※この作品はR-18です。

A sign of defeat エロティカルファンタジー世界にて、俺は生きる   作:くっろいの

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第1話 ふざけたトラック

 俺こと、御堂遙(みどうはるか)が死んだのはあの、何の変哲もない冬近い秋の日だった。

 

 あの日の俺はどうってことない普通の日に、そのままいつもの近場というだけで選んだバイトに向かおうと街中で自転車を走らせていた。

 

 そろそろバイト先も近くなってきたなと思いつつ近付いた交差点、信号も青のまま通り抜けられそうでラッキーなどと考えつつ渡ろうとした直後だ。

 

 車と車がぶつかる爆音、けたたましいクラクション、甲高いブレーキ音、恐怖に満ちた悲鳴が一気に響き渡り耳を貫いた。

 

 慌ててその方向を見たら、一台のトラックが暴れまわって他の車をなぎ倒しつつ爆走しているではないか!

 

 異様なパワーがあるのか、同じような大きさのトラックを吹き飛ばしつつ蛇行して進み、急ハンドルにもなぜか倒れずにそのまま曲がっていく。

 

 そして歩行者が近くにいると、まるで轢きに行くかのように方向転換するのだ。

 

 今のところ運が悪いのか良いのかは分からないが、他の車やトラックが吹き飛んで山になり邪魔して轢きに行けないようだ。

 

 だがこのまま放置すれば死者多数の大事故間違いなしだろう。いや既になっているか、うん。

 

 そしてだ。そして、俺は見てしまった。その暴走爆走殺人大型トラックの荷台に、ハートマーク付きでピンクや黄色などで可愛らしく書かれた文字を、見てしまった。

 

『TS転生(チート無し)』

 

「転生トラックかよ!?いやただの悪ふざけのバカだろ!?」

 

 思わず叫んでしまった俺だが、それを聞いたのか聞いていないのか分からない……いや、あのエンジンの爆音なら確実に聞こえていないだろう。

 

 ともかくトラックがこちらに向かってくるのが見えてしまう。人を死なせるのなら既に車同士の事故で何人も死んでるだろうに何故人を轢きたがるのか。

 

 なんだ、人を直接轢かないと転生させることが出来ないっていうのか、ふざけるな、本気(マジ)で。

 

 向かってくるトラックのフロントガラスは真っ黒で中は全く見えない、そのあまりにも異様な姿にもしかして本当に転生トラックかも?と信じかけてしまうような雰囲気だった。

 

 と言っても、本物の転生トラックだったとしてもむざむざ当たりに行きたくはない、普通に怖いし。

 

 というか転生トラックだったとしてもTS転生でチート無しとか物凄く勘弁してもらいたい、マジで勘弁してもらいたい。ノクターンまっしぐらではないだろうか、死ぬより酷い目に遭いそうで怖すぎるんだが。

 

 大惨事に道路のど真ん中で止まってしまった俺に向かって、周囲の車を吹っ飛ばしながら走ってくるトラック。

 

 他の歩行者と違い、山は出来ていないお陰か物凄くスムーズだ、勘弁してもらいたい。今から自転車を漕ぎ出そうとしても間に合わない、まずは降りて近くにある車の山に向かって走ろうとしたんだが……だ、が…………っ!!

 

「ふ、ふざけんな、誰が轢かれてたま、うわ、わっ!?」

 

 慌ててしまったせいか、降りようとした矢先に足をボディに引っ掛けて失敗。そのまま道路に向かって転んで倒れてしまい、しかも倒れた俺に自転車まで伸し掛かってくる始末だ。

 

 そして哀れ俺はそのまま暴走した自称転生トラック(TS転生チート無し)に撥ねられ、頭も身体もミンチになって即死してしまったのだった。不幸中の幸いなのは、本当に即死だったことだ。痛みなんて全くなかったのが本当に幸いだった、痛いの怖いもん。

 

 轢かれる直後、思わず零した、自棄になって叫ぶとか思いを込めて呟くとかそういうのではなく本当に零れ落ちた最期の言葉。それは…………。

 

「マジかよ…………」

 

 だった。

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