※この作品はR-18です。

亡国機業は壊滅しました。   作:張三李四

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ミューゼル一味《7》【ダリル】

 

「くっそ、戻ってきてやったぜ! 女医(ドクター)! どうなってやがんだ!!!」

 

 ダリル・ケイシーは《冥府の番犬(ヘル・ハウンド)》の両腕を実体化させ、惨劇の現場に引き返した。

 右足首に紅い締めつけられた痕が残っている。持ち前の野生じみた勘を働かせ、半透明の紐の攻撃を避けたが、脚を滑らせたとき、絡みつかれて足首がちぎれるのではないか、という思いをしたのだ。

 叔母(スコール)と先輩(オータム)が存命だったこともあり、ISコアを死んでも持ち帰らねばならない、という義務感が働いた。そして、救助に成功すれば、二人はダリルを一目置くようになる、という打算も大いに働いたのだ。

 

「あ? やべえの? 篠ノ之束(マゾビッチ)」ダリルは眼前の光景を見て呟く。

 

 女医(ドクター)は心臓マッサージを続けている。篠ノ之束は危険な状態にあり、束とよく似た容姿の少女は股から血と白濁液を滴らせながら流しながら呆然とその光景を眺めている。

 そして少女は組み伏せられ、片目が白濁した《UNK(アンノウン)》が尻を打ち付け始めた。

 

(あー、《H(ホーキ)》のやつ、犯されてやんの。自業自得だな! だっせー、うけるー)

 

 篠ノ之束の居場所を亡国機業(ファントム・タスク)に伝え、手引きしたのは篠ノ之箒だった。篠ノ之束がどこか一国の管理下に入りさえすれば、引っ越しを繰り返す生活が終わり、故郷に戻って両親と暮らせる、と暗部《更識》の目をかいくぐって懐柔した。箒は姉を良く思っていなかったようだ。死なない程度に懲らしめてやってほしい、と希望を伝えていた。

 ダリルは気合いを入れる。

 ダークグレーの両拳が双剣《黒衣の護衛(エスコート・ブラック)》を握りしめ、叫ぶ。

 

「来いやッ、オラァ!! おばさまっ! ダリル・ケイシーが助けにきました!!」

 

 だが、振り返ったさきには目を疑わんばかりの痴態が繰り広げられていた。

 栗の花のにおいと甘ったるい女たちの体臭が生ぬるく籠もっている。

 股間をさらけだしたクロエ・クロニクルが幸せそうな笑みを浮かべ、二人の女が跪(ひざまず)いて、懸命に舌奉仕(フェラチオ)をしていたのだ。

 

「…………はふぅ……はふぅ……ご、ご主人さまぁ…………わたくしめの、舌は、その、きもちよい、でしょうか……はふはふっう…………」叔母(スコール)の年甲斐もなく蕩けきった猫撫で声だ。

「くそっ、くそっ、くそっ、なんで、なんで、こんなやつに、くそっ」などと言いつつ、礼子(オータム)はクロエの女陰(ヴァギナ)をチロチロと舐めている。

 

 クロエ・クロニクルはダリルのことを無視して女たちの髪を撫でた。

 

(おーい、おめえのご主人様、今、死にかけてんぞー)

 

 ニヤリ、と口元をゆるめつつ、「ォオオラアアアア!!!」と《黒衣の護衛(エスコート・ブラック)》を振りかぶる。

 

(ぶっ殺して内蔵引きずりだしてやる!!)

 

 だが、剣戟は、阻まれた。

 

「ハアァ!! てんめええ! 何考えてやんだ!!」ダリルは叫ばずにはいられなかった。

 

 《蜘蛛(アラクネ)》、《黄金の黎明/黄金の夜明け(ゴールデン・ドーン)》ではなかった。

 無骨な黒備え、握りしめられた長槍(ランス)。《重装騎馬(カタクラフト)》が持つ巨大な金属塊である。

 豪州ブリスベンを拠点とする軍需工場が社内コンペにて、いくつかのISを競わせたという記録がある。《冥府の番犬(ヘル・ハウンド)》、《ソリッドⅠ》、《重装騎馬(カタクラフト)》が主な機体だ。コンペに優勝したのは《重装騎馬(カタクラフト)》。理(・)不(・)尽(・)を体現した機体だった。

 ダリル・ケイシーは、《重装騎馬(カタクラフト)》の専任操縦者選考会から漏れ、シギュンに出し抜かれた過去を持っていた。ゆえに、嫉妬を募らせ、怒りが口を突いて出た。

 

「テメエ、裏切りやがったな!! 黄色い猿(イエロー・モンキー)は騙すのがお得意ってか!!」

 

 だが、シギュンの答えはない。あたかもマリオネットのような不自然に手を伸ばし、伏せられていた瞳は白濁して、生気が失われている。胸の大穴の周囲が白い虫のように蠢き、目に見えて塞がりつつある。

 

「リビングデッド(LIVING DEAD)かよ…………」

 

 二合目、止められる。三合、四合、五合、…………。決着がつかない。

 

(さっすが企業代表。強エェ……ッ!!)

 

 ダリルは舌を巻く。しかも、この死体(女)、化粧でごまかしているが、年下である。無理矢理犯されて泣き叫んでいる篠ノ之箒と同い年だった。

 

(キッツウウウ! オレ、単独(ひとり)じゃ、勝てねえ!!)

 

 ダリルはあきらめず勝機を窺う。

 シギュンに勝てば、ダリルは名声を得る。名声を得れば人生楽勝になる。こう見えてダリル・ケイシーは努力家だ。見返りがあるからこそ、面倒でも我慢してでも努力ができる。

 視界に生存者が映った。ひとりだけ、スヤァ、と寝転がっているやつがいる。

 

「《M(マドカ)》、起きろヤ! 助力しやがれエエエエ!!!」

 

 《蜘蛛(アラクネ)》や《黄金の夜明け(ゴールデン・ドーン)》は役に立たない。悪魔みたいな女に、完全にコロッと屈服してしまっている。

 

「…………むにゃ」

 

 叫びが通じたのか《M(マドカ)》が上体を起こして目を擦る。寝ぼけ眼(まなこ)で周囲を見回し、《UNK(アンノウン)》に近づく。キスをして、唾液を交換しあい、尻肉を広げて熱っぽい視線を送る。

 

「ふにゃあああんっ!! きんもちぃいいいい!!」

 

 雌猫のようにサカりだした。

 

「こんのロリビッチ!! てめえに飯おごってやったろ! 今すぐ恩返ししやがれ!!」

「……ぁん、ぁん、ぁん、はぁぁあああー…………ん、ん、ん、ふにゃぁあ! これ……ぃいよぉ……」

「うううわああがあああああああ!!!」

 

 繰り出される《長槍(ランス)》の突きを防ぎきれず、ダリルは壁に叩きつけられた。

 背中からは激痛。肺から空気が押し出された。うずくまりながら咳き込む。涙目になりながら警戒する。《重装騎馬(カタクラフト)》が肩後部のファンを回転し始めたのだ。エネルギーを圧縮し、《長槍(ランス)》の先端に込める大技、通称《CATCH22(どうにもならない状況)》。

 

(発動したら、死(・)ぬ(・)!!)

 

 しかも《CATCH22(どうにもならない状況)》が発動すれば、必ず撃墜される。ISコアの膨大なエネルギーを使って自動追尾し、なおかつ、放出したエネルギーを取り込んで理論上無限に稼働し続ける。着弾すれば、相手が死ぬまで理不尽な攻撃を連打する。

 

(だったら)

 

 逃げてもダメ、戦ってもダメ。名声に目がくらんで戻ってきたが、どうやら愚策だった。

 

(だったらヤることは一つ!!)

 

 ダリルは腹を決める。行動は早かった。

 

「申し訳ありませんでしたーーー!!」

 

 正座して頭をさげ、額を地面に擦りつけた。

 日本式土下座である。

 基本的にIS操縦者はインテリである。流体や軌道計算は一瞬でできる。戦闘ロジックを組み立てるのも、息を吸って吐くような感覚だ。

 ダリルにはダリル的打算があった。

 

(へへへっ…………オレ様天才)

 

 チラッとシギュンを見上げる。毒気が抜かれたのか、敵意を失い、重装騎馬(カタクラフト)の後部ファンが回転を止めた。惰性で回っているが、もう安心だ。《CATCH22(どうにもならない状況)》は放出エネルギーの再取得が前提だ。中途半端に発動を止めると、圧縮し損ねたエネルギーは使い道がなく、捨てざるを得なくなる。

 

「犯すなり犯すなり犯すなり、好きにしてください!!」

 

 セックスは大好きだ。

 万が一のため、アフターピルを拡張領域にしまってあった。

 

(気持ちが緩んだときに脱出してやんぜ。おばさまも無防備になる瞬間を狙ってるんじゃね? だったら連携プレイでイカセまくっちまえばおっけーよっ!!!)

 

 土下座を止め、立ち上がり、その場で背を向け、壁に手をついた。立ったまま尻を突き出す。

 後ろを振り向き、陰唇をめくってピンク色の膣を見せつける。

 自分の尻を叩いて注意を向けさせた。

 

「ほら、来いよ! ティーンエイジャーのプリップリマンコだ! 種付けでも何でもしやがれってんだ!!」

 

 

 




次話、『ミューゼル一味《8》』投稿まで少々お待ちください。
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