A sign of defeat エロティカルファンタジー世界にて、俺は生きる 作:くっろいの
その後。
アヤと名乗る野生児の少女に付いて道を進むと簡単に森を抜けられた。
あの少年達とも動物とも、そしてスルーしてしまっていたがアヤが言っていた魔物とやらにも遭遇せずにだ。
「お、おぉ、外だ、漸く外に出られた……!」
アヤに変な目で見られながらも俺は感動に打ち震えている。一時間近く歩き続けた結果抜け出た森の先は広々とした平原、そして直ぐ近くには踏み固められた道。
野生児のアヤについていって心配だったがこれで一気に安心感が湧いてきた、ちょっと腰抜けそう……。
「よし、森を出たら街まであと少しだ。いくぞハルカ」
「え? あ、あぁ、うん、分かった」
おぉ、そのままスタスタ歩いていくアヤに置き去りにされるところだった。抜けそうな腰を踏ん張って、なんとか駆け出してついていく。
あっという間に道に到着してそのまま歩いていると、馬とかなんか大きな爬虫類っぽい足跡が固められた土の上にあったりする。これはファンタジー……。
「何を見ているんだ?」
「足跡をちょっと……?」
「変な奴だな、お前……まあいい。このまま進めばアルサード、オレが拠点にしてる街だ」
その後、道はある程度整備された街道らしきところに合流する。それからはもう簡単だった、あっという間に街に到着して少し拍子抜けだったな。
街は大きな城壁に囲まれた都市だった。大きな門の前には門番が槍を持って立っているんだが……。
「あの格好は……!?」
門番はまあ普通の鎧を着た男性だったが……その後から出てきた女性二人が問題だった。
アヤはボロボロの服で露出度が高くても気にしないという風体だったが……その女性達の服装はどう見ても露出しようという意思を感じるものだった……!
剣と盾を持った女性の鎧はビキニアーマー……いやマイクロビキニアーマーどころじゃない、乳輪丸見え股間は……割れ目の上が見えてるしぴっちりくっきりしてる。
魔法使いっぽい杖と帽子の女性はシースルーの布を纏ってTバックに煽情的なブラジャーが丸見えだ。というかよく見たら、Tバックにハート型の穴が開いてないか!?
二人ともスタイルが良くて大きな胸やお尻に紐とかが食い込んで……その、めっちゃエロイ……。
「ごくっ……」
「……へぇ、ハルカはああいうのが好みか?」
「うえ!? あ、いやその、凄い格好だなーと……!?」
つ、つい慌てて誤魔化そうと腕を振り回してしまったが、アヤの反応はつれないものだった。
「凄い……か? 珍しくもないだろう。本当にお前はどこから来たんだ……?」
……あの格好が、珍しくもない……ここは一体どういう世界なんだ……!?
唖然としている俺を無視してそのままアヤが門へと向かってしまう。待って、俺さっきから置いていかれっぱなしだよ!
「………………」
「………………」
門番に対して、アヤは無反応。門番も無反応……いや、厭らしい目を向けてるな。
門は開かれていて何の手続きもなくそのまま入れるようだ。門番が下心で通しているわけではないようだな、露出度ゼロな俺が通っても何も言われなかったし。
あと、あの戦士っぽい人と魔法使いっぽい人は別方向に行ったのでわからなかったが、門板は近くを通ったので分かった。
彼らの背が男性の平均身長だとしたら、比較して女性となったことを鑑みても俺の背がかなり低いことが!!
……ちくしょう。
街……アルサードに入るとまず目に入るのは人だった。それもだ。それも……!
「さ、さっきみたいな凄い格好の人達がいっぱい……!?」
一般的な人種っぽい美女、暗褐色の肌をした美女、色白で耳が尖っている美少年……少年!? あとはアヤに似た野生の雰囲気を漂わせる美男……美男も!?
そ、そんな男女も含めて全員が煽情的な格好や雰囲気をしている、露出度が高かったり妙に色気があったりと……。
「エ、エロファンタジー世界……!?」
「何を言ってるか分からん」
普通の男性も女性もいる、しかし一部の美男美女が凄まじいインパクトだ。
そしてその美男美女の煽情的な服装にも傾向というか種類がある。
戦士っぽい煽情的な服、盗賊っぽいというか動きやすさを重視した煽情的な服、魔法使いっぽい煽情的な服……ここまでは分かる。
神官っぽい服、ただただエロい服、ぼろぼろで奴隷の服っぽいもの……え、どういうこと!?
「び、美人はエロい格好をしないといけないのか……?」
愕然として周囲を見ていたらエロい格好をした神官っぽい美女とエロい格好をした魔法使いっぽい美女が話しているのが見えた。
二人は軽く談笑していたかと思うと急に神官っぽい人がぺろんと服を捲ってむ、胸を露出させた!?
その周囲の反応を見るが、ニヤニヤ笑うかチラチラ見るか、声をかけているようなやつしかいない……。
そ、そのままエスカレートして、二人で抱き合ってお互いの身体に手を伸ばして……!?
「どうした、ハルカ。ギルドに行かないのか?」
「あ、あぁ、うん、ごめんごめん。行く……」
この世界がどういうものか、少しずつ分かってきたような気がするが同時に分からなくなっていく……。
「ここが冒険者ギルドだ」
「……あははは……」
少し予感はしていた。アヤも野生児っぽいインパクトで忘れていたがかなりの美少女だ。
そして冒険者、というか戦えそう……?な格好をしていたのは門番を除いてあのエロい人達だけだったんだ。
そんなエロい人達が一同に集い、入っていく建物。それがアヤが案内してくれた冒険者ギルド。
冒険者とは、エロい人達だったんだな……。あの往来でいちゃつくどころじゃない二人もそうなんだな……。
「オレが案内できるのはここまでだ。あとは自分でやれ」
「あ、ありがとう、アヤ。本当に助かった」
「ん」
そのままアヤは中に入っていく。ドアを開けたときになんか嬌声っぽいのが漏れて聞こえてきたんだが……!?
えーと、俺もこのまま中に入っていいんだろうか? というか外に立っているとそういった音は聞こえてこないな……。
…………う、少し建物の前で眺めていると少し奇異な目で見られ始めてしまった……。くそぅ、そっちのほうが奇異というかエロい格好してるくせに……!
そんな感じで暫くヘタレて建物を見ていると……。
「どうしましたぁ? さっきからギルドを眺めてますよねぇ?」
「あー、入っていいものか分からなくて……え?」
ヘタレている俺を不審に思ったのか、誰かが声をかけてきた。後ろからかけられた声に振り向くと、いきなり目の前に顔だ!?
にんまりと細められた金色の瞳が光る目。ニヤニヤと両端が吊り上げられているぷるっぷるのツヤツヤで、厭らしい唇。そしてなによりも、そんなニヤついた表情なのに分かってしまう今まで見た冒険者らしき人達の中でも群を抜いた美しさ。
想像してみて欲しい、いきなり振り向いたら人外の美貌を誇る顔が目の前にあったときの恐怖を。
「うわああぁぁ!?」
「くすくすくす♪ これは失礼しましたぁ♪」
思わず叫んで尻もちをついてしまった俺を責められるはずがない、はずがないんだ。
俺が尻もちをついたのを見て、満足げに笑う女性。顔を俺の真後ろに合わせるために曲げていた腰を戻すと全く申し訳なさそうに笑い交じりに謝罪してきた。
それよりもだ、後ろに下がったことで分かる相手に異様な格好が問題だった。いや冒険者(仮)はみんな異様な格好だけど。
まず全身がマントに包まれておりボディラインが分からない格好だ。一部を除いて。
巨大な、本当に巨大な胸が足元まで覆うマントを持ち上げて少し身じろぎするたびにたっぷんたっぷん揺れている。しかもマント越しにも分かるほどにビキビキに勃起した乳首まで見えてしまっていた。
「え、あ……?」
一目でわかる格好はそれだけだ。艶やかな黒が濃い紫色の長髪、青黒い色の首輪、そして異様な美人ということくらいだろうか……。
ただ分かる、この人は他の冒険者(仮)よりも遥かにエロい雰囲気だ。肌の露出は一切ないし、その異様に大きな胸もマント越しでぴっちりしているわけでもない。
マントの下からでもわかる乳首もすごくエロいが……なんというか、それ以上に妖しくて煽情的で、思わず生唾を飲んでしまうような雰囲気を漂わせている……。
「ギルドに依頼……いえ、加入したいんですよねぇ? くすくすくす、せっかくですし私が付き添って入ってあげましょうかぁ?」
妙に間延びした気怠げな口調も、その中に隠さずに含まれている好奇心も含めてこの人は……危険だ。命の危機とかそういうものではない、だが危険だと本能が告げるような存在だ。
「い、いえ、結構です。俺一人で行けますので……」
なんとか立ち上がり、女性に見送られながらギルドの扉に手をかける。女性はそのまま、ずっとニヤニヤしたまま俺を眺めて見送っていった……。
「かるぅく記憶を読んでみたらなんと異世界人ですかぁ……くすくすくす、色々と面白いことになるかもしれませんねぇ?」
俺がギルドに入る直前。マントの女性がそんなことを呟いて歩き去ったことを知る由もなかった……。