最強TS転生したから紳士剣士に男装してハーレム俺TUEEEE勇者君焦らし続けたら勇者君に一方的に間男扱いされて勇者パーティから追い出された挙句、旅先でふたなり達の肉便器嫁になった件。 作:六花リンデル@TSメス堕ち信奉民
が、取り敢えずなんとか書き終わったので続きを。
まだ時刻が早朝だからか、昼から夜にかけての喧騒とは真逆な様相の冒険者ギルド。
昼間なら依頼を受けに来た冒険者や逆に依頼を出しに来た一般人、もしくは昼から酒場目当てに訪れるダメ冒険者でごった返すそこも、眠たげに眼を擦る一人の受付嬢以外にはモップで雑に年季の入った床の掃除をする清掃員の姿だけしか見当たらない。
そんな閑散とした中で、掲示板を前に僕は一人真剣に悩んでいた。
「ううむ……」
僕は今、冒険者ギルドの掲示板に貼り付けられたパーティ募集の貼り紙を見ながら頭を抱えていた。
理由は単純。
僕が当てはまるパーティの募集がまるでないのだ。
まあ、それも当然と言えば当然のことで、僕のような前衛中衛後衛をこなせるタイプは基本的に勇者とか極一部の例外を除いて居ないし、僕がその極一部の例外であることを主張したって信じてくれることの方が少ないのは言うまでもない。
求められているのは特化した役職ばかりで、器用貧乏は足でまといにも成り得てしまうために歓迎されることは少ないのだ。
勇者パーティのメンバーとして名を馳せていても、そういうところは世知辛いものだ。
「幻想剣士様、めぼしい募集はありましたか?」
「いや、見つからないな。あんまり高望みはしていないんだが……」
「幻想剣士様程の実力ならば引っ張りだこだと思いますが……」
「そうでもないよ」
僕に声をかけて来たのは受付嬢。僕のことを真剣に心配してくれているらしく、その心配が傷心中の今はとても暖かく感じられた。
ちなみに、幻想剣士というのは僕の二つ名だ。幻影魔法で魔物に同士討ちさせながら、風魔法と剣技でアサシンしてたらいつの間にかこう呼ばれるようになっていた。
「まさか、あの幻想剣士様が勇者パーティを抜けるだなんて、今頃喪失の大きさに上の方々は嘆いてそうですね」
「さあ、どうだか」
「でも、暫くはソロで簡単な任務に勤しんだりしても良いと思いますけどね。ということで、用事があればお声かけください」
「ああ、ありがとう」
カウンターに戻っていく受付嬢の背に手を振る。
パーティを追放されてから二日。
僕は、リーデン王国王都『ガレリア』最寄りの都市『グリーム』まで足を運んでいた。
冒険者ギルドにも、あの街にも、僕がパーティを抜けたことについて様々な噂や憶測は流れてしまっていたようだが、幸いなことに僕が『煌めきの矢』に不和を生み出す原因であるという予言があったなどと甚だ心外な旨は周知されていないらしく、奇異の目や何故か同情の目で見られはしたものの、そこら辺は割と皆していつも通りの反応だった。
しかし、あのままあの街に居れば遅かれ早かれ見たくもない顔触れに出会ってしまうことは確実。
だからこそ、僕は最前線を退いてこの街まで流れてきたのだ。
「困ったな……」
「何かお困りなんですか?」
受付嬢とはまた違った、それでいて聞き覚えのある声に振り向く。
そして、自らの臀部へと伸ばされた手をさっと避けた。
「……キミはどうして普通に話しかけられないんだ?」
「もう。スキンシップじゃないですか、ルクスさん!」
「何処にスキンシップで男の臀を撫でようとする女がいるんだ」
そこに居たのは、美形揃いの『煌めきの矢』メンバーに勝るとも劣らない美貌の少女。
同業者である事実を知らなければ、その快活さも相まって可憐な町娘のようにも見える。
彼女の名前はアリス。故あって見知った仲だ。僕は彼女のことが苦手だが。
白を基調に、青と金色のアクセントが入った一式の装備に身を包む様はさながら女勇者。身のこなしも、あの男と遜色ないどころかより洗練されている。
否、事実として彼女は世界をまたにかけ活躍する勇者の一人として名を連ねる、列記とした
パーティ『栄光乙女』のリーダーを務め、僕よりも一歳上ながら魔王討伐数は十五体という
「それで、何かお困りのようですけど……もしかして、パーティから追放されちゃったり?」
「……!」
「あ、もしかして図星ですか?」
僕が反応したことを目敏く理解すると、僕が彼女を嫌う一番の理由である獲物を狙うようなねっとりとした視線を向けてくる。
時折、彼女には僕の男装と幻影の魔法による誤魔化しがバレているのではないかと不安になる。しかし僕の幻影の魔法を超えられるのは同じように幻影の魔法か、何らかの拍子で大きな違和感を抱かせてしまった場合のみ。だから問題はないはずだが……。
僕の自信は、総合した戦闘能力の高さと幻影魔法の強さに裏打ちされたもの。
まあ、自信があってもパーティには入れないわけで。
ぶり返した憂鬱な気分に肩を落とすと、アリスは明るく安心させるような声を上げる。
「それなら、私達のところに来ませんか?」
「……
「でも、ルクスさんは可愛らしい方ですし大丈夫ですよ」
「……ボクは男だ。可愛いなんて言われても嬉しくない」
まあ、幻影の魔法が無ければ100パーセントバレる程度には女顔だが。
今になって思えば多分、男だと思われている僕が(実際に魂は男そのものだが)美女美少女だけの彼女達のパーティに誘いを受けていることも、彼は不満に思っていたのだろう。
あの時の発言からどれだけ彼が嫉妬深く、欲深い人間なのかはよく理解したつもりだ。
「まあ、ともかく。今はフリーなんですよね?」
「……ああ、一応」
「ならどうです? 最後に勧誘した時よりかは、うちに入るのも悪くないって思えませんか?」
あの時は『煌めきの矢』がとても居心地が良かったから、絶対に彼女達のパーティに鞍替えするつもりはなかった。
しかし、今考えてみれば確かにこれはまたとない機会ではないのだろうか。
彼女達のパーティは強い。
基本僕はメンツに合わせるタイプのバランサー的な立ち回りをするので、彼女達のパーティにいきなり加わっても上手く立ち回れるだろうし、迷惑はかけないはずだ。
家に帰ったとき親の取り決めた政略結婚を回避するためには、勇者パーティに加わって魔王一人を討伐した程度じゃまだ弱い。もっと沢山倒さなければならないだろう。
それに、そろそろ貯金が尽きる。へそくりもあるにはあったが、あまり貯金とかはしないタイプなので額は大したことない。パーティの皆の為に軍資金の足しにしたりとかしてたし。
だから、宿の心配もあるのだ。
その点、彼女達はグリームに居を構えるパーティだから、入ったら部屋のひとつでも借りられるかもしれない。男女がひとつ屋根の下っていうのもそれはそれで宜しくない気もするが。
考える中、未だ答えの出せない僕に彼女は妥協案を提示する。
「それなら、一週間だけ私達のパーティに体験加入するっていうのはどうです?」
「体験加入……」
「はい、体験加入です。依頼の報酬もちゃんと五等分しますよ?」
なるほど。
期限を設けた上での体験加入なら、彼女達のパーティに入った感じも分かるし、彼女達のパーティが請け負う程の依頼の報酬があればもしも肌に合わなくってパーティを抜けたとしても、もうしばらくは宿に困ることも無くなるだろう。
それなら、悪くは無い。
「分かった。それなら、ありがたく体験加入させてくれ」
「はい! よろしくお願いしますね!」
「ああ、よろしく」
彼女が差し出した手を握る。その端正な笑顔に少しだけドキリとした。
これで、僕は彼女達『栄光乙女』の仮メンバーとなった。
他のパーティで戦うのは少しだけ楽しみだ。
取り敢えず、拾ってくれた恩くらいはこの剣で返そう。
そう胸に誓って、僕は彼女の背を追ってギルドを後にする。
後になって思えば僕はこの時、彼女の笑みが酷く歪んだ物になっていたことに気が付くべきだったのだ。
いや、もう既に彼女と出会った時点で遅かったのかもしれないが。
何れにせよ、僕の
ファンタジー書くの楽しいですね。
評価や感想で、続きが出る速度も上がるかも⋯⋯?(卑しい評価感想乞い)