A sign of defeat エロティカルファンタジー世界にて、俺は生きる 作:くっろいの
ギルドマスターの部屋を追い出された俺はそのまま来た道を通ってギルドのロビーに戻り、受付に向かう。
鎮静作用のある薬草の採取依頼か……こういう世界なんだし、本気で戦わないといけないときはやっぱり必須なんだろうか?
こう、媚薬の毒を受けたときに使うポーションみたいなものを作ったりする材料とかじゃないかな? ………………俺も欲しくなってきたぞ。
依頼に行く前に買えるかどうか確認しておこう、今はお金がないし依頼が終わってから買おうかな。
「すいません、この依頼のための袋を貰いたいんですが」
「はい。あぁ、賢者草ですね、少々お待ちください」
受付に到着し、職員に声をかけて依頼の紙を見せるとすぐに奥に向かい袋を取りに行く。無表情な人……だったんだけど、猫耳に猫の尻尾もあってその尻尾が時折ビクンッ! って跳ねたりブワッと広がったりしていたんだよね……。
表情は一切変わらないけどたぶん何か仕込んでるでしょあの人……。
あと今初めて知ったけど鎮静効果のある薬草って賢者草っていうのか。そのままだな、効果がものすごくわかりやすいぞ!?
「お待たせしました。この袋いっぱいに採って来てください。群生地の位置に関してはこちらのメモを確認してくださいね」
渡されたのは片手で持てる程度の大きさ袋だ。口の少し手前が紐で絞められるようになっている、普通の袋。
それと簡単な地図と群生地を見つけるためのメモ。
袋は腰のベルトに下げられそうな金具があったのでそのまま下げて、紙はポケットに突っ込んだ。
そのうちカバンとかポーチとか必要になるんだろうなぁ……。
「わかりました。ところで、取ってくる薬草……賢者草って鎮静剤の材料になるって聞いたんですけど、その鎮静剤っていくらぐらいするんでしょうか?」
「銀貨2枚で一回分の瓶が買えますね。ギルド提携の冒険道具屋で売っていますよ」
「ありがとうございます。帰ってきたら買うことにしますね」
「はい、慎重に行動することは素晴らしいです。頑張ってくださいね」
…………信じられるか? 俺も俺で必死に見ないふりをして気付かないふりをしてスルーしてるんだけど、こんな会話している最中にも職員の人の尻尾が膨らんでビクビクして猫耳まで反応し始めているんだ……。
そしてちょっと耳を澄ませてみると、ヴヴヴヴヴヴヴ……なんて音が聞こえてくるような気がしなくもない。いや、気のせいだろう、気のせいなんだ。
もっとこの世界に慣れていたら色々と楽しめたかもしれないけど今の俺には無理……早く行こう、仕事を済ませよう……。
げんなりしつつ、視界の端に移るもっと混沌とした酒場を意識の隅に追いやってそのままギルドから出る。
正直に言えば俺だって元々エロ男子だ。スケベ心くらい持っている。が、友人に揶揄われたことも多いんだが結構純情なんだよ……。エッチなことってもっと隠れてやったりしたほうがいいんじゃないの……?
こう、こんなオープンドスケベな世界観だと疲れるというか恥ずかしいというか……とにかくあまり見ないように考えないようにしてしまっているんだ。
「くすくすくす、可愛らしいですねぇその考え方♪ 思い切り遊んであげて染めてみたくもありますがぁ……今はやめておきますかぁ」
「うひ!? セ、セクスゥムさん!?」
ギルドを出て街を歩いている最中、考え事をしながらはぁと溜息を吐いていたら突然真横から声がかかる。
慌てて左側を見ると、マント越しの爆乳……じゃなくて、セクスゥムさんが俺の真横をすたすたと歩いていた!?
「ただのお見送りですよぉ。私は手伝ったりなんかはしませんので悪しからずぅ♪」
「……そうですか」
気配が読めるとか感じられるとかそんな技術はないけど、それにしても何も感じられなかった! ほんとにこの人は何者なんだ、魔法使い……らしいけど……。
「そうですよぉ、ちょーーーーーーーーーっとだけ強い魔法使いですよぉ♪」
「絶対にウソだ!?」
ケラケラと笑い、その振動で歩くたびにだっぷんだっぷん揺れている爆乳を更に揺らしながらセクスゥムさんは足音もなくついてくる。
確かに前に見たときはマントの下はボディスーツに包まれた身体だけでほぼ素足と言っても良かったけど、それはそれで反応が一切ないのはどうなんだろう……。
「門の前までお見送りしてあげますよぉ。そこからはお一人で頑張ってくださいねぇ」
「……分かりました」
正直嘘か本当かどうかも分からない。この人なら絶対にこっそりついて行って俺が苦労するのを見て楽しむとかそういうことするだろ、絶対!
もうどうにでもなれだ、思考を読まれていても知ったことか、この人自分からそう思わせるように妖しい行動取っているだろ!!
「……くすっ♪」
ほら笑った、肯定してる!!
街を囲む城壁の門にまで着くと、セクスゥムさんはいつの間にか消えていた。いやあの人絶対見てるだろ、絶対ついてきてるだろ……。
露出度が低い俺が通ると露骨に残念そうな顔をしている門番の男たちをスルーして、最初に出てきた森のほうへと向かう。
もらったメモを確認しつつ街道を進み、最初に俺が出てきた道を見つけることできた。あとはここから森に入って少し奥に進み、群生地で薬草を採るだけだ。
「…………採るだけ、で済んだらいいんだけど」
地図はここまでであとは賢者草の群生地を見つけるだけ。
賢者草はギザギザの葉に細く白い花弁が複数付いた花を咲かせる植物らしい。茎は少し細く、折ると白い液体が出てきて舐めるとスッと頭が冴え渡るとか。採取するときは根ごと掘る必要があるが、結構簡単に抜けるとのことなので採取難易度はかなり低い。
「さて、どこにあるのか……」
一応いつでも剣を抜けるように警戒しつつ森の中を進む。
結構色んな所に生えているらしく少し探せば見つかるそうだが……。
「……あった」
本当にあっさり見つかった。白い花の群生地、ギザギザの葉はメモに書いてもらった簡単な絵とも一致する。
あとはこれを引っこ抜いて袋に詰め込めるだけ詰め込んだら帰れるな。
「結構ちょろい……のかな? いや、油断は禁物だ、うん」
そう、油断は禁物。命の危機はただの中世風ファンタジーと比べたら低いけど酷い目に合う確率に関してはこっちも負けていない、いやむしろ普通の中世風ファンタジーよりも高いかもしれないんだ。
ここは剣と魔法のエロファンタジー世界。世界の法則そのものがエロに傾いたガチエロ世界。
絶対に油断せず、慎重に事を進めるべき……。
「だったんだけどなーーーーー!!」
そう思っていたのに、なんで俺は今、首から下を糸でぐるぐる巻きにされて緑色の巨大な芋虫に捕まっているんだろうなぁ本当に……っ!
ことが起きたのは数分前。
袋に詰め込めるだけ賢者草を詰め込み、パンパンになったので袋を腰のベルトに戻してさあいざ帰ろうと思った瞬間だ。
「よし、これだけ詰め込んだらいいだろ。あとは帰るだけ……ん?」
がさがさと音がしたのでその方向を見ると、大きな白い芋虫がのそのそとやってきたのが見えたのだ。
こう、細長い芋虫とかじゃなくて……あれだ、クロワッサンをもっとずんぐりむっくりさせたような形のデフォルメされた芋虫だった。
青虫のような甲殻みたいなものもなく、皮の内側に水っぽい中身が詰まってぽよぽよしてそうな感じの正直あまり危険そうには見えない見た目だ。
「……芋虫……だよな? え、なにあれ……?」
ゆっくりと近づいてくる芋虫だが、あまり危険そうには見えない外見に油断してその場で棒立ちになって俺は眺めてしまっていた。
もちろんそんなことしていいわけもなく……。
「なんか漫画とかアニメに出てきそうなデブい芋虫、うわぁ!?」
賢者草にでも用があるのかと真正面に立って眺めていたら、少し顔を上げた芋虫の口から吐き出される大量の糸を全身に浴びせかけられてしまった。
糸は軽くねばついて体中に絡みつき、なんとか倒れずに堪えることはできたが一回吹きかけられただけで俺は身体全体をろくに動かせなくなる。
「や、やば、なんで俺油断してたんだよ、バカじゃないのか、くそっ、まず、やめ……っ!」
必死に糸を落そうと拭っても粘りつくだけで全く効果はなく、もたもたしている間に第二射、第三射が襲い掛かってきて首から下が完全に繭にされてしまう。
脚も腕もくっ付いてまっすぐに立った状態になり、バランスも保てなくなってもう倒れる……! と思ったが何故か俺は倒れることなく何かにぴっとりと繭の背中ごとくっつけた状態で立ち続けていた。
どうやら糸を振り払おうと必死になって後ろに下がったところに木があったらしい……。
繭に包まれたまま俺は木にくっ付き、完全に身動きが取れなくなってしまった。もう体を傾けることも出来ない、出来ることといえば首から上を動かすことと喋ることくらいだ。
「な、何するんだ、こんな状態にして俺を……ふぅぁ……?」
繭に繋がった糸を口から伸ばしている芋虫を睨みつけていると、突如として身体全体から何かが抜けるような、快感のような感覚が沸き上がってきた。
それと同時に俺の身体と繭、そして芋虫の口に繋がる糸が仄かにピンク色の光を放つ。
少しずつだが確かに抜けていく何か、そのもどかしさも感じる快感に思わず声が漏れてしまう。
「あ、うぁ……やめ、ろぉ……! 身体、から、力が抜けて……!」
波もなくただ延々と抜けていくそれと一緒に続く快感はどんどん蓄積していき、抜かれていく何か……魔力とか生命力とかそういうものだろう。それらに反して身体が熱を溜めていく。
というか、セクスゥムさんのことといいアブノーマルな方向にばかり行ってないか俺は……!?
「ふぁ、んうぅぅ……っ♡ エナジー、ドレインってやつなのか……? やだ、やめろ、やめてぇぇ……♡」
動きによって快感が発生するのではなく、一定の量が常に湧き上がってくるような感覚。そして反比例するように脱力する身体は声を弱弱しく上げるのが精いっぱいでどうしようもなく何もできなかった。
「あっ、やだっ、やめろ、吸うな、吸うな、す、うぁぁぁぅぅぅぅ……っ♡」
緩急もない湧き上がってくる快感は、まるで器から溢れて零れるように緩やかな絶頂に俺を追い込む。ここまではまだ良かったんだ。だが……。
「え、ぅあっ、やだ、いっかい、いっかい止めて、イってる、まだイって……くぁぁあぁあっ♡」
芋虫は俺がイっていようがいまいがエナジードレインを続ける。そして器から溢れているのに快楽が湧き上がるってことは、そのまま延々と絶頂が続いてしまうてことなんだ。
ぷしゅ、と潮を噴いて下着とズボンを汚してしまい、濡れた感触が少しだけ気持ち悪い。しかしそんなこと気にする余裕なんてなくドレインは続いていた。
今俺を襲う快感はあの時セクスゥムさんにヤられたような強烈なものじゃない、緩やかな絶頂だ。だがそれが留まることなく続き更に快楽を蓄積させる。
このまま俺はこの芋虫に狂わされてしまうのか、エナジードレインでからからに干からびて死んでしまうのか……。
「
「……え?」
ぱちん、と前も聞いた指を鳴らす音が聞こえたかと思うとエナジードレインが止まる。
脱力した身体もずっとイき続けて火照った熱もそのままだが、ようやく一息付けそうだったが聞こえてきた声が油断を許さない。
「……セクスゥムさん。本当について来ていたんですか?」
「いえいえぇ、街にいましたよぉ私はぁ♪ 街で眺めさせてもらっていましたがぁ、貴重なものに捕まっているようだったのでつい来ちゃいましたぁ♪」
貴重なもの……?
「
セクスゥムさんがボディスーツに包まれた足で軽く蹴ったのは芋虫……そんな大層な奴だったの?
「いい素材になるんですよねぇこいつの糸はぁ……♪ というわけでぇ、今日はもう帰りましょうかぁ。高値で売れると思いますから楽しみにしていてくださいねぇ♪」
「は、はぁ……分かりました。ところでその、繭を解いてもらえ、うわ、うわわ!?」
なんか貴重な魔物に捕まってしまったのは分かったけどその前に早く繭から出してほしい……なんて思っていたら、セクスゥムさんが指を振るい、動かなくなった芋虫と繭に包まれた俺をそのまま宙に浮かばせて運び始めた!
「あの、出してくれませんか!? ちょっと!? セクスゥムさん!?」
「帰ったら出してあげますよぉ♪ くすくすくす、いいこと教えてあげましょうかぁ。
「……た、確かにそうでしたけど」
隣に浮かんでいる芋虫……
……まさか。
「そぉんな
「やめてくださいよぉ!? ちょっと、俺を辱めるだけじゃないですか!」
「それが目的ですからねぇ♪」
やっぱりこの人性悪だ、意地悪だ! くそっ、ただでさえ動けないのに脱力した身体だと抵抗なんて全然出来ない……!
「あぁ、賢者草はきちんと集めましたかぁ?」
「集めましたよ、集めた直後に襲われたんですから……」
「ならこのままギルド直行で問題なさそうですねぇ♪ まだ集めてないのなら明日出直しというのも考えましたがぁ」
「あーーーー!! まだです、まだ集めきってません、袋にもっとぎゅうぎゅうに詰め込みたいです!!」
「あんまりぎゅうぎゅうに詰めて折れて、大事なエキスが零れるともったいないですからねぇ? 今ある分を提出しましょうかぁ♪」
「やーーーめーーーてーーー!!」
……結局、必死の説得で一回セクスゥムさんの実験に付き合うことを条件に繭から出してもらうことに成功はした。
が、正直どっちがマシだったのか、今の俺にはまったくわからない……。