実験レポート
今回の実験対象は三ノ輪ヒカリ。彼女は普段ネットを利用していることからサブリミナル効果による催眠術を実行する。サブリミナル効果とは映像に人間が知覚できないコンマ単位の秒数で映像などを差し込み、この映像を見た人間はコンマで差し込まれた情報を実行してしまうというものである。方法は彼女のライブ配信をハッキングし、彼女と不特定多数の一般視聴者の常識を改変する。これによってより迅速に都合の良い人間を集めることができると考えている。
※
とある地下室の一室。その中で彼女は踊り続ける。全国にいるネット視聴者のために。
「こんにちは、今回はこのコーデです」
ファンからの強い要望によりネットライブの後は自分の着ていたコーデの紹介を行っていた。今日はスパイシーアゲハから紹介して欲しいということで送られてきたコーデを着ている。水色を基調とし、ところどころに散りばめられた群青がヒカリのセクシーさを際立たせていた。
四方をコンクリートで囲まれた部屋で行われるいつも通りの光景。ファンとの交流は三ノ輪ヒカリの楽しみだった。
(あれ、おかしい、急に眠くなってきた)
そんな中彼女の体が不調を訴えかけた気がした。疲れているのか。しかし、ライブの後はアドレナリンでこんなことは起こらないはず……
「なんで、昨日ちゃんと寝たのに……あっ……」
三ノ輪ヒカリの瞼が落ちる。いわゆる寝落ちというやつだ。それと同時にネットのコメント欄の更新も停止する。本来ならば寝落ちに対するコメントが書き込まれてもおかしくはないはずだがそれがない。三ノ輪ヒカリが目を閉じた映像がただひたすら流れ続ける。
何分か経った頃だろうか。彼女の瞼が動いた。しかし、普段の彼女とは様子が違う。その目にはいつものまぶしさにすぼめる目の光が存在せず、紫の虚ろな虚空が存在していた。そこに彼女の意思は存在しない。
そこに紫吹蘭がやってきて三ノ輪ヒカリの様子を眺める。
「おっ、かかってるな」
蘭はパソコンのカメラとヒカリの目の前で手をひらひらさせる。彼女は無反応だった。そもそも、このネットライブ空間に他人が入ってくるなど彼女にとっては言語道断の行為。それを許している時点で彼女の状態が普通でないことは確かだ。
蘭はヒカリの耳元にやさしく口を置き、暗示をささやきかける。暗示を言い終わるとヒカリは動き出した。彼女は立ち上がり、隅の衣装ケースから紙袋を取り出し、パソコンの前まで持ってきた。
「それはなんだ?」
蘭は問いかける。
それにヒカリはゆっくりと答える。
「デザイナーから…… 一緒に送られてきた…… なぜか2着」
そこにあるのは2着のエプロン。
「ああ、それはきっと私と着る用だな。まずは脱いでくれ」
「なっ!?」
ヒカリは驚きの声を上げる。ライバルから出てきた唐突な言葉に顔を赤くする。
そこに蘭は念押しするような声で語り掛ける。
「できるよな?」
ヒカリの目を見る。彼女は蘭の目に魅入るように表情を失っていった。
「は、はい。できます……」
ヒカリは衣装を脱ぐ。そして、乱雑に脱ぎ捨てた。コーデにしわが寄るかもしれないことを気にかけず、自身がカメラの前で一糸まとわぬ姿を見せていることにも感情を抱いていない。そして、ゆっくりとエプロンを身に着けた。
蘭も同じようにスターライト学園の制服を脱ぎ捨て、エプロンを手早く身に着ける。
「似合ってるじゃないか」
蘭はヒカリの服装を褒める。布地に紫色にラメ加工された刺繍が怪しく輝いていた。美しさを表現するはずのそのコーデは裸体と合わさることで本来想定していなかった艶やかさが強調されている。誰にも晒さないような姿を自分の目の前に晒し、不特定多数のカメラの前で虚ろな目で棒立ちしている姿に蘭の体は興奮し、股をこすり合わせた。
「いいな、これ……。見ててくれ、これが三ノ輪ヒカリの本当の姿だ」
蘭はカメラに語り掛けると抱きしめてエプロン越しに股をこすり付ける。
「あ、あっ、いい!」
こすり付ける度に蘭はあえぎ声をあげる。ヒカリは最初何も感じていないようにお腹から押し出される空気を口から出していたが、だんだんその空気に艶やかな声が混じってくる。
「フ、フッ、フゥー、あ、あっ」
ヒカリも蘭を抱きしめ返した。ただわけもわからず快楽に溺れていく。
その痴態にネットのコメント欄が動き出す。それはこの異常を指摘するコメントではなく、助長させるような書き込みしか存在していなかった。カメラ越しに彼女たちを見ている人間もまた、この異常さを感知できないようになっていた。
ヒカリにはない蘭のエプロンからちらちらと覗く淫紋。
だんだんとヒカリ自身にもその淫紋が浮かび上がってくる。
(だめ、脳が解けそう)
ヒカリは何かとりかえしがつかないことをしているような気がした。しかし、体は快楽を求めて、蘭と一緒に腰を振り始めた。
「あっ、もっと欲しい」
自分のその言葉を聞いてはっと我に返る。
これではいけない、そう思いつつも腰が動くのが止まらない。
「どうした、もっと欲しいのか」
蘭が自分を見つめてくる。顔を赤くし、興奮させ、感情のない虚ろな目で見つめてくる。
その目を見ると何もかもどうでも良くなってくる。何より蘭が楽しそうだ。自分もそれを楽しみたいという感情がヒカリの中で湧き上がる。
蘭が唇を重ね合わせてきた。流れ込んでくる快楽と吸い取られる理性にヒカリはうめき声のような声をあげる。
「う、うん、うくっう、ん゛、ん゛、ん゛」
(ま、いっか)
ヒカリは快楽を求めて腰を動かし続けた。
蘭は最後の仕上げに入る。
「5つ数えるぞ、そうなったらお前は私のものだ、ひとつ。う、くっ」
蘭は高まる快楽に一瞬目を閉じた。
「あ、あ、あ」
ヒカリはさらなる快楽にあえぐ。
「に」
「だめ、だめ、だめ!」
ヒカリが首を振る。彼女にもう理性は存在しないと言ってもよく、拒否の意思を示しつつも腰は動いていた。しかし、まだ本能が抗っていた。
「何がだめなんだ、さん!」
蘭はやさしく諭すように語り掛ける。
「わからない! わかんにゃい! だめな気がああっ!」
「よん!」
彼女の訴えかけを遮るように蘭は数字をカウントした。
「だめ、だめ、あ、あん!」
拒否の言葉をヒカリは必死に紡ぐ。
「でも、体は止まってないぞ」
拒否の言葉とは裏腹に蘭へヒカリが抱き着く力は強くなる。
「だめ、いや、いって、ううう、いいよお、いいから!」
ほんの少し紡いでいた本能さえもほぐれ、霧散する。
「いくぞっ、いいのか?」
蘭は焦らすように確認した。
「いいのお! いいから、早く、ひゃやくううう」
「イこう、一緒に、ごおおおおおお! あっ、あっ、ああああああ!」
「やあ、き、あああああああ!」
ヒカリは喘ぎ声を部屋中に響かせる。
蘭もここまで抑えていた快楽が一気に押し寄せて来て膝ががくがくと震える。
ヒカリが膝を折って崩れ落ちる。
少し遅れて蘭も崩れ落ちた。
蘭は息を切らしつつもヒカリにくっきりと淫紋があるのを確認する。
「ごちそうさま」
そして彼女は自分の口についたヒカリの唾液を舐めとると、少しふらつきつつも立ち上がり、カメラに目を向ける。
「この目を見てください。あなたは目が覚めると今日のこのことは忘れ、清々しい朝を迎えます。あっ、1つだけ覚えとくといいことが、クリスマス、ここで何かいいことがあるかもしれません。じゃあな、3、2、1、0……」
配信は終了した。
※
クリスマス前日、ヒカリはクリスマスケーキを作っていた。
「なんで私がこんなことを……」
普段交流しないヒカリだったがこの日はなぜか呼び出されてケーキのクリームを混ぜさせられていた。そこに星宮いちごが声をかけてくる。
「あ、ヒカリちゃん」
心なしかいちごの声はいつもよりテンションが低い落ち着いた声だったが、特に気にも留めずお約束のセリフを言う。
「火傷するわよ」
「うん、そんなヒカリちゃんに頼みたいことがあるんだ」
「なによ」
若干スルーされた気もするが気にせずいちごの話に耳を傾ける。いちごはヒカリの耳に顔を近づけると、とあるキーワードをつぶやいた。
「ねえねえ、『クリスマスに星宮いちごがよろしく』」
それは暗示のキーワード。それを聞いてヒカリは一瞬驚いたような顔をするが、その表情はすぐに無くなり、瞳の光が無くなる。
「うん、わかった」
「よろしくね、フフッヒ」
いちごは虚ろな目をヒカリに向け、いたずらっぽく微笑んだ。
次回更新は12月19日土曜日22時です。
次の新キャラは有栖川おとめです。
実験という特性上題名を統一したほうがいいと考えていましたが、それだと題名で話の内容が分かりにくいと考え直したので実験レポートという形で本編に残します。
近日中に過去2話分の題名等修正するのでご了承ください。
今回は不特定多数に行為を見せさせることに自分の嗜虐心が働きました。
追記
第二弾「アイカツ催眠連鎖実験 あかりジェネレーション編」はこちらから!
https://syosetu.org/novel/254742/ #hamelnovel #hmN254742
boothとメロンブックスにて書き下ろし小説つきで同人誌頒布中
booth https://ousyouyuyya.booth.pm/items/2851070
メロン https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=832257