「おはようございます、真田様♡」
「……」
玄関口でニコッと笑うと、まなかはたっぷんと胸を揺らして、「お邪魔します」と家に上がった。
俺は言葉を失って、なんで? と頭の中を疑問符でいっぱいにしていた。
今日は金曜日。学校が終われば櫻井と週末いっぱいセックス出来るなとウキウキ気分で制服を準備していると、突然の来客。扉を開けばあのグラビアアイドル、神崎まなかが立っていた。
いや、マジでなんで?
「ええと、学校は……?」
「両親からは金だけ稼いでくればあとは好きにしろと言われています。世間体を気にして高校には入学させられましたが、殆ど登校してないんです」
「あ、へぇー……」
なんとも反応に困る家庭事情に、俺は目を逸らした。
彼女は一部屋しかない家の中で、突然頭を下げた。
「真田様、私もお願いしたいことがあります」
「うおお、デジャブを感じる……えと、まなかさん俺便利屋じゃないからね?」
「はい、分かっています。ですがもしこの願いを聞き入れてくれるなら……♡♡」
まなかさんは俺に近づくと、ひんやりとした両手で俺の右手を握った。そしてゆっくりとその巨大なおっぱいに近づける。
ずむっと、指先が蕩けるような乳肉に埋もれた。
「真田様に一生尽くします♡」
「……は!?」
何を言われたのか理解出来ず、目を点にした。
「え、いや……え? 何……?」
その間にもまなかさんは俺の指を一本一本伸ばして、鷲掴みさせるように乳房を押し付けてくる。俺は何が何だか分からなくなって、とりあえずおっぱいを揉んでみた。
夏が近く、彼女はノースリーブの縦セーターとかいう非常に魅力的な服装だった。俗に言う童貞を殺す服だ。規格外のデカ乳が横から顔をのぞかせていて、正面から見ても大迫力だ。そんなおっぱいが俺の手でむにむにと変形していた。
「お願いです、両親を忘れさせて下さい。そうすれば身も心も真田様に捧げます……」
「いや、もう催眠しないってば……」
「記憶を消していただければ、好きなように使って頂いて構いません♡♡♡」
そう言うと、蕩けた笑みを浮かべて俺の唇に吸い付いてきた。
「はぷっ、ちゅっ、ちゅむっ……♡♡♡♡」
「もが……!!?」
息つく暇もなく、にゅるにゅるとした舌が口内に侵入し、俺の舌に絡みついてくる。
彼女の舌先は俺の舌の根元を撫で上げるようにして奥深くまで舌を伸ばしてくると、強く唇を押し付けてくる。
突然のディープキスとパイ揉みに、俺の股間は早くも臨戦態勢になった。
「ぷはぁ……♡♡♡」
脳が沸騰しそうになるほど熱烈なキスを終えた彼女は、俺の口の周りについた唾液をベロベロ舐め回すと、クスリと妖艶な笑みをたたえた。
「愛しています、とめどなく真田様への愛が溢れてきます……♡♡♡」
「へ、へぁ……い、あえ……?」
「あのどうにもならない二人を忘れさせてくれるなら、私は真田様のためにお金を稼ぎ、真田様だけにこの身体を捧げます」
「……どうしたんですか、まなかさん」
俺はビンビンに勃起しながら、彼女の豹変ぶりに困惑していた。
豹変……というか、そういえば昨日からこんな調子だった気がしなくもない。端々から漏れる恨み節が、あんまり優しくされたことないんだろうなという印象を抱く。
つまり出会い方は特殊だったが、彼女の場合俺がほんのちょっと優しくしただけでここまでなってしまったということなのだろうか。いくらなんでもチョロすぎる。こうなると益々催眠した相手には無条件で俺に好意を抱くという仮説が正しく思えてきた。
……いや、でもこの人の場合、例え俺と出会わなかったとしてもそこら辺のヒモ男に良いように扱われてそうだな。そのまま身売りとか、普通にありそうだ。
「わかりました、とりあえず落ち着いて下さい」
俺は彼女を落ち着かせようと、彼女の柔らかい身体を押しのけて、後ろに後ずさった。
「あ、ありがとうございます!」
「え? ……いや別にまなかさんの願いを承諾したわけでは……」
「真田様……」
う、凄い顔だ……このまま拒否したら、絶対やばい……
思わずそう考えるほど、一瞬で絶望に満ちた表情へと早変わりするまなかさん。ほっとけばマジで自殺しそうだ。
とりあえずまずは学校に行かないと。
まなかさんにそう伝えるとまなかさんは頷き、「私は部屋の掃除を……」と何食わぬ顔で居座ろうとしていた。
「まなかさん、流石に……」
「真田様……」
「くそぉっ、その顔汚ねぇ……! ちくしょう行ってきます!!」
結局俺は彼女に負けて家を飛び出した。
なんで家主の俺が逃げ出さなきゃならんのだ、全く。
「いってらっしゃいませ、真田様」
見送る彼女の声が、やけに白々しく聞こえた。
ーーーーーーー
「櫻井ぃっ……!」
「わっ、真田君……?」
俺は教室で櫻井の顔を見るなり、疲れ切った様子で彼女に抱きつく。
クラスメイトの何名かが何事かと視線を向ける。すわセクハラかと女子陣の殺気立つが、それを当の本人である櫻井が腕を振って否定する。
俺は櫻井に連れられて廊下の端まで行った。
「……なるほど、そんな事が」
俺が全てを説明すると櫻井は真剣な顔で頷いた。
「ふふ、色々大変だったね真田君♡ おいで、おっぱいでヨシヨシしてあげる……♡」
「あぁ、櫻井ぃ……櫻井のおっぱい、制服越しでも柔らかくて……好き……」
「えへへ、これじゃあどっちが催眠してるか分からないね♡♡ んっ、ぁ、ち、乳首つまんだら、こ、声出ちゃうぅ……♡♡」
俺はひとしきり乳房を撫で回し、お尻に勃起チンポを擦り付けた後その日は普通に授業を受けた。
櫻井曰く花城の件については自分で対処するとの事なので、俺はひとまずあの押しかけグラビアアイドルをどうにかしろとのことだった。
櫻井と花城は親友らしい。なら話し合えばそう険悪な関係にもならないだろう。
俺はその点に関しては楽観視していた。
問題はもう一人の方だ。櫻井はどうにかしろと言っていたが、どうにかって──
「おかえりなさいませ、真田様♡」
「──どうすりゃいいんだよ」
学校から帰って玄関を開けると、そこにとんでもない痴女がいた。
おっとりした顔立ちの美少女が、そのボリューム感満載のボディをこれでもかと晒すようなマイクロビキニでスタンバイしていた。
Hカップの爆乳がビキニにいやらしく食い込む。改めて見ると本当になんと暴力的な体型だろうか。デカパイにくびれに、むっちりした尻。いやらしさの塊だった。
思わずチンポを勃たせながら家に入る。ツッコミどころが多すぎるだろ。
「あの、本当に、もう大丈夫なんで、帰ってもいいですよ……?」
「真田様っ、嫌ですここに居させてください……お願いです、お願いですっ……!」
慌てて土下座する爆乳アイドルにさてどうするかと頭を悩ませる。
本来なら今日も櫻井とたくさんセックスする日だった。なのに花城のせいで櫻井とは一緒に帰ることもできず、俺はこうして意味のわからん乳女に困らされていた。
いい加減腹が立ってくる。どうして俺がこんな事をしなければならない。
ああ、櫻井、櫻井。早く会いたいよ、このムラムラを鎮めてくれ。
大体こいつ、どうして俺にこんなにまとわりつくんだ。
しかもこいつの言っている事が本当の事とは限らないのだ、彼女は花城に言われて一度俺のことを騙した。
つまり、十全には信用できないということだ。
……もちろん、なんの後ろ盾もなしに催眠を持っている俺に近づいてくる時点で本気なんだろうけど。
それでも気になる。何が──
「──一体何が目的なんだ?」
思わずそう尋ねる。本当に邪魔だ。俺に犯されても文句は言えないぞ。
すると彼女は俯きながら俺に抱きついてくる。Hカップの爆乳が胸板に押し付けられて、彼女の股座にズボン越しに勃起したペニスが当たった。
「何もかも、忘れたいんです。お願いです、真田様のおそばに置いてください。肉便器でもペットでも何でもいいんです、両親の事を忘れたいんです……」
「……どいつもこいつも、俺みたいな胡散臭いのにしがみついてまで親のこと忘れたいのかよ」
俺には考えられなかった。
両親はもういない。会いたくても会えない。
もう二度と話すことは出来ないし、触れることも出来ないのだ。
「──あ、なるほど」
……そうか、だから俺は櫻井にこんなに甘えているのか。
その時、不思議と気分が静まった。
俺の両親が死んで、だいぶ経つ。
それでもまだ高校生の俺には、到底親離れなんて出来てなかったんだ。
無条件で自分を肯定してくれる大切な二人を失って、俺は知らず知らずのうちに味方を求めていた。
……つまり、櫻井は彼女兼母親として俺をあやしている訳だ。
重労働だな。
それに気がつくと、ふと目の前の彼女が子供のように見えてきた。
俺も彼女もまだまだガキなんだ。それに気がついたところですぐ大人になれる訳でもないが、なんとなく怒りが収まるのを感じた。
「俺も少しは自分で考えてみるか……」
俺は目の前にいる爆乳アイドルを見つめながら、思考を始めた。