村の生活は静かだ。これといった娯楽や繁華街は存在せず、そうしたものは少し離れた街に頼っている。
この村では朝早く起きて働き、昼の休憩を取ったら働き、疲れて帰ってきたら明日への英気を養う団欒の一時を過ごして寝る。そして、また朝が来たら働く。その繰り返しで日々が回っている。
そんな村の暮らしにニノも順応していた。
ニノは村長に買われてこの村にやって来た。
自分の主人になる前から村長のことは知っていた。彼は何度も奴隷を買いに来たからだ。そんなに人手が必要なほど大きなお屋敷に住んでいるのだろうか? ひょっとしたら奴隷をいたぶるのが趣味で、すぐに逃げ出すか殺してしまうのかもしれない。それで補充が必要なのでは?
そうやって想像力を逞しくしていたニノだったが、ネタが割れてしまえば何のことはない。
村長は東洋で安く買った奴隷を村に連れて来て、見栄えがするよう磨いては港町で売りに出しているのだった。
多くの奴隷が村長の家にやって来ては、一カ月ほどで港町から出荷されていった。その人数が増えるほど村長は裕福になり、あの醜い肥満体がますます肥え太る。
村長はニノを出荷しなかった。代わりに彼の身の回りの世話だけではなく、性欲処理も務める性奴隷メイドの働きを求めた。
初めて村長の夜伽を務めた日、ニノは彼の太すぎる肉塊をねじ込まれ、体が縦に裂けそうな激痛に悶え苦しみ悲鳴をあげた。
初めての夜も、それからも、村長はニノに瓶詰めの“幸福”を与えはしなかった。性奴隷として出荷する女には、主人への服従とセックスの味を教え込む必要がある。万が一にも出荷した先で主人に反抗して手傷を負わせたり、到着早々に逃げ出すようなことがあっては奴隷商人としての手腕が疑われるからだ。
彼が売りに出すのは、十分に主人への敬愛と男に抱かれる好さを教え込み、求められればどのような変態プレイでもこなす絶対服従の性奴隷メイドに仕上がった女だけ。その目的に合致するよう彼は、魔法で女の自意識を内側から書き換えていく。
自分の手元に置くと決めたニノは彼の商品目録から外れていた。そのため他の女のように催眠状態での調教は行わず、敢えて素面で何度も抱き続けた。男を知らない無垢な少女の顔が恥辱と望まぬ快楽で歪むのを楽しみながら。
ニノにとって不幸だったのは、その体が持ち主の意に反して易々と男に抱かれる悦楽を受け入れてしまったことだ。
この世で最も嫌悪する人間に抱かれながら、剛直を飲み込んだ秘唇は悦びの涙を流す。その淫らな汁で汚れたシーツを自分で洗うとき、彼女の胸には己の肉体さえも自由にはできない世界の不合理が、布にこぼしたインクのように染み渡る。
体は組み敷かれても心までは屈しない。意地だけで村長が巧みな腰使いで注いでくる毒に抗いながら、ニノは三日にあげず彼に抱かれる日々を重ねてきた。
これからも私はずっとこんな生き方をするのか。死ぬまで解放されることはないのか。気鬱気味だった彼女の生活に変化が訪れたのは一週間前。その変化は年若い魔女が草原の風と共に運んできた。
村長の息子エミルが連れてきたイレイナという名の魔女。うっかりグラスを割ってしまった自分をかばい、グラスを時間逆行の魔法で直してくれた彼女は、きっと魔女の中でも優秀な部類なのだろう。
長い銀髪を風に遊ばせながら背筋をまっすぐに伸ばして歩く姿は、同性のニノから見ても美しく、スレンダーで均整の取れたプロポーションを羨ましく感じた。何より彼女には身の内から湧き出る自信があった。
自分という存在への自信、旅人として自分の生きる道は自分で決めてきた自信、これから先どこへでも、どこまででも行けるのだという自信。それがイレイナを内面から輝かせているように感じた。
すべてニノが持ってないものだ。
私はどこへも行けない。生き方を決める自由なんてない。猫の額ほどの村が私の人生全部。
イレイナの姿はニノに強い憧れと劣等感を抱かせる。彼女の強い光に当てられると嫌でも自分が日陰の身なのだと思い知らされた。
だが、それらはすべて、一週間前のこと。
「今日も朝からこんなに激しく」
キッチンで朝食の準備をしていたニノの耳が、木材の軋む微かな音を捉えた。壁の向こうから聞こえる音は、村長の寝室でベッドが激しく揺さぶられる悲鳴だ。
ぴたりとニノは壁に耳をつける。遮蔽物の向こうからくぐもった女の声が聞こえてくる。
「ひぁぁっ、あぁん、あっあっ♡ やぁぁっ、そっ……んんっ♡ そんなに奥ばかりっ♡ コンコンされたらぁ……わたっ、わたひっ……ひんっ♡」
この屋敷にイレイナが滞在するようになって一週間。彼女は朝から晩まで暇さえあれば村長と体を繋げていた。
魔法使いの中でも最上位の存在である魔女を、一般人に毛が生えた程度の魔力しか持たない村長がどうやって手込めにしたのか。これまでも村長を毛嫌いしながら屋敷にやって来て、ほどなく彼の肉棒の虜になる女を何人も見てきたニノには見当がついた。
イレイナほど強い魔女でも、女を堕とすことに特化した村長の魔法と巨根、何度射精しても萎えることのない絶倫にはかなわなかったのだ。
美しい花は手折られた。イレイナを支えていた魔法使いや旅人としての自信は砕かれ、男の前ではしたなく股を開いては腰を振る一匹の淫獣に堕ちた。
浅ましい牝は数え切れないほどの精を胎内に放たれ、絶頂の中で受精を請い願いながら果て尽くす。
こんな生活を続けていれば懐妊は時間の問題だろう。いや。ひょっとしたらもう既に……。
光が強いほど闇は濃くなる。イレイナの放つ光は、ニノが抱えてきた闇を彼女自身さえ知らなかったほど強く、はっきり自覚させた。自覚せざるを得なかった。
そんなイレイナが自分と同じ男に抱かれて喘いでいる。私と同じ場所まで堕ちてきた。そのことに仄暗い感情を刺激される。
ひときわ甲高い悲鳴にも似た声がして音は途絶える。イレイナが達したのだろう。朝から激しく求められグッタリしている彼女の姿を頭に描きながら、ニノはキッチンを出て村長の寝室へと向かう。
「おはようございます。朝食の支度ができていますのでお越し下さい」
部屋の外からノックして声をかける。そのままキッチンに戻ろうとしたニノに村長から声が掛かった。
「入れ」とだけ告げた村長の言葉に、ニノも「失礼します」とだけ応じる。
ニノは少しも躊躇わずドアを開く。村長が他の女との性行為を見せつけてくるのには慣れている。そうやって「お前も抱かれてるときはこうなんだぞ」と年若い奴隷メイドの羞恥心を煽るのだ。
果たして部屋の中では村長とイレイナが正常位で繋がっていた。イッたばかりであろうに村長のイチモツは少しも萎えることなく、釘でも打てそうなほどガチガチに勃起している。それがイレイナの秘裂を押し開いて半分ほど埋まっていた。
彼女は両手首を紐で結ばれ、目には目隠し、耳には栓をしている。体の自由と視覚、聴覚を奪われたことで、より村長と触れ合っている部分の感覚が鋭敏になる。
部屋には噎せ返るほど濃い牡の精液と汗の臭いが充満している。むわっと臭う精臭に顔をしかめないよう努めながら、ニノは村長の次の言葉を待った。
だが彼はニノに視線をやらず無言で腰を揺する。
「あぁぁぁっ、あっ、イッ、イッ……イッ♡ はぁ♡」
村長は半ばまで埋めた陰茎を深くはねじ込まず、その場で円を描くように使いながら、あるいは浅いところを小刻みに擦りながらイレイナの反応を楽しむ。この年若く、優秀で、魔法使いとしての力量では天地ほども差がある美少女を、性器一本で意のままに操っている至福を噛みしめているのだ。
すっかり性感を目覚めさせられた膣奥が疼いて仕方ないのだろう。イレイナは最奥まで欲しいと強請るように腰をヘコヘコ動かす。だが村長の腰使いとイレイナの迎え腰はタイミングが合わない。村長が意図的にズラしているのだ。
そのことにイレイナも気がついたのだろう。顔に困惑の色を浮かべ、もどかしそうに「旦那様、旦那様」と媚びを売って哀願する。
「欲しいです。旦那様のオチンポ。奥まで! 奥まで熱々ガチガチ勃起チンポねじ込んで、ガンガン子宮口が壊れるくらい突いてください」
優秀な魔女は性奴隷になっても優秀らしい。この一週間で村長が喜びそうな誘い文句をスラスラ言えるようになっていた。
イレイナのお強請りに満足したか、村長は彼女の柳腰を無骨な手でガッシリ掴み、陰茎を根本まで沈める。
「あっ、んんっ……はぁっ! 旦那様のオチンポ。火傷しそうに熱いオチンポが私の中に♡」
「嬉しいかイレイナ。これがもらえて」
「んあぁ♡ ありがとうございます。オチンポ奥まで入れていただけて、イレイナは幸せですぅ〜♡」
耳栓で聞こえてないはずなのにふたりの会話は奇妙に成立していた。
村長が突き込みの速度を上げる。部屋には、掻き混ぜられたイレイナの女陰から漏れる水音と、彼女が快楽に身を委ねながら村長のチンポを讃える声だけが響く。
「……はっ、はひっ……旦那様っ♡ 凄いです。容赦ない突き込み♡ 女のオマンコを拡げて躾けてしまうオチンポ素敵です♡ んっ……わた、わたし……もうイッ♡」
「まだだぞイレイナ。まだ我慢してマンコでチンポを絞れ」
「ダメです、ダメっ! 旦那様のチンポが凄すぎるから。この形、太さ、もう私のオマンコ覚えてッ♡ イッてしまいます。妻なのに。旦那様を気持ち良くして差し上げたいのに、イレイナのマンコは旦那様のチンポに屈服してる雑魚マンコだから子宮ノックされたらイキ癖がッ♡ あっあっ♡ もう、くる♡ くる♡」
イレイナは体を反り返らせ、肩と足裏だけで体を支えるような体勢になると、一瞬だけ全身を硬直させたあと痙攣しながら脱力した。
目隠しで自分の姿が見えず羞恥心が薄れているのだろう。彼女はベッドの上で両脚を大きく開き、
道端で潰れたカエルのように無様な姿を晒す魔女に、ニノは自分の毒が彼女を蝕み、堕落させたのだと暗い勝利の実感を得た。
何の取り柄もない、この寒村で年月を重ねてくたびれていくだけだと思っていた私が、前途有望で美しい魔女を凡夫の性奴隷に墜とした!
当然それはニノの勝利でも何でもない。ただ村長に利用されただけだし、その利用方法も望まぬ性交を強いられるといった彼女の尊厳を踏みにじるものだったが、それでも人生この先なにひとつ良いことなどない、確かな達成感など手にできないと諦めていた彼女に初めて
絶頂の余韻が引いたイレイナは闇の中によすがを求めて手を伸ばす。その手を取った村長は拘束していた布を解き、彼女の両手を自由にすると自分の首に回させた。正常位の体勢から抱き上げて自分の膝の上に座らせる。
「あっああっ♡」
対面座位で子宮口をグリッと抉られてイレイナの唇から吐息が漏れる。より深い結合を求めて自ら両脚を村長の太い腰に回し、まだ精液と愛液で濡れ光る陰毛を彼の陰毛に絡めた。
自分に縋り付く麗しの魔女を下卑た笑顔で見下ろしながら、ベッドの弾力を利用して跳ね上げるように先端を行き止まりに叩きつける。洗ったばかりのシーツのようにシミひとつない臀部に両手を添え、指の痕が赤く残るほど強く握りしめて肌の感触を楽しんだ。
「あんっ、いぃ、いいです……旦那さまぁ、私のオマンコ、ゴリゴリっていじめて♡ ひぁっ♡ 速くなった♡ 村長様のオチンポ、いきなりッ……すごいっ……ひんっ……そんな激しくノックされたら……くる♡ 赤ちゃんの部屋が降りてきます……旦那様に種付けしてもらいたくて、旦那様の精子で孕みたい子宮がオチンポ迎えに降りてきます」
「まったくスケベなマンコだ。トロトロうねうねと熱く絡みついて……わずか一週間で処女だった面影がどこにもないではないか。商売女も裸足で逃げ出す淫乱マンコになりおって。チンポ狂いのスケベマンコは反省しろ! おらっ! どうだ!」
村長はイレイナの体を軽々と持ち上げ、切っ先が抜ける寸前までチンポを引き抜く。カリ首に掻き出された秘肉がポタポタとシーツに涎をこぼした。そこから彼は腕の力を抜いてイレイナの体を落とす。男を迎え入れるための淫らな露に濡れる魔女の細道は、グロテスクでさえある巨根を苦もなく飲み込んでしまう。
「やぁぁぁっ、旦那様のオチンポ、やっぱりすごぃぃ♡ あっあっ♡ 私のオマンコっ、ぴっちり吸い付いて気持ちいいところ全部持っていかれる……全部、全部好き♡ オチンポ当たってるところ、全部好きです♡ あぁああ!」
村長は易々とイレイナの体を操り、既に何度となく侵入して調べ尽くした彼女の弱点を重点的に攻める。
自分の体重を利用して深く、深く、肉襞をめくってこれ以上は進めない場所まで男の生殖器を受け入れるイレイナは、顎を村長の肩に乗せて全身を預ける。男の厚い胸板に寄りかかって自分は与えられる快感を受け取ることだけに専念した。
「お前のおかげだ、ニノ」
この部屋に入ってから初めて村長が使用人の名前を呼んだ。相変わらず視線はイレイナだけを見据えたまま。
「お前から取り出した感情を触媒にして魔女を堕とせた。魔女相手に効くかは賭けだったが……しょせん魔女と言えど、マンコで物を考える
腰を突き出しながら村長はイレイナの耳を舐める。それにも反応して彼女は甲高い声をあげた。
「美しく整った容貌に均整が取れた抱きごこちの良い体。胸は少し控え目だがそれくらいの育て甲斐も一興」
村長が始めたのはイレイナの品評だった。これまでも村長は新しい奴隷を躾けるたび、その評価をニノに聞かせてきた。
これまでと同様にニノは黙って村長の気色悪い趣味に付き合う。
「一突きごとに子種を求めて浅ましく吸い付く膣壁の素直さ、締めつけるだけでなくザラザラブツブツと細かい突起が男のチンポを悦ばせる中の具合に、どこを触っても絹を撫でるかのような肌。そして、なにより優秀な魔女の血統。田舎の奴隷商と見下していた連中も、これで私のことを認めるだろう。まったく、お前は
村長に褒め言葉をもらってもニノの心は少しも動かない。彼の言葉がひとりの人間に向けられたものではなく、使い勝手の良い道具を評価するものだと知っていたから。
「あっ、あっあっ♡ またイクッ! イクッ……!」
「気持ちいいかイレイナ。私のチンポがそんなに気に入ったか」
村長はイレイナの耳栓を外して囁く。不意打ちに背筋をゾクゾク震わせながら彼女は何度も頷いた。
「きもひいいへふ♡ 旦那様のオチンポ、わたひのオマンコにズボズボして、もっろぉ……もっろひて、ひて、オマンコもっろひてほひいのぉ♡」
呂律も回ってない舌っ足らずな喋り方でさらなる抽挿を求めるイレイナ。新妻からの情熱的な求めに村長の腰振りもスパートに入る。
「あっ、あっ、奥、オマンコのいちばんおくぅ……そこ、ぐりぐりぃ、子宮潰されてかんじちゃッ……あっ♡ あっ♡」
「私もイキそうだ。一緒に行くぞ。合わせろイレイナ」
「きてください。きて、きてぇ……いっしょに、だんなさまといっしょにイキます……旦那様のオチンポ汁で子宮タプタプに犯されながらイクッ♡ イッ♡ ああ♡ あっ♡ イクイクイクイグッ、はあああああ♡」
村長とイレイナの動きが同時に止まった。
ふたりはお互いの恥骨を擦りつけ合ったまましばらく動かず、激しかった情交の余韻に浸りながら村長の射精が終わるのを待っていた。
「朝食だったな」
「あっ……はい」
出し抜けに村長が言ってニノは答える。
「先に風呂を使ってから行く。少し待ってろ」
見れば村長もイレイナも全身に玉のような汗を浮かべている。行為の痕跡を残したままでは不快だろう。
「分かりました。お待ちいたしております」
ニノは頷いて部屋を後にした。
廊下に出た彼女は思いっきり深呼吸。肺や鼻の奥にこびり付いた精臭を洗い流すように何度も空気を入れ換えた。
目を閉じれば先ほどまでの痴態が目蓋の裏に浮かぶ。イレイナの切羽詰まった喘ぎ声も思い出された。
それらを追い出してニノはキッチンに戻る。
冷めたスープに再び火を入れて掻き混ぜる。グツグツ煮たってきたところで彼女はポケットから小瓶を取り出す。
小瓶の中身は乾燥した粉末。ひっくり返して白い粉を一瓶丸ごとスープに入れる。掻き混ぜると粉は跡形もなくスープに溶けて消えた。
粉はこの土地に自生する植物を煮詰めて作った鎮静剤だ。この植物には『気持ちを落ち着ける作用がある』と言い伝えられている。
あくまでも民間伝承の類いだが、自分の人生に絶望して寝られないとき、ニノは小指の爪ほどの量を水と一緒に飲んだ。そうすると普段よりも寝付きが良いのだ。
これが本当に効くだろうか。普段よりも寝付けるように感じるのは、私の気のせいかもしれない。効果がなかったらどうしようと計画段階で不安を感じたが、効果がなかったらなかったで、その時はその時だ。
「失敗しても、いまより悪くなることはない……ですよね」
効果がなければ次の手を考えれば良い。既に自分の人生は底まで落ちているのだ。これ以上は悪くなりようがないのだから、失敗を恐れる必要などない。
だがもし上手く行けば、計画どおり事が進めばすべては彼らの寝ているうちに終わる。そのころニノは誰も追いかけてこられない場所にいるのだ。
ニノは黙々とスープを掻き混ぜた。快心の一杯を仕上げるために。
次回で終わります。
越年はしたくないので年内に更新したい。
追記:2020/12/26 4:00
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