2年生になりました。今年の担任も月詠先生です。
最近、能力開発っぽいことあんましてない・・・オレ何のために学園都市に来たんだっけ。
それはそうとちょっとまずい事が起きてしまった。いや別に、オレはまずくないんだけど・・・
呼吸術というものを月詠先生経由で学園都市に伝える。
↓
呼吸術を能力者が使うと能力が強くなる事が判明する。
↓
学園都市が新しい能力開発法と称して能力者達に教える。
↓
学園都市に呼吸術が流行る。
オレは何でこんな簡単なことに気付かなかったんだろう。
ちょっと考えれば分かることだったろうに・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
ま、いっか。
悪いことに使わなければそれでいいじゃない。
それに、やっぱり学園都市には能力が伸びずに悩んでいる人が結構いるみたいだ。
そういう人たちに少しでも力になれれば、ご先祖様もきっと喜んでくれるだろう。
5月になった。友達や先生に呼吸のことを聞かれたりすることが多くなってきた。
あと、やっぱり涙子が特別に才能があったみたいだ。みんなすぐには習得できないし・・・
6月になった。また今日は涙子と修行。
しばらく見ない間に随分修行したみたいだ。動きがさらに良くなったみたい。
折角なので本来必要ないけど、透き通る世界のことも話してみた。
「無我の境地、至高の領域・・・」
また涙子の目がキラキラしてる・・・ひょっとしてこういうのが好きなんだろうか。
その後は、新しく習得した能力を披露してくれた。本質は空気を操る能力らしいんだが。
空気を操って物を浮かべる、水を作る、土を操る、などなど。・・・え、これ凄くない?
風で物が浮かぶのは分かるけど、何をしたら水ができるんだろう?不思議だ・・・
「あの、師匠。もっと練習して空を飛べるようになったら、その、私と・・・」
「?」
「い、いやあの、何でもないです!///」
? 何だろう。
・・・もしかして。
「ひょっとして空の旅にご招待してくれるの?」
「ふぇ!?あ、はい・・・その・・・」
「わぁすごいなー。楽しみに待ってるよ」
「うぅ・・・はい///」
そっか。この前の何てことない会話、覚えててくれたんだな・・・
その後はまた一緒にアイス食べたりちょっと雑談したり。新しい学校でも友達ができたとか、設備がよくて驚いたとか。そんな話しをした。
3年生になりました。というかもうそろそろ卒業式です。
長い3年間だったな・・・楽しかったけど。
こうして学校の屋上で寝転がってると、入学した時のことを思い出す。確かあの時、入学式で居眠りしたり能力開発サボったりしたんだよな・・・
思い返せば月詠先生には迷惑掛けっぱなしだった。特に勉強とか・・・能力開発でやることがないからって個人レッスンしてもらったり。
あと何度も寝坊するから迎えに来てもらったり、機械の使い方が分からなかったらその都度聞きにいったり。
そうだ、ご飯も作ってもらったな・・・
なんかお母さんみたいだな。
「煌平ちゃんもここにいたんですねー」
「あ、先生」
「明日は卒業式ですから寝坊しちゃダメですよー、いっつも寝坊してたんですからー」
先生はまたオレの隣に座った。なんか懐かしいな・・・
「あの、先生」
「? どうしたんですかー?」
「その、今までお世話になりました。迷惑ばっかり掛けて・・・」
「あー、うふふ。気にしなくていいですよー、教師なら当然のことです」
そう言ってくれると気が楽になるけど。
「私も来年度から別の学校に行きますから一緒に卒業です。煌平ちゃんも高校へ行ってもしっかりやるのですよー」
「お母・・・先生も他の学校に行くんですか?」
ヤベ、間違えちゃった。ハズい・・・
「・・・・・」
「あの、先生?」
何だろう?急にピタリと止まって。
「ううっ・・う、ぐす・・・うぅっ」
なんかボロボロ泣き出した!
「ホント、高校へ行ってもしっかりやるのですよー?困ったことがあったらいつでも相談に来ていいんですからねー!?ぐすっ・・・」
・・・・・
なんというか、オレも泣いてしまった。最後に、先生が頭を撫でてくれた。先生はタバコの匂いがした。
卒業式。
今回は寝なかった。最後だしね、月詠先生はやっぱり号泣してた。
高校かぁ・・・どんなとこなんだろう?前世でも高校は全く行ったことなかったしちょっと楽しみ。
ただ、学園都市でも有名なバカ高校なのが気になる・・・だってここしか受からなかったんだもん。
寮も引越すことになった。寮は中学側で指定した部屋に住んでたんだが、高校では指定されなかったので適当に高校の近くの部屋に住むことにした。
高校は第十学区。なんか治安が悪くて有名だが・・・
4月。今日は高校の入学式、のはずなんだけど・・・
正直、高校を舐めてたかもしれない。
治安が悪いらしい第十学区、そこの中でも飛びぬけて評判の悪い高校って聞いてたんだけど。
まず窓ガラスが無い。いやあるんだが、全部割れてる。内側から何かで叩き割ったようだ。
次、校舎。落書きだらけ、F○CK!とかS○X!とか、どくろマークとか、そんなのばっかり。
次、全体的にゴミだらけ。生ゴミとか粗大ゴミじゃなくて、机や椅子などがそこら中に散乱してる。
あと・・・誰もいない。入学式のはずなのに・・・まるで廃墟だ。
とりあえず体育館へいってみたが、やっぱり誰もいない。
次、一年生の教室へ行ってみたが、誰もいない。
職員室・・・はなんと明かりが点いていた。
「失礼しまーす」
「ん?あれ、君どうしたの?」
中は先生?が一人だけいた。
「あの、新入生なんですけど」
先生は驚いたような顔で。
「えー!?この学校に来る人でちゃんと来るなんてねー!?」
先生の説明によると。
この学校はスキルアウトと呼ばれる人たちが主に入学するらしい。彼らはチンピラの中でも特に濃い人たちで学校に行かないことが当たり前だそうだ。
なのでこの学校に来る人は一人もいない。新入生ですら来ない。生徒が来ないので先生も来ない。今日は入学式なので万が一、生徒が来たときのために待機していたそうだ。
ちなみに生徒の成績は校長先生がダーツやサイコロで決めるらしい。
「君はちゃんと学校へ来たから満点にしてあげよう」
「わーい」
・・・・・・・・・
・・・・
はああああああああああ
どうしてこんなことに・・・そりゃ結構なバカだけどさ・・・まさかこんな学校だったなんて。
はぁ・・・
いや考え方を変えれば、これはずっと遊び放題でむしろいいことでは?修行も好きなときに出来るし。
月詠先生に怒られちゃうな・・・
・・とりあえず今日は帰ろう。そうしよう。
日曜日。とりあえず月詠先生に相談してみることにした。電話で聞いてみたら。
『と、とりあえず会って話しをしましょう!』
ちょうど時間があったみたいなので話しを聞いてもらえることになった。でも、
「ごめんなさい煌平ちゃん・・・違う学校のことになると先生ではもうどうしようもないんです・・・」
「いや、あの、すいません無茶言って」
そうだよね・・・先生だって全能なわけじゃないんだから。
で、こういう話しはカフェとかでするのかと思ったんだけど。
「まぁまぁ、今日は先生の奢りですからいっぱい食べて元気出してください!」
焼肉!焼肉!!食べ放題!!!
お皿いっぱいのハラミとか!カルビとか!!
「うおお・・すごい・・・でも先生、お金は大丈夫なんですか?」
「ふっふっふ、先生の新しく赴任した学校はかなりお給料がいいので、今はすっごく余裕があるのですよー!!」
ほえー
「新しい学校ってどんなとこなんですか?」
「あー・・・今の学校は守秘義務が強くて詳しくは話せないのですが、お嬢様いっぱいで華やかな学校ですよー」
じゃガードの固くて評判の学舎(まなびや)の園か。
第七学区にはお嬢様学校が共同して運営する学舎の園という地区がある。なんかやたら警備が厳しいことで有名で一般人は立ち入り出来ないんだとか。
「ささ、焼けましたよー。早く食べないと先生がみんな食べちゃいますよー」
その後は先生と食事しながら雑談した。クラスの新しい問題児のこととか。
「その子ったらいきなり他のクラスの子と喧嘩し始めてですねー、あの時は仲裁するので大変だったんですよー」
「それは・・許されませんね。こんなお優しい月詠先生を困らせるなんて」
「もうー褒めても何も出ませんよー?」
そんなこと言っても可愛くてしょうがないんだろうけど。
あと先生がビール飲んだり。
「ん・・んくっ・・んぐ・・・プハァーーッ!!やっぱビールは生が一番ですねー」
「先生!オレも飲んでみたいです!」
「だーめーでーすー。煌平ちゃんは大人になるまでお預けでーすー」
とか。
「お腹いっぱい、ごちそうさまでした」
「ふふ、お粗末さまです♪」
今日のとこはこれでお開き。今後はとりあえず自宅学習、分からないとこがあったらヒマなときに先生が教えてくれるそうだ。
「煌平ちゃんも支えてくれる人がいればいいんですけどねー」
支えてくれる人・・・って何だろう?
5月。
結局、自宅学習なんて出来るわけないってわかりきっていた。だって目の前にゲーム機があれば誰だって遊んじゃうよね。
朝から晩までゲーム三昧。気が向いたときに修行するだけの自堕落な日々。
こんなのでいいんだろうか?いやすっごく楽しいんだが・・・
6月。
もう無理だ、限界。一人でいるのは寂しい。辛い、耐えられない。
でも小中の友達も涙子も先生も忙しいみたいで構ってくれないし・・・
はぁ・・・
7月。
先日、野良犬に襲われていた女の子を助けた。何となくそのときはすぐにその場を離れてしまったのだが、
今思い返せばすごく勿体無いことをした気がする。
一人でいるのは寂しいし、辛い。先生の言ってた「支えてくれる人」というのはこういうことだったのだろう。
そう
オレは
今すっごく
彼女が欲しい!
鏡などで自分の顔を見る限り、オレは結構なイケメンなほうだと思うんだが。
なんかこう・・・強盗に襲われてる女の子をカッコよく助けたり、行きずりで出会った女の子と恋に落ちたり。そんなことないかな?ないよな・・・
はぁ・・・
8月。
最近ネットで知ったんだが、男性は30歳まで童貞だと魔法使いになってしまうらしい。
オレは現在16歳だが、前世は13歳で死んだので合わせると29歳になる。
このままではオレは魔法使いになってしまう!いや魔法っぽいことは出来るんだけど。
どうしよう・・・
9月。
学園都市には大覇星祭というイベントがある。これは能力者達で運動会をやるというイベントで、いやこれはどうでもよくて。
久しぶりに涙子と会った。「お昼一緒にどうですか!?」と聞かれたので。
「師匠ーー!!おっひさしぶりでーす!」
涙子は少し会わない間に随分背が伸びたみたいだ。髪も伸びたし、胸も・・・
・・・・・
「どうしたんですか?」
「ん・・・いや、何でもないよ。久しぶり涙子」
「えへへ///」
・・・・・
あああああああああ涙子可愛いいいいい!!!!
いやまずいって。小学生だよ?犯罪だよ?ロリコンじゃん!
でも。
スラリと伸びた足とか、美しい黒髪とか、不釣合いな胸とか、これもう小学生じゃないよね・・・
・・・
その日は近況報告などなど。
涙子は今レベル4であともうちょっとでレベル5になれそうとか、能力名を考えてるとか、そんな話しをした。
10月。
まずい・・・罪悪感で胸がいっぱいだ。
前世では何度かしたことがあったが、生まれ変わってから、初めて、ついに。
オナニーしてしまった。
しかも涙子のことを考えながら。
まるで妹のように可愛がってきた愛弟子なのに・・・
はぁ・・・心が痛い・・・
そういえば、精液の量と身体能力は比例するのだろうか?
前世では数mlくらいしか出なかったのに、今回は500mlくらい出たし。しかも濃さも・・・
11月。
この寂しさを紛らわすために、いいことを思いついた。
前世でもあったリアルポケモンセンターの学園都市支店が第十五学区にオープンするらしい。
つまりぬいぐるみを買ってくる。
はぁ・・・さみしい・・・オレは何をやってるんだろう。
あ!お金下ろしてこなきゃ。
というわけで最寄の郵便局へ来ました。あー、強盗に襲われてる女の子でもいないかなー。
いやホントに襲われたらシャレにならないんだけど、強盗を返り討ちったって人を殴ったりとか絶対出来ないし・・・
ATMは思ってたより並んでた。ボケーッと待ってたら、ジャッジメントの腕章を着けた女の子と目が合った。
女の子はすぐ目を逸らしてしまったけど、頬を染めながらこっちをちらちら見てくる。
ひょっとして。
春が来た?来ちゃった?でも見た目、小学生くらいだしな・・・せめて中学生くらいじゃないと・・・
「あれー?白井さん偶然ですねー」
「ふぇ!?あ、あら初春・・・あなたこそなぜ第七学区に?」
「もうすぐ中学生なので学校や寮の下見に来たんです」
「中学生?どなたがですの?」
「私に決まってるじゃないですかーやだなーもー」
「へ・・・へー」
え、ひょっとしてこの子12歳?あと何ヶ月か待てば中学生?
なら・・・
ナンパとか、してみる?
いっちゃう?
いっちゃうか!
「わぁー!見てください白井さん信じられないくらいのイケメンさんがいますよー!」
「シィーッ!初春、シィーッですの!静かにするんですのー!!」
やっぱやめとこうかな・・・
それはそうと、ジャッジメントの女の子はどうやら呼吸術を見につけているようだ。全集中・常中まで習得しているし。おそらく、相当な努力家なんだろう。
能力はAIM拡散力場を見る限り空間移動系かな?いいなー実は憧れてる能力だったり。
もう一人の女の子は花飾りのカチューシャを付けたふにゃふにゃした雰囲気の子だった。こっちの子はかなり体が弱いみたいだ。
能力は・・・多分、温度に干渉する能力だろう。
二人ともかなりの美少女だ。可愛い・・・
「白井さん、ちょっといい?」
「どうしたんですの?固法先輩」
今度は高校生くらいのジャッジメントが現れた。七三メガネの模範的風紀委員な感じ、そして胸がすごい。
能力は・・・透視だろうか。
二人は、真剣な顔で何かを話し合ってるみたいだ。一体なにを・・・
「ヒャッハー!!金だ!金を出せー!!!」
え
え!?え!?まさか本当に強盗!?
銃を持った二人組み。といっても目が完全にイっちゃってる。薬物か?
怖い・・・遭遇しないかなー、とか思ってたけど。いざ本当に遭遇すると怖いものは怖い・・・
「ウヒヒヒヒ一人くらい殺してもいいよね!?ねえっ!?」
「ああ・・ヒヒ、一人と言わず全員殺しちゃってもいいだろねぇ!?」
こ、殺す!?どうしよう!?どうしよう!!
ドカバキグシャ
「おごぉぉ・・」「ぐぺぇ・・・」
まぁ、そんなもんだよね・・・
オレがどうするまでもなくジャッジメントの二人が一瞬で鎮圧してしまった。
女の子が膝裏にキックからの、膝蹴りが鳩尾に突き刺さって。
メガネお姉さんの空手チョップが首筋に華麗に決まって。
メガネお姉さんは常中はまだのようだが、全集中は使えるみたいだ。
「ふぅ、危ないところだったわ・・・」
銃を撃たせる余裕すら与えない、二人とも華麗な動きだったな・・・
「きゃあっ!!」
「チッ、ガキ共にノされやがって。これだから薬中は・・・」
強盗はもう一人いたみたいだ!
強盗Cは花飾りの女の子を人質にとってナイフを突きつけている。
強盗Cの能力は・・・分からない。見たことがない珍しい能力だ。持ってる物、もしくは投げた物に力を与える能力だと思うんだが。
「アンチスキルかジャッジメントがいたら様子見だっつってたんだがな・・・」
「他にもいるんなら出てこゴパァ・・・」
強盗が喋ってる途中で女の子がテレポートして、側頭部へドロップキックをお見舞いした。うわ、エグっ
「う、うぐ・・クソがぁ・・・」
強盗は3mほど吹っ飛ばされてナイフと・・・パチンコ玉?(能力用だろう)を落としてしまった。花飾りの女の子も無事だったみたい。
「白井さん!袖口にもう一本隠し持ってるわ!」
「うっ、クソッ、死に腐れええぇぇぇぇーー!!」
強盗は隠し持っていたナイフでヤケクソになって切りかかったが、
「オゴボォ・・・」
女の子のテレポートからの回し蹴りをくらってノックアウトしてしまった。
女の子は誇らしげな「私、どう?」みたいな表情でちらりとこっちを見た。
「カッコいい・・・」
思わず声がでてしまった。
「いやぁ、そんなことありませんのぉ///」
「もう、あんまり調子に乗っちゃダメよ?」
「白井さんかっこよかったです!」
郵便局員さんやお客さん達もぱちぱちと拍手してくれた。
強盗に襲われてる女の子をカッコよく助けてモテモテになったりしないかなー、とか考えてたんだけど。まぁ、実際はこんなもんだよね・・・
まさか女の子が強盗を返り討ちにしちゃうなんて。全集中を使えば能力は強くなるし、身体能力も上がる。覚えてないやつが敵うわけないんだけど。
でもカッコよかったな、今の。しかもめっちゃ可愛いし。
・・・・・・・
「何やってんだテメェらああぁぁぁっっ!!!!」
「「「「「!?」」」」」
強盗Dが現れた!
え!?まだいたの!?
「はぁ?何やってんの?どういうことなの?連絡が遅いから来てみれば」
新しく来た強盗は日本刀を持っていた。しかもコイツも目がイっちゃってる。薬中だな
「あああ訳が分からん分かんねえよ何なんだよあああ・・・」
強盗は髪を掻き毟りながらよく分からないことを呟いている。
「そうだコイツらも殺す。お前らも殺す。それでいいじゃねえか、あああ・・・」
それに、この強盗は・・・
「あああブッッ殺すぁあああああああっ!!!」
「ッ・・・返り討ちにして差し上げますの!!」
全集中・常中を使っている!!
「ヒャアッッ!!」
強盗は女の子に向けて袈裟斬りを放った!
「くっ・・・」
女の子はテレポートで背後に移動して回避したが、
「遅せぇんだよ!」
「んなっ・・・」
強盗は異様な反射神経で背後の女の子へ蹴りを放った。女の子は何とかガードできたようだが体勢を崩してしまった。
「死ねやああっ!!」
強盗は、今度は返す刀で切り上げを放ったが。
「うぅ・・」
女の子はギリギリ、テレポートで回避した。少し離れたところへ移動し体勢を立て直したが、
「ヒヒッ」
強盗は移動地点が分かっていたかのように、女の子にナイフを投げた。
「な、なんで」
女の子はナイフをすんでのところで避けたが。この強盗の能力は・・・
「このっ・・」
女の子はポッケからボールペンを取り出してどこかに転移させたが、
「効かねぇなあ♪」
授業で習ったテレポートの基本性質。テレポートは移動先の物体を押しのけて移動する性質があるので、理論上は紙切れ一枚で鋼鉄を切り裂くことも出来る。
女の子はこれで強盗の足を縫いとめるつもりだったみたいだがあっさり避けられてしまった。さっきからメガネお姉さんも加勢したいようだが、二人の動きに全くついていけず歯痒そうな表情をしている。
やはり、AIM拡散力場を見る限りこの強盗の能力は、
「読心能力だ!」
「!?」
「ヒヒヒ分かっちまったかあ!?」
能力が判明しても根本的に相性が悪い。身体能力も、技もはるかに上。
女の子は防戦一方だ。どんどん追い詰められていく。そして
「ヒャハハハハ死ねやあああぁっっ!!!」
強盗の凶刃が女の子の首へ・・・
気付いたら動いていた。刃が女の子に触れるスレスレで、女の子を抱えて強盗の間合いから脱出した。
「ふぇ!?あ、あの・・・」
「あん?テメェ・・・」
女の子を降ろして強盗と対峙する。強盗から、ネバつくような殺気を浴びせられる。
強盗のAIM拡散力場が動く。俺の考えを読もうとしているんだろう。
「ぷ、ぷぷぷ、てめえ・・・怖いんだろー!?オレを見て怖くて仕方がないんだろー!?」
「ヒヒヒ、大人しく隅でガタガタ震えてればいいものをなぁ・・・正義マンに目覚めちゃったかー!そっかー!!」
「でもまぁしょうがないし」
「殺すか」
強盗が向かってくる。今まで以上のスピードで。
透き通る世界。強盗の体を透視すると血、筋肉、骨の動きから次の行動が予測できる。
また袈裟斬り。
大丈夫。こんなヤツ、父上に比べたら鼻クソだ。
そうだ、アレをやろう。
振り下ろされる刃の側面を叩いてヘシ折る、アレ。
鈴割り。
パキン
「なっ・・・」
強盗の目が驚愕に開かれる。オレの心を読んだときに、何をしようとしていたのか分からなかったのだろう。
強盗が怯んでいる隙に、強盗に向けて蹴りを放つ。
ドガッ!
「うっ、ぐう・・・」
強盗を壁に叩きつけて、空中の折れた刃をキャッチして強盗の顔の横に投げ、突き刺した。
ガスッ!
「ッ・・・クソがぁ・・・」
何だ?体が熱い。体温が際限なく上がって鼓動が速くなっていく。まるで自分の体じゃないみたいだ。
そうだ。オレはこの強盗に言いたいことがあったんだ。
「お前は」
「人の命を何だと思っているんだ」
「チッ・・・」
強盗は折れた刀を投げ捨てた。ガランという音が、静まりきった郵便局に響いた。
そのあと、強盗たちはアンチスキルの人達に連行されていった。オレはすぐにその場を離れたのだが、
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・
ああああああああああああああああはずがぢいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい
まさか縁壱さまの決めゼリフを言っちゃうなんて・・・オレはなんてことを・・・・・・
今日は黒歴史確定記念日だ。きっと、布団に入る度に今日のことを思い出しちゃうんだろうな。
はぁ・・・・
「あ、あの!」
「え?」
「お、お名前を教えて下さいですの・・・」