【呪術×結界】成長した利守が呪術高専に入学する話 作:駒由李
▼あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いします! そういうわけで書初めがこれです!
pixivより転載
それはまだ虎杖が修行と言う名の潜伏中だった頃。彼の(偽装ではあったが)死を受け入れはじめた3人が、任務に赴くときのことだ。
「墨村遅いわね」
「寝坊でもしたか」
3人で行動するのにも慣れはじめた釘崎がスマートフォンを弄りながら呟く。それに伏黒も同意を示しながら辺りを見渡す。
ふと見ると、寮の方から人影が走ってきていた。あの長身は利守だろう。そう思いながら2人は彼を出迎えた。
利守は焦った顔で言う。
「ごめん、寝坊しちゃって」
「──」
「遅いわよ。とっとと任務行ってとっとと呪霊祓ってとっとと帰るわよ」
「うん。それじゃ行こう。恵?」
「……あぁ」
伏黒は物言いたげに利守を見ていたが、彼は結局追及しなかった。このときは。
「はーやれやれ、大したことない呪霊で助かったわ」
「本当にな」
任務を終え、廃ビルから彼らは出て来る。本日の補助監督に「それでは帰りましょう」と促され、彼らは車に乗る。
それから、車中ではしばらく会話がなかった。右から釘崎、伏黒、利守と3人で後部座席に座っていた。その中で、伏黒は隣の利守に言った。
「おい、お前」
「どうしたの恵」
「──『主人』はどうした?」
「は? 伏黒、何言って……」
途端、ぼふんと「利守」の姿は掻き消えた。
ギョッとしたのは釘崎と運転していた補助監督だ。その中で、伏黒は「それ」を手に取る。
──間流の方印の象られた紙切れ。
それを手にしてから、伏黒は空いたスペースに座り直す。それからスマートフォンでどこかへと電話をかけはじめた。
「おい利守。お前どうせ体調を崩したな?」
開口一番そういう伏黒の電話口で、ガラガラ声の利守が「風邪ひいちゃって」と言った。
「体調悪いなりに精巧に作ったつもりなんだけどなぁ」
マスクをしながら咳き込む利守は、見舞いに来た伏黒と釘崎にそういう。
釘崎は持って来たスポーツドリンクをグラスに淹れてやりながら目を瞠っている。
「本当にあんたそのものだったわよ、少なくとも私の目には。節穴だって言いたいのかコラ」
「勝手にキレないで……」
「俺がこういうのに慣れてるだけだから気にするな」
リンゴの皮を剥きながら、伏黒が言う。
利守はじとりと彼を見つめた。
「って言うか、恵っていつもそうだよね。僕が作った式神全部看破する」
「そんなに作ってるアンタにも驚きだけど、全部見抜いてる伏黒も凄いわね……」
「こっちだって言わせてもらえばな」
伏黒は溜息交じりに言う。
「まず今日の式神は髪の艶が違った。肌の質感も違ったし、声も多少の違和感があった。身長だっておおざっぱだっただろ。戦闘自体には問題なかったが、まだまだ修正の余地がある」
そう言い切る伏黒を見た利守と釘崎は視線を交わす。そしてひそひそと囁き合った。
「正直ちょっと……アレよね」
「うん。気持ち悪い」
「おいこらどういう意味だ」
「そのままの意味だよ……普段からどれだけ僕のこと見てるの……? 本業の式神使いってことを加味してもアレだよ……」
そうして、伏黒はしばし倦厭されることになる。
「宿儺の問題が片付いてから言うけどさ、お前湿度高い」
「梅雨時の風呂場よね」
「お前ら……」
「え? 何の話?」
了