楽郎が俺の髪を掴み、頬にそそり立ったものを擦り付けてくる。
……もういいや。コイツが変なのは今に始まったことじゃない。Sスイッチ入ってんだったら、俺にとっても好都合だ。
俺は中指を口に含んで唾液を絡めると、自分のボクサーパンツに後ろから手を入れ、穴を解しながら楽郎のものを咥え込んだ。
両手で頭を掴み、喉奥をガンガン突かれまくる。唾液が溢れだして口の端からダラダラと滴り落ち、口内はジュボジュボと卑猥な音を垂れ流す。
「このままオナニーしろ」
一瞬前か後ろか考えたが、楽郎の言うオナニーはこっちだろうと、後ろに突っ込んでいた右手を出して下着を下ろし、前をしごき始めた。
「手ぇ止めんなよ」
返事の代わりに涙の滲む目で楽郎を見上げると、口腔を犯す楽郎の分身がドクッと震えた。
苦しさと快感が
「クッ、ぁああ~出るッ……!」
一際深く挿入され、キッチンのフロアキャビネットに後頭部がガツンとぶつかる。恥骨部まで顔に押し付けられ、口が完全に塞がった。
亀頭が大きく膨張し、陰茎がドックンドックンと脈打ちながら精液を
俺は夢中で右手を動かす。前立腺の圧迫感が強まって迫り上がってきたものが頂点に達し、精液が尿道を擦り上げながら飛び出した。その快感に打ち震える。
喉に肉棒が突き刺さったまま解放されない。楽郎はよほど溜まっていたのか、今日はいつにも増して量が多い。俺の方が先に出しきってしまい、快楽よりも苦しさが勝る。精液に溺れ、喉がゴボゴボと音を立てた。酸素が足りない。心臓が破裂しそうだ。
フロアキャビネットに頭が押し付けられていて逃げられない。楽郎の体を押し退けようとする。びくともしない。パニックになって楽郎の腿を叩いた。
楽郎は、喉の奥だけでなく俺の口内にも射精すると、ようやく分身を引き抜き、酸素を求めて激しく深呼吸を繰り返す俺を見下ろした。
「舌を出して俺の精液を見せろ」
俺は涙を流して荒々しく胸を上下させながら口を開け、白濁液にまみれた舌を出した。
まるで犬だ。
「飲め」
濃厚な精液を
「見せろ」
再び舌を出して見せると、楽郎は俺の二の腕を掴んで引き立たせようとした。
頑張って立ち上がろうとするも、酸欠で足に力が入らない。立つのに失敗して、その場に倒れ込んでしまう。
楽郎は俺のスラックスとパンツを下ろして俯せにし、腰を引き上げると、いきなり後ろの穴に舌を突っ込んできた。中で楽郎の舌が生き物のように暴れる。
「ンアァ……! ハァッ、ハァッ、んんん、ハァッ、ハァッ、あぁぁん……」
思考が機能不全に陥り、ただただ与えられる快楽に身を委ねた。
楽郎はキッチンの床に散った俺の精液を指に絡め取ると、穴の入り口と中に塗りたくり、唾液に濡れた陰茎で尻の割れ目を叩いたり、擦り付けたりする。
え……もう勃ってる……生だ……。
グッグッと小さな穴を抉じ開けてデカいものを捩じ込まれる。
「ヒッ、ぐうぅっ……ゔぅうぅ……ッ」
い、痛……ローションン~……!
鋭い痛みに襲われ、全身に力が入って小刻みに震える。全神経を注いで、なんとかアナルにだけは力が入らないように気を付けていると、楽郎の動きがピタリと止まった。
「やっぱローションないと駄目か」
……急に冷静になるじゃん……。
途中まで入っていたものが、ゆっくりと引き抜かれる。
「い、う……っ、ハァッ、ハァッ……」
痛かったぁ……血ぃ出てない? 大丈夫?
楽郎がボトムスを上げてキッチンから出ていく。尻を出したまま放置されたが、全身が怠く、とても動く気になれない。
今日はかなりハードだな……。あのイラマはヤバかった……死ぬかと思った……。
その危機感とは裏腹に元気になっていく息子に、内心で苦笑してしまう。
楽郎がこうなるのって、いつもどんな時だったかな……。
倒れ伏してぼうっとしていると、楽郎が戻ってくる足音が聞こえた。
少し間が空いたかと思うと、シャッター音が鳴った。立て続けに何枚も撮られる。流し目を向けて、携帯端末を構える楽郎を見た。
「……なんで撮ったの……」
「エロいから」
ああ、そう……。
俺は今、高校の制服を着て唾液と精液にまみれた下半身を露出させ、キッチンでぐったりと横たわっている状態だ。楽郎から見れば撮っておきたくなる光景なのだろう。
「……いいからはやく挿れて……」
「……なんで?」
「今すぐ楽郎と繋がりたい……」
何故か鼻で笑われる。
「さっさと終わらせたいだけじゃないのか?」
……うん?
俺はおもむろに寝返りを打って仰向けになると、改めて楽郎を見上げた。
「どうしてそう思うの?」
「………………」
楽郎は質問を無視して携帯端末をカウンタートップに置くと、ボトムスを下げ、膝立ちになって互いの性器にローションをかけた。
コンドームをつけていない。
「う、ンンンン……ッはぁぁ……」
いつもより強引に挿入されて苦しいが、先ほどのような強い痛みはない。
根元まで挿れると、楽郎は動きを止めた。ちゃんと馴染むまで待ってくれるらしい。
「口を開けろ」
俺が言われた通りにすると、楽郎は口元を僅かにもごもごと動かしたあと口を開け、舌先から唾液を垂らしてきた。俺も舌を出して落ちてくる楽郎の体液を受け止め、味わって飲み込む。
もう一度舌を出して口を開け、おかわりを要求すると、今度は俺の舌に食いつくように口を塞がれて、乳首責めしながら貪るようにキスをされた。
うあぁ~気持ちイイ~……。
俺が両足を持ち上げて膝裏を自分の腕で固定すると、すぐに楽郎が腰を動かし始めた。ジンジンと電流に侵されるような感覚の中、的確に前立腺を擦られ、奥を突かれる。
「あっあっあっあっあっ、キモチ、キモチイッ、あっあっあっあっあんっそれヤバい……あぁあぁあぁ~」
床が硬くて痛い。でもそれ以上に、見慣れたキッチンでセックスしている状況に興奮する。すぐに両足を震わせてイッてしまった。
楽郎は俺がイッても構わず掘り続け、俺の喘ぎ声は次第に情けない涙声に変わる。
「ンンンゔぅうぅう~アッはぁあダメダメダメ……──ッアァアァアンうぅうぅうイッちゃうイッちゃうイクぅうぅぅ──ハッハッハッあんあんあぁあ~出ちゃう、出ちゃうぅッ──……」
射精感が込み上げてきて堪えられなくなり、勃起した鈴口が精液を吐き出した。
同じように何度か精液を吐くと、また違う感覚が下腹部の奥からぐぐーっと突き上げてきた。その圧が限界に達し、ふっと力が抜けると共に、今度は潮を吹き出して制服のシャツを濡らしていく。
その感覚を繰り返しながら、俺は何度も足を痙攣させて、三十分近くイキ続けた。
「ハァッ……慧のカラダ真っ赤……」
楽郎は肉茎を引き抜き、俺の体を抱き支えて立たせると、ステンレスのカウンタートップの上に俺の上体を乗せた。
冷たッ!?
びちゃびちゃのシャツが一気に冷えるが、足がガクガクして力が入らず、カウンタートップから滑り落ちないよう両腕に力を入れて、必死にへばりつく。
楽郎が俺の腰を持ち上げて挿入した。落ちる心配がなくなって、俺はまた淫楽に浸り始める。
「おっあっあっ、うぅうぅうぅ、あぁあぁあぁ~、んっんっんっ、あぁ~それキモチ……あんあんあんんん~、んぁあああ~」
肌が打ち当たる音がパンパンと響く。
再び体が火照ってきて、ステンレスの冷たさも心地好く感じられる。
よだれを垂らしながら喘いでいると、後ろから髪の毛を乱暴に掴まれ、振り向かせられた。だらしなく口を開いてよがり続ける俺の口内に、楽郎の舌が這入ってくる。
いやらしく絡み合う舌同士が、まるで交尾しているみたいだ。気持ち良すぎて陶然としてしまう。
「……お前は誰のものだ?」
「あぁあ~、ら、楽郎のっ、ものですうぅうぅ、アッアァアァアッらくろ、楽郎、すきぃ、あはぁあぁあっ、だいすきぃぃ……!」
ピストンが速くなる。楽郎の絶頂を察して俺もオーガズムの合間に入り口を締めるが、楽郎はまた途中で引き抜いてしまった。
「ハァ~、ハァ~、もっと滅茶苦茶に犯したい……」
え……ま、まだやんの……?
俺はすでにかなりイキ疲れている。これ以上は意識を保っていられる自信がない。
楽郎は俺を抱えると、寝室へと歩きだした。
キッチン……あとで掃除しなきゃ……。
………………
「アァアァアァもうダメッ──……だめだめイクイクイクッ──ハッ、ハッ、ハッアァアァアッいっ──……ゔぅうぅうんん、あんんあんんんもぉやめ、やめてぇえぇあはぁあぁ出るっ出るっああんイクッ──……」
何度も体位を変えながら、もう一時間以上も掘られ続けている。頭の中がチカチカして真っ白になってきた。
ああ……また意識が──
「──ッア゛ァアアッ──!!」
まんぐり返しで乳首が強く引っ張られた。その痛みと快感が一気に俺を絶頂まで引き上げ、射精した。俺の顔に精液が飛び散る。
「セルフ顔射エッロ……精液まみれの慧可愛すぎ……」
楽郎が腰を振りながら呟いた。
「あんあんあんおねが、もうだめッアッアッアッらくろ、しぬ、死んじゃうぅ~あっあっんあぁあぁイクイクイク……まだイグうぅぅぅ──ッッ!!」
「あぁあクソッ……もう我慢できないっ……イキそ……あぁイク……中に出すぞッ」
「ハァアッ、ハァアッ出して……ッはあぁっ中に出してぇ……!」
「ハッ、ハッ、ハッ、あぁあぁ出る出る出るッ……! ゔっ──! アッすげっ──! おあッ──!」
「んあぁでてる、あついのいっぱいでてる! あぁあイクッ──……」
俺の中で震えながら大きく膨らむ亀頭の先から、勢いよく噴出する精液の熱をはっきりと感じる。
楽郎は腰を激しく打ち当てながら何度も俺の奥で射精し、俺はその肉棒を無意識に締め上げて精を搾り取っていった。
力尽きた楽郎と濃厚なキスを交わす。
「ハァ、ハァ、ハァ、すごかったぁ……」
「ハァ、ハァ、ハァ……」
楽郎は怠そうに上体を起こしてゆっくりと陰茎を引き抜くと、俺の尻を掴んで穴を広げた。
「……ちょっとしか出ねぇな……」
そう言うなり、指を挿し込んで掻き回してくる。
指を抜くと同時に、プスプスと音を立てて精液が溢れ出た。顔から火が出そうになる。楽郎の目の前で音を出したくなかったから、あえて腹に力を入れなかったのに。
そんな俺を心底楽しそうに眺める楽郎に、少しムッとしてしまった。
「……楽郎はやりたいことを自由にできて、いいよね」
「……どういう意味だ?」
「なんかさ、俺だけが二人の将来のことで悩んだり、色々我慢したりして、馬鹿みたい」
「はぁ? んなこと誰が頼んだよ。一人で悩んで勝手に我慢して不貞腐れてんだったら、世話ねぇよな」
「……ああ、そうだね。確かに頼まれてない。俺がどんな思いを抱えていようが、楽郎はただ俺とヤレりゃそれで満足だもんね?」
「あ? なんだそれ。お前本当にそんな風に思ってんのか?」
俺は上体を起こし、片頬を上げて楽郎を見据えた。
「へぇ、違うの? この一週間ずっと俺を抱きたかったって、君が言ったんだけど?」
「……そりゃ確かに言ったし、その通りだけど、」
「ほら! 所詮君の中で俺はその程度なんだって! 俺がどんなに楽郎との将来を考えたところで、楽郎はどうせ俺がいてもいなくても変わらないんでしょ!? 勉強だってただの口実で、本当は俺に教わる必要なんかないもんな!? 受験勉強の合間にヤリたくて会いに来てんのに、俺が空気読まずに勉強優先させてセックス拒否ったら、そりゃあキレるよなぁ!?」
「意味分かんねぇよ! 何言ってんだ!?」
「勘が鋭いとか言っても結局俺の気持ちなんてなんも分かってないじゃん!」
「当たり前だろうがッ! 俺はエスパーじゃねぇんだぞ!? お前こそ俺が察して当然と思って甘えてんじゃねぇのか!?」
「甘えてる!? 俺が!? ハァッ!? 甘えてんのはそっちだろ!? 俺のこと一から十まで知りたがって、ちょっとでも話せないことがあると不機嫌になってさぁ! 一人でうじうじ悩んで勝手に不満溜め込んで不貞腐れてんのだって、いつも楽郎の方じゃん!! もうさ、いい加減にしてくんないかな!? そういうのマジうざったいんだよッ!!」
目を見開いてショックを受ける楽郎の顔を見て、ハッとした。
「……そうかよ。うざくて悪かったな」
言い過ぎた。言い過ぎた。
吐いた言葉は二度と戻って来ない。
「待って、ごめん……違う、今のは」
伸ばした手はするりと躱され、俺の指は
楽郎は手早くボトムスを穿くと、俺の方を見ずに言った。
「今日は帰る」
「……やだ……ごめん、謝るから……」
寝室から楽郎が出て行く。
俺の体は動かない。
「……行かないで……」
寝室に取り残された俺の耳に、玄関ドアの閉まる音だけが
時間の感覚もなく、ベッドの上に座り込んだまま虚脱状態に陥る。
楽郎の進路だけじゃなく、俺の仕事や結婚も含めて、二人の将来を考えて眠れなくなった夜は一度や二度じゃない。その度に、今俺が考えたところで仕方がない、楽郎のそばに居られるだけで幸せだと思考を打ち消しては、また振り出しに戻って眠れなくなる。
楽郎に勉強を教えて欲しいと言われた時は、それが口実だと分かっていても嬉しかった。だから、寝つきが悪い中、更に睡眠時間を削ってまとめファイルを作成した。ただの自己満足だ。それは分かっている。
でも、その何もかもが、楽郎にとってはどうでもいい、無価値なものだったと切り捨てられたみたいで、本当に悔しかった……。
唇が震える。涙が溢れ出て止まらない。
喉が詰まって締め付けられるような
俺の、もっと一緒に居たい、繋がりたいという感情は、俺たち二人のために殺しているのだと、わざわざ口に出さなくても楽郎なら分かってくれると思っていた。
甘えている……正にその通り、図星だ。
でも、それを認めて頭を下げてしまえば、この悔しさまでもが全て無かったことになりそうで、怖かった。
傷つけるつもりなんてなかったのに……。
「ぅぅーー……」
行き場のない悔恨が、痛烈な痛みを伴って胸を喰い破り、大きな穴をあけて居座った。