カドラプル・スタンド 作:デポジットカンチョー
ある秋の夜の事。大学の課題を終えた
「ん……」
きりきりと音を立てて、軽い金属の蓋が外れると、人差し指一つ分ほどの小さな瓶の口からふんわりと甘酸っぱい独特の芳香が漂ってくる。さらりとして癖が無く、腰の強さよりも爽やかさが先立つ故郷の
とくとくと音を立ててビードロの猪口に注げば、何処までも透明なそれは薄青色の酒器に染まり、掌にすっぽりと収まる程度ながら忽ちに部屋一面を満たす程の存在感を放つ。
「……」
お酒、特に日本酒は好きだが、延々と香りや雰囲気を楽しむ程上品な人間でもない
「♪~」
一息に飲み干した米酒は、ひんやりと舌に降り立つと、仄かな甘みと共に雪解け水の様にさらりと流れて後にはぽかぽかとした春の様な温かみを残していく。まるで、これからの四季の移り変わりを暗示するような掌の上の酒器という壮大な世界に、
「……」
と、そこ迄考えたところで余韻もそこそこに、さっさと次の一杯に手が伸びてしまう
「……ん?」
そして、
お猪口に口を付け、さあ待望の二口目をと冷酒が唇に触れた瞬間、唐突に
やがて、その一瞬とも永遠とも思えた光が消えた先には、
「……」
黒いまわしを締めた細身の女性が俯きがちに白い全身の肌を晒して、
「………………は?」
一瞬、状況が理解できず、長い絶句の末に
先の白光だけでも想定外。まして、消光と共に現れた光景が自室ではなく、ほぼ全裸の女性という時点で
「コウカ・ダイリ、合格! 次!」
「え? え?」
未だに混乱の最中に居る
◆
お互い、名乗る事も、また、それ以前に言葉を交わすこともなく通されたのは、今では日本でも中々目にすることのない、障子張りの一室だった。
するりと音もなく開け放たれた飾り気のない一室は、時代劇で見るような行灯の灯が灯り、そして、何故か中央に一枚の布団が敷かれていた。
「……」
気持ちを落ち着けるために、一先ず一杯呷った
それでも、気付けにはそれなりに役立ったのか、軽く舌を焦がしたそれに気を入れ直すのと、今まで自分の手を引いていた彼女、まわし姿の白い背中の女性が、徐にしっとりとまとまった髷の尾をしなやかに揺らしてこちらを振り返ってきた。
先の一瞬は全裸の上半身に気を取られて、この部屋に辿り着くまでの間は白い肩の背中と揺れる墨髪しか見えなかった為に気付かなかったが、やや伏し目がちにこちらを見返してくる彼女の顔は
切れ長な両目は流麗で、長めのまつ毛と女性にしてはやや彫りの深い目元をしていた。しかし、男性の様な攻撃的な印象は抱かせず、雪の様に白い肌や昨今の日本人では珍しい墨の様な手入れの行き届いた長髪、日本画などで目にする様な切り揃えられた公家眉に、形の良い鼻に乗せられた横丸の眼鏡も相まって、むしろ、非常に奥ゆかしく清楚な印象を抱かせてくる。但し、素肌とは一転して血色の良い口元は上唇が少しふっくらとしていて、何となく
「……」
だからだろう。内心、問いたいことは百も二百もあった筈の
暫し時間が流れた末に、目の前の彼女の方も
「僕はホウ。……ただの、ホウって言うんだ……けど。おにーさんの名前は?」
果たして彼女、ホウの口から出てきたのは楚々とした可憐な風貌とは裏腹に、年頃の女性にしてはかなり深みのある低い声と、貞淑な雰囲気とは真反対の、粗野というか、飄々とした雰囲気の自己紹介だった。
「
若干の虚を突かれた思いを抱きながら、
「クモツミキ……さんが名前で良いのかな、おにーさん?」
「んーん。
「ま、呼び方はお好みでどうぞ」と付け足した
「じゃあ、ホウちゃん」
「何……かな」
その言葉に頷いた
「取り敢えず、一杯どう?」
「……え?」
が、
差し出した
「ん、大分酒精が強いね」
「飲み口は良いんだけどね」
後口の熱さにそんな感想を漏らすホウに、
「ぼくが今ここに居る理由とかその辺、ホウちゃんは知っているって事で良いのかな?」
(ふーん……)
但し、その仕草の内に、一瞬、ほんの一瞬だけ負い目……の様な何か、若干の気が引けた様な感情が流れたのを
「それ、教えてもらっても?」
とはいえ、それを突いても今のところ何の益も無いとあっさり割り切り、それ以前にこの目の前の状況が現実であることには一切の疑念すら持たず、
「ん。分かったよ、おにーさん」
「取り合えず、座って話さない?」
と言ったのだった。
ホウの言葉に
「まず、おにーさんの最初の疑問なんだけど、ここはおにーさんの住んでいる世界とは完全な別世界だと思って欲しいんだ」
「ん。りょーかい」
意を決したように告げたホウの言葉に
「大丈夫大丈夫。理解できてるから。ここ、日本、いや、地球じゃないんでしょ? 夢かなとか思ったけど……ほら、ちゃんと痛いし」
そんな、ホウの様子に自分の頬を引っ張ってへらへらと笑う
「で、何で?」
「!?」
が、そんな、煩悶ともつかないホウの懊悩を引き裂く様に、
「……僕達が」
「?」
「僕達が……おにーさん達を召喚したから……かな」
そんな、
「ふーん……」
その答えを予想していたのかいなかったのか、
「目的は?」
但し、再び言葉少なな問いが投げ掛けられる頃には、既に
「……魔物退治」
「魔物退治?」
「うん、魔物退治……って言って、おにーさん信じる?」
果たして、ホウの口から出た耳慣れない言葉に
「信じないと話も進まないし一旦信じるけど、何、異世界の人間を召喚して、勇者と名付けて魔王と戦わせるみたいな事を考えてるの?」
そんな、ホウのしこりを、
「
が、そんな
「
そして、ぱんっと前まわしを叩くと、幾分か強い口調で言う。
「僕達、力士だよ」
と。
容姿に似合わないその言葉とその恰好の符合に、若干
「おにーさん達を喚んだのは僕達力士の
その、
「は? 化粧まわし?」
勿論、その言葉の意味を知らない訳ではない。が、どう見ても
「ホウちゃんはぼくが化粧まわしに見える視覚を持っているって事か」
「いや、そうじゃないからね?」
「この世界……僕達の世界ではおにーさんみたいに異世界から喚ばれた人達は化粧まわしに変身する力を持つんだ」
「また、変な能力だなおい」
そして、その真面目な表情から出てきた荒唐無稽な言葉に、
「っていうか、化粧まわしって……」
聞いたこともない、いや、それ以前に化粧まわしになって何の意味があるのか。首を捻る
「おにーさん達異世界の人達が変身した化粧まわしはただの化粧まわしなんかじゃなくて、僕達力士に特別な力を与えてくれるんだ」
「成る程」
そのホウの注釈に
ホウの口振りから推測するのであれば
「じゃあ、最後に一つ」
そこ迄思案をした上で、
「今までの説明は全て恫喝っていう認識で合っているかな?」
極めて直接的かつ、攻撃的な問いに一瞬ホウの切れ長の両目が僅かばかりではあるが丸く成り掛ける。
「え、いや、おにーさん?」
流石に、こんなにも唐突に挑戦にも似た質問を投げ掛けられるとは思わなかったらしく、ホウの方が言葉に詰まった様子で疑問符を浮かべる。そんな、ホウの疑問に答える様に、
「ぼくは今、現在進行形で君達に見ず知らずの地に呼ばれていて、生活基盤が存在しないんだよね。お金の価値どころか、何を食べられて何を食べられないのかすら分からない訳で。この状況で生活基盤を盾に命令されたら絶対に断れないよなーって」
「う……」
言葉に詰まるホウに視線を向けず、
「しかも、ホウちゃんの言う魔物っていうのがどの程度危険な物なのかも分からない中で、その辺を説明する気はないでしょ? もし魔物の実物を見せたら、魔物と人間とを天秤に掛けて、人間と戦う可能性があるくらいには危険なはず」
「でないと、こんなリスキーな人間を呼んでくる理由が存在しないし」と
「……」
「で、実際どうなの? ぼく、お為ごかしとか嫌いなんだよね。嘘くさい善意よりは正直な悪意の方がマシって思うくらいには。どっちも敵だけどさ」
そう言って、けらけらと笑った
やがて、
「? どうかした?」
「……」
首を傾げる
「ぁ……ぃぃ……」
酒精で熱を持った
その声に、一瞬「ん?」と首を傾げる。空耳か、はたまた酔いが回り過ぎたかと思った
(そういえば、"達"って言ってたっけ)
同時に、先のホウの説明に得心する
「ハニートラップって奴か」
生活基盤が一種の恫喝の種なら、目の前の彼女は懐柔の種なのだろう。
ホウの美貌と身を乗り出した際にゆっさりと揺れた乳房に気を取られながら、
そこまで考えたところで、
◆
室内に響く、くぐもった吐息の音に耳を澄ませながら、
そも、ホウがハニートラップを任されている人間なのだとしたら、性行為に巧みというのは別段おかしな話ではない。処女を守らせるために破瓜を経験していない可能性や、実際の交合で稚拙な面が出る可能性はあるものの、こういった前戯が下手ではそもそも色仕掛けは成立しないのだから。
が、今のホウの性技はそんな
初めはキスからでも入るのかと思った
確かに、身体的特徴を考えれば、最も男性をそそらせるのはそこだろうが、意のままに繰れる舌や手ではなく、
次いで始められたのは手による男性器への愛撫で、これが妙に荒っぽい。が、性行為への嫌悪感からくる荒っぽさとはまた違っていて、雑に機械的な動きではなく、むしろ巧みな程に
「ん……」
先の誘い方も含め、妙にぎこちなさや拙さが目立ったにも拘らず、やけに巧みなホウの手淫は
「……その」
腰ほどまである長髷を揺らし、恐る恐るといった風に見返るホウの視線が
「んー……」
その言葉に、徐に手を伸ばして雪の様な臀部に触れると、爪先と両拳でカエルの様に敷布団に座ったホウがピクリと白い肩を揺らした。彼女の白い肌の手触りは初雪の様にさらさらとしていて、時折強く揉むとふにゃりと指が沈みながら、途中で強い肉感に押され、両掌に強い存在感を見せてくる。
耳を赤く染めてフルフルと愛撫に耐えるホウの背中を眺めながら、一頻り感触を楽しんだ
「あっ!?」
同時に、強く揉まれた乳の感触に、細身の女力士は小さく悲鳴を上げた。
そんな、女力士の反応を楽しみながら、すっとまわしの前、彼女の前袋を
時折、立てまわし越しに臀裂に男根を擦り付けながら、しばしそうしてむつみ合っていた
果たして漆黒の鎧の奥から現れた柔肉は彼女の肌同様薄い色をしていて、一目で処女のそれだと見て取れた。だが、まわしとの間でねっとりと引く透明な糸を見れば、その楚々とした秘裂が見た目以上に淫靡なそれである事を何よりも雄弁に物語っていた。
それを確かめると、
「んっ!? ……くぅ……」
その瞬間、切れ長の両目を大きく見開いたホウの悲鳴がその白く細い喉を僅かに震わせる。同時に、布団に突いた両拳をぎゅっと固めて、意外に長い犬歯を剥き出しにしながら歯を食いしばった。そして、その様子をじっと眺めていた
「ホウちゃんって……本当に女の子?」
先程から湧いては消えていた疑念を、とうとう確信をもって口にしたのだった。
「!?」
「なん……」
「え、まさか本当に?」
絶句し、それでも必死に口を開こうとするホウの姿に、確信を持ちながらも何処か自身の考えを否定していた
片や驚愕、片や呆然といった態で見つめ合った二人。先に口を開いたのは観念とも諦念ともつかない表情になったホウの方だった。
「おにーさん……正解」
そして、
「僕は……男だよ」
楚々とした美少女には似合わない、卑屈で皮肉気な笑みを口元に浮かべたのだった。
流石に、そのまま交合を続ける気にもならず、身体を離しあった
「表向き志願制ってされてるんだけど、数合わせの為に実質的な平民の徴兵が行われてるんだ」
「ま、だろうね」
ホウのその言葉に
「けど、そんなことばっかりやってたら、平民に対して示しがつかないだろ?」
「それも、そうだろうね」
白いなで肩を竦めるホウに、
「だから、貴族からも何人かがくじ引きで自分の係累から年若い女性を力士として出すことになってるんだけど、それが当たったのが僕の両親だったんだ」
そう言って、嗤ったホウは自嘲するように「いや、
「僕の実家には妹が居て、本来ならこの妹を力士として出すことになる筈だったんだけど、これが僕とは違って桁違いに優秀でさ、十を超える頃にはもう領内の政治に口を出して、家臣の中にも自分の親派を作るくらい出来星だったんだ」
「……」
「だから、今回の件があった時、その親は慌てたんだよね。僕なら兎も角、あれを失う訳にはいかないって、僕なら全然問題ないのに……ってさ」
「だから?」
「うん」
「出来の良かったあれを手元に残すために、あいつらは僕とあれの精神を入れ替えて、あれの身体に入った僕の魂を突き出すことに決めたんだ」
自身の肉親を"あれ"と吐き捨てたホウの鋭い両目に、仄暗い愉悦が混じったのを見て、
(となると、さっきのコウカ・ダイリっていうのは
自身の身の上を、怨念混じりに吐き出したホウが少し疲れた様に「ふぅ……」と溜息を吐いて「それでさ」と、顔を上げた。
「おにーさんはどうする?」
その問いかけに、
「このまま、僕と最後までセックスするのか、それとも僕以外に誰か呼ぶのかって話」
「え、チェンジ出来るの?」
「うん」
内心、この色仕掛けが少なからず力士と化粧まわしを共依存状態にする意味合いもあると思っていたこともあり、別の第三者に枕営業を引き継げるという話に
「え、じゃあ、何で一回受け入れたのさ」
同時に、自分だったら絶対にしないだろう行動に僅かに目を丸くする。それに対するホウの答えは「必要だからさ」だった。
「確かに男だって好みはあるし、喚んだ力士よりも別の女性とセックスしたいって場合もあるだろうけどさ、基本的には召喚した力士との性行為を推奨しているんだよ。やっぱり、土壇場で力士と化粧まわしの息が合ってないっていうのは国としても困る話だしさ」
「関取の力は力士と化粧まわしの乗算って言われているしね」と付け足し、ホウはまた軽く肩を竦めた。
「一応、僕が言うのもなんだけど、客観的に男としての意見を述べるなら、これは顔も良かったから、特に理由もなく化粧まわしの人が交換を要求したなんて報告しても説得力が無いんだよね」
「ああ、それは確かにありそう」
ホウの説明に、
「後の半分は義理立て……いや、贖罪かな」
「贖罪ね」
「うん」
「おにーさんが言った通り、この召喚は結局のところ、攫ってきた人を奴隷兵士にして使い潰すだけだからね。いくら戦うのが僕達力士であっても、元々の生活を奪っている事実は何も変わらないし、それを盾に異世界の人を従わせているのもまごう事無き事実だから……さ」
「流石に、ここまで顔の良い花魁は中々抱けないし、僕からのせめてもの……ね」と締めて、ホウはもう一度皮肉気に口角を持ち上げた。
「と、いっても、中身は正真正銘の男だからさ、おにーさんが忌避感を覚えるのも当然だと思うし」
「見破られなかったら最後までやってたんだけどね」とホウは肩を竦める。
そんなホウの言葉に納得半分、苦笑半分に頷きながら、「で、どうする?」というその視線に、
「全く問題ないんだよね」
果たして、その答えは「このままで」の一言だった。
「本気で?」
そんな
「ホウちゃん……ホウくん? の言う通り、今の顔は普通に美人だし、加えて言うならぼくもほんの少し前、具体的にはホウくんに入れる直前までは童貞だったからね。正直、がっつり刷り込みをされちゃった感はあるよね」
そう言って、肩を竦める
「男なんてそんなものだよね」
「まあ、確かにな」
この辺の感覚は、自分も男だったから理解できるのか、
「むしろ、ホウくんのせいで、大分性癖が歪められた事の方が男としては大問題な件について」
「それは本気でごめんなさい」
そして、からかうように、
「という訳で、続けても良いならゴンドラ最後まで遠慮なくやっちゃうけど、ホウくんの方は大丈夫?」
一応、最後にもう一回だけ確かめると。「勿論」と頷いたホウが眼鏡越しにはっきりと意思を乗せた視線を投げ返してくる。
「僕はおにーさんの相手をする義理も義務も責任もあるし、何だったらおにーさんならそう悪くもないかなって」
「滅茶苦茶するわけでも、僕を無闇に傷付ける訳でもないしさ」と続けた言葉の裏には、何となく
「あ、でも」
ど、そこで、ホウが思い出したように声を上げる。
「一つだけ希望を聞いて貰えるなら、正面からは勘弁してもらえると有難いかな。その……やっぱり、色々とさ」
申し訳なさそうに呟くホウの言葉に、直ぐに理解が及んだ
「了解。確かにきついよね。ホウくん、身体は女の子だけど、心の方は男の子な訳だし」
女性と違い、身体は兎も角、精神は同性のホウの気持ちは同じ男性として手に取るように分かる。いくら、自分で納得しているとはいえ、真正面から男とキスをするのは、肉体的には負担が無くとも、精神的にはセックスよりもハードルが高いのは
「じゃあ、さっきの体勢になって」
「りょーかい」
頷いた
「じゃ、いくよ?」
ホウが再びこくんと頷くのを確かめると、
「っ!? くっ……」
挿入した瞬間、その感触にびくっと小さな肩を震わせたホウがふるふると全身を強張らせて、その感触に歯を食い縛る。一瞬、破瓜の痛みがぶり返したのかとも思った
「ん……」
そうなれば、後は躊躇う事もなく、
「んっ……くっ……」
ぎゅっと夜具を握り、時折嫌々をするように首を振るホウの仕草に情欲を掻き立てられた
「ふぁ!?」
その不意討ちに、ホウが可愛く、それこそ女の子のような悲鳴を上げた。
「……」
「……な、何だよおにーさん!」
そして、そんな気恥ずかしさを誤魔化すように、怒ったように声を上げるホウ。そんなホウに少し首を傾げた
「可愛いよね」
「んなっ!?」
その感想はホウを貶める意図も無ければ、嘘偽りもない正直な感想だったが、言われたホウからしてみれば男としての沽券に拘わる言葉だった。
「んくっ!?」
直後、股座を襲った強烈な快感に、今度は
「おにーさんもカワイイじゃん」
突然の快楽の波に、ブルブルと両足を震わせて何とか暴発を耐える
「ひうっ!?」
「くっ!?」
そんな、ホウの態度に対抗心を燃やされた
最早、初めてのセックスの甘い色は無くなり、二人の間にあったのは、お互いの身体を使ってふざけあってるような、そんな遊戯のような性行為だった。
「ふあっ!?」
「っつう!?」
「ホウ……くん!?」
「おにー……さん!」
結末はどちらからだったか、快楽の応酬に次ぐ応酬の末、不意に投げ合った快楽が二人の許容量を越えたのだった。
それは、まるで酒を注がれ過ぎた酒器のように分限を越え、一気に外に溢れ出ていく。
「ん、くぅぅ……!!」
「ぐっ!?」
くぐもった吐息と共に、
やがて、びくびくと痙攣を繰り返していた
「……どうだった?」
やがて、思い出したように、そう尋ねた
「さいこーだったよ」
と、笑ったのだった。
「そか」
その表情は、女性経験の乏しい
「なら、良かった」
今まで見てきたどんな女性よりも、可憐で可愛らしく見えたのだった。
◆
一通りの性行為を終えて、どちらともなしに肩を並べ合った
「僕は……さ」
そして、互いの話のネタも尽きた頃、不意に此までとは違う真剣な声音でホウがぽつりと呟いた。
「妹や実家に目にもの見せてやりたいんだ」
その一言が闇夜に溶けると、ホウは堰を切ったように言葉を紡いで止まらなかった。
「今更、家に戻りたいとも、貴族の当主に成りたいとも思わないけど、あいつらを後悔させて絶望させてやりたい。あいつらが僕に縋って来るところを蹴落として、ざまーみろって言ってやりたい」
その口から出た怨念と、それ以上に感じる屈辱に、
「君も、どん詰まりか……」
やがて、そう納得した
「ぼくも、ホウくんの国が嫌いなんだけどさ。それこそ、全員死んでも別に良いやってくらいに」
人の日常を奪って、更に人身御供を差し出して、その上で猿を回すように飴と鞭で好きに使おうとする姿には吐き気すら感じる。
「機会があれば、ぼくは躊躇しないけど、それでも良い?」
それはつまり、取り返しのつかない状況になっても良いのかという、根本的な問いだった。
果たして、そんな、
「うん」
あっさりと首を縦に振ったのだった。
「……」
その切れ長の視線を眺め、そして、その内に嘘偽りが欠片もないことを確かめた
「じゃあ、それまで宜しく……かな?」
そして、疑問符混じりにそう告げると、
「うん」
此からの相方、いや、むしろ共犯者であるホウは心底楽しそうに、にっこりと笑ったのだった。
進行中のシリーズ放って何やってんだ案件です。ごめんなさい。
けど、まわし系ヒロイン書きたかったんや!
後、むらっとしていると、何故か本編進まないんですorz
取り合えず、楽しんでいただけましたら幸いです!