いた。
────数分後
「たく、オカズ程度で何怒ってんだか」
「今度言ったら玉潰す」
数分後、取っ組み合いの喧嘩を終え、冷静になった2人は互いにそっぽを向きながら話していた。
「大体あたしも怪獣娘なんだから、あたしでやれよ」
「そんな充電が勿体ないだろ、毎回見てんだから」
「…………」
「……雅夢?」
「…………」
「もしかして拗ねてんのか?」
「…………」
ヒロトの言葉に雅夢は返事を返さない。どうやら本当に拗ねてしまったようだ。
「…………あーもう、悪かった。今度から目の前でオカズ探しなんてしないから、な?」
「…………悪いと思ってるか?」
「勿論」
「なら今から抱け、セックスするぞ」
「なんでそうなんだよ」
雅夢はパーカーとTシャツを脱ぎ捨てる。
普段からブラジャーを纏っていないため、Tシャツを脱いだ瞬間、彼女の褐色色の大きな胸がぶるんと揺れながらその実を露にする。
「おいブラは?この前買ってやっただろ」
「あんなの鬱陶しいからよっちゃんに売っちまったよ」
「学生から集ったのかよ、お前」
「うっせー」
よっちゃんとは、近所で酒屋を営む夫婦の一人息子のことである。そしてエロのことしかない頭にない絶賛思春期真っ盛りな男子高校生でもある。そんな彼にとってギャルの纏ったブラジャーは、元ヤン人妻のアダルトビデオよりも価値があるのだ。
「てかなんだよいきなり、一昨日やったばっかだろ」
「お前のせいでカイジューソウルが暴走しそうなんだよ。責任とって収めろ」
「そんなにショックだったのかよ……まだ昼間だぞ?コンドームも一昨日ので使い切ってるし」
「関係ねえよ生だ生。ほら脱げー」
「うわ、危ね」
雅夢はヒロトに飛びつき、衣服を強引に脱がしていく。
「おい下手に引っ張んなって。破れるだろ」
「うっせ、そんぐらいで喚くな。ほら足上げろ」
「やめろって、ズボンぐらい自分で脱ぐから」
ヒロトは雅夢に馬乗りにされた状態から両足をモゾモゾと動かし、履いているズボンを雑に脱ぎ捨てる。
「…………なんだよ、なんのかんの行って興奮してんじゃねえか」
雅夢はヒロトの下半身を確認する。
彼の股間からは、ガチガチに勃起したペニスがパンツ越しに山を作っていた。
「たく、パートナーに興奮するなんて……とんだ変態野郎だぜ」
雅夢は不敵な笑みを浮かべながらヒロトのパンツを脱がしていく。
すると、彼の股間から比較的大きなペニスが姿を現した。剃る習慣がないためか、ペニスの根元及び玉袋からは陰毛が無造作に生えていた。
「うわ、ビンビンじゃん」
「そりゃあそうだろ、セックスすんだから」
「言い訳してろ変態…………ん」
早速と言わんばかりに、雅夢はパンツを脱ぎ捨て、これまた無造作に生やした陰毛に隠れた膣口を亀頭の先に当てる。
ちなみに2人にとってセックスというのは愛の証やら証明やら、そういった類のものでは無い。互いの性的ストレスを解消する手段の一つである。
かと言って誰でもいいという訳でもなく、互いに長年付き添ってきた者同士だからこそ、こういった行為を行うことができるのだ。
「…………いきなり中なのか?」
「……嫌か?」
「出来れば乳で軽く挟んでから」
ジュプンッ!
「うお!?」
「あん♥」
パイズリをせがむヒロトの声を無視し、雅夢は自分の腟内に彼のペニスを一気に挿入する。
彼女の中は既に温まっており、ヒロトはペニス全体が温かく柔らかい肉襞達に包み込まれる快感を味わった。
「い、いきなりかよ……」
「ん……悪いと思ってんだろ?なら大人しくあたしの言うこと聞け」
そう言うと、雅夢はゆっくりと腰を振っていく。
ギシッ…………ギシッ!ギシッ!ギシッ!ギシッ!
「ん……あん……あ……あ♥」
雅夢はペニスが襞を擦る快感に喘ぎ声を漏らしながら腰を振る。
さらに彼女が獣のように尻肉をヒロトの股間に打ち付ける度に、古いソファはギシギシと軋む音を鳴らす。
「んあ…………ど、どうよ、一昨日よりも、上手く、なった、だろ……ん♥」
「う……あ、ああ……比べ物にならないくらい」
キュウゥゥ!
「うあ……」
腟内に挿入されたペニスが一気に締め付けられ、ヒロトはその快感に思わず声を上げる。
ジュポッ!ジュプッ!ズプッ!
「あ、あんま激しくすんな……ソファが壊れる……うあ」
「あん……あたしよりソファかよ……クソやろ…………あ♥」
雅夢はヒロトを罵りながら、嬌声をあげつつ上下に尻を打ち付ける。彼女の膣はうねるように動き、ヒロトの勃起したペニスを歪ませ刺激する。
ジュポッ!グチュ!ズプッ!ジュプッ!
「が、雅夢……もうそろそろ出そう……」
「もう出るのかよ、早漏」
「だれが早漏じゃ……うお……」
ヒロトのペニスは彼の意に反して膨張し、さらに玉から白い精液が尿道へと容赦なく流れ込んでいく。
パチュッ!パチュッ!パチュッ!
「はぁ!はぁ!ほら!あたし以外の怪獣娘でシコろうとした分まで全部吐いちまえ!」
「くう…………あぁぁ……」
パチュッ!パチュッ!パチュン!パチュン!
ドピュ…………ドピュルルル!!!!ドピュ!ドピュ!
「んんんんん!?……♥」
ヒロトのペニスから雅夢の子宮内に向けて、びゅるびゅると音を立てながら大量の精液が放たれる。そのあまりの熱さに、雅夢も思わず絶頂を迎えてしまった。
ビュルルルル〜ッ
「はぁ、はぁ、まだ出んのかよ……」
「一昨日から全然出せてねえからな…………うぐ」
ぬぷんっ
「あ♥」
雅夢は力なくヒロトの胸に倒れる。それと同時に、彼女の膣からペニスが引き抜かれる。
彼女の膣穴からは、子宮に入り切らなかった白い精液が漏れ出ていた。
「はあ……やっぱセックスってきついわ…………」
「ヒロト〜……ん」
チュッ……レロッ
雅夢は先程まで怒っていたのが嘘のように、甘えるような声を出しながらヒロトに顔を近づけキスを交わす。先程袋菓子を食べたせいか、彼女の口内はやや塩っぽい味がしている。
「ん……やっぱ菓子臭いぞ」
「うっせ〜、折角甘えてんのに雰囲気壊すなよ〜」
雅夢は先程までと違い、あからさまに惚気けた声でヒロトに擦り寄っている。絶頂によりカイジューソウルが落ち着くため、ヒロトとのセックスの後の彼女はこのように甘えん坊になってしまうのだ。
「ほら、今度は俺がやるから。後ろ向け」
「は〜い」
雅夢はゆっくりと身体を起こし、そのままヒロトに背を向ける形に体勢を切り替えた。
「はやく入れろ〜」
「急かすなって……たく、1度スイッチ入るとすぐこれだ」
ヒロトは雅夢の性欲に呆れつつ、突き出された彼女の尻を掴み、ヒクヒクと疼かせる膣口にペニスの先を当てる。
クチュ……ズニュ……スププ…………
「んあ♥……ゆ、ゆっくりやるなよ〜、余計もどかしいだろ〜」
「無茶言うな、こっちも出したばっかできついんだよ」
「意気地無し〜」
ヒロトはゆっくりとペニスを挿入していく。中は先程よりもヌルヌルな粘液で満たされており、彼の勃起したペニスを中へ中へと招き入れていく。
「(さ、さっきよりもあったけぇ……)」
「ん……おめーもうガチガチなのか〜?この変態よ〜、もっと攻めてみろよ〜」
「………………」ブチッ
ズボッ!
「ひゃん!?」
先程から雅夢の放つ煽りに堪忍袋の緒が切れたヒロトは、勢いよくペニスを奥深くまで挿入し、雅夢の性感帯を押しつぶす。
「お、おい。そんないきなり……」
グチュン!
「うひゃ!?」
「何言ってんだ!強くやれっつったのはお前だろうが!ほら!」
「きゃひん!?」
ヒロトは怒り狂うように声を荒らげ、雅夢の豊満な臀肉を強く叩きつけるように何度も腰を振る。
ジュプッ!ズボッ!グチュン!
「や、やぁ……そんな激しく……あ♥」
強い腰打ちで尻を何度も叩かれ、ペニスで腟内を抉るように弄ばれる雅夢は、その激しさに動揺しつつ、同時に襲ってくる快感に身体をよがらせながらアクメ顔を晒す。
ジュプッ…………ジュブッ!ジュブッ!グチュッ!
「ひうぅぅ!?」
そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、ヒロトは雅夢の腰を掴み、更に奥深くまでペニスを挿入しながら腰を振る。
「ほら!どうだ!」
「だ、ダメぇ……そんなとこつかないでぇ……」
雅夢は涙を流しながら訴える。しかしその顔は嫌がっているとは到底言えず、寧ろ更なる快感を求めているかのような笑顔を浮かべていた。
現に彼女の腟内は、ヒロトのペニスを離すまいと再びキツく締め始めているのだ。
パンッ!パンッ!パンッ!
「いい……ヒロトの……いいよぉ♥」
「雅夢…………おぉぉぉ……!」
むにゅうぅぅっ
ヒロトは雄叫びを上げると、そのまま雅夢に覆い被さるように身体を密着させ、彼女の豊満な胸を両手で鷲掴みにする。
グチュウゥッ!
そしてペニスを彼女の最奥まで挿入し、子宮口をこじ開け、
ビュル…………ビュルルルルルッ!ドピュル!ビュクッ!
「あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁ!?♥」
そのまま大量の精液を彼女の子宮内へと流し込む。その刺激と精液の熱さに、雅夢は先程以上の喘ぎ声……いや、雌叫びを上げながら絶頂を迎える。
ビュルル…………ビュクッ……
「…………雅夢」
「ん………………ん♥」
チュッ…………
ヒロトは射精しつつ雅夢を抱きしめ、彼女の唇にキスを交わす。
「……こんなに出しやがって……できたら責任取れよ……バカ」
雅夢は潤んだ瞳でそう応えた。
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なあヒロト、覚えてるか?
何が?
あたし達が初めてあった日のこと。
あー、あの時か。よーく覚えてるよ。あの日はクリスマスだっけか。
ばーか、大晦日だよ……多分。
そうか。
あの時はあたし達まだ餓鬼だったっけ。
あー、確かなー。小学生になったかならないかぐらいの時だったような気がする。
あの時確かおめえ、知らねぇ家の屋根下で勝手にボロ使って寒さ凌いでたよな。
あー凌いでた凌いでた。なんせタンクトップにパンツいっちょの一文無しだったからな。
あたしも初めに見た時は驚いたぜ。頭から血ー流してたんだからよ。
はは、そりゃあ母親の男にビール瓶で殴られたら血ぐらい出るぜ。
格好に関しては阿呆だと思ったわ。
真冬にキャミソール1枚だった奴に言われたくねえ。
うっせ、仕方ねえだろ。こちとら危うく殺されかけたんだ。逃げることで手一杯だったんだよ。
…………にしても変だよなぁ、互いに一目見た後には無言で一緒にボロにくるまって寒さ凌いでよぉ…………なんでなんだろうな?
知らねえよ、あたしそこまで覚えてないもん。
俺もだ。
初めは腹減り過ぎて死にかけたこともあったっけ。
だからスリを覚えたんだよ。金がねえなら取るしかないからな。
初めて盗ったやつは……何もやってない餓鬼に怒鳴った競馬場のおっさんか。
俺はパチ屋で時間潰してた禿げたおっさん。
あとは自販機漁ったりばあさんの手伝いしたり。
缶とかも集めたよなー、両腕にいっぱい抱えてさー。
まあおっちゃん達には負けたけどな。
自転車とかせこいぜ……たく。
初めて盗った金で食ったのはなんだっけか?
お前、忘れたのかよ。
俺は記念日とかそういうのないからな。
…………あんぱん。
あんぱんか…………あ、あのクソまずいコンビニの奴か。
あたしは好きだったぞ。
そうか。
でも1番は近所のばあちゃんが作ってくれたうどんだったな。
ああ、あれは美味かったな。どんな店でもあの味には勝てねえよ。
……もう1回食いてえなぁ。
もう無理だ、ばあちゃん死んだんだから。
初めの頃は色々大変だったよなぁ。飯とかもそうだけど周りの奴らがめんどくさかったぜ。
違いねぇな。ちっと歩けば汚い子ども扱いだ。
まあ実際に汚かったけどな。オマケにあたし、変な時に怪獣娘に覚醒しちゃったし。
あの時はマジで死ぬかと思ったぜ。
ゴメンゴメン。
ま、だからこうやって町を転々としてきたんだ……そんでやってきたのがこの町だったわけだ。
そういえば大体のことはここで学んだっけ。
風呂とかカラオケとかここで覚えたもんだ。パブにもこっそり行ったし。
ん?
あ……なんでもねえよ。
あと漢字とか英語もここで覚えた。近所の兄ちゃんのお古貰って。
お前覚えるの早かったもんな、特に英語とか理系科目とか。地頭がいいんだな多分。
そうか?
ああ、なんなら家庭教師とかやってみるか?儲かるぜ?
やだよ、めんどくさい。
なあヒロトー。あたし達の初めて……覚えてる?
初めて会った時のことか?
ちげーよ…………セックスの方だよ。
…………覚えてるよ、寧ろ忘れられっか。
確か13の時だっけ……ありゃあ痛かった。
ああ、お古の教科書の知識でやった結果があの有様だ。おめーも泣き叫んで大変だったぜ。
血ー出るわ痛いわでもう散々だった。
俺はあのまま竿がもげるかと思ったぞ。
こっちは身体が裂けるかと思ったわ。
…………今思えば随分と慣れたもんだ。
なー。最初はコンドーム付けるのも手こずってたし。
酷い時には中でコンドームが抜けてそのまま垂れ流しなんてこともあったな。
あとは連続で強く擦りすぎて破れて中身出ちゃったりな。
よく今まで妊娠しなかったもんだ。
…………なあヒロト。
?
もしよ……赤ん坊、できたら……お前、どうする?
なんだよいきなり。
もしもだよ、つけてても最悪の事態が起きることだってあるだろ。
…………そうだなぁ……とりあえずここから出て、どっか遠くの山か海にでも住みたいな。
……離れんのかよ、この町から。
雅夢は嫌なのか?
…………あたしは嫌だな、折角住み心地がいいんだ。町の色が変わるまでここで生きていきたい。
…………そうだな……ここは空気がいい。
ここでなら餓鬼もいい子に育つぜ…………きっと。
──────────────────
〜〜♪
ヒロトと雅夢がセックスを始めてから数時間後、廃墟ビルの外に取り付けられたスピーカーから『夕焼け小焼け』のメロディーが流れていた。
「…………んあ……なんだ、もうこんな時間か……」
薄暗い部屋の中、ヒロトはソファの上で目を覚ます。
彼の隣には、裸の雅夢が寝息を立てながら寄り添うように眠っている。
「雅夢ー、起きろー。もう夜だぞー」
「ん…………んん……あれ、ヒロト……」
雅夢は寝ぼけ目でヒロトを見つめる。
寝起きのせいか、ウェーブがかった癖毛が垂れ下がっている。
「もう夜?」
「というより夕方だな」
「…………あー、寝ちまったのか」
雅夢は目を擦りながら、身体を起こす。
「クンクン……うわ……」
「生ぐせー……」
2人は互いの身体の臭いを嗅ぎ、その生臭い悪臭に顔を歪ませる。
特に雅夢はコンドームを付けずにそのまま中に出したため、ヒロトより臭いが酷かった。
「しゃあね、銭湯行くか」
ヒロトは立ち上がり、天井に吊るしてある豆電球のスイッチを入れる。
部屋の中は豆電球の白くて弱々しい光に照らされた。
「雅夢ー、着替えとバスタオル持ってけよ」
「はーい」
雅夢もソファから立ち上がり、2人は脱ぎ捨てた衣服を再び身に纏い、タンスに閉まっておいた着替えとバスタオルを取り出す。
──────────────────
「へくしょん……寒……」
「ここいらも寒くなったもんだ」
「この前まで半袖で過ごせてたのになー」
「そりゃあお前だけだ」
夕方、日が沈み薄暗い紺色の光が町中を照らす中、やや厚着姿のヒロトと雅夢は寝癖を跳ねさせながら、片手に着替え一式を持って並んで歩いていた。目的地は近くにある銭湯である。
ヒロトと雅夢が住処としているこの町は、都心部からかなり離れている地域にあり、昔ながらの一軒家やアパートが多く立ち並ぶ。
また、居酒屋やスナック、異国のパブから小さなおもちゃ屋、駄菓子屋まで、この町に住む住人が生まれてから大人になるまで一生を過ごせる店達が住宅の間間に並んでいる。
近くに電車が走っているものの、単線なうえに無人で活気もないためか、町は驚くほど人気がなく静かである。
「「ふぁ〜……」」
セックス後の疲れのせいか、寝足りないのか、2人は共に欠伸をこいた。
「よぉ、相変わらずラブラブだなぁ」
近所の公園でいつも飲んだくれているおっさんがいつものように2人を揶揄う。
「揶揄うなよおっさん」
「1発やったか?」
「竿切るぞクソオヤジ」
「口悪いなぁ、たく」
おっさんは口角を上げ、酒を口に流し込む。おっさんもこの町の住人であり、この近くにあるアパートに住んでいる独り身の男である。数年前に退職して以来、こうして公園で飲んだくれているのだ。昔は昼間にも訪れることはあったが、ご近所の保護者達から子どもが遊ぶ時間は避けて欲しいと言われたため、こうして暗くなった時間帯に飲んでいるのだ。ちなみに、アパートにいる時は寝ている。
「幸せそうだなぁ、あのおっさん」
「本人があれならそれでいいんだろうよ」
「ヒロトは将来酒飲もうと思う?」
「コンドームよりかは安いけどわざわざアルコールを身体に流し込みたくはねえな。お前は?」
「あたしもいいや。そんなんよりジュース飲みたいぜ」
おっさんを横目に、2人は銭湯へ向かって歩き出す。
「じゃあなー、風邪ひくなよー」
「おう、せいぜいイキってろよ、若造」
「別にいきってねーよ」
2人は適当に言葉を返し、その場を後にする。
「イキるなんてもんは若いうちにしか出来んのさ」
2人に聞こえないような小さな声でおっさんはそう呟いた。
「いくぜー!」
「「おー!」」
しばらく進むと、道の途中で叫び声を上げる3人組が目に入った。冬なのにも関わらず、全員半袖である。
「あ、三馬鹿トリオ」
「まーたくだんない映画とってんのか」
彼らは駅付近に住む高校生であり、おっさん同様この町の住人である。
いつも3人揃って馬鹿をやらかしているため、ご近所さん達からは三馬鹿の愛称で呼ばれている。ちなみに馬鹿をやらかすと言うが、窃盗や盗撮と言った犯罪ではなく、空を飛ぶ羽を作って飛ぼうとして川に落ちるやら、E〇を再現しようとして自転車ごと川に落ちるやら、川のぬし釣りをしようとして逆に川に引きずり込まれるやら、そういった類のものである。
今はとある映画を視聴した影響で、映画制作にハマっているのだ。
「そう言えばお前、あいつらにヒロインやって欲しいとか言われてなかったか?」
「めんどくさいから断ったわそんなもん」
「そうか」
「なんだなんだ?もしかしてあたしの映画、観たかったのか?」
雅夢は山吹色の瞳を細めながら、意地悪そうに笑う。
「ああ、観てみたいな」
「………………」
しかしヒロトは恥ずかしがることも無く、堂々と応える。
その応えに雅夢は一瞬真顔になり、すぐさま顔を逸らす。
「どうしたんだ?」
「な、なんでもねえよ…………」
「なんで顔逸らしてんだ」
「うっせ」
ヒロトと顔を合わせようとしなかい雅夢。
その頬は、秋に咲く紅葉のように赤く染っていた。
──────────────────
「…………なあ、ジャッパ」
「……うん」
「ここ、最寄りの駅じゃない……よね?」
「…………うん」
「じゃあどこ」
「…………終点の……前の前の前」
「……まじかぁ」
薄暗い夜に光を灯すとある無人駅、私服姿のマガジャッパとマガバッサーは、荷物を抱えたまま改札口で茫然としていた。
「いやさー、寝過ごすことはあるよ……ただ路線変わるまで気づかないのって……ねえ?」
「わ、私に聞かれても……」
そう、2人は帰りの電車で寝過ごしてしまったのだ。しかも1駅2駅どころの騒ぎではない、普段は行くはずもない田舎の駅まで寝てしまったのだ。
「次の電車は?」
「えーっと……あ、あと1時間もある」
「マジか……」
2人は目の前の現実に俯き、絶望する。
「しゃーない、ここら辺で時間潰すかー……なんかある?」
「えっと……あ、少し歩いたところに銭湯があるって」
「銭湯かー、行ったことないんだよなー」
「そうなの?」
「うん、ジャッパは?」
「私は何度かあるかな。仕事終わりとかに結構」
「……よし、暇だから行こっか」
「うん」
ジャッパとバッサーは荷物を抱え、目的地である銭湯をめざして歩き出す。
旅は気のまま、1時間も暇があるのなら、ゆっくり湯に浸かりながら待つのもまたいいだろう。
「あー、寝違えて首痛い……にしても今日の先輩、いつもより一段と怖かったなー」
「あの雅夢さん?の話を聞いてからやけに不機嫌になったね」
「そりゃあ長年カモにされてればなぁ」
雅夢が去った後、2人はエレキングから道路の破壊についてこっぴどく叱られた(ジャッパは巻き添えである)。それだけならまだ良かったが、雅夢の話を聞いて、彼女は一段と不機嫌になってしまったのだ。八つ当たりをしなかったその心構え、流石は先輩怪獣娘と言ったところだろう。
「まあ千円札取られなかっただけでもまだ良かったな」
「でもここまで来ると定期外だから帰りの分で無くなっちゃう……ん?」
「どうした?」
ふと、ジャッパは足を止めて、店のシャッターに貼られた何やらポップなポスターを見つめる。
「なんだろう、これ」
「えーっと …………FU〇K…………ダメだ、落書きされて読めない」
「ちょ、ちょっと。そんな言葉言っちゃダメだよ」
下品な言葉を吐いたバッサーに、ジャッパは顔を赤くする。
どうやら、何処かの団体が撮影した映画の宣伝ポスターだったらしい。
「面白いのかな?」
「絵面とタイトルからして面白そうだけど……」
「よし!見に行こうぜ!」
「もう上映時間過ぎてるよ」
「……あ、ほんとだ。なんだーつまんない……」
ポスターには映画の上映時間は夕方5時までと書いてある。今はもう5時半前、残念ながら今日の分は終了してしまっているのだ。
「……いくかー、銭湯」
「うん」
2人は再び歩き出す。
「……お、あれかな?」
「多分あれだね」
数分後、とある建物をバッサーが指さす。
それはやや横広な建物であり、大きな煙突が突き出ていた。これこそ2人のお目当て、銭湯である。
「へー、これが銭湯かー」
「ちょっと小さめなんだね」
2人は顔を上げて、銭湯の看板を見上げる。
「ヒロトー!早くしろよー!」
「へいへい」
ふと、反対側から青年と少女が歩いてくる。
「「…………あ」」
「んー?…………あ」
ジャッパとバッサーは少女と目が合い、
「「あぁぁぁぁー!!」」
その正体に思わず声を上げる。
「あんた!あの時の!」
「お金ドロボー!」
「なんだ、誰かと思ったらあの時の新人かよ」
反対側から歩いてきた2人組、その正体はヒロトと雅夢であった。
「知り合いか?」
「ほら、シャドウ潰した時に討伐代貰ったっていったじゃん?そのお金くれた2人」
「あげてません!」
「返せ!私の万札!」
バッサーは威嚇顔、ジャッパは涙目で雅夢に詰め寄るが、雅夢は表情1つ変えず、2人を見る。
「あーこらこら、そんな喧嘩してたら『うるさいよ!喧嘩するなら他所でやっておくれ!』……ほら怒られた」
突然、銭湯の入口の中から女性の怒鳴り声が響く。
「な、なんだ?」
「あーあ、まあいいや。ほらいくよ」
「え?ちょ、ちょっと」
「なんだよ?風呂入りにここ来たんじゃねえの?」
「いや、入りには来たんですが……」
「じゃあさっさと行くぞ」
「ちょ、押すなよ!」
雅夢はバッサーとジャッパの背中をぐいぐい通しながら、銭湯内へ入っていく。
「ヒロトも来いよ!」
「へいへい」
ヒロトは呆れつつ、3人の後を継いていくように中へ入る。
──────────────────
カポーンッ
「ふい〜……気持ちいい」
「「…………」」
場面は変わって銭湯内、そこには多くはないが、この街に住む数人の女性と幼女が身体を流している。
そんな彼女達を眺めるかのように、雅夢とバッサーとジャッパの3人は湯気がもくもくと出ている浴槽に肩まで浸かっていた。勿論、3人とも身体は既に流している。
「どうよ、気持ちいいか?」
「…………は、はい……」
「まあ…………うん」
「……んで、なんであんたらこんなとこに来たんだよ?まさかここいらに住んでるわけねえよな?」
「あ、アンタには関係ないだろ……」
「ちょっと寝過ごしただけで「こら!」あ」
「ぷ……あっはははは!」
思わず真実を漏らしたジャッパの言葉を聞いた雅夢は、吹き出すようにゲラゲラ笑う。
「な、なんだよ!別におかしくねえだろ!」
「いやー悪い悪い、なんか昔のこと思い出したもんでよ」
「昔?」
「ああ、あんたらと同じで疲れて寝過ごしてこの町まで来ちまったGIRLSの野郎のことさ」
「私達と同じようにここに来た人が?」
「ああ、確か名前は…………エレキギターとか何とか言ってたっけ。そいつには飯奢って貰ったりしてたからなー、名前忘れたけど顔と姿だけは覚えてるぜ」
「…………もしかしてピンクっぽい長髪で胸が大きくてメガネかけてる?」
「お、当たり」
雅夢の言葉に、2人はエレキギターの正体について察した。
「どうした?」
「いや……」
「なんでもありません……」
しかし、そのエレキギターの正体が自分達の先輩などと言えるはずもなかった。
「…………にしても」
むにゅっ
「ひゃっ!?」
「はん!?」
雅夢は2人の脇に腕を通し、豊満な胸を同時に揉む。
「あんたら胸でけーなー、しかもマシュマロみたいに柔らかいぜ。うりうり!」
「や、やめてくだ……ん」
「そ、そんなとこさわ……あん」
「いいじゃねえかぁ、減るもんじゃねえんだから」
雅夢のテクニックに、2人は思わず甘い声を出してしまった。
『おいこら変態、そんなの風呂場でやんな。ガキもいんだろうが』
「うっせー、変態には言われたくねえよ」
壁越しにヒロトに注意された雅夢は2人の胸から手を離す。
この銭湯の壁は天井まで仕切られていない。そのため、騒げば男湯女湯両方に丸聞こえという訳なのだ。
「(うわぁ……)」
「(変な声……出ちゃった……)」
2人は先程あげてしまった喘ぎ声に羞恥心を感じ、顔を赤く染める。
「(ま、エレキギターの方がもっと柔らかかったけどな)」
一方、雅夢は前に触ったエレキギターの豊満な胸の感触を思い出していた。
場所は変わって男湯では、ヒロトが広い浴槽の中、身体を伸ばしながら胸あたりまで浸かっていた。
こちらでは蛇口前で幼い兄弟が互いの身体を流し合っていたり、中年の男性が湯に浸かりながら歌を熱唱していた。
「たく、雅夢の野郎……相変わらずからかってやがる」
「いいじゃないか、あれがあの子なりのコミュニケーションよ」
雅夢のからかいに呆れているヒロトに、横から1人の男が声をかける。
彼はこの銭湯の常連であり、ヒロトと雅夢がこの町に来てから何かと世話になっている一人暮らしの老人である。
「確か前もやってなかったのー」
「あのOLみたいな女のことか?」
「よく覚えてるな」
「まあまあなべっぴんだったからなぁ」
「そんなこと言ったら雅夢がまた拗ねるぞ」
以前、雅夢の言うエレキギターなる女がこの町に来た際、ヒロトはその容姿にまあまあ見とれていた。
それを見た雅夢はすっかり拗ねてしまい、その日は全く口を聞かなかったのだ(次の日には元に戻った)。
「……なあ、ヒロトや」
「んー、なんだ?」
「お前さん、このままずっとこんな生活続けるつもりかね」
「………………」
「お前さんとあの子はもはや一心同体、どちらかがかければ壊れてしまう…………特にあの子は強そうにみえて心は脆い、お前さんに何かあれば直ぐに沈むじゃろう」
「………………」
「…………いい加減、出るとこでないといかんのじゃないか?」
老人の言葉にヒロトは天井を見つめる。ヒロト自身、この老人の言葉の意味は理しているのだ。
「……なんてな、老人の戯言とでも受け持ってくれ」
「……あんたが心配する必要はねえよ、じいちゃん。俺達もう子どもじゃねえんだからよ……俺だって分かっちゃいるさ」
「そうか……ならいいんじゃが」
『お姉ちゃん達おっパイおっきー!』
『揉ませてー!』
『あ!こら!そんなに揉んだら……んあ』
『だ、ダメですよ〜、そんなところさわっちゃ……あん』
「あーあ、もうしらね」
「子どもと言うのはそういうもんじゃよ」
──────────────────
「はぁ!さっぱりさっぱり!」
「「………………」」
さらに時は流れ、雅夢達は脱衣場外に置かれたベンチで一息ついていた。
雅夢は生臭さがとれて御機嫌な一方で、バッサーとジャッパは幼女達からのボディタッチの嵐に疲れ果てていた。
「おつかれさん」
「おうヒロト、おつかれ」
男湯の脱衣場から出てきたヒロトが3人に声をかける。彼の右腕には、フルーツ牛乳と書かれた小さな瓶が4本抱えられていた。
「ほれ、風呂上がりの一杯」
「サンキュー」
「おわっと!」
「あ、危なかった……」
ヒロトは瓶を3人に軽く投げ渡す。
「んく……んく……ぷはぁ!やっぱ寒くても美味いぜ!」
早速蓋を開けて中をグイッと飲み干した雅夢は、おっさんのような溜め息を吐く。
「い、いいんですか?」
「奢ってもらうだなんて……」
「いいんだよ。それに今日は雅夢が迷惑かけたみたいだからな。貰ってくれや」
「は、はあ……」
「だーかーらー、あれは貰ったんだってば」
「「だからあげてないって!」」
「仲良いねえ、あんたら姉妹?」
「違う」「違います」
「ほらまたあった」
「(なんかこのネタ先輩にも突っ込まれたような……)」
雅夢のからかいに、2人は息のあったツッコミを返す。元の怪獣が兄弟姉妹のようなものなので、雅夢の言葉はあながち間違ってはいないのかもしれない。
「んく……ところであんたら、帰りの電車は?」
「え…………あ!あと10分で電車来ちゃう!」
「嘘!急がないと次までないぞ!」
2人は荷物を抱え、慌てて駅の方角にかけてゆく。
「あ!フルーツ牛乳ありがとうございます!」
途中ジャッパは振り返り、ヒロトに頭を下げると、再び走り始める。
「いやぁ、相変わらずGIRLSの奴って面白いのバッカだな」
「ああ、そうだな」
「しかもみんな胸でけえし」
「デカイな、お前よりでかい」
「……なんだよ、あたしの胸よりあっちの方がいいのかよ」
ヒロトの言葉に、雅夢はそっぽを向いて拗ねる。自分から話題を振っといてこの態度とは、随分と勝手である。
「……なあ雅夢」
「……なんだよ」
「……もしお前に執拗く手ーだしてくる男がいたら、絶対に言えよ」
「なんだよいきなり……」
「……俺がそいつをぶっ飛ばす」
「……んじゃ、もしヒロトが他の女に手ー出したら……あたしはおめぇをぶっ飛ばす。逆でも両方ぶっ飛ばす」
「おい、逆はせめて女だけにしろよ」
「うるせ、両成敗だコノヤロウ」
「うお、危ねぇな」
雅夢はヒロトに飛びつき、2人は仲の良い犬のようにじゃれ合う。
「(ありゃあ犬と言うよりも猫じゃな)」
そんな2人の様子を、老人は銭湯の入口から眺めていた。
──────────────────
「はぁ、はぁ…………何とか間に合った」
「う、うん…………」
電車が来る2分前、バッサーとジャッパは息切れを起こしつつ、無事に駅へたどり着くことが出来た。
「やべ、チャージすんの忘れてた」
「あ、私も」
2人は急いで鞄から定期券と財布を取り出す。
「……あれ、これって」
「……あ!あの時盗られた万札!」
2人が財布から千円札を取り出そうとすると、中には雅夢に盗られたはずの万札が入っていた。それも取られた金額と同じ額である。
「これって……ヒロトさん?」
「いや、状況的に雅夢さんじゃないかな?」
「いつの間に入れたんだろ…………」
「さあ……」
『まもなく、電車が参ります。黄色い線までお下がりください』
「あ、早くやらないと!」
「ああもういいや後で!向こう着いてからでもチャージ出来るだろ!」
2人は改札口を通り、急いで駅内に入る。
「…………なあ」
「?」
「……また来ようぜ。ここ」
「……うん」
バッサーの問にジャッパは頷く。
そして2人はヒロトから貰ったフルーツ牛乳の蓋を開け、
「「…………」」ゴクッゴクッ
中身を一気に飲み干す。
「「ぷはぁ…………美味しい」」