※この作品はR-18です。

【楽慧】並行世界の日常【R18】   作:アマヤミ

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第一章 楽郎と慧の日常
第一話 どうしてこうなった


「おい、自分で歩けって!」

 

 いっそ廊下に放置してやろうか、と思った瞬間、サンラクがフラフラと歩き出した。

 

「……ん~……」

「あっ、待て!」

 

 サンラクが棚に激突し、整理整頓してあったゲームソフトが派手に落ちて散らばる。体勢を崩したサンラクが大きな音を立てて倒れると同時に、かぼちゃヘルメットが床に打ち付けられ、そのまま動かなくなった。

 

「うわっ、ちょ……おい、大丈夫か?」

 

 どうしてこうなった……。

 

 思わず頭を抱え込んだ。

 俺が、プロゲーマーである自分の仕事にサンラクを捲き込んだのは、これが三度目だ。

 一度目は、GGCと呼ばれる大規模なゲームイベントにて「ギャラクシア・ヒーローズ:カオス」というゲームでの、エキシビションマッチだ。俺が所属するマルチプロゲーミングチーム「電脳大隊(サイバーバタリオン)」の格闘ゲーム部門「爆薬分隊(ニトロスクワッド)」のチームメンバー二人が試合に参加できなくなり、急遽ゲーム仲間のペンシルゴンと共に参加してくれたのが、サンラクだった。

 サンラクやペンシルゴンとリアルで顔合わせをしたのは、その時が初めてだ。まあ、サンラクはずっとガスマスクやヘルメットを装着していて、顔を見せることはなかったが。

 そこで、サンラクは、対戦相手のアメリカ大手マルチプロゲーミングチーム「Zodiac(ゾディアック) Cluster(クラスタ)」の格闘ゲーム部門「スターレイン」のチームメンバーである、世界最強のプロゲーマー、シルヴィア・ゴールドバーグ相手に見事な大立ち回りを演じ、大いに気に入られてしまった。

 

 さらには、シルヴィア・ゴールドバーグのライバルを自負していた、アメリカのプロゲーミングチーム「Dinoscul(ダイナスカル)」のチームメンバー、アメリア・サリヴァンがその試合を観てサンラクに挑戦状を叩きつけ、日本のテレビスタジオにて再び「ギャラクシア・ヒーローズ:カオス」で対戦。これが二度目だ。

 

 そして、前回の反響が凄まじかったらしく、今回スポンサーからの依頼で、三度目は日本のテレビスタジオの生放送にて、俺との対戦と相成った。

 

 やはり生放送とはいえ、徹夜続きのサンラクの体力と気力をエナドリで保たせようとしたのがマズかったか? その上、打ち上げで間違えて酒飲んでたし。……もしや、ライオットブラッド直後のアルコールが原因か?

 いや、そんなことよりも、まずは安否確認だ。

 

「サンラク、おい、聞こえるか?」

 

 かぼちゃヘルメットをペチペチと叩くが、中からの応答はない。

 

「……ヘルメット取るぞ。いいな?」

 

 今は非常事態だ。こうなったのはこいつの自業自得……と言えないのが悲しいところだが、今はそういうことにしておこう。あの猛禽外来種どもの餌食に巻き込んだ俺が言うとカルマ値も跳ね上がるな……。

 ……ええい、ままよ! オープン!

 

「…………なんだ。悪くないじゃん」

 

 これならプロになって顔出ししても人気でるんじゃないの? …………フーン。

 

「……ンま~あ……」

「フッ……くふふ……」

 

 こいつのほっぺた、思いのほか伸びるな。

 

「……マフ……」

「………………」

 

 おっと。つい夢中になってしまった。

 …………マフってなんだよ。

 

「ま、とにかく無事だな」

 

 どうすっかなぁ~。ベッド……は、ないな。まず風呂入れ。ん~、やっぱソファか。

 

「ほら、立てるか?」

「ん~……」

「くっ……重いんだよっ……! 足に力入れろって!」

 

 ……駄目だ。引き摺って行くしかない。

 

 サンラクの両脇の下に腕を入れてソファまで引っ張って行く。四苦八苦しながらソファにサンラクを乗せた俺は、疲れ果ててその場に膝を突いた。

 

「ハァ、ハァ、もうやだ。こいつ絶対あとでパシらせる」

 

 証拠残しておかないと……。

 

 俺がよろよろと立ち上がって携帯端末を取り出し、腹を出してソファにだらしなく寝そべるサンラクを画面に収めようとした、その時。突如サンラクの両目がカッと見開いた。

 

「うわっ」

 

 俺の声に反応して、目だけがギョロッとこっちを見る。

 

「怖い怖い怖い! あっ……」

 

 急に体を起こしたサンラクが、俺の腕を引っ掴みながらソファに仰臥(ぎょうが)する。携帯端末が床に落ちる音がした。俺は呆然としたまま、サンラクの上に乗っかる形となった。

 

「……お、おい、起きたのか?」

「……………………」

 

 何か言えよ。怖いんだけど。

 

 そっと体を浮かせて四つ這いになり、サンラクの顔を覗き込んだ俺は、思わずびくっと身を竦めた。てっきりまた閉じていると思った双眸が開いていて、がっつり俺と目が合っている。

 

「いや何か言えよ!!」

「…………カッツォ?」

「そうだよ! ここ俺んち! 分かる!?」

「………………」

「おーい、エナドリキメ過ぎてついに脳みそまで溶けちゃったかなー?」

「……ライオットブラッドは合法……何故なら」

「エナドリの話はいいんだよ!! それより腕! 放してくれると嬉しいなぁ?」

「………………」

「どうも。わっぷ……おい!」

 

 腕を放したと思ったら、するりと俺の背中に伸びた両腕によって、再びサンラクの胸に顔を沈める羽目になった。

 

「オイいい加減にしっ……えっ? ちょ……力強っ!」

 

 痛くも苦しくもなく、決して締めつけているわけではないはずなのに、腕がほどける気がしない。サンラクの上で、俺は必死にもがいた。

 

「くっ、この……っ、…………??」

 

 あ、あれ、何か下半身にあるモノがだんだん硬くなってきてません……?

 

「……お、おい、嘘だろ……」

 

 嘘だといってよ、サンラク!

 

「サ、サンラク、これ……」

「……カッツォが動くから……俺のカッツォが反応しただけだ……」

「いや俺のカッツォってなんだよ」

「………………そんなこと言ったか?」

 

 妙な言い回しをするな……なんだ? 何か前にもこんなやりとりが……。

 

「そんなことより……ムラムラしてきた」

「は!? ちょ、勘弁してくれ!」

「ムリ……」

「いや俺の方が無理だから! 放せって!」

「ヤダ……」

「あっ、おい! 足でホールドすんな!」

「………………」

「待て、待て、手を止めろ。手を……、ってだから力強っ!!」

 

 なんで俺が両手押さえつけてる状態でそんなスムーズに自分のベルト外せんの? 絶対ズボンとパンツは下ろさせないからな。

 

「……………………」

「……………………」

 

 無言の攻防が続く。

 俺が奴のズボンを掴んで押さえつければ、俺のベルトに奴の手が伸び、俺のベルトをガードすれば、今度は奴のズボンのファスナーが下りる。

 慌てて奴のファスナーを上げようとするも、猛り立った奴の分身が防衛に参戦して手間取り、タイムロス。その隙をついて俺のベルトが外される。ファスナーを上げられないまま右手で自分のズボンを掴み、左手で奴のズボンを掴む。

 しかし、片手でどうにかなるはずもなく、俺のファスナーが下ろされた直後、両腕を掴んで固定され、ホールドしていた足を使って下着もろとも一気にずり下げられた。

 

 無駄に器用だなオイ!

 

 奴がズボンを下ろすために腰を浮かせて拘束が解けた瞬間、即座にズボンを掴んで逃走を図るも、既に下半身を露出させた奴に腕を掴んで引き戻され、再度奴の両腕が俺の胴体をロック。

 

 俺のズボン? 穿けてねーよ。

 

「……泣きそう」

「……いいね」

 

 外道!!!!

 

「ちょ、いや、腰動かすのやめてマジで」

「………………」

「おい、サンラク……! ちょっとほんとに無理だって……ッ!」

「……………………」

「……………………」

「そっちも元気になったな」

「……ただの生理現象だから」

 

 こんだけ擦られれば否(いや)でも大きくなるっての。もういいや。さっさと出せばすぐ寝るでしょ。こいつあとで証拠撮ってやるから覚悟しとけよ。

 

「……ハァ……ハァ……ハァ……」

「……ッ……ハァッ……ッハァ……」

 

 嘘だろ……俺まで変な気分になってきた。

 

「……サンラク、もう手で抜いてやるから、さっさと……ンンッ! ……ハッ、んっ! んむーッ! はっ……ン~~~~ッ!!」

 

 顔を上げた途端に後頭部の髪を掴まれ、一瞬で唇が奪われた。言葉を発するために薄く開いていた入り口が舌で強引に抉じ開けられ、あえなく口内への侵入を許してしまう。

 顔を離そうともがけば下半身が押し付けられて刺激され、下半身を離そうとすれば口の中でサンラクの舌が荒れ狂い……未知の感覚に全身が打ち震える。

 ついには組み敷かれる形で俺が下になり、サンラクが俺のものを握り込んだ。余計なことを考える隙を与えるつもりはないらしい。一定のリズムでもたらされる快感が下半身と脳を支配し、サンラクの手中にある俺のモノは既にはち切れんばかりに脈打って、痛いくらいだ。

 

 あーもう、なんで気持ちいいんだよ……。

 

「……カッツォ……」

「待って。萎える」

 

 ここにきて〝カッツォ〟はない。

 

「……慧でいいよ」

「………………慧」

 

 あっ……これダメなやつだ。

 

「……慧……」

「う……っ……ハァッ……」

 

 あ~これはやばい。名前呼びの威力を完全にナメてた……。

 

 俺の変化を察知したのか、サンラクの手の動きが速度を増していく。

 

「ハァッ……ンッ……ハァ……んん……」

 

 さっきの荒々しく掻き乱すようなキスとはうってかわって、顔の角度を少しずつ変えては俺の下唇をついばんだり甘噛みしたりして舐めながら、柔らかさを感じる自然な力加減で舌を絡めてくる。

 髪を強く掴んでいた手は、いつの間にか指に髪の毛を絡ませ弄びつつ、優しく頭を撫でている。

 もういつでも逃げられると頭では分かっているのに、逃げずに受け入れている自分に困惑してしまう。

 

【挿絵表示】

 

 至近距離でサンラクと見つめ合っても、嫌悪感はない。

 

 男同士なのに……。

 

「慧……」

「はあっん!」

 

 み、耳元で……!

 

「はは……可愛いすぎない?」

「ふざっ……んむッ、ぅン……ン~~ッ」

 

 抗議をさせろ!

 

「ハッ……ハッ……ぁあ~~ま、待って……ハァッ……あっ、あっ、もう出そう……ッ」

「………………」

「あっ、あっ、あっ、待って、待って、……あぁっ、あああ──ッ!!」

 

 両足が力んで腰が大きく痙攣し、俺はついにサンラクに見られながら果ててしまった。

 

「ハァ……ハァ……ハァ……」

「……ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、」

 

 俺の顔を見つめながら独りでしごいているサンラクの顔を、俺も不明瞭な意識の中で眺めている。

 

 ……こいつ、男の顔をおかずにするとか……ホモなの? ……すげぇ切なそうな顔してんな……。

 

「ン……ッ……ハァ、……ハッ、……ッ」

「んん……ふぅ、ん……ハ……んぅ……」

 

 自分からキスをして舌を絡めにいっている俺も、もしかしたらホモなのかな……。

 女の子からアプローチをされても、適当な理由をつけてはのらりくらりと躱していたりとか……。ファン離れなんて気にしたこともないくせに、同性愛についてきっぱりと否定できなかったりとか……。

 …………俺ってもしかして、そうなのか?

 

「慧」

「…………ん?」

「……なに考えてた?」

「………………」

 

 なんですぐさま俺の思考見抜こうとしてくるんですかねぇ……?

 

「サンラクは、同性愛者なの?」

「……楽郎」

「?」

「名前。楽郎」

「らくろう」

「うん」

 

 ……本名は知ってたけど、初めて呼んだわ。名前自体珍しいから、一瞬何言ってるか分かんなかった。

 

「同性愛者かどうかは……正直分からん。今まで誰かに恋愛感情とかもったことねーし」

「あ、それ俺もだ」

「へえ……」

「…………」

「…………」

 

 でっていう。結局何一つ分からなかった。

 

 ふと気が付くと、サンラク……楽郎は、手持ち無沙汰な様子で、ぼんやりと自分の分身を弄っている。

 

「あ……ごめん、途中だったね」

「……あぁ、別に……」

「………………」

 

 し、しまった。これは相当気まずいぞ……この空気感は耐えられない。

 

「……ッ!」

 

 俺は、下からそっと手を差し入れて楽郎のものを握ると、内心の驚愕が僅かに漏れ出た顔を眺めながら、溢れる先走りでぬるぬるとした先端を指先で弄り、表情の変化を観察する。

 

 これは……案外楽しいな。こいつのこんな表情、見たことない。気持ちいいとこういう顔するんだ……。ていうかコレ、デカいな。

 

 俺は、今握っているものが自分のものより大きいことに若干テンションを落としながらも、ソファから体を起こして楽郎と体勢を入れ替える。楽郎は、素直に俺の下に横たわった。

 手を上下に動かすと、額に手の甲を当てて辛そうな表情を浮かべる楽郎の呼吸が、徐々に荒くなっていく。

 

 ……ああ、無性にゾクゾクする。今俺が、あの楽郎にこんな顔をさせているんだ……。

 

 思わず、熱い呼吸を吐き出す唇の隙間から舌を捩じ込んだ。楽郎の体がびくっと震え、微かに声が漏れる。いつの間にか俺の下半身にも血流が滾り、楽郎の舌が口腔を撫でるたびに、意思をもったように反応している。

 

「……ッハァ……楽郎、楽郎……っ」

「ッ!! うっ、出るッ……──ッ!!」

 

 俺が耳元で名前を囁いた途端に楽郎の腰が痙攣し、勢いよく精液が飛び出した。

 

 君も名前呼びの破壊力を思い知ったか! ざまぁ!

 ………………。

 ところでフル勃起しちゃってる俺のこれ、どうしよう……。

 

「…………それ咥えてみてもいい?」

「……えっ」

 

 それって、もしかしなくてもフェ……

 

「らっ……あ、……ッ」

 

 うは、舌先くすぐったい……!

 

「あっ! ハァッ……」

 

 えっ、タマやば……。

 

「はああ……ッ」

 

 タマを弄りながら根元から先までの裏スジ舐め……!

 

「ハァ……ハァ…………んはぁっ!」

 

 楽郎は、俺の先っぽを口に含んで舌全体で舐め回したあと一気に喉の奥まで咥え込み、軽く吸い上げながら根元から先までを往復する。

 

 うわぁ~音すげぇ……気持ちよすぎる……楽郎がこちらの反応を窺うたびに目が合い、俺の支配欲が刺激されて余計にヤバい。

 

「あぁ~、あぁ~、やばいすぐイッちゃうって……ッ」

 

 ちょ、そんな激しくされたら……っ!

 

「あっ、あっ、あっ、出る出る出るッ……──ッ!!」

 

 ……あぁ~、思いっきり口の中に……。

 

「ご、ごめ、ティッシュ……え? ……も、もしかして、飲んだ……?」

「……ダメだった?」

「い、いや、ダメでは……ないけど……、だ、大丈夫?」

「うん」

 

 すげーケロッとしてるじゃん……。

 精液だぜ?

 君の精液に対するハードル低くない……? もしかして、口でしてるうちに抵抗なくなるもんなの?

 

「てか、めっちゃ上手いんだけど……え? まさか、初めてでは、ない……?」

 

 俺、初めてだから。正直、他の人の技術がどんなもんか知らないけども。なんか、想像してたよりも凄かった……。

 

「初めてだけど……俺がされてみたいことを片っ端から試して、あとはまあ、反応を見ながら……。でも、今ので慧が喜ぶポイントは大体把握したかな」

「ウソデショ…………」

 

 ゲーム感覚かよ……。え? てか待って。今こいつサラッと言ったけど、アレ、楽郎がやってみて欲しいことなの?(震え声)

 

「ところで、これ何事?」

 

 ……ああ、今さらゲームソフトの惨劇に気が付いたか。

 

「犯人は君だ」

「……は?」

 

 なにちょっと引いてんだよ。

 

「君がやったんだよ。ちゃんと片付けて帰れよ」

「マジか」

「あと、元気良くソファで泳ぎ回ってるオタマジャクシどもの後始末もよろしく。俺シャワー浴びてくるから」

「マジか……。あ、俺もシャワー借りていい?」

「当然。そのままあちこち触られると困る」

「じゃあ一緒に入るか」

「は?」

「このままあちこち触られるのは困るんだろう?」

「…………なら、君が先で」

「そんなそんな! 介抱してもらった上に、家主を差し置いて先に入らせていただくなんて烏滸(おこ)がましい真似、俺にはとてもとても。ほら行くぞ」

「ま、待て、ソファが先だ! 時間が経つとシミになる!」

「ん、了解」

 

 くっ、こいつ、何を企んでやがる……! ソファの清掃中に思考をフル回転させろ、俺……っ!

 

 結局それから何が起きるでもなく、普通に二人でシャワー浴びて、普通に部屋着を貸して、普通に二人で歯磨いて、普通に二人でミネラルウォーター飲んで、普通に楽郎の家に連絡入れて、普通に楽郎がソフト片付けて、今、普通に二人でベッドに入って寝ている。

 俺は半眼になって、すぐ隣で安らかな寝息を立てている楽郎の顔を覗き込んだ。

 

 ……はあ? 終始なんでもないような顔しやがって、こいつ……俺のドキドキ(緊迫)を返せ!

 

「………………」

 

 携帯端末スッ。

 

 慧の画像フォルダ

「楽郎の寝顔」New!

 

 

 




次回は二人でお出かけ。
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