「いやぁ……え、えぇ……?」
目の前で石と化した櫻井を眺めながら、この五分間の出来事を俺は掻い摘んで思い返す。
全く動かなくなってしまった櫻井に、まずは肩をゆすり、顔の前で手を振ったり、具合が悪いのかと何度も尋ねたり。
それでも反応のない彼女に、俺は焦りまくり、テンパリまくり、挙句理科室の机の上に寝かせるというよくわからない暴挙に出た。
これがもし胸を押さえて苦しそうにするなり、血を流して倒れるなりするならば、俺だって急いで保健室に駆け込んでいただろう。
だが、何もせずに動かなくなるだけという状況が、ギリギリで櫻井の悪ふざけという線を考えてしまっていた。
痛がる素振りもない、ただ硬直している。
「どうすりゃいいんだよ……」
やっぱり病院か。
いや、その前に保険室か。
その決断をするのに時間をかけ過ぎた節はあるが、まさか最初はこれがガチだとは思わなかったのだ。いやこの症状のガチとか、意味わかんないけど。
「櫻井……頼むから起きてくれよ……」
そんなことを言いながら、俺は俯く。
これでヤバい病気だったらどうしよう。俺がここでもたついたせいで手遅れとか無いよな。
そのせいで櫻井か死んだらしたら……
「あ、あれ、どうして私……!?」
「……ぇ」
顔を上げると、櫻井はびっくりした顔で机の上に女の子座りをしていた。
俺はその光景が信じられなくて、目を何度もこする。
「あは、あはは……ご、ごめんね、変なことしちゃって!」
大恥かいたとばかりに櫻井はそそくさと机の上から降りる。その様子は先程まで止まっていた記憶など微塵もなく、気がつけば机の上に寝ていたというような表情だった。
「さ、櫻井……?」
俺はぽかんとした顔で、脱力して椅子に座り込んだ。まさか、何をしても起きなかったのに、どうして目が覚めたんだ。
櫻井はそんな俺の表情をどう受け止めたのか、顔を赤くしながら、俺の隣に座った。
ぷいと顔を背けながら、「さ、続き続き」とあからさまに誤魔化すようにノートを手に取った。
何だったんだ今の。
「櫻井、い、今の何だったんだ……?」
「も、もう、今のは忘れてよ……!」
櫻井は俯いて肩を震わせた。よっぽど恥ずかしいのだろう。
だが俺にはまだ得体の知れない恐怖が残っていた。
違う、そうじゃない。俺が聞きたいのは、そこじゃないんだ。
「今お前、動かなくなったよな……?」
「……?」
櫻井は俺の真剣な声に違和感を覚えたのか、恐る恐る顔をあげて、俺を見た。
「今お前、動かなくなったよな? なぁ?」
「な、何のこと……?」
むしろ頷いて欲しい質問に、櫻井は本気で首を傾げていた。机の上で寝てしまった事は覚えていても、その前までに何があったのかは覚えていないようだ。
そんなバカな話があるか? コイツは五分間、死体みたいに動かなくなって、しかも目もぱっちり開けたままだった。五分間だぞ、俺に触られたり挙句身体を持ち上げられて机の上に寝かせられて、その間身じろぎひとつ、瞬き一つしないなんて、異常じゃないか。
背筋が凍る。単純に、目の前の女の子が化け物に思える。
「だ、大丈夫……?」
冷や汗が噴出して止まらない。寒くもないのに体が震える。
尋常じゃない様子の俺に、さしもの櫻井も不安そうに俺を気遣ってくれた。
「あ、ああ、た、多分……大丈夫、な筈だ」
「そうは見えないわよ」
櫻井は心配そうに身体を寄せてきた。「熱でもあるんじゃないかしら」とその手のひらを額に当ててきた。
無自覚に巨乳を俺の目の前に持ってきながら。
再び股間にカッと熱いものが集まってくる。俺はそれに違和感を覚えた。
まるで身体が、勝手に興奮したような。俺の恐怖を感じている心境とは無関係に、一人でに反応したような。
「さ、櫻井、大丈夫だから、やめてくれ……」
俺は嫌がるように上半身を逸らすと、ノートを手に取った。
おっかなびっくり隣を見れば、櫻井は俺の額に手を当てた姿勢で、固まっていた。
「ひっ……!?」
思わず立ち上がる。勢いよく木製の四角い椅子が倒れた。
櫻井は近くで大きな音が鳴っても、全くの無反応だった。
「さ、櫻井……?」
もうダメだ。完全に怖い。
櫻井は操作入力を待つロボットのように、微動だにしなかった。
勘弁してくれ、今日は今朝から変なヤンキーに妙なドッキリを仕掛けられて疲れてるんだ。遅刻までしたし。
その上今度は世にも奇妙な話かよ、勘弁して……ん?
「……そういえばあのヤンキーも、こんな感じだったな」
櫻井を正面から見てみる。
無表情、最低限の呼吸。指示を待つ機械のように、ピタリと止まった体。
手のひらに、ヤンキーに朝無理やり揉まされた乳房の感触が蘇る。
……まさかな。
俺は今、とんでもない妄想を頭に浮かべた。そしてそれを今、実行しようとしていた。
もしこれが正しければ、一応辻褄が合う。合ってしまう。
確かめてみるか。
いやいや、まさかそんなはずはない。
だがもし、俺の思っていることが本当なら。
俺はゴクリと唾を飲み込むと、急速に乾いてきたカラカラの口を何とか動かして、櫻井に命令した。
「さ、櫻井、おっぱい揉ませてくれ……」
言ってから後悔した。馬鹿だ。馬鹿すぎる。女の子に何言ってんだ。
一発ギャグを外して空気が凍ったような、そんな全身が総毛立つような明らかな失敗に、俺は悶絶した。死にてぇ。
──が、現実はある意味でそれより酷かった。
「あ、うん分かった。ちょっと待ってね?」
「……っ!?」
妄想が、現実になった。
俺は雷に打たれたように、動かなくなった。
まさかそんな。そんな事って。ありえるのか。
普通に考えたらひどいセクハラで、幾ら多少仲が良いとは言っても櫻井とは結局はクラスメイト止まりだ。間違っても、こんな返答をした後に「って、そんな訳あるかーい!!」とノリツッコミでも返っては来ないだろう。
それに、全く返答にタイムラグが無かった。常日頃から言われていて、それに毎度答えているような、そんな返事だった。もしこの漫才が出来るようなモノが俺と櫻井の関係性で、前述したノリツッコミでもしてくれるステキな人なら、俺はコイツに告白してた可能性すらある。
……話が逸れた。
俺の目の前では、櫻井がブラウスのボタンを外し終えたところだった。櫻井は躊躇いもなくそれを脱ぎ捨てると、ブラジャーだけになった。
「す、すげぇ……」
ごちゃごちゃ考えていた思考が吹き飛ぶほど、櫻井の身体は女性的魅力に満ち溢れていた。
線の細い体つき。丸みを帯びていて、撫で回したくなるような白い素肌がそこにあった。健康的な肉付きながら、よだれが出そうになる程くびれた腰。その上には大ボリュームの巨乳が、黒いレースの下着に包まれてスタンバイしていた。
俺が性犯罪者なら、一も二もなくしゃぶりつきたくなるような、魅惑のわがままボディだ。
「どうする?」
「へ!? え、な、何が……?」
すっかり見惚れていた俺は、櫻井の言葉を聞き逃していた。
櫻井は「ちゃんと聞いててよね」と困り顔で、思春期の男子高校生全てをノックアウトするような事を言った。
「ブラジャー、付けたままがいいかな? それとも直接おっぱい揉みたい?」
彼女は至って普通に俺に問いかけてきていた。
一方の俺は、股間に集まった血がムクムクと海綿体を大きくさせている感覚を、手に取るように自覚していた。
な、何だこの究極の二択。お、俺はどうすれば。
人生で一度、あるかないかの大事な質問に、俺は限界まで頭を悩ませた。え、てか揉んでいいのか、本当に。
「そんなに本気で悩まないでよ。なら両方揉んで、たっぷり味わってから、好きな方選んで♡♡」
「そ、そんな、両方試食した後お好きなものをお買い上げ、みたいなシステムが、こんなでかいおっぱいに適用されていいんですか……」
櫻井はくすくす笑うと、そこ大きなおっぱいを俺に差し出すように、グッと突き出した。
扇情的なボディラインが弓なりに反って、肉感的な身体がより強調される。くびれた腰が捻れて、そこから舐め回すように見上げれば、ねずみ返しのように大きく膨らんだ乳房が目に止まる。黒いレースの櫻井とは思えないチョイスのブラジャーに南半球を包まれたそのおっぱいは、俺のげんこつ程度は軽く凌駕する大きさで、改めてため息を漏らしてしまう。
「はい、どうぞ♡♡」
櫻井は俺が揉みやすいようにと、両脇を晒すようにして手を持ち上げた。手入れされた脇には女の子らしい凹みがあって、ついつい吸い寄せられる。
「う、おおおっ……!」
結果俺は鼻頭を彼女の脇にうずめながら、両手で持ち上げるように双乳に触れた。
俺は歓喜のあまり、ブルブルと体を震わせた。
「ちょっと、そこは臭い嗅がないでよ……♡」
櫻井が何か言っていたが、俺は全く聞こえないフリをした。クンクンと、櫻井のいつもの石鹸の匂いと、汗ばんだ女の子の脇の臭いを存分に肺に吸い込みながら、両手に神経を集中させる。
ぴたりと乳肌に張り付いたブラジャーは直に触れてみるとよくある「寄せて上げるブラ」などとは違い、本当に女性を美しく見せるためだけのブラジャーという事が分かってしまう。
それは彼女の巨乳が、天然でこの素晴らしい形をしている事を示していた。
俺は目を閉じると、優しくほぐすように、そっと手に力を込めた。
「ぉ、おぉっ……」
思わず、変な声が漏れる。
みっちりと乳肌の中に詰まった柔らかいお肉は、奇跡的なバランスで柔らかさと弾力を兼ね備えていた。十本の指がブラジャー越しにおっぱいに沈み込みながら、それでも何処か指を跳ね返すようにむにゅんと抵抗していた。
この暑さの最中、ブラウスやらブラジャーやらで散々ムレた乳房のリアルすぎる生暖かさに、俺の興奮は爆発していた。
凄い、凄すぎる。
ズボンの中で膨れ上がったペニスが、暴れ狂っていた。チャックが亀頭に擦れて痛い。窮屈だ。
けれどそれを救出する時間が惜しいほど、俺は夢中でおっぱいを揉んだ。
「ふふふ、可愛い顔……♡」
櫻井はペットでも見るような目で俺を見ると、優しく乳房から手を退かした。手のひらから生暖かい体温が消え去る。
途端に絶望的な表情になる俺に櫻井はクスリと笑うと、手早くブラジャーを取り外した。
ぷるんと、おっぱいが姿を現した。
俺は一度態勢を立て直すように脇から顔を離すと、素早くズボンのチャックを開き、肉棒を取り出した。いつもより一回り程大きく感じるチンポに多少の男的な自信を感じながら、改めて櫻井のおっぱいを見る。
「ほほぅ……」
思わず少年漫画の師匠のような声が漏れたが、それも致し方ない。
ぷるんと丸みを帯びたその乳房は、多少重力に引かれて下に伸びていた。
けれども、ブラジャーを着けていた時に比べてもその差はほんの僅か。むしろこちらの方が俺的には理想な乳房の形だ。横と下に、柔らかすぎる故か僅かに垂れた乳こそ、ベストだ。それにハリのある乳肌は見ているだけでも確かな弾力を感じさせる。
そして何より、その綺麗な半球にトッピングされたような形でついた、乳輪と乳首。それらが姿を表す事で、まさしくおっぱいが完成していた。
多少大きめの乳輪に、歯ごたえのありそうなコリコリの乳首は、まさしく俺の理想像。
気がつかないうちにドロドロと先走り汁を鈴口から漏らしながら、俺はゆっくりとおっぱいに触った。
「あんっ……♡♡♡♡」
か細い喘ぎ声が、耳朶を打った。手のひらには絶対に屈しないぞと乳房にめり込みながらもしこり勃つ乳首が、ぷっくりと存在感を表していた。
スライムのような柔らかさに、指を沈みこませる。指の間からは押し出されるようにむにゅうと乳肉が溢れてきて、それがより気持ちよく感じる。
俺は無我夢中でおっぱいを揉んだ。暑さにやられてホカホカになっていた乳房は、俺に揉まれすぎて別の意味で火照っていた。
「はぁ、はぁ……♡」
気がつけば時刻は五時を過ぎて、外からはそれを知らせる鐘が鳴り響いていた。
「も、もうそろそろ暗くなっちゃうね……まだ揉みたい?」
「ああ……ん、あ、いや……は? え?」
そういえばこれからどうしよう。
そんな事を考えながら、それでも彼女のおっぱいを揉む手は止まらなかった。
色々考えて二次創作の方では感想返しはしていませんでしたが、本作では頑張って返していこうと思っています。この謎作品に感想をくださる奇特な方は是非ともよろしくお願いします。
あと当時は催眠ものなんて書いたことないので、色々拙いです。今も成長したのかどうかは疑問ですが。