「ねえ……俺、えっちの動画撮ってみたい」
「!!!!」
準備を整えたベッドでキスをしている時に何気なく申し入れた俺を、楽郎が驚愕を前面に出した顔で凝視した。
「えっ……なに?」
「……ありがとう……ありがとう慧……! 俺が言いたくても言えなかったことを言ってくれて!!」
楽郎は両手でしっかと俺の手を握り、泣き出すんじゃないかと思うほど感激している。
「え……そんなに?」
「うん。流出のリスクを考えると、慧は絶対嫌がると思ってた……」
「あー。確かに前はそうだったけど、今は、楽郎が流出させちゃったならもう仕方ないと思うようになったよ」
「仕方なくはないだろ……」
「それくらい信頼してるってこと」
「……本当にいいのか?」
「うん。会えない間のオカズにしたい」
「よし端末取ってくる!」
「え、はっや……! あっははははは!」
全裸のまま瞬時に寝室を飛び出していった楽郎を見て、大笑いしてしまった。
それからすぐに、楽郎は携帯端末を手に戻ってきた。
「ほい、慧のも持ってきた」
「ありがと。俺、楽郎メインで撮りたいからヘッドボードに立てかけるわ」
「あー俺どうしよ……手持ちでもいいけど、集中できなさそうだしな……」
「サイドテーブルをベッドの真横に持ってこようか?」
「あーいいね。そうしよう。俺がやるからお前は自分のやつセットしとけ」
「分かった」
俺と楽郎はそれぞれの場所に携帯端末をセットした。
「ちゃんと録画モードになってる?」
「おう、完璧。…………さて」
楽郎は俺を見下ろしたまま顎に手を当てて少し思案していたかと思うと、急に雰囲気が切り替わった。
「……虐められたいって言ってたよな?」
微かな嗜虐性が宿った楽郎の双眸を、俺は
「うん……」
「お前、今から何されるか分かってる?」
「……分かんない……」
「……まあ、気持ち良いことしかしないから安心しろ。おすわり」
それなら安心だね!
俺は楽郎の指示に従い、大人しくベッドの上で正座をする。床で正座をするかどうかで一瞬迷ったが、ベッドから下りてしまってはカメラに映らない。
「目を閉じて待て」
ドキドキしながら瞑目している俺のまぶたを、何か柔らかい物が覆い、取れないように後頭部で縛られた。
……タオルかな?
楽郎は目隠しした俺をゆっくりとベッドに横たえ、そのまま寝室から出ていく気配がして、またすぐに戻ってきた。
カチャカチャと音がする。右の手首が何かで縛られ、その手首の外側に右足首を揃えて、手と足が離れないようにぎゅっと固定された。音と質感からして、ズボンのベルトだろう。左の手首と足首も、同じように一本のベルトで拘束される。
犬のおすわりポーズで仰向けにひっくり返っている状態だ。
「ケツの穴もチンコも、モロ見えだな」
「んや……」
辱しめを受け、すでに勃起しているところにさらに血流が集まる。足を閉じようとしても腕が邪魔をして閉じられず、腕の隙間からは、きっと先走りを垂れ流す俺の分身が丸見えだろう。お尻の穴なんてもっと隠せない。
「……その格好、ちゃんと撮れてるぞ」
「うぅ……恥ずかしい……」
「我慢汁漏らしながら何言ってんだ?」
「ごめんなさい……」
楽郎が俺の全身を、触れるか触れないかのフェザータッチでランダムに愛撫していく。目隠しをされていて、次はどこに触れられるのか、見当もつかない。楽郎の指先を感じるたびに体がビクビクと反応して、俺は嬌声を上げながら我慢汁を漏らし続けた。
「あぁあ~……ハァハァ……はぁあんっ……ハァ、んはぁあぁっ……ハァッハァッ……あはぁあぁ~ッ……ハッハッハッ……んッやあぁあぁ~、あぁあぁ~」
どれくらい続けていたのか……気が付けば愛撫だけでイキそうになっていた。なのに、イキそうになる度に幾度となく寸止めされてしまう。
狂おしいほどの絶頂への欲求に、俺は顔を左右に振りながら身悶えた。
「んあぁあ~、あぁあ~、はぁあ~、うあぁイキたい……イキたい……イかせてぇ……」
「……どうしようかな?」
「うぅうぅ……お願いぃ……あぁあぁあ……イかせてくださいぃ……」
「だったらこの先の責めは、泣こうが喚こうが絶対にやめないぞ? いいな?」
「はい、お願いします……イかせて……アッあぁあぁあ──ッ!!」
ふいに乳首に強い快感が走り、顎を上げて仰け反った。そのままガクガクと痙攣して、オーガズムを迎える。楽郎は俺がイッていてもお構いなしに乳首を責め続ける。
全身の焦らし愛撫から、乳首責めに移行したらしい。
「あぁあぁあイッちゃうイッちゃうイッちゃう! あぁあぁあイクイクイクッ──!! あぁあぁああ──ッ!! あぁあぁまって、まってぇぇぇイクイクイク──ッ!! あぁやぁあぁあぁ」
どれだけ苦しくなっても手足を拘束されていては逃げることもできず、何度も何度も強制的にイかされて頭が真っ白になった。まさか乳首だけでこんな風になるなんて、とても信じられない。現実じゃないみたいだ。まだこの先があるなんて……。
「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ」
「お疲れ。さあ、次はどこかな?」
「ハァ、ハァ、ハッあああッ!!」
ようやく乳首責めから解放されたと安堵したのも束の間。次に楽郎が触れたのは、感度が上がりまくって先走りで濡れ濡れの、一番敏感な先端だった。
ああやばい……。
楽郎は指を小刻みに動かしながら擦ったり、サッと撫でて弾いたりと、何が起きているのか理解できないくらい様々な手の動きで亀頭責めをする。
全身にビリビリと電流が走ったように体がのたうち、ガクガクと震える。
「うはあぁあぁあぁイクイクイクイク~~あはぁはぁはぁはぁあぁあ~~あっあっあっあっあっあんイクイクイクぅぅぅうあぁあぁあんアハァハァハァあイクぅぅぅぅ」
痙攣が収まったかと思えばまた次の痙攣が訪れ、イッている最中もよだれを垂らしながら哭き続けて暴れる俺の体を、楽郎が押さえつけている。
「あ゛ぁあ゛ぁあ゛イックぅぅ~~ッ!! あ゛ははぁあぁあ~だすけてぇぇぇあっあっあっイクイクイクッ──ぅぅぅぅあぁあぁあハァハァハァもうやだぁあぁあぁ」
もはや楽郎が先っぽを撫でて弾く度に精液が漏れ、意識が遠のく。
「……アッはあぁッ!! あぁあぁあぁ」
意識を失いそうになると、容赦ないスパンキングで文字通り叩き起こされる。
「ハァアッ、ハァアッ、ハァアッ……」
「もうやめたいか?」
「ハァッ……ハァッ……ハッあぁあッ!!」
呼吸を整えながら逡巡していると、またもスパンキングが飛んできた。
「やめたいかって聞いてんだよ」
「うぅうぅう……続けてくださいぃ……」
「当たり前だろ、さっき約束したんだから。ドMがなに躊躇ってんだよ」
ああ~~どう答えても続行するパターンのやつかぁ~!!
拘束されっ放しの手首と足首、股関節が悲鳴を上げているが、構わずぐったりしていると、カサカサと乾いた音が聞こえてきた。目隠しをされながらも、どこかで聞き覚えのある音に、じっと耳を澄ます。
……これは、もしやコンドームでは……?
「おい、ケツ穴がヒクヒクしてんぞ。なに期待してんだ? ん?」
「ハァ、ハァ、ごめんなさい……楽郎の勃起チンコが欲しいです……」
「ふーん」
楽郎が、指先でアナルをスリスリと撫で、指の腹を入り口に押し当てながら小刻みに指を動かす。思いのほか力強い振動が伝わり、鈍く、しかし猛烈に下腹部を刺激する。
「あっ、あっ、あぁあぁあん、んんんんん、はあぁあぁあんッあぁあぁイクぅぅぅイクッイクッ──んんんああイクイクイクッ──」
「感度上げまくってるからちょっと弄るだけでイッちゃうな?」
「あぁあぁあ――ッうぅうぅうっこわいぃ~ッんあぁあぁイクぅぅぅ──ッ!!」
「ん? 怖いか?」
「アハァハァハァッこわいよぉぉあぁイクッイクッあぁあぁあイッちゃうイッちゃうイヤあぁあぁイクッイクッイクッ──!!」
お尻の穴を押されるだけで、いとも容易く全身を打ち震わせて絶頂に達する自分が心底怖くなって、思わず泣いてしまう。
指が挿入され、楽郎が俺の耳元で囁いた。
「……お前は一生俺のものだから、安心してイキ狂え」
前立腺への刺激とその言葉が強烈な快感となり、精液が勢いよく尿道を駆け上がって、仰け反りながら思いきり射精した。
「おーすげ。お前の頭の上まで飛んだぞ」
そう言いつつ、楽郎の指の動きと前立腺への刺激は止まらない。
「あ゛ぁあ゛ぁあ゛イクイクイク──ッや゛ぁあぁあんアはぁはぁはぁア゛ァア゛ァア゛イク──ッ~~いやだぁあぁあイクイクイクぅぅぅ──あぁあぁあ゛ごわれちゃ……ごわれぢゃうよぉおぉあ゛ぁあ゛ぁイグぅぅぅ──ッ!! ──ッ!!」
「ああ、壊してんだよ。俺なしで生きていけると思うな」
絶頂が継続してずっと頭が真っ白のまま、もう何も考えられない。
楽郎の指が引き抜かれ、俺は拘束された手足をまたガクガクと痙攣させながら、上体を反らせて絶頂に達した。
「ハアァッ、ハアァッ、ハアァッ、」
楽郎が俺の拘束を解いていく。手足はまだ細かく震えている。上げたまま固定されていた股関節がめちゃくちゃ痛むのに、それすらも快感に変わる。目隠しも外され、楽郎の顔が見えた。慈愛に満ちた眼差しを俺に向けている。
「ハァー、ハァー、ハァー、あ、あぁ……」
「よく頑張ったな」
楽郎が俺に覆い被さって、頭を撫でながら甘いキスで舌を絡める。俺の脳みそは、もうトロトロに
大好き、大好き、大好き、大好き……。
「んうぅ……あぁ……らくろ……」
「よしよし……」
「うぅ……おねがい……楽郎が欲しい……」
涙を零しながら
挿入したばかりなのに、もう気持ちいい。楽郎もそれが分かっているのか、時間を置くことなくガンガン突いてくる。
楽郎の舌を口内で感じながら、突き動かされる快楽に喘いだ。
「んあぁあぁあんんんんんイクぅぅぅ――ッんんんんん~~ッンンンンンはあぁあぁイクイクイク……──ッアはぁはぁはあぁあぁあイッ……ク、イクッ──!! あぁあぁあぁらくろぉ! らくろぉ! あぁあぁあぁまたイクッイクイクイクッ──あぁあぁあぁッ」
「ハァッハァッハァッ慧の中すげぇ熱い……ハァッハァッ、めちゃくちゃ気持ちいい……あ~~最高だ……」
前立腺から亀頭の先まで熱い快感が貫き、イッた瞬間に精液が漏れた。何度も快感の波が打ち寄せて絶頂に達し、その度にエビ反りになって痙攣しながら精液を漏らす。
「きもちぃ、きもちぃ、あ゛ぁあ゛ぁあ゛ぁだめだめだめイクぅぅぅ──ッんんんん~~あぁあぁあぁあ──ッあんあんあはぁあぁあイクイクイク……」
俺は楽郎が果てるまで、幾度となく潮吹きと射精と失神を繰り返した。
楽郎の熱い精液が俺の中に満ちるのを感じた時点で、俺の意識はぷっつりと途絶えてしまった。
……
…………
………………
ふと目が覚めて緩慢な動作で上体を起こした俺は、しばらくぼんやりとしたあと、すでに室内が明るく、ベッドの隣に楽郎がいないことに気が付いた。
再びぼんやりとして、昨夜の行為を録画していたことを思い出し、ヘッドボードの携帯端末を手に取る。
……あ~、あのベルト、一度輪にして手首を通したあと、八の字にして足首も拘束していたのか、なるほど……。あ、拘束したあと楽郎の端末手に持って動画撮ってる。あー、それでこのセリフか……。
楽郎は、そのあとの乳首責めの際にもとの位置に戻した携帯端末を、亀頭責めでまた手に持ち直し、アナル責めの時にまた固定位置に戻している。
動画にバリエーションあっていいなぁ……あとで俺にも送ってもらおう。
俺は所々飛ばして早送りしながら最後まで動画をチェックした。
これは抜ける(確信)
飛ばし飛ばしの早送りなのに、もう朝勃ちから先走りが溢れている。
「おー、起きたか?」
その声に顔を上げると、服を着た楽郎が寝室に入ってきたところだった。楽郎が俺の携帯端末と、先走りを垂らす分身を見る。
「………………」
「………………」
「飯にする? 風呂にする? それとも俺?」
楽郎が真顔で聞いてくる。
俺の答えはもちろん、
「楽郎♡」
「……しょうがねぇなぁ……」
口調はしぶしぶだが、表情はめちゃくちゃ嬉しそうだ。新婚みたいでテンションが上がる。
楽郎と結婚できたら毎日楽しいだろうな。甘い気持ちにもさせてくれるし、
愛と依存の境界線はどこにあるのだろう。
もしも、俺と付き合い続けることで楽郎が不幸になると分かったら、俺は楽郎のために喜んで別れられるのか。
今はただ、一生その時が来ないことを神に祈って、楽郎の甘い愛に沈んでいたい。
遊園地デート編おしまい。