こんな時にまで勘弁してくれ……。
携帯端末を手に取ってミネラルウォーターのボトルをサイドテーブルに戻し、再び溜まっていたメールの返信BOTになっていると、楽郎が不安げな表情でじっとこちらを見ていることに気が付いた。
「あ、もしかして、見えた?」
「…………すまん」
「いや、いいよ。別に隠してるわけじゃないし」
「……慧も合コンとか行くのか?」
「んー? 心配?」
「……別に」
「そっか。だったらこの誘いに乗っても問題ないね」
楽郎がむっとする。
「怒った?」
「……怒ってない」
「ふ~ん」
「………………」
「本当は?」
「……誘いに乗ったら怒る」
「えー、なんで?」
「……………………」
わざとらしく煽る俺に、楽郎が鋭い眼差しを向ける。俺は意に介さず、携帯端末を置き時計型の充電器に乗せると、話を続けた。
「なんで俺が合コン行ったら、楽郎が怒るの?」
「……気分悪いから」
「ええ、付き合ってるわけでもないのに?」
「……………………」
「どうして気分が悪くなるの?」
「……………………」
「ねえ、なんで?」
「……………………」
どうやら、もう返事をする気はないらしい。
「もしかして、嫉妬?」
その一言で、先ほどまで明らかにイライラしていた楽郎の雰囲気が一変する。
――あ、キレた。
「そんなに知りたいか?」
楽郎は目をギラつかせ、
「俺の心の内がそんなに知りたいかって聞いてんだよ」
これ、ゲームしててかなりテンション上がってきた時のサンラクの顔だ……。楽郎はキレたら現実でもこうなるのか……。う~ん、これはちょっと、ヤバいかな?
身に迫るような危機感に、心臓が早鐘を打ち始める。
「俺はお前のものだと思ってるけど、お前はどうなんだ?」
来た……おそらく、ここが分岐点だ。楽郎もまだ完全にキレているわけじゃない。ここで俺が本心を伝えれば、確実にいつもの楽郎に戻る。ハッピーエンドルートへ突入だ。
「……俺は……俺のものかな」
なのに、煽ってしまう。鼓動がドクドクとさざめき立って、呼吸が荒くなる。スリルがざわざわと全身を這いずりまわり、俺は図らずも勃起した。
「ほおーん……。これまでの経験値だけではレベルアップには程遠いと。成る程、成る程……」
楽郎がボトムスを脱ぎ捨て、全裸になる。これ以上ないくらいにビキビキといきり立ったものが
「どうやらパワーレベリングが必要なようだな」
「……
「いいぜ。
HAHAHA! 一体誰が走り出したドラッグカーを
あれ、俺のボトムスいつ下ろされた??? ……手品?
極度の緊張で思考が停滞し、変なことしか頭に浮かんでこない。
「あっ、ちょ……ッ、んハァッ!!」
「へえ、こいつがアナルプラグか」
楽郎は勃起した俺の肉棒を強く握りながら、プラグを無遠慮に出し入れする。その度に穴からプチュッ、ヌプッと恥ずかしい音が漏れる。俺は堪らず両腕をベッドの端につき、シーツを握り締めた。
「ヒィッ……待っ、んあ゛ッハァ、おっ、おあ゛ッ」
「ハッハッハ! 下のお口に随分エロいもん咥えてんなあ? こいつは一体誰のために挿れてんだ? ん? これもお前のためか? なら俺はお前専用ディルドってわけだ!」
楽郎はプラグを捻りながら出し入れし、俺の穴からは湿った空気の音が漏れ続ける。腸壁が捻り
「あ゛ッんアッン゛ン゛ン゛」
「さっすが社会人! 学生の俺とは違って、交遊関係も随分大人だよなあ!? あながち魔境も馬鹿に出来ないということか。総受け慧さんは、どこまでいけば単なるお友達ではなくなるんだろうなあ? 実に興味深い! 一体ナニをすればお友達以上になるんだ? んん? ほら、言ってみろよ」
「あ゛ぁあんッ! や゛、めてぇぇ、わ、あ゛、わかった! あっ、あっ、お、俺も、お゛ッ、楽郎のものだからあッ!!」
楽郎の動きがぴたりと止まる。
あ、た……助かった……。
「お前が俺のものなら何の問題もないな」
「……え?」
選択肢があると見せかけて一択じゃん。
楽郎はプラグを激しく出し入れしながら、俺のものを全力でしごきだした。耐え難い苦痛と快感に苛まれる。
「おらメス犬みたいに鳴き叫べよ!」
「あ゛ぁあ゛ぁあ゛ぁイイィィやだやだやだぁあぁあぁイィイィイクイクイク──ッ!! イヤッイヤッイヤッ……──!! あ゛ぁああんあや゛っやめでぇぇぇイッ────!! ぁあイ゛ックイックイク……──ッ!!」
連続でイキ叫び過ぎて苦しい……! 体中ガクガクでよだれまで垂れ流しだ。
楽郎は、最後にプラグを勢いよく突き挿すと、足腰立たなくなった俺を引き上げ、ベッドに突き放した。ぐったり
「咥えろよ」
「…………」
相変わらずデカい……。はち切れそうな血管が超絶エロいな……。
舌を出して目の前に差し出されたモノを舐めながら迎え入れると、先から漏れ出た楽郎の匂いが口腔に広がって、頭がクラクラする。
一生口の中で味わっていたい……。エナドリ漬けでなんかヤバい成分でも溶け出してんじゃないの?
さっきイッたばかりの下半身が、熱をもって疼く。
「もう反抗しないのか?」
「………………」
楽郎が腰を動かし、俺の部屋にいやらしい音が響き始める。突かれるたびに喉奥から漏れ出る声が、水気を含んだ音と混ざり合う。
「ヴッヴッ……お゛ごッ……ゲェッ……ヴッヴッ……ッエ゛……ッ」
「フーッ、フーッ、あー、すげぇイイ……はーっ、はーっ、あー……」
俺の首を優しく撫でる手に、徐々に力が籠っていく。幾度となくえずきが込み上げて身を捩るけど、逃げられない。息ができない。涙が滲む。俺の両手が、下半身が、俺の意思とは関係なく暴れる。
ああ……俺いま楽郎に脳まで犯されてんだ。
頭も、口も、呼吸も、心臓も、下半身も、どこもかしこも、どうしようもなく苦しくて辛いのに……昂揚感で満たされる。
もう脳汁垂れ流しだよ……。
「ヴェッ、ヴッ……んぶッ……ッ……ヴッヴッゲェッ……ヴッヴッヴッ……!」
「ハァッ、ハァッ、あ゛~~、ほら出すぞ……ッ! 全部飲めよッ!!」
あっあっ触ってないのに出そう、出る、出る、あっ……!
一際激しいピストンを経て、楽郎の腰が、俺の腰が、同時に痙攣する。
喉の奥に濃厚な
「────ッ!! んぶっ、ングッ、ぅえ゛ッ……ヴハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ」
「ハァ、ハァ、ハァ、あークソッ、やっちまった……慧、大丈夫か!?」
「ハァッ……ハァッ……ハァッ……」
「……あれ……もしかして、イッたの?」
「……ハァー……ハァー……ハァー……」
あー……めっちゃくちゃ興奮した……生命を脅かす超ハードな強制イラマと、欲望剥き出しで理性がブッ飛んだ楽郎の、あの顔、あの目……思い出し勃ちしそう……。
自分の性嗜好にドン引きだよ。
射精して冷静になった楽郎は、動けない俺の頭を支えて体の向きを変え、ベッドに横たえてくれた。
「……イラマチオ、好きなのか?」
「……それはこっちのセリフ……」
「…………ごめん」
別に謝らなくても……俺自ら楽郎のスイッチ押したんだし。こういうの、もう滅多なことがない限りやってくれないだろうなぁ。こいつ、優しいし。……賢者タイム滅びろ。
ああ、俺、やっぱ悦楽のメーター振り切って本能で突き進む
「……がんばったご褒美ほしい……」
「健気かよ……ちょっと待ってな」
楽郎は、タオルで俺が射精と潮吹きした場所を丁寧に掃除し、別のタオルを使って俺の顔や体を拭ってから、ミネラルウォーターを差し出した。
「飲めるか?」
そんな風に甘やかすと、俺どんどん我が儘になってくぞ。
「……飲ませて?」
俺が小首を傾げてねだると、楽郎は少しの間固まってから、片肘をついて俺の隣に添い寝した。一口目の水で自身の口内をゆすいで飲み込み、二口目の水を含んだままキスをする。俺は、楽郎から注がれる、少し冷たくて少し温かい液体を喉に流し込みながら、楽郎と舌を絡めた。何度もねだる。
「……まだ飲むか?」
「んーん。ありがと」
「次はどうして欲しい?」
「………………欲しい」
「ん?」
「俺の卑猥なケツマンコに楽郎の硬くてデカい勃起チンコ挿れて欲しい」
「余すことなく言い切ったな……」
俺は、二枚重ねにした厚手のバスタオルの上に、仰向けで寝転んだ。長い準備期間を経て、いよいよこの時が、と思うと緊張してくる。楽郎はそんな俺を暫し見つめると、アナルプラグに触れるでもなく、また俺の隣に添い寝した。
楽郎の唇が、俺の口の周囲を触れるか触れないかの微妙なタッチで、なぞるようにして這っていく。俺の唇に近づいては離れていく楽郎の唇にキスをしようとすると、スス……と首筋の方へ逃げられる。
その間も、肘をついた手で俺の頭を撫でながら、もう片方の手で届く範囲全てを、時間をかけて緩やかに愛撫され、焦らされていると分かっていても興奮してしまう。
何度も躱されるうちにフラストレーションが募り、ついには唇と唇が触れ合っただけで、昂揚感が最高潮に達して精液を漏らすほど喜んでしまった。
天才かよ……。
「おもらししちゃったな?」
「……うるさい」
楽郎は枕元に置いてあったコンドームをひとつ咥えてアナル用ローションを手に取ると、俺の足を開かせ、穴を塞いでいるアナルプラグをそっと引き抜いた。
「んッ……ああっ」
「……すげぇ……パクパクしてるぞ」
「や……言わなくていい……」
コンドームの端を歯で咥えたまま話す姿が妙に色っぽい。
楽郎は、俺が漏らした精液を指先ですくって穴に塗り込みながら、ローションを垂らして指を入れ、前立腺を刺激する。
「あ、あ、あっあっ、あ、あっ」
「指三本入るぞ」
「あっあっ、ね、も、いれてっ、あ、あ」
「もう我慢できないのか?」
「うっ、う、おねが、おねがいっ」
あんなに焦らされて我慢できるわけないよ。
楽郎は前立腺を責めながら、噛んだままのコンドームの小袋をもう片方の手で引き裂いて空の袋を吐き捨てると、片手でゴムを装着する。俺の穴から指を引き抜き、ローションをコンドームの上から塗りたくって俺の両足を押し広げた。
「挿れるぞ。力を抜けよ」
「ハァ、ハァ、あ、来る、来る……」
俺の小さな穴を押し開きながら、楽郎の硬くてデカい肉棒が少しずつ入ってくる。もの凄い圧迫感だ。
「うお……すげぇ狭い……」
「ああ~……ああ~……」
「……全部入ったぞ」
楽郎はそのまま動かず、俺にキスをする。勃起している俺のものを撫でて弄りながら、じっくりと口腔や舌を舐めまわす濃厚なキスと、下唇を舐めたり甘噛みしたりする甘いキスを交互に繰り返す。
そうして後ろの圧迫感が薄らいできた頃、唐突に、言いようのないもどかしい快感が
「あ、あ、楽郎っ、動いて……突いてっ」
楽郎が、俺の顔を見ながら腰を動かす。
「ああ~、んん~、ああ~、もっと……ああぁ、もっと激しくして……! あっ! あっあっあっあっあっイイ、イイッ、キモチぃ、あぁあぁあっ、すごっ、すごいっ、ああっ、キモチぃ、ああっあっあっあっ」
「ハァッ、ハァッ、やばい……ハァッ、ハァッ、これめっちゃ気持ちいい……」
丁寧な前戯のおかげか、初めてなのにめちゃくちゃ感じるし喘ぎ声が出まくる。後ろに気を取られて落ち着きかけていた俺のものが再度硬くなり始め、ギンギンになっていく。楽郎に突かれているところが熱くなり、タマが疼きだす。
「あっあっあっ、あんっ、あんっ、あんんっ、んんんんんっ、あぁあぁあっ」
あ、これ、なんか、来そう……!
「あぁあぁあっ、あぁあぁあっ、イイッ、イク、イッちゃう、イッちゃう、あっあっ、イク、イク、イクッ────!!」
「ぁあっ!? 出るッ────!!」
爪先をピンと張って痙攣しながら勢いよく仰け反り、俺の精液が噴出したのとほぼ同時に、楽郎が俺の奥深くまで突き挿したまま、精液を射出して果てた。
「あっ、あっ、あっ……ハァ、あ、あ、ハァ、あぁ……」
「ハァッ……ハァッ……ハァッ……」
精液を出し切った楽郎は、挿入したまま俺の上に覆い被さる。楽郎の重さが温かくて心地好い。俺はその背中を抱きしめ、両足を楽郎の腰にまわした。楽郎のものが俺の中でビクビクと痙攣していて、まだ気持ちいい。二人の間で、俺の精液がやたらと存在を主張している。
「ハァ……ハァ……最後の締め付け、ヤバすぎ……挿れたまま慧が射精すると、ああなるのか……」
「……そんなにヤバいの?」
「ああ……完全にアレに持ってかれた……」
俺は近くに置いていたタオルを手に取り、頭を持ち上げた楽郎の顔まわりの汗を拭って頬を両手で包み込み、唇を寄せる。楽郎の下唇を軽く吸ってから舌を入れて絡ませ合い、小さく音を立てて唇にキスをした。
楽郎が俺の隣に
「……すげー出たな……」
「だねー……俺もめっちゃ出た」
俺は、手に持ったままのタオルで、楽郎と俺の体に付着した白濁液を拭き取ると、他のタオルと敷いていたタオルをまとめて床に放る。
楽郎はコンドームの口を結び、気怠げに体を起こしてゴミ箱に捨てた。
「……クッソ眠い……」
「俺も、もう限界……」
二人で掛け布団を手繰り寄せ、もそもそと潜り込む。俺は裸のまま、楽郎の腕の中で瞼を閉じた──。
当然一回戦で終わるはずもなく、次回へ。