二次元ヒロイン詰めあわせ - 多重クロスハーレム - 作:みゆ_ハーメルン
なお、投稿順は話数と順不同ですので御了承ください。
勇太の住む都市は山海に面する風光明媚な土地だ。
行政区はその中心にある。高層ビルが密集し、活気がある。
勇太の起居する屋敷が山中の高台にあり、閑静なのと対照的だ。
そうした高層ビル群でも一際高い、総ガラス張りの建物に入場する一行があった。
マキマ(『チェンソーマン』)、安心院なじみ(『めだかボックス』)、黛冬優子(『アイドルマスター シャイニーカラーズ』)、橘ありす(『アイドルマスター シンデレラガールズ』)、明星ヒマリ(『ブルーアーカイブ』)、入須冬実(『氷菓』)の6人だ。
ビルに出入りするスーツの男女は、彼女たちを見ると退き、場所を開けた。
この6人に空席を加えた7席が、この都市を運営する
ガラス張りで日が燦々と降りそそぐ広いエントランスを抜け、6人はエレベーターに搭乗した。
エレベーターシャフトと乗機もガラス張りで、上昇中、都市の全景を眼下に収めることができた。
最上階の会議室に入室する。会議室は外壁の全面ガラス張りを別にして、内壁は白い。床は灰色のフロアマットだ。広い室内に、楕円形の会議机が置かれている。機能的な内装だった。
6人は会議机に着いた。
マキマが議長席である短辺に、続いて、その左辺になじみ、ヒマリが、右辺に冬優子、ありす、冬実が座る。
この会合は最高幹部会議といったところだが、スーツのマキマにセーラー服のなじみ、地雷系ファッションの冬優子に小学生のありす、車椅子のヒマリにふたたびセーラー服の冬実という面々はあまりに統一感がなかった。
例えるなら、最高幹部の造形という意味ではONEのマンガのようだった。
「さて」マキマが口火を切る。「今週の週次定例会議を始めようか」
残る5人が無言で頷く。
定例報告が終わり、臨時の議題に移る。
「星見雅の格付けはBランクでいいかな」
「異議なし」
マキマの採決に、残る5人の声が唱和する。
会議の主宰者であるマキマは聡明で、意思決定機関には多様性が必要なことを理解している。小学生のありすを委員に任命しているのもそのためだ。
マキマは中道派、なじみは
だが、6人はいずれも頭脳明晰なために、対立すると、理詰めで難詰するところがある。小学生のありすでさえ、大人を怯ませることがしばしばだ。それに対抗しうる急進派の人材は不在だ。そのため、7人目は空席になっていた。
マキマは会議机に両肘を着き、両手を重ねた。その上に顎を乗せる。
「雅ちゃんは採用でBランクの抜擢になるけど、そうなると他のオナホとの摩擦は避けられないよね。なにか良い案はあるかな」
都市の人口は100万人。うち半数が二次元美少女だ。
二次元美少女はSとA〜Dランクに格付けされる。Sランクは選抜隊で、
Bランクまでの1,200人が山中の屋敷に住む。BランクまでとCランクからは大きな格差がある。
ありすが小さな手を口元に当てる。
「星見さんといえば剣術ですよね。剣術大会のようなものを開催するのはどうでしょう。星見さんが活躍できますし、御主人様の目に留まるかもしれません。そうすれば、みなさん納得するでしょう」
「ヒマリちゃん」
マキマが促す。
「はい」
ヒマリは悠然とした笑みでタブレット端末を取りだした。
「こちらの《御主人様専用オナホ一覧》こと、メスの名簿から、Cランク以上の約1万人を検索しました。剣術を嗜むかた、佩刀されるかた。もちろん、剣術を嗜むといっても、剣道の心得がある程度のかたならいくらでもいるでしょう。特性である連続的な多変量を、いかに類型である二値的な属性に変えたかというと、この超天才美少女ハッカーである私の知性をもって…」
「結論だけお願い」
マキマが言下にいう。
ヒマリは端整な顔に似合わない、引きつった表情を見せたが、言葉を続けた。
「武術の嗜みがあるのが約3千人。うち、剣術の嗜みがあるのが307人。個性といえるほど剣術に親しんでいるのが122人です。こちらになります」
冬優子が小声で呟く。
「知性をもってって… 要するに、自分で
ヒマリは無視し、会議室の壁面にタブレット端末の画面を投影した。
美少女たちの顔写真と名前、
「桐条さんは外したほうがいいんじゃないですか? フェンシングはまた種類が違うような… 剣道、居合道だけに限定したほうがいいと思います」
ありすが言う。
視線の先には桐条美鶴(『ペルソナ3』)の顔写真がある。格付けはAランクだ。
「異議なし」と、残る5人の声が唱和する。
冬実が会議机に両肘を着き、その手に顔を伏せる。口元が隠れ、高い鼻梁が際立って見える。長い前髪が顔にかかる。10代の少女らしからない冷ややかな美貌だ。
「羽前京香、黛由紀江… 彼女たちも外すべきだ。近しい人物に上位に東風舞希、川神百代がいる。彼女たちを差しおけば、御主人様の不興を買うことは確実だろう。羽前に至っては、山城恋より下だ」
「異議なし」と、残る5人。
羽前京香(『魔都精兵のスレイブ』)、黛由紀江(『真剣で私に恋しなさい!』)の各Cランクが除外される。
なじみが膝に肘をのせ、頬杖を突きつつ、ニヤニヤと笑う。
「強すぎると逆に剣が要らない、か。皮肉なものだね」
同様に、桜咲刹那(『魔法先生ネギま!』)、諫山黄泉(『喰霊−零−』)、鉄乙女(『つよきす』)といったCランクが除外される。
冬優子がマキマに顔を向ける。
「ノベルゲー系から2人も外したけど、あとでモニカと揉めたりしない? 最近、降格されたんでしょ。なにか含むもんがあるんじゃないの」
穏健派の冬優子らしい意見だった。
モニカ(『ドキドキ!文芸部』)はマキマ、なじみを含む「メタ能力持ちラスボス系ヒロイン」の会議である
この都市の最高意思決定機関は
細心な冬優子が配慮するのも当然のことだった。
「モニカちゃんのことなら気にしなくても大丈夫。もともと委員会にも乗り気じゃなかったしね」
「ならいいけど」と、冬優子。
「残ったのは13人ですか。これで、あとはトーナメントを組むだけでいいんじゃないですか? 詳細は大会の運営委員会にお任せしたほうがいいと思いますが」
ありすが言う。
「待ってくれ」
冬実が制止する。顔は手元に伏せたままだ。ありすが怪訝そうに冬実を見返す。
「これは《L案件》だ」
冷然とした声音で冬実は言った。ありすが表情を強張らせる。
会議室が数瞬、沈黙した。
「L案件」とは「ラッキーマン案件」のことだ。要するに、最強議論について、作品間でどう整合性を保つかという問題だ。
男子中学生どころか、男子小学生が学校の休み時間にするような話だが、それを人口100万人の都市を統治する6人の聡明な女性がしていた。
実際、これは秩序と自由、平和と繁栄の均衡についての、思想的な問題なのだ。
しかも、政争の火種になりうる。
「
冬優子が尋ねる。表情に緊張を湛えている。
全員が最強議論の論外にいる最強というだけではない。全員が人格破綻者として知られている。そのため、精神力の強いSランク、Aランクの美少女でも、
映画のマキマ、マンガのなじみ、アニメ・特撮の新条アカネ(『SSSS.GRIDMAN』)、ゲームのBB(『Fate』シリーズ)、ソーシャルゲームのカフカ(『崩壊:スターレイル』)だ。
表面上は勇太のために協力しているが、水面下では勇太の気を惹くための覇権争いを展開している。未来予知能力者同士の対決にも匹敵する、超知性である、メタ能力者同士の暗闘が
なじみが気楽そうに片手を掲げる。
「ま、そんなに気にすることもないさ。いざとなれば僕の《メタ能力にメタをするスキル》《
「だってさ」
重ねた両手に顎を乗せ、マキマが言う。
ありすが眉を寄せる。幼いが気品のある顔だ。
「ですが… 《L案件》を別にしても、実戦と試合とでは実力に差が出てしまいますよね」
なじみがありすに追随する。
「だな。剣道三倍段っていうのは伊達じゃないんだぜ。木刀と真剣じゃ、重さだって違う。体力だけでも勝負にならないね」
ヒマリが手袋を嵌めた手を表にする。
「それでしたら簡単に解決できます」
ありすが訝しげにする。
「トーナメントでは2位以下の順位は分かりません。にもかかわらず、総当たり戦をしないのは、所要時間の問題にすぎません。総当たり戦ならチーム数の2乗という指数時間、トーナメントなら線形時間になりますから。この意味がお分かりですね?」
冬実が冷たい声音で言う。
「座組みで勝敗はどうとでもなる、ということだな。もともと、このイベントは星見雅を御主人様にお目通りさせるのが目的だ」
ありすは慌てた。
「だッ、ダメです! そんなインチキは!」
ヒマリが涼しげな声で言う。
「なら、こういうのはどうでしょう。試合を公式の競技規則にのっとったものにするのです。それだけで、実戦経験者にも強い制約を課すことができます」
「そんなにうまく行くでしょうか…」
ありすは不安そうにした。
「いいえ。剣道の試合なら、判定勝ちが専らの技巧の勝負になるわ。案外、あっさり片づくかもね」
冬優子は片手で自分の体を抱きかかえ、もう片手を口元に当てていた。
最強議論に一家言あるなじみも、ニヤニヤしながら、無言で議論を聞いていた。
ヒマリがタブレット端末を持つ。
「それでしたら、適任がいます。『BAMBOO BLADE』、川添珠姫。Dランクですが、小柄で剣道の天才です。試合としての剣道の巧者を見せるのに、ちょうどいいかと」
ありす、冬実が無言で頷く。マキマが採決しようとする。
「待って」
冬優子が会議室の沈黙を破った。
ヒマリが首を傾げる。銀髪がサラサラと流れ、儚げな印象が強まる。
「なにか問題でも? 試合巧者が有用だということは、あなたも賛成だったと思いますが」
冬優子は腕組みし、瞑目していた。地雷系ファッションに似つかわしくない、思慮深そうな姿勢だ。
「いいえ。逆よ。ふゆが言いたいのは、そいつを参加させたら、
ヒマリが息を詰める。ありす、冬実もわずかに目を見開く。
冬優子は続けた。
「ふゆたちがこうして会議しているのは、御主人様に喜んでもらうためよ。もし、そんなオナホとして半端なメスを引きたてて、御主人様の時間を割かせるようなことがあれば…」
「私たち、
ありすが頷く。
冬優子は腕組みし、真剣な表情をしていた。真顔でいると、童顔にもかかわらず、顔の造作が整っていることが目立つ。
会議室に同意と共感の雰囲気が広がる。
冬実が言う。
「そもそも、トーナメントの座組みで強者を敗退させるという発想が誤っていた。優れたオナホほど、御主人様の目に留まるようにすべきなのだからな」
6人は全員、頭の回転が速い。突然の方針変更にもかかわらず、すぐに思考を切りかえた。
ヒマリが言う。
「なら、あらかじめイベントの参加者を選抜するしかありませんね。今回は、剣士のかたがたには参加を見送っていただくということで」
「それだと、星見さんも参加できません」と、ありす。
「いいえ、共変する属性があります。年齢です。今回は未成年のかたに限るのはいかがでしょう」
「名案です!」
ありすが声をあげる。
源頼光(『Fate/Grand Order』)、宮本武蔵(『Fate/Grand Order』)、折神紫(『刀使ノ巫女』)、黄泉(『崩壊:スターレイル』)、神裂火織(『とある魔術の禁書目録』)が除外される。火織は18歳だが、誰も言及しなった。
「鈴鹿御前さん(『Fate』シリーズ)は?」
ありすが尋ねる。
「実年齢で考えましょう。却下で」
ヒマリが言う。
「異議なし」と、残る4人。
最終的に選抜されたのは、以下の7人だ。
・星見雅(『ゼンレスゾーンゼロ』)
・毒島冴子(『学園黙示録HIGHSCHOOL OF THE DEAD』)
・秋山凜子(『対魔忍アサギ』シリーズ)
・斑鳩(『閃乱カグラ』)
・御剣冥夜(『マブラヴ オルタネイティヴ』)
・姫宮千歌音(『神無月の巫女』)
・九条凛(『ToLOVEる』)
「いいと思います。でも、このメンバーだと剣道で優劣を決めるのが惜しくなってきますね。みなさん、御主人様のオナホに相応しい逸材なのに…」
ありすが寂しげな表情をする。
冬優子が腕組みをする。
「優劣を決めることはないわ」
視線が集まるのを待ち、言葉を続ける。
「トーナメントは中止よ。強化合宿をしましょう。このメンバーなら、御主人様もそのほうが楽しめるはずよ」
冬実が両手を組み、顔を伏せたまま頷く。
「なるほど。悪くない」
ありすが片眉を上げ、幼い顔に疑問をあらわす。
「でも結局、合宿でも優劣は表れてしまうんじゃないですか…?」
冬優子が首を振る。
「それは問題にならないわ。だって、最下位は御主人様だもの。御主人様も選手として強化合宿に参加するの。下位者とはかえって親しくなるはずよ」
ありすは瞠目した。
尊崇する勇太に訓練を受けさせ、屈辱を覚えさせる。それは勇太の真の理解者であり、慈愛をもつ冬優子でなければ出ない発想だった。
冬実とヒマリも無言だが、内心で感嘆していた。
マキマが結論をまとめる。
「じゃあ、星見雅の抜擢については、御主人様と武士オナホたちで合宿してもらうということで」
「異議なし」
残る5人の声が唱和する。
「次の議題だけど…」
マキマが会議を進行する。
異なる知性をもつ6人の聡明な女性たちは、日夜、こうして勇太を喜ばせるために頭脳を働かせていた。