【呪術×結界】成長した利守が呪術高専に入学する話 作:駒由李
▼このコラボでやる必要ある? と言われたら答えに窮しますが、このコラボだからこそ思いついたネタなので……と言うことで呪術コラボで書きます
pixivより転載
呪術高専の男子寮の談話室。そこに偶々1年生しかいなかったとき、その男は唐突に現れ、唐突に言った。
「いぇ~~~い、チキチキ男子トーク!!!!!」
「部屋帰るか」
「そうだね」
「先生どうしたの」
「馬鹿、虎杖構うな」
ご存知、1年生担任の特級呪術師五条悟である。彼は早々にソファから立ち上がろうとした伏黒と利守の肩をがしりと掴むと、快く答えてくれた虎杖に「悠仁は良い子だねぇ」とうんうん頷きながら彼らを無理矢理ソファに押し戻した。彼らもそれなりに膂力はあるのだが、190cm越えの巨躯の膂力には勝てない。諦めてソファに再び身を沈めた伏黒と利守に満足げに頷き、五条はソファのひとつに回り込んで座った。それでも本を読むのをやめない伏黒と利守だったが。五条は構わず言い出した。
「やっぱりね~男の子同士で交流を深めるのも呪術師には必要だと思うんだ~」
「先生が男の『子』……?」
「シッ、アラサーなんだから年は気にしてるはずだ。言ってやるな」
「そこー聞こえてるからねー」
「で、交流って具体的にどんな」
「虎杖、お前素直すぎるのも僕どうかと思う」
「ふっふっふ……ずばり!」
五条が人差し指を立てた。
「童貞か非童貞かトーーーク!」
「今からでも遅くない、部屋に戻ろう」
「狗巻先輩呼んでこの人黙らす呪言唱えてもらおうか」
「えっ、そんな恥ずかしいよ先生……」
再び立ち上がろうとした伏黒と利守に対し、虎杖は顔を赤らめる。それに2人は頭を振った。
「やめてやめて虎杖」
「変な空気になるだろ」
「悠仁は本当に素直だねぇ。そこが良いところ☆」
「☆マークつけないでください、端的にうぜぇ」
「でっ、君たちは童貞なのかな? 非童貞なのかな? 先生気になるな~~」
この時点で3人は察した。これは答えなければ解放してもらえない空気だと。
深々と溜息を吐いた2人がソファに座り込むと、伏黒は脚を組んだ。
「童貞ですけど、なにか?」
「ふ、伏黒堂々としてるぅ……」
「まぁ恵ならいつでも卒業できそうだし。悠仁は?」
「お、俺は……童貞です……こ、この年なら別に恥ずかしくないよなっ、なっ? 墨村?」
「そうだね、平均だと思うよ」
言いながら文庫本のページを捲る利守。そして、飽くまで仕方なそうに五条に水を向けた。
「で、そういう五条先生は?」
「イェ~~~イ非童貞で~す!」
「まぁそうだと思ったよあんたなら」
「先生、仮にも結婚もしてない五条家の当主なんだから不用意に種をばらまかないでくださいよ」
「大丈夫です~避妊はばっちりしてま~す。女の子の『今日は大丈夫だから』発言は絶対信用しません~ピッピロピ~」
「端的に腹が立つ」
「で、そういう利守はどうなの?」
そう言われ、利守はふと気付く。読書に集中したかったのに、いつの間にやら場に居合わせた面子が彼を見つめていた。それにやや居心地悪く思いながらも、溜息を吐いた。本を閉じる。
「あのですね。童貞だの非童貞だの、あほらしいでしょう。セックスはコミュニケーションです。それがたとえ複数人によるプレイだとしても、楽しんで心を通わせる。そんなものでしょう。童貞を相手したい人だっているし、非童貞を相手したい人だっている。そんな人たちを交わすコミュニケーションでしょう。要は体を交わらせる相手とどう心を通わせるかが問題です。玄人さんでもない限りそんなもんでしょう」
「利守は随分真面目というか堅い考えなんだねぇ」
「えぇ。僕はその辺堅いんです。小4のときに教育実習生のお姉さんに無理矢理童貞を奪われて以来強くそう思うようになりまして」
「待て」
利守は伏黒の言葉に構わず、嘆息する。
「それ以来女性というものに性的な興味を持てないから、コミュニケーションというのは本当に大事だと」
「だから待て。それ明らかにトラウマになってるよな!?」
「す、墨村……」
伏黒が利守の肩を掴んで揺さぶる。虎杖は口元に手を当てて「あわわ……」と呟いた。その中で、五条はひとり、一転落ち着き払って利守に言った。
「利守」
「何でしょう」
「その人、僕が特定して社会的に抹殺しようか」
「あ、結構です。お気になさらず。もう済んだことですので。それじゃ男子トークはここでお開きってことで。僕は今度こそ部屋に戻らせてもらいますね」
五条の提案を丁重に断ると、利守は今度はさっさと自室へと取って返した。残された面子も、そのままばらけた。
そして寮から出た五条は、スマートフォンを取り出すと、どこかへと連絡を取った。
「あぁ、僕だけど。うん、調べて欲しいことがあるんだ。烏森の三影山小学校に2012年度に教育実習に行った女性についてなんだけど」
五条は思ったのだ。利守が小4のときと言えば、墨村守美子が「失踪」した年。利守はそんなバタバタした家の中で、怖い思いをしたのに誰にも言えなかったのではないか。それをあの場で問い質すのは憚られたので、とりあえず特定を急ぐことにした。場合によっては「処分」も躊躇わないつもりだった程度には、五条は怒っていた。
数日後、某小学校の女性教諭が謎の失踪を遂げたという報道が出たが、利守はそれに「へぇ」と呟いただけでスルーしてしまったという。何せ、名前も知らない相手だったので。
了