白く甘やかな花泥棒 作:つまるところ全部ホモでは…?
少年は学校卒業を待たずして魔道部隊の勧誘を受け、入隊後すぐに頭角を現した。
天才的な戦闘センス。勘。見出されていた原石は磨くまでもなく実戦でも通用し、少年の受け持った案件は驚くべき早さで消化されてゆく。
術の才能は水属性に偏重しており、柔軟な氷結術は捕縛・無力化に特化している。音もなく静かに一人ずつ敵を絡め取る氷の蔦は貪欲に成果をもぎ取っていった。
何よりも少年の指揮能力と、独特なカリスマ。
彼の細い声一つで一糸乱れず行動する優秀な配下により、部隊は少年一人だけでなく、全体として見事な連携と精強さを発揮している。
同規模の部隊とは比べものにならない数多くの成果と活躍は、少年の多少の「わがまま」を押し通せるものであった。
「はぁ……」
早朝、グレンはため息をつく。
思い出すのは昨日の痴態。自分よりいくつも下の少年にいいように弄ばれ、襲われ……精を絞り尽くされた記憶。
身体は重だるく、湯浴みしたというのに未だ少年の淫らな香りが染み付いているような気がしてならない。そして昨日を思い出すと……性懲りもない自分の半身が、僅かに反応してしまう。
「くそっ……」
少年は色狂いだった。
噂としては配置換えされる前から聞いていたのだ。彼の部隊は顔の良い男ばかりを集めていると。そのような趣味があるのだと。
自分はそうはなるまいと思っていた。男相手に勃つわけもないと。いざとなれば抵抗でもなんでもできるのだと。
だが、グレンは堕ちた。少年は男と呼ぶにはあまりにも美しく、蠱惑であった。
少年が甘えるように腰をくねらせるたびに、遊ぶように乳首に爪を立てるたびに、グレンの抵抗心は表に出る前に萎れ、代わりに情欲が燃え上がってしまう。
結果が、ベッドで何度も誓わされた忠誠の言葉だ。
それは気の迷いだったと言い張ることもできないほどに重ねられた、執拗な主従契約。
もう、グレンは少年に逆らえない。
既に一日身体を重ねただけで、下半身は彼に従属してしまった。
「はぁ……」
これからも淫乱な少年の性処理役としてやっていかねばならないのだろうか。
グレンはこれからの日々を思って憂鬱になった。
が、少年の部隊での生活は、彼が案じていたような退廃的なものではなかったらしい。
「遅い。グズグズしすぎ。やる気あるんですか? 実戦でその動きをするつもりですか? もうおじさんになっちゃいましたか?」
演習場を駆け回る若い男たちの群れに、仮組みした櫓から少年の悪態が飛ぶ。
かれこれ数時間、若い男たちは演習場に作られた多様なアスレチックの中を延々と走り回されていた。
「おじさんじゃないなら動いてくださいね。ほら次路地裏コース、進路変更。それで犯罪者を追えるんですか? 逃げられて良いんですか?」
時に泥まみれの悪路を、時に狭い木組みの中を這うように進む。
ひっきりなしの重労働と、僅かな休憩。それは以前の部隊ではそれなりにハードな任務をこなしていたグレンをしてキツいものであった。
グレンは同じ部隊の顔ぶれを見た時、彼らも自分と同じ少年の玩具なのだろうと思っていたが……実態はこれだ。
顔や下半身だけのお飾りではない。少年は色狂いではあったが、やるべきことは人並み以上の熱意で取り組んでいたのである。
「はい次術無し組み手。ぼんやりしないでくださいねー。死にますよー。実戦じゃ休憩なんてくれませんよー」
最初は魔術を使った戦闘訓練。次は持久訓練。さらにそのあとはヘトヘトな身体を無理やり動かしての極限状態での組手だ。
元々が魔術によってのし上がってきた男たちは、精強そうな見た目の割に体力と近接戦闘術に難がある。少年が言うには、それを少しでも補うためのメニューなのだという。
「他の軍じゃ普通に魔力で強化して行軍するんですよ? 特殊部隊のあなた達がそれに追いつけなくてどうするんです? 恥ずかしくないんですか?」
魔術専門の部隊なのでお門違いではあるのだが、そうあからさまに比べられては悔しさも出てくる。
男達は自棄っぱちな雄叫びをあげながら、最後の訓練に死力を尽くした。
「筋肉ダルマは趣味じゃないけどぉ……どうせ抱かれるなら、ちょっとは逞しい身体の方が良いなぁ……ほら、もっと鍛えて!」
「おおおおっ!」
言うまでもなく、部隊員達は既に全員もれなく少年に絡め取られている。
訓練後は待機という名の休息だ。
任務の中には潜入や潜伏も珍しくはないので、身だしなみを整える意味でもこまめな入浴は義務付けられている。
術によって水を出せば身を清めることも可能だが、訓練後はそんな水の一杯も出せないほどに疲弊している。
彼らは思い思いの時間に演習施設の入浴場へと向かい、束の間の癒しに浸かるのだ。
「ふぅ」
その日のグレンは演習場の整備や片付けを担当していた。
なので他の者よりも遅い時間の入浴となる。既に外は暗く、山奥に作られた演習場故に、辺りの自然からは動植物の気配が感じられる。
入浴場は辺鄙な場所に作られたものにしてはそこそこの広さがある。
グレンが訪れた時は10人がゆったり入れるその風呂場がに誰もいなかった。
ほぼ貸切の入浴場だ。まだまだ新入りなので新たな仲間とのんびり語らいたいような気持ちもあったが、これはこれで役得であろう。
「あー、溶ける……」
身を沈めれば、その日の過酷な訓練がどす黒い色になって溶け出しそうになる。
実際は訓練後に隊長直々に「風呂を汚されたくないから」と冷たい魔法水を浴びせられているので、それほど汚れは出てこない。あくまで感じ方の問題だ。
「あら、グレンさん居たんですか。ボクだけだと思ってたのに」
「!」
背後からの艶やかな声に、グレンは思わず風呂の中に沈んだ。
ざばりと立ち上がって振り向くと、そこにはやはり彼が立っている。
まとめ上げた紺の髪。小悪魔な笑み。そして湯煙の中でより悩ましげに白っぽく浮かんでいる、傷ひとつない乙女の如き柔肌。
「た、隊長……」
「いいですよそのまま入ってて。もうすぐお湯止めちゃいますし。一緒に入りましょう?」
そう言って、少年はわざわざ広い中でグレンの真隣に腰を下ろす。
正面から見るとかろうじて男だとわかる腰付きも、横から見ると豊かな尻肉もあってか女のようにくびれて見える。
疲れ切ったグレンの股間は、無意識に半勃ちになっていた。
「あっ……ふふ。同じ男同士でお風呂に入ってるだけなのに、どうしてこんなふうに元気になっちゃってるんですか……?」
「こ、これは、そのっ」
「変態さんですね?」
「う、あっ」
グレンの内腿に手が伸ばされ、そっと触られる。
竿には触れないが、ひどく近い距離。敏感な皮膚に対する愛撫のような手つきもあって、グレンのものはより硬さを増した。
「ボク、まだ触ってないですよ? なのにもうこんなにガチガチ……❤︎ ねえ、どうして? グレンさん、どうしてなんですか?」
「……そ、それは……隊長が、あまりにも……綺麗で……」
「……ふうん」
グレンの困ったように揺れる目を見つめ返し、少年の眼に情欲の火が灯る。
はしたなく崩れる表情。淑女の浮かべないそれ。しかし少年のその発情した貌は、なによりも魅力的だった。
「今日はグレンさんも頑張ってたし、ご褒美をあげちゃいます」
「ご褒美って、うあっ!?」
「ご褒美……❤︎」
グレンは縁に座らされ、少年は湯の中で彼に向き合った。
ちょうど湯船の上でそそり立っている剛直に、少年の蕩けた顔が向き合う形。
「それは、あっ!」
「んふっ❤︎」
少年は躊躇なく陰茎を咥えこむと、一気に喉奥にまでそれを引き込んだ。
滑らかで熱い口内の感触。男によるフェラチア。だというのに、グレンのものの硬さは増すばかり。
「んー……訓練後は濃くて、美味し……❤︎ んっんっ……❤︎」
「あ、あっ、擦れっ……!」
頰肉に擦りつけるようなストローク。カリを味わうように蠢く熱い舌。そして精を乞うようなゆるやかなバキューム。
決して激しく行為ではなかったが、粘膜が優しく滑る快楽は、グレンの腰を甘く蕩けさせてゆく。
「んっ、ぷぁ……❤︎ えへへ、ドロドロになってる……先っぽから出てくるこの透明なお汁、ボクだーい好き……❤︎」
「はぁ、はぁ……」
一度口から出して、見せつけるように舌で舐めあげる。溢れ出るカウパーを手にとって竿を優しく扱くと、グレンはまた快楽に耐えて喘ぐだけの奴隷になった。
蠱惑な顔を見まいと視線を外しても、湯船の中では少年の大きめの尻が誘うようにゆらゆらと揺れている。
名器の尻。男を絞り尽くす魔性の身体。
「あはっ❤︎ だーめ……❤︎ 今日のグレンさんのせーしは、ボクのお口に注いでもらうの❤︎」
「あぁっ! た、隊長っ……!」
再び竿を飲み込まれ、吸われる。扱かれる。舐められる。
風呂場に淫靡な水音が響き、快楽が遠慮なく高められ、ついにグレンの限界がやってきた。
「でるっ、でますぅ!」
「んっ❤︎ らひてっ……❤︎ ボクのおくひ、らひてっ……❤︎」
爆ぜるような射精。少年の口内を犯す欲望の飛沫。
「あっ、あああっ……!」
だがその間にも少年は竿を吸い、精を残らず絞ろうとする。
射精をしながらも、さらに奪われる感覚。グレンの腰が震え、しばらくして全ての射精が少年に飲み込まれた。
「んっ……❤︎ ごちそうさまでした❤︎」
大量の射精を文字通り味わい、少年は妖しく微笑む。
立ち上がった彼の股間には、すっかり大きくなった男性器があった。
グレンは呆けた頭で、倒錯としか言いようがなかったが、その時彼は間違いなく少年のそれを愛おしく思っていた。
あろうことか、咥えてみたいとさえ。
「それじゃ、ボクはもう上がりますね? ふふっ、火がついちゃったし、誰かに遊んでもらおうかなぁ」
「あっ……」
「グレンさんは疲れてるでしょ? また今度ですね? ふふふ……」
少年は明らかに持て余しているのに、前戯だけ。続きは他の者で済ませるという。
歩き去ってゆく少年の丸い尻を見て、グレンは心にヒビが入るような心地だった。
「あっ、そうだ。ねえ? グレンさん?」
「はっ、はいっ」
立ち去ろうとした少年が近付き、グレンに顔を寄せる。
すぐ耳元にまで寄せられた唇が、微かに触れた。
「3日、がまんして?」
「……っ!」
「そしたら、ボクのこと……一晩中犯させてあげる❤︎」
最後ににんまりと笑いながら、少年が離れてゆく。
彼は上機嫌そうに去ってゆくと、グレンだけがその場に残された。
「3日……」
一度出したはずのグレンの陰茎は、3日と待たずに既に硬さを取り戻していた。