平和
きょうも日は沈む。
誰もいない街中で、ひとり夕焼けを見れば。
何処からか歌声が響く。
「夕焼けよ、明日さつれてこい
朝焼けには、両の手であわせて祈ろう
道行くさまよう者には、灯りを
去る者には安らぎを
我らは、汝とともにあることを
忘れるなかれ
闇の果てに、ひかりを
光の中の闇には、ぬくもりを 」
夕焼けに照らされる廃墟で一つの鳥籠がこわれる。
「さあ、幕が上がるよ
すべての準備がいま、整った。
嗚呼、いま汝の声をいま盗む
さあ、泣いてごらん?
ー君の声は、この手の中
さあ、鳴いてごらん
ー君の涙はあの子の道しるべ
さあ、ないてごらん
ー君のいのちは
確かに、あの子が守ったよ。」
ーーー
ーー
闇の中で光の球があらゆる色になりて輝く。
その、光たちの下で誰かが光たちに祈る。
また、時同じく、
とある世界では、真夜中の街の外れで
ひとりの少年と2、3歳の少女が岩がたくさん置かれていた一角で紺色の岩に座りながら、空を見上げて満天の星々を眺めていた。またそしてー知らずに散っていた星の暗がりを見てソレを二人は語り合った。
そのとき、少女の脳裏に主人から任されたことがよぎる。
ソレに少女は一筋の光を左の頬に宿し、ソレに少年は少女の柔らかく温かい左手を握る。
少女は、ただ掠れた一言を発した。
「ごめんね、ー」
少女の身体は内側から光を宿す。少年は少女の手を引く。
朝焼けはすぐそこまできていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夕焼けがこちらを照らす、その淡いひかりの中で笑う少年に、仲間たちと共に彼は笑いながら話をしていた。
あんなにも敵意をあらわにしながら警戒して、あんなにも敵対していたあの日々、あの頃は知らなかった仲間と共にいる愛おしさを。陽光の中で笑い合う喜びの中で彼は言い知れぬ幸福を胸に抱きしめて、彼と自分が一番に敵対していた自分が今こうして向き合って笑い合う中で眩しいその笑顔に微笑む。
「剣城っ!明日、いつもの河川敷でサッカーしようっ!」
その言葉に、笑顔をまたひとつ溢して剣城と言われた少年は、「ああ、そうするか。天馬」と言葉を穏やかに返した。
だが、夕焼けの裏側で夕闇が黒々としたその真っ黒な手を伸ばしていたことは、このとき誰もが思いもよらなかった。
「さあ、“声盗み”の時間だ。」
夕焼けの反対側から見える三日月がなぜか泣いていた。
その頃は、サッカー界を牛耳っていたフィフスセクターが崩壊して2週間は過ぎていた頃で、すべての闇が世界から消えたかに見えた頃であった。
ーーーー
ー
周りはしんとして、あたりは真っ暗。
月もなく、無論、星もない。暗すぎてどこかわからない。
身体の方は、目を動かすのも難儀だ。
だが、身体は何かに座っているようだ。
まるで、サッカーベンチのソレであるようだ。
声を出そう、口内から激痛が走る。
「っ!?」
なんだなんだと目だけであたりを見渡すとすれば何処からか、喧騒が聞こえてくる。
どこからだ。
その喧騒と共にカラカラカラと音がする。まるで、缶が道端で転がっている音のようだ。
突如、その音に合わせて睡魔が俺を襲う。
その時。
「剣城っ!」
天馬の声が聞こえた気がした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーー
その日はなんにでもないそんな日常のひとつになるはずの一日だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーー
天馬や狩屋たちと一緒に河川敷でサッカーをするきょうは、木曜日だ。
窓から溢れる朝日に目を細めて、朝飯にかかるかと
ベッドから起き上がる。
確か、昨日のあさり味噌汁の残りがあったはずだ。
キュウリの漬物、コンビニのサバ味噌などと考えながら顔を洗い。冷凍庫の扉を開けて冷凍ご飯を出してレンジで温めながら茶碗を出しながら、テレビをつける。
ちょうど、今日の出来事のニュースだった。
ラップに包まれている白いご飯をお椀に移す。
そう、移すところでニュースの声がまだ眠い俺の耳に届いた。
「ー次のニュースです。昨夜、帰宅途中の少年が未明に行方不明となり、未だ連絡が取れていません。
またー」
ふと、テレビのほうへ顔を向ける。目を凝らす。
なんだか、見たことがある場所に似ている。
さらにじっと、目を凝らす。
そして、中継されているところを見れば、テレビ画面の端を見れば近所だ。
さあ、と自分の顔が青ざめる感じがした。
慌てて、充電してある携帯を取りに行く。
携帯内の電話帳を開いて目当ての電話番号を選択する。携帯の電話コールが聞こえるが相手が出る気配がまったく感じない。
それが焦る俺にとって、それは"こたえ"だった。
ーー
ー
あるスタジアムで、ホーリーロード(少年サッカーの全国大会)に出場した各校のサッカー部員や監督たちがスタジアムの中心に集まっていたが、また高校生や小学生の者たちもいた。
そんな集まりの中で、それぞれの各校に別れながらも、ある者らは怯えていたり、また恐怖に己の身体を抱きしめている者ら、泣いている者ら、そしてまたある者らはー
怒りに身を焦がして監督や顧問たちに向けて、叫びながら“化身”を出したり、生身の身体で監督たちの必死の止めに向かって何か訴えていた。
ここは、ホーリーロード(少年サッカーの全国大会)の舞台となったスタジアムだ。
雷門中の前キャプテン(現在は松風天馬)である神童拓人はそんな怒り狂う者たちの叫びや怯えやら、恐怖やら何か叫ぶ者らを見ながらまた、聴きながら彼は自分たち雷門中と戦ってきた各校のサッカー部のキャプテンたちと話し合って、ある者らは携帯で情報を得る者、またある者らは周りにいる者たちと共に情報交換をおこなっている。
無論、大人、監督や顧問たちは警察に証言をしていた。
そんな中で、小学生の低学年にあたる子供たちは大きな声で泣いた。
ー母や父を呼ぶ者ら、兄弟、祖父母らを呼ぶ者ら
そして、ー友を呼ぶ者ら
泣いている。怒っている。絶望の声が聞こえる。
多種多様の色を放つ炎を大人たちや子どものうちに絶えず燃えていた。
ある者らは、けんか別れしていた。
ある者ら、いつもの日常で遊んでいた。
ある者らは、ある者らはー
いつものように生きていた中で、あらゆる情報、例えばニュースで流れていた誰かが失ったいのちに泣く人々、奪われたいのちが今まさに現在進行形で己の人生に降りかかる。
ー嗚呼、他人事のように他者の痛みに触れているようで。我々はいつしかソレがおのれの痛みになるのはいつだって、“まさかと言えぬ頃”になるのだ。
神童はハラハラと焦燥にかられるが、周りが騒げば騒ぐほど彼は冷静を取り戻してゆく。
彼と同じように鋭いひかりが周りの者らの目に宿る。
天河原中のキャプテン、喜多一番はそんな神童に同調するかのように頷く。
神童は周りを見渡す、遠目で剣城の方を見れば剣城に似てる誰かが車イスを使って、剣城のもとへ近づいていた。車イスは珍しいと周りは目新しいとみて遠巻きにしたりする者、道を開ける者らに頭を下げて進む彼は剣城の前で止まった。
すると、神童たちにとっては手前の者らが取っ組み合いを始めて見えなくなった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
剣城は自分の前に剣城の兄、優一が車イスで目の前にいることに酷く慌てた。
なんで、どうして、と剣城京介は取り乱す。
最悪な結果を京介は考える。
それを察した優一は哀しげに見つめる。
そのときだ。
「わんっ!」と優一の車椅子の後ろから京介の方へ一匹の犬が現れた。
「さ、さすけ」
「さっき、天馬くんのお姉さんがね。連れてきたんだ。」
ーやっぱり、天馬くんに何かあったんだね。
そう、話す剣城優一は何か決意をするように、両目を一度、固く両瞼をつむる。
「新雲学園の雨宮太陽くんを京介は知っているかい?」
その問いに剣城は、京介はうろたえる。
ーーーーーー
ーーー
ー
太陽の光の逆光の中で彼が笑う。
「ーまったく、
ほんとうに君はサッカーが好きなんだね」
そう、僕と名前が同じの太陽が彼の後ろで輝く中で、呆れた声で、だが、どこかやさしげに目を細めて彼はそう言ったんだ。
ーーーーー
「この社会がいくらサッカーだいいちだとしても、
僕は、反対だよ。」
ー例え、君が10年にひとりの天才だとしても、だ。
そう言葉を発した本人の眼には、強い意志がはっきりと示していた。
彼の目をしっかりと見定める。
そして、僕は口を開いたのだ。
ーーーー
結局、雨宮太陽と荒雲光希の初対面の話し合いは決裂し、またサッカー界を牛耳るフィフスセクターの圧力を受けた荒雲学園は、学園長代理、兼、荒雲学園生徒会長の荒雲光希はその席を退くことになった。
学園の名も"新雲"学園とフィフスセクターの息がかかった者により名を改め、学園長も代わってしまい、荒雲学園長であった光希の父、荒雲 学は、学園長から雇われ教員へと変わり、光希はただの生徒となった。
そう決まったのは、雨宮と同じ病により、光希の母は昨年の梅雨に子を身篭ったまま他界したその日だ。
その日はちょうどフィフスセクターの圧力により多くのサッカー以外の部がふるい落とされたことにより、サッカーに対する怒りや不満が教育社会に蔓延して、サッカー部の部員や監督などはその苛立ちの矢面に立たされ、嫌がらせや誹謗中傷を受けることが多岐に渡り、よって学園長や教師たちは頭を悩ませ、板挟みになるのが常であった。
そんな中での光希の母、ゆかりは、懸命に学の支えになろうと必死になったがために、無理が祟ったのだ。
それが、かつてサッカーを注目し好きになった人々の内部で、じわりじわりと悲劇が生まれてきた。
そう、サッカーを軸に動くようになった世界は、いつしか、サッカー以外のスポーツが迫害を受け、廃部になったりして、逆にサッカー以外のスポーツからサッカー部員や顧問やその部員、その家族に対していじめや嫌がらせが増加したのだ。
それと同時に、違う部活でも友人関係を結ぶ者ら、その家族らが迫害の末に、自らいのちを絶つ人々、逆に自己防衛の末に刑事事件発展し裁判沙汰になったりと、朝昼晩のニュース、新聞などに取り上げられていくー
ーかに見えた。
近所同士で話せばすぐ広まり、メディアの耳に届く、だが、テレビにも新聞にも見えない。それを助長するかのように、不安と噂と憶測が社会に蔓延し、禁句の都市伝説でフィフスセクターが暗躍したに違いないとの、陰謀論が暗黙の了解となり、このまま、明日の晴天でも心が死ぬと誰もが思っていた。
そう、そんな時、雷門、サッカーのはじまりの地の方から、あの忌々しいサッカーの地と思っていたその場所から、この極寒に成り果てた社会の人々の心に、一陣の春風が、舞い込んできたのは。
ーーー
ーー
ー 太陽くんは、泣いていた。堪えるように最初は我慢していたけど、耐えられなかったように泣き出してしまった。
続きを無理に言わなくていい、俺はそう言ったんだけどね、と兄さんは悲しそうに呟いた。
ーーーー
ーー
ー
荒雲光希side
あのサッカー界を牛耳るフィフスセクターの八百長に真っ向から挑む、
日本サッカーの人気はじまりの地から、雷門中学校の方から、吹いた風。
「そよ風ステップか」
光希は、その風の最初のはじまりは見ることは出来なかった。けれど、知人から聞いた話で興味を持ち、見に行ったのだ。はじめて学園をずる休みしたのには、ちょっぴり罪悪感はあったし、バレたときには新雲学園長から皮肉をもらった。だが、後悔はない。荒雲学園の手帳から新雲学園へと変わったときに、かつての座に未練はなかったけれど、自分の思いを荒雲学園の手帳に日記を書くようになったとき。
光希は、いつしか、母を奪い、自分の兄弟を奪っていったのは、サッカーなのだと認識するようになり、それを助長するように愛する妻と子の命が散った原因は自分なのだと己を責めた父は、自ら命を絶とうとした。それを光希は間近に見て止めに入ったとき、ある光景がフラッシュバックした。
それは母がまだ生きていた頃で父がまだ教員になって数年の時だった頃の光景だ。
光希と母、父は共に日本のサッカー選手の試合見ていた時、一緒になって応援していた。
だが、いま感じるこの気持ちはなんだろうか?
父が、夜、首を自室で首を吊ろうとしていた、その行為を見たとき光希は泣きながらこう言った。思うがままにこう言った。
「お父さん、置いていかないで、俺も一緒に行く、俺も母さんのところに行くっ!」
そんな言葉を聞いたときだ。初めて、はじめて母が亡くなってから、父が、泣いた。
ぎゅうぎゅうと、自分を抱きしめながら、
ごめんなごめんな、みつき、みつき
「ごめんな、みつき、
ーこんな父さんでごめんなっ!」
父は、痛いくらい俺を抱きしめて、この時に、おれははじめてサッカーを心から憎んだ。父さんはちっとも悪くないと思っている。ひとりで行こうとしたのは許してないが。
けれど、なんでだろうか。
荒雲学園の手帳から、新雲学園の手帳に変わっても日記を記した。はじまりの手帳の言葉をある一文を読み返した。
ーかあさん、あいたい
そんな自分の言葉に、俺は、太陽に、雨宮に何を押しつけていたのかを、おれは
おれは、かあさん。
かあさん、かあさんならやりたいことたくさんあったはずだよね?
おれは、おとこだ。
かあさんのように子どもなんて産めない、母親になれないから、わからないから、もう迷わなくてもいいよね?
仏壇の写真をずっと見ている父の後ろから母さんの前に座る、座って両手で祈る。
「母さん、今ならまだ間に合うかな?」
ーーー
ーー
ー
「え、いまなんて?」
その時、太陽くんはとても驚いたそうだ。
「君がサッカー部に入ることを、許可します。」
太陽くんは、あんなに嫌みに皮肉に言ってきて、あんなにも頑固な怒りを表していた冷たいはずの銀色の目を細めて苦笑する光希くんに目を見張る。
苦笑だが、出会ってから今まで見たことがない笑う光希に太陽くんは信じられない顔で見ていたが、光希くんはそれに今度は静かに笑う。
「僕が、・・私が知る限りの君の病気を知る先生のもとで、君の身体に合った、"きみだけのサッカー"をしようっ」
あ、もちろん、君の病気を最先端で研究している先生だから、安心してくれっ!
余りの光希くんのノリノリに、太陽くんは明日、世界が滅ぶのではないか、と思ってしまったとそのとき太陽くんは笑った。
そして、次に太陽くんはうつむきながら、言った。
それは光希くんがテスト対策ノートやら、光希くんと太陽くんと先生で病気と上手く付き合う対策ノートやらを持ってきた後、手帳を落としたのだ。それを太陽くんの病室内に忘れたその手帳に挟まっていた家族写真を太陽くんが見てしまったのだ。その写真を見た太陽くんは何気なくその先生に写真の女性の事を聞いたのだが、頑なに先生は流すだけだが、何度も何度も粘る太陽くんに先生は、とうとう根負けし、太陽くんに真実を話す。それは荒雲学園の真実、荒雲光希くんの真実だ。
太陽くんが入学する一年前に、光希くんの母、荒雲ゆかりさんが太陽くんと同じ病気を持ち、そのゆかりさんのお腹には光希くんの弟がいたこと、そして、10年前からサッカー中心の社会になった弊害により、サッカー部への嫌がらせやサッカー部の廃部を訴える電話や手紙、それに挟まれる顧問や監督、そしてサッカー部員たち、それを守ろうと板挟みなった教員や事務や学園長である荒雲学を支えながら、光希くんを見守っていたゆかりさんが降り積もっていたその心労が祟り、病気の発作により亡くなった、と言うことを。
その事を聞いた太陽くんは、忘れた手帳を取りに来た光希くんに聞いたのだ。
光希先輩は、サッカーをどう思いますか?と。
それを聞いた光希くんは、目を見開き、疑問を口にする。
どうして、そんなことを聞くのか、と光希くんは言ってから、少し黙って太陽くんの病室から見える子どもたちを静かに見ながら、ぽつりぽつりと言葉をつむぐ。
「初めて見た最近の化身は新手のお化けかなと思ったり、私がサッカーをやっても化身は出ないし、技も出来なかったから、私の中の通常じゃありえないことだから、少し、ほんの少し恐いと感じる、かな?だけど、見てて楽しい。今のフィフスセクターの八百長サッカーはどうかとは思うけど。でも」
少し両目の瞼を閉じてから光希くんは太陽くんに笑いかける。そのとき、太陽くんはわかってしまった。
・・・・・・・
「"きみのサッカー"は誰も傷付けないだろう?」
ーだから、私は"きみのサッカー"が好きです。
光希くんの両目が少し潤んでいて、下手くそな笑顔になっていたのを、そして、光希くんが言うその意味がそれが太陽くんの胸に大きく響いた。
それから、しばらくして、フィフスセクターの圧力ゆえに、荒雲学園から新雲学園に変わり、荒雲学園理事長の光希くんの父、荒雲学さんは、新雲学園の新人教員になり、光希くんは学園理事長代理、兼、生徒会長から、特例で2年生から太陽くんと同じ学年、同じクラスになり、太陽くんのクラスの学級委員になったことは、病状の関係で病室に缶詰め
になった太陽くんに心配させまいと光希くんは言わなかったが、これをフィフスセクターの聖帝、イシドシュウジさんから聞いた太陽くんはショックと同時に怒りとサッカーがしばらく出来なかったストレスのあまり、お見舞いに来た光希くんに怒鳴ってしまい、うっかり光希くんに光希くんの母、ゆかりさん事を言ってしまい、終いには自分(太陽くん)と母親のゆかりさんを一緒にしないでくれと言ってしまう。
それを言ってしまった太陽くんは、怒鳴ってしまったことにはっとして自分が言ってしまったことを恥じた。
だが、この事により、光希くんの心のタガが外れてしまう。
「母さんの、ー母のことを聞いたんですね。」
梅雨は始まりだ。
時刻は夕方だ。夕闇が近寄ってきて、冷たい空気が辺りを立ち込めた。
ーーー
ー
銀色の瞳が、鋭く光る。殺気が太陽くんの肌を刺す。
ふわりと、光希の髪が短髪から彼の胸まで伸びて浮かぶ。
「ならば、私の秘密を打ち明けましょうっ
話はそれからですっ!」
そう言うや否や光希くんは両目に左手をかざす、金色に瞳は変わる。
「誘え、"記憶再生・フラッシュバック"」
その時、太陽くんは自分の身が何か冷んやりした何かに覆われてゆくのを感じた。
また、初めて見たのだ。その金色の瞳の光希くんが泣いていたのを。
抗えぬ睡魔が太陽くんを襲った。そして意識が途切れる前に太陽くんは見た太陽くんの病室を開けたイシドシュウジ、フィフスセクターの聖帝が太陽くんを見たときに青ざめたのを。
ーーー
ー
日差しが当たっていると言う感じに瞼越しに眩しい。太陽は目覚めた。辺りは真っ白だ。
ふと、左手首に何かある。
透明な腕輪だ。
「それはあなたが迷わず進むために。どうか選択を。」
その声は女性の声だ。辺りを見渡すが、誰もいない。ふと泣いている声が聞こえてきて、
それに合わせてさっきとは違う女性の声が聞こえてきた。新たな光が太陽の正面から光を降り注ぐ、太陽は右腕を前に出して目を庇った。
ちなみ新雲が荒雲だと勘違いから生まれました。