ここは七星署が所有するパトカーの中。缶コーヒーを片手に神谷しおん刑事は物思いにふける。
神谷しおん。七星署所属の私服刑事。
ショートの髪に緑の髪留めが特徴で、犯人を誰にも思いもよらないアクロバティックな動きで追い詰める。そのボーイッシュな瞳に男女問わず心を奪われるものは多いとの噂だ。
「どうかしましたか」
新人の後輩刑事である北大路さくらがあんぱん片手に問いかける。
「あんぱんまだ食べるのか」
彼女は昨日も今日も10個単位で食べていた。
「だって、好きなんですもん。あんぱん。張り込みであんぱんを食べるために刑事になったといっても過言ではありません」
「……そうか」
北大路家の令嬢がどうしてこんな過酷な現場仕事に来たのかとかねてから疑問に思っていたのだが、そういうことならこれは彼女の天職なのだろう。
張り込みは体力が勝負だ。犯人と自分との根比べ。先にぼろを出したほうが負ける。
いつもなら神谷しおんもよし来たと燃えるものだが、今回は事情が少し違った。
「それにしても、かつてのバディに汚職の調査をさせるだなんて本部も趣味が悪いですこと」
「いや、これは私から志願したんだ」
神谷しおんの同期である霧矢あおい警視総監には汚職疑惑が浮上していた。
それを察知した神谷しおんは自ら申し出て調査に乗り出すことにしたのだ。
「昔から事件のためならなんでもするきらいがあったからその今回もその類であれば安心なのだけど」
「しおん先輩。それは安心でもなんでもないと思うのですが」
しおんは失言に咳払いする。
「こほん。ともかく、あの人は目的のためなら手段をいい意味で選ばない人だから。信じたいんだ」
「ふうん」
霧矢あおいとグルの可能性があるのではないかという疑惑の目がしおんに向けられる。
「大丈夫だ。いつだって正義は自分の中にある」
「冗談ですよ。今のバディは私ですからね。そのことをお忘れなきように」
「わかってる」
そう、わかっているのだ。霧矢あおいへの疑いが杞憂であって欲しいというのは希望的観測。調査を続けて真実を明るみに出さなければならない。
「あ、霧矢警視総監自宅を出ました」
「ああ」
しおんはさくらに車を任せて、歩いて追跡を開始する。
時は真夜中。街頭が私服姿のあおい警視総監を照らし出していた。
黒と青のジャージは視認しずらいのだろう。肩にかけた反射板をきらきらさせながらランニングしている。
市内の見回りだろうか。しかし、人通りの多い場所をあえて避け、川沿いの道を走っていった。
(どこへいくつもりだろう…… え、あそこは……)
しばらくしてあおいはラブホテルへと入っていった。
「え、まさか……」
つい声が出てしまったが気を引き締めてあおいを追いかける。
あおいの手続きが完了し、階段を上がったのを確認して受付に警察手帳をみせる。
あおいの居場所を強引に聞き出すと急ぎ足で階段を上がった。
何か後ろめたいことにせよ、あおい警視総監の健全な青春だったにせよ、真実を突き止めねばならないのだ。
(胸が痛い。どうしてだろう)
しおんは胸のわだかまりを抑えつつ、あおいが予約しているという4階へと階段を駆け上っていった。
しかし、しおんはあおいを追跡することに夢中で後ろから追跡する陰に気づいていなかった。後ろには車で待機しているはずのさくらがあおいと連絡を取っていた。
「しおん先輩は階段を上がっていきましたよ」
さくらは無線機を口に近づける。
「ありがとう。ところで、車駐禁取られたりしない?」
あおいはうまくしおんをおびき出せたことに微笑む。
「そこのところはぬかりありません。お茶汲み係の星宮いちごを呼び出して催眠かけておきました。今頃運転席に座って夢見心地なはずですよ」
さくらの言う通り、あおいの自宅前では運転席で金髪に大きいリボンが特徴の女性がいた。
目こそ開けているがその目に感情はない。虚ろな目で涎をたらしながら「いちごぱふぇ~」とつぶやいていた。
誰かに声をかけられるか、さくらがいちごのポケットにある携帯電話に電話をかければ催眠が解けるようになっている。
「そう。ありがとう。これで心置きなく命令が遂行できるわ」
互いに無線越しに微笑み合うあおいとさくらの目は虚ろで感情がなかった。
「ええ、命令のままに」
さくらは無線をしまってしおんを追いかけた。
しおんが拳銃を構えて部屋へ突入する。
「動くな!」
あおいは足をベッドに組んで待ち構えていた。
「ふふ、ここを突き止めたのは褒めてあげる」
「あおい警視総監、いえ、あおい、何をしてるの」
かつての同期にしおんは声をかける。
「ふふ」
あおいは微笑むだけ。
目と目が合う。どこか彼女の瞳は虚ろで、いつもの彼女と違う気がした。
「あなた…… 誰?」
直感が霧矢あおいという人間の異常を感じ取った。
「あら、そこまでわかるのね。けどもう遅いわ。私はもうイケナイ刑事でも警視総監でもないの」
あおいは立ち上がり、しおんに近づく。
「動くな!」
拳銃を足元へ向けて構えなおそうとした。しかし、そこでしおん身体に異常が発生していることに気づく。
「動けないのはあなたよ」
あおいは拳銃をしおんの手から叩き落とす。
しおんは何も反応できずにただ床に拳銃が転がっていくのを見ることしかできなかった。
「さあ、お楽しみの時間ね」
動けないしおんの顎をあおいは掴み、目と目を合わせる。
しおんのだんだんと思考力が失われていき、手がだらりと下がる。
「さあ、ベッドで楽しみましょう。さくらちゃん」
「はい」
さくらはあおいに呼ばれて扉から入ってきた。
「2人とも、服を脱いで」
「あれ、あおい様は楽しまれないのですか」
さくらは服を脱ぎながら首を傾ける。
「ああ、私は記録係。そっちのほうが好きなの」
あおいはカメラを取り出す。
「なるほど、では、私の雄姿、しかとご覧に入れましょ~う」
さくらにどこからともなくスポットライトが当たる。
「お、出た。北大路劇場」
あおいはカメラのシャッターを切る。裸の北大路劇場。彼女の綺麗な肌色が輝いていた。
「では、参ります」
さくらは裸のしおんをベッドへ連れていき、あおむけで転がすように寝かせると身体を重ねた。
それにしおんはされるがままだった。
「さくら…… 何をして……」
しおんは朦朧とした意識の中で台本にない行動をするさくらに問いかける。
「何って、しおん様を催眠をかけようとしています」
さくらは何を言っているのだろうときょとんとした表情で言い放つ。
「どういうことだ、さくら…… ふぐ……」
さくらの唇がしおんの唇に重なる。しおんはえも言えない快感に全身がゾクゾクと震えた。
「ん~~!?」
身体が跳ね上がり、エビぞりの状態になろうとする。しかし、さくらはそれを押さえつけて局部と局部をこすり合わせた。
口からの快感、局部からの快感に、しおんの思考力は壊される。
「う、ふぐ、う~~~」
さくらはしおんの逃げようとする動きに合わせて体を抑える。
手でも局部を刺激し、快感に彼女を溺れさせる。
ベッドの横では警視総監服を着たあおいがスカートに手を突っ込みながら空いた片方の手で2人の痴態を撮影していた。
「おー、とてもいい、穏やかじゃない構図。私も見てるだけで気持ちよくなっちゃう…… あん…… 仕上げ、いっちゃおうか」
さくらが数を数え始める。しおんの腹部の下に淫紋がうっすらと浮かび上がって来ていた。
「5つ数えると最高に気持ちよくなりますよ、いーち」
「あ、あが」
しおんの中で先ほどよりも心地よい快感がせりあがってくるのがわかった。
「にっ」
さくらが耳元で優しくささやきかける。
「だめ、さくら」
耳元にも来た快感と優しい声はしおんの感情を消し去らんとしていた。
「何がだめなんでしょうか。しおん様。さんっ…… くぅ……」
さくらもせりあがってきた快感に我慢できなくなってきてうめき声を漏らす。
しおんはさくらを抱きしめる。
「イカセテ」
イかせて欲しいと、彼女を求めた。それが何を意味するのかも考えず。
「かしこまり……ました。よんっ…… っつ!」
「あ、だめ、さくら、だめ、気持ちいい」
しおんとさくらは互いに局部をこすり合わせた。
ベッドが軋む。横にいるあおいもクライマックスへ向けてスカートの中の手の動きがいっそう激しくなる。
「ごっ!! はあああっ!」
「い、イイ! ああああああ!」
ベッドの2人は叫び声をあげた。
ゾクゾクと最高の快感が駆け抜けていき、しおんの淫紋がくっきりといたものになった。
虚ろな目感情のない瞳でさくらを見つめる。
「ありがとう。さくら」
この快感を教えてくれたことに感謝しなければならない。
「はい、しおん様……。お役に立てて何よりです」
さくらは息を切らしながらも微笑む。
「はあ…… 少し休憩したら台本通りの収録をしましょう」
あおいが2人の服を差し出す。
「はい、最高の映画を撮りましょう。しおん様」
さくらはしおんの上からどくと、手を取ってしおんを起き上がらせた。
「ええ、催眠術にかかる演技はこれで完璧ね」
しおんはあおいから差し出された服を受け取る。
「さあ、3人で最高の映画を撮りましょう」
あおいはガッツポーズで気合を入れる。
2人もそれに合わせてガッツポーズをし、3人は感情のない虚ろな瞳で微笑みあった。
次回の更新は2月6日土曜日22時です。ターゲットは夏樹みくるです。
神谷しおんは初登場回の刑事回がお気に入りです。次回もよろしくお願いします。
追記
第二弾「アイカツ催眠連鎖実験 あかりジェネレーション編」はこちらから!
https://syosetu.org/novel/254742/ #hamelnovel #hmN254742
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