とても温かい海の中を漂ってるみたい。
何だか安心する、すごく心地よい。
これが母親の胎内にいる感覚なんだろう。
「うふふ、今動いたわあなた」
この空間が心地よくて、ちょっと眠い。頭の中にモヤがかかってるみたいで難しいことを考えられない。
少し、ほんの少しだけ眠れば・・・
そして、
生まれた。
最初に覚えているのは眩い光と、赤ん坊の泣き声。それとやわらかな温もり。
「ねぇあなた、名前はどうするの?」
「名前は・・・煌平、継国煌平にしよう」
生まれてから三年たった。今年で3才、誕生日は8月21日。
赤ん坊の時の記憶は憶えてない。ていうか難しいことが考えられなかった。成長するにつれ頭がすっきりしていく感じ。
そして前世の記憶は、もうあまり思い出せない。思い入れの深いコトは思い出せるけど。
あと今世の名前は「煌平」。おおちょっとカッコいいぞ、カッコよ過ぎて少し恥ずかしいかな。
ていうか名字が「継国」。なんと敬愛する縁壱さんと同じだ。嬉しすぎて泣きそう。
髪と目も赤黒。例の炎のような痣もオデコにある。
そして家にヒノカミ神楽が伝わってる。
あれ?それなら竈門姓になるんじゃないの?何でだ。ていうか継国姓って途絶えたんじゃなかったっけ・・・。
・・・考えないようにしよう。
「煌平も大きくなってきたし、そろそろ神楽を習ってみるかい?」
「あなた、煌平はまだ3才ですよ。いくら何でも早すぎます」
「父上! ぜひ教えて下さい!」
「おおそうか、早速やってみよう!」
「まぁこの子ったら・・・」
父上も赤黒の髪と目、オデコに痣。あの日輪の耳飾りもしてる。
母上は・・・普通の人かな?
そして、ついにヒノカミ神楽を教えてもらえることになった。
庭に出て、十二ある型を一つ一つ見せてもらう。
『円舞』
『碧羅の天』
『烈日紅鏡』
『灼骨炎陽』
『陽華突』
『日暈の龍 頭舞い』
『斜陽転身』
『飛輪陽炎』
『輝輝恩光』
『火車』
『幻日虹』
『炎舞』
うおおお本物だ・・・。何ていうか感動だ。
「じゃやってみようか」
早速、父上の動きを一つずつ真似していく。たまにアドバイスを貰いながら。
と、思ったんだけど。
あああああああああああこれすっごい疲れる・・・。十二もやる前にヘバってしまった。
「煌平、ヒノカミ神楽には正しい動きと正しい呼吸があるんだ。完璧にできるようになったら、ずっと舞えるようになるよ」
ああ・・それ知ってる。炭十朗さんが言ってたヤツだ。
「でも今日はここまでにしようか」
「はい・・・」
また明日がんばろう・・・。
「立ちなさい、煌平。途中で諦めてはなりません」
「「え!?」」
「自分からやると言い出したのです。やると言ったからには最後までやり通しなさい。さあ立ちなさい。立つのです!」
母上はかなり厳しい人だった・・・。
何とか十二の型は完走できた。身体能力的に無理なのは父上に手伝ってもらったけど。
体中の筋肉がプルプルして肺が痛い、耳鳴りもする・・・。
「これを新年の夜から朝まで繰り返すことで、その年に怪我や災いが起きないよう祈る。いつか煌平にも継いでもらうからな」
それも知ってる。一から十二の型を何百何千何万回も繰り返して十三の型になるアレだ。・・・え、こんなシンドいのを何度も繰り返すの?
無理だ、死んでしまう。人間に出来るわけない。・・・でも父上はやってるんだよな。
きっとオレにも出来る、やれるハズだ。そうだ絶対できる、ちょっと体に激痛が走るからって何だ。うおおお何かホントに出来る気がしてきた。
「トコロでヒノカミ神楽は日の呼吸とも呼ばれる剣技の型でもあるんだ。折角だから剣技の方も覚えてみような」
え!?それも知ってるけど・・・。何で父上が知ってるの?
生まれて四年たった。今年で4才になる。
ヒノカミ神楽もちょっとずつ覚えてきた。それに、剣も習った。
剣の持ち方、握り方、振り方に姿勢に足さばきなど、父上から色々教えて貰った。剣の修行はかなり辛かったけど少し楽しかった。
ある日、庭で素振りをしていたら父上の書斎に急に呼び出された。
「煌平、超能力とか学園都市って興味あるかい?」
「何ですか?それ」
父上から学園都市のパンフレットを渡された。
学園都市。東京西部を占める巨大自立都市。住民の8割が学生で大人は極僅かしかいない。
最先端の科学技術を研究していてその技術は都市の内外で数十年以上の隔たりがあるという。
何と!超能力の仕組みが科学のチカラで解明され、能力開発なるモノを行っているという。
父上が言うには、子供に能力開発を受けさせるのが富裕層の間で流行ってるらしい。
・・・ひょっとして、とあるシリーズ?のイベントなんだろうか。鬼滅でそんなの聞いたことないし。
確かとある科学のレールガンとか言ってたような・・・。
どちらにせよ、能力とかは興味ないし。このまま父上と母上と一緒に暮らしていたい。
「・・・興味ないです」
「そうか、わかった」
パンフレットは返した。
そもそもこの世界って何なんだろう?
とあるシリーズ?の世界じゃ!って、神様は言ってた気がする。でもその世界にヒノカミ神楽とかは無いハズだし。
超能力ってスプーン曲げたりカードを透視したりするアレかな?それともポケモンみたいにサイコキネシスとかビームとか打ちまくるのかな?
とある魔術のインデックスとかも言ってたな。魔法とかがこの世界にあるんだろうか?インデックスって目次とかって意味だよな。
あとレールガンって何だろう?銃?武器の名前?ガンって言うくらいだし?
前世の友達たちは、主人公は能力を無効化する能力とか、何でも反射して最強!とか言ってたな。ひょっとしてそれが超能力なんだろうか。
主人公ってどんな人なんだろう?
あとそうだ。治安が悪いとか・・・。
あ!もしかして学園都市って治安が悪いのか?近所の治安は普通だし。
もしそうなら尚更行きたくない、ケンカとか絶対無理だ。剣の修行もしてるし身体能力も高い自信があるけどそれとこれとは話しが別だ。
それどころか強盗や襲撃、リンチ、恐喝、殺人、レイプのような重犯罪が多発している可能性もある。銃の流通だって、可能性はある。
もし超能力がありふれていてそれが血鬼術のように犯罪向けの性能しているんならそこはもう、治安が悪いのを通り越して地獄だろう。
・・・・・・・ゼェェェェェッッッタイ行かねー。誰が何と言おうと行かねー。実際の治安がどうなのかは知らないけど。
そうだ。あと血鬼術といえば、
鬼滅のラスボス鬼舞辻無惨。このハイパークズオブクズは今どうなっているんだろう?漫画だと大正時代に死んでいるんだが。
もしこの時代に生きているんだとしたら、相当な無理ゲーだ。オレが炭治朗の代わりに戦うなんていくら何でも無理だ。
そして青い彼岸花も見つけてしまっている可能性が高い。そうしたら太陽を克服?して本当に倒す手段が無くなってしまう。
鬼殺隊とか産屋敷とかあるんだろうか・・・あるんなら心強いんだが。
考えても仕方ないか・・・わからないモノはわからないんだし。
今年から幼稚園に通うことになった。友達もできた。周りからは利発な子だと思われてる。お遊戯とかはちょっと恥ずかしかった。