【呪術×結界】成長した利守が呪術高専に入学する話 作:駒由李
pixivより転載
意識を失う前の最後の記憶は、恵の顔をした邪悪な気配の顔。咄嗟に結界を繰り出そうとした瞬間、恵の姿をしたそれに攻撃を加えられた――そこで意識はブラックアウトした。
目を覚ますと、冷たい床の上。薄暗いそこがどこかわからず、僕は身を捩らせる。横たわってはいない、座らされている。しかし体の自由が利かない。両手を引っ張り上げられるように拘束され、特に指先が何かに覆われていた。これでは結界が発動できない。僕がどうにかならないか暴れはじめたところで、灯りが点いた。
そこで、どうやらそこは座敷牢のような場所だと知った。そしてさらに絶望する。
牢屋に入って来たのは、伏黒恵――の姿をした、両面宿儺だった。
「――!」
「目が覚めたようだな、墨村利守。……何、取って食おうと言うわけではない」
「……恵の体を奪った上に、ここがどこだかわからないけど僕まで連れて来て。どういうつもり」
その絶望を悟られないように、口を回す。その間にもなんとか戒めを解こうとするが、宿儺はそんな僕をせせら笑う。
「なに、貴様は裏会とやらの人員なのだろう。人質に使えるかと思ってな――異能者は読めん。保険はかけておきたいからな」
(この言葉のどこまで信用できたものか)
僕は考える。宿儺は呪霊だ。虎杖がこぼしていたのを聞いたことがある。「呪いは、どこまでも呪いだ」と。僕が裏会で関わっていた妖や幽霊の類ともまた異なる、呪霊。それも特級となると、呪詛そのものだろう。
――恵が身体を奪われたのは、その「呪詛」の器に適していたからだろう。
僕がそれを考えて眉を顰める力を強めていたから、宿儺の視線にはすぐに気付けなかった。呪術高専の黒い制服に覆われた、僕の身体を見る宿儺に――
不意に、宿儺が目の前にしゃがみこむ。それは何気ない仕草だった。手が伸びて来て、――僕の制服が破かれた。
「!」
制服の下に着ていたTシャツとキャミソールまで1度に破かれ、ブラジャーが露わになる。僕は両手を挙げていたから、チェック模様のそれがより強調されるように晒される。血の気が引いたり血が上ったりでせわしない。その間にも、宿儺は僕の制服を破いていく。宿儺は嗤う。
「もっとも、命さえあればいいだろうからな。折角の女だ、楽しませてもらおう」
「や――やめろ!」
慌てて身動ぎするが、いかんせん両手は拘束されているし、指先も拘束されていて印も結べないから結界術を発動できない。僕は正守や良守のように絶界や真界は使えない。黒鍵でさえ、あれは体術ありきのものだ。縛られている身の上ではなにも――僕は堪らず叫んだ。
「やめて! お前は恵じゃない! 恵じゃなきゃ……――!」
僕は失言に気付いた。
今の宿儺の身体。それは――
宿儺が、口で邪悪な弧を描いた。
「ほう、興が乗った。俺の種で孕むまで抱いてやろう。何日もな。――この体は、貴様が望む『伏黒恵』の体でもあるんだぞ?」
「――!」
「どれ、邪魔だな」
そう言って、宿儺は僕のスカートを剥ぎ取り、そして――
「ひ、」
……あれから何日が経っただろう。男か女か判然としない人物が時折食事を運んでくるが、食べる気が起きなかった。
あれから毎日毎日、宿儺は僕を抱きに来る。体液に塗れて汚れた体を、その人物が清めていくが、抵抗する気も起きなかった。恐らく彼ないし彼女が清めていくのは、主人だろう宿儺のためだろうから。
この日もやって来た宿儺は、ふと、僕を見下ろす。僕の腹に手を当てると、にやりと嗤った。
「ふむ、もう孕んだか。体の相性は良かったようだな、お前と伏黒恵は」
げらげらげらげら、下卑た笑い声が牢屋に響き渡った。
了