ある日舎弟がTSしたけど忠犬巨乳がどぷんたぷん 作:芥目たぬき
こんなのダメなのに。
でも好きになっちゃうだろ、だって男ってのは単純なんだ。
催眠アプリを使って、オレはダズを好き放題していた。
目の前にいるのは、自分の知っている男ではない。柔らかくていい匂いのする、かわいい女の子。オレの事が大好きで慕っていて、ずっと一緒に生きてきたからどんなやつなのかもわかっている。裏表もないし、優しくて料理が上手で家庭的な性格もしているだろう。
考えれば考えるほど、この女の子がひどく愛おしく思えてしまう。
「ダズ、なぁ、オレの事好きだよな?」
好きに決まってるもんな。わかってる。
こんな極上の女が自分のことを好きで好きで仕方がないなんて、調子に乗ってしまうにきまってる。
自分が悪いことをしている自覚はあっても、それを止めるだけの理性は吹き飛んでいた。
「……好き、ですっ」
「もっと」
「好き、好き好きっ♡ 大好きですっ♡ 全部っ、アニキの全部好きですっ♡ かっこよくて♡ オレのこと大切に思ってくれていてっ♡」
オレの手には、洗脳アプリの起動した端末が握られている。
———なんて悪い男なんだろう。
洗脳アプリを使って、相手の意思を奪って好き勝手して、身体を暴いて隠したいだろう心まで暴いて。
でも、その行為にひどく興奮している自分がいるのだ。
「ダズ……オレも好きだ」
相手の意思がない状態じゃないと、ろくに思いも伝えられないなんて……卑怯にもほどがある。
「もっとだ。ダズ、お前はオレに嘘も言わないけど……でも、隠すことすら出来ないお前の全部が知りたいんだ」
この洗脳アプリは危険なものだ。
一度手にして悪用してしまえば、なし崩し的にタガが外れてしまう。
だってバレない。
だってオレさえ黙っていればダズは傷つかない。
だからこそ、オレはダズの心を踏み荒らしてしまう。それがどんなにひどいことだとわかっていても……だって、ダズならきっと許してくれるし。
互いに好き同士なんだ、別にいいじゃないか?
そんなはずがないと理解していても、オレは常識を捨てて目の前の肉欲に敗北してしまっていた。
なにせ柔らかい女の柔肌が目の前に広がっている。白い生肉がオレの目の前でたゆたゆと揺れていて、誘っているようだ。どうせむしゃぶりついたって、今ならバレないのだ。
ドロドロに溶けてしまったら、きっと気持ちがいいだろう。
「女の子になってから、オレは変わってしまって……♡ でも、仕方ないんですっ♡ だって身体は女の子なんだから……こんなに素敵な男性が近くにいて、好きにならねぇ女なんていねぇです♡ 仕方ないんです♡ 女の子になっちゃったから♡ 好きになってごめんなさいっ♡ 身体に引き摺られてごめんなさいっ♡」
「あークソかわいいな……」
ダズがあまりにもかわいすぎる。
その必死な姿がかわいくて仕方がない。健気で可愛らしくて、まるで小動物のように守ってあげたくなる。
好きになるだろ、こんなの。
「あぁ、なら、両思いだよな? なぁ、付き合おう? ダズ、オレの恋人になろう?」
男だった親友だとか、もうどうでも良くなってきていた。
こんなにかわいい女の子に好きだと言われて、調子に乗らない男はいない。目の前のかわいい存在に早く手を出したくて、下半身がいやにムラムラする。
こんなかわいい女の子を恋人にするなんて、あまりにも贅沢かもしれない。しかも中身はダズだから変に気を負うこともないし、オレの言うことにはなんでも従うようなやつだ。
「なぁ、ダズも嬉しいよな……?」
「いやです」
———は?
いま、なんていった?
「いやです」
「な、は、なんでっ? おかしいだろ? なぁ、つきあいたいよなっ?」
聞き間違いかと思ったが、そうでもないらしい。
こいつは、どうしてかオレと付き合うのがイヤらしいのだ。
「だ、ダズ? なんで? オレと付き合いたくねぇのかよ?! 好きなんだろ!?」
「好きです」
「じゃあ、別に付き合ってもいいだろ? なんでっ……い、イヤなのか?」
「はい」
なんで。
「オレが、イヤなのか?」
「アニキのことは、とっても大好きです」
「……じゃあなんで付き合いたくないんだよ」
オレは、正直ダズと付き合ってもいいと思うんだ。
たしかに元は男だけど……でもかわいいし、女の子としてみたらかなり好条件だし、なによりも気負わないで済む。なんせ中身はダズなんだから。
とっくに好きになって、互いに両思いで、なのに付き合いたくないって……なんでだよ。
「オレがアニキを好きなのは、間違っているので……付き合いたく、ないです」
元に、戻らないといけないから。
———その言葉に、オレは急激に現実に引き戻されていく気がした。
なにしているんだ、オレは。なんてことをしでかしてしまったんだ。後悔したってもう遅くて、いっそ時間を巻き戻せるならとすら思ってしまう。
明日からどんな顔して、ダズといればいいんだよ。
手元の催眠アプリを解除して、眠ったダズに静かに服を着させていく。食い散らかされた酒類も片付けて、時刻は深夜3時ごろ。
……ダズの横にいたくなくて、オレは部屋からゆっくりと出て行ったのであった。
* * * *
いっけなーい! 遅刻遅刻!
ワシ、パリス! どこにでもいる普通のおじいちゃん!
でもある時いきなり
一体ワシ、これからどうなっちゃうの〜〜〜!?
「……ずっ、ずびまぜんでじたぁ……!」
「誤って済む問題じゃあねぇんだよォ!?」
そんなワシ、絶賛土下座で謝罪中。
包帯を全身に巻いたオレンジちゃんは本気でキレ散らかしていて、その足元にはパソコン類の残骸が無惨にも散らばっていた。
そう、残骸である。
なんとパソコンはご臨終なさられたのだ。
なんとか一時的に停止した車から飛び降りて(取ってこいと蹴り飛ばされて)、粉々に砕け散ったオレンジちゃんのパソコン類を全部持ってきたワシ。持て余している能力を存分に使ったものの……
ワシには、壊すことはできても直すことはできない。だからこそ、こうしてオレンジちゃんに必死に謝り倒していたのであった。
「……オレン、落ち着かないと……傷が開いて、しまう……」
「あ"〜〜〜〜!? 落ち着けるかお前ッ……」
どこぞの修行僧みたいな格好をした不思議系青年がオレンジちゃんを諌めようとしてくれるものの、それすらも意味をなしていない。彼の足は、ワシの頭をぐーりぐーりと強く踏みつけていた。
土下座してる頭を踏まれて、なんて屈辱的ッ……!
でもまぁ、ワシが悪いっちゃ悪い……?
———いや違う。違うのだ。
あの、男だ。
あの男さえあんなところで急に出てこなければこんなことにならなかった。ワシは悪くない。あの男がいなければダズちゃんにぎゅってしてぱふぱふして、オレンジちゃんにめーわくかけることもなかったのに……
「あのドクズスケベ片目眼帯厨二病男が悪いんじゃ」
「テメェが悪いんだろォが! マジブッッッ死ね! 死んで詫びろ!」
「ぷぴぃぃいっ!」
オレンジちゃんの怒りもごもっともである。
必死こいて作ったというすごい催眠アプリ。それをワシがちょっと欲望を解放させようとしてしまったがために、壊されてしまったのだ。
メモリーも基盤も何もかもがぐっちゃぐちゃのぺっしゃんこ。スクラップという言葉がこれほどまでに似合う状態は他にあるだろうか?
「どう落とし前つけてくれるんだよ、あ"?」
「ぷぴっ……しゅみましぇん……あの、直すので、直すのでゆるじでっ……」
「ん?」
———元通りはちょっと難しいカモだけど……
見た目だけなら、なんとかなるかもしれないのだ。
内部データに関して治るか治らないかなんて、ワシにはわからないケド……
「ディーテに頼んで直してもらうようにお願いしましゅのでっ……」
「………………直るのか?」
美少女メイドロボを持ち帰った時は直せていたけど、その時も記憶はわりとちゃんと直さなかったし……出来るかどうかがわからない、というのが実状である。
アフロディーテは、『愛』と『美』に関しての権能を司っている。
特に『美』に関しての権能はかなり汎用性が高く、何でもかんでも基準を美しいか醜いかにすれば大抵のことはまかり通ってしまうのだ。壊れたパソコンを醜いと認識して、美しい形に戻そうとすればきっと治せるだろう。
しかし、それで果たして内部データも戻せるのだろうか……?
第一、ワシと違ってディーテはまだ世界平和だとかそういうものを大切にしようとしている。悪意を凝縮したような催眠アプリに理解を示すかと言われたら、確実にありえないだろうが……
「や、やりましゅっ……なんとかしましゅっ……」
きんたまもフェルトぬいに変換されてしまい、力もやる気もあまり出なくなってしまっていたワシは、その場凌ぎになんとか頷いたのであった。
ディーテのことだ、ワシを嘘つきにはしまいとなんとかやってくれることだろう。
* * * *
———これは、夢か。
それは、幼い頃の夢だった。
子供が2人いて、まわりには他に誰もいない。
真っ白な壁に囲まれた、やけに寂しい孤児院。子供の笑い声が遠くから聞こえてくるものの、ここに来るような子供はいなかった。
幼い自分と幼いダズを、オレは客観的に見ている。自分の目の前で広げられる淡いセピア色の記憶は、どこかほろ苦いキャラメルのような味がした。
「あの、おにい……ちゃん……」
「なんだよ」
いまよりもずっとずっと小さくて、あどけない表情の子供。今よりも少しだけ濃い髪色をしている幼い少年がダズである。
その子供は、ふてくされたようにぼんやりと空を眺めていたオレの服の袖を掴んでいた。ぽてぽてと歩いていて、かわいらしいものだ。
そういえば、いつからコイツはオレのことをアニキと呼ぶようになったのだろうか。昔はおにいちゃんと呼んでくれていたのに。
「おまえも、アイツらのとこ行ってこいよ」
「……ぼく、じゃま?」
「邪魔じゃあ、ないけどさ……」
少年は言葉を濁すように、足元にあった石ころを軽く蹴った。掴まれている袖を振り払うほど、意地悪な性格もしていなかったのだ。
あの頃はまだ、大人に裏切られたばかりだった。
友達もいなくて、誰も頼れなくて……とにかく寂しくて虚無感だけがオレの中にあった。
だから、新入りだったダズがオレに話しかけてきてくれて、嬉しかったのだ。
嬉しかったけど、同情はされたくなかった。
子供ながらにプライドがあったのだ。
せめて自分がかわいそうだと声を大にして同情を引くタイプの子供なら、まだよかったのに。オレは意地をはって、誰に愛されなくても平気だと繕っていた。
同情で一緒にいられるくらいなら、離れていて欲しかった。この時も精一杯の虚勢で、ダズに対してつっけんどんな態度をとっていたのだ。
「あっち行ってこいよ。その方が、みんないるし……オレと一緒にいたって、意味ないだろ」
「……ぼく、いや?」
まるでお前のことが嫌いだと言われたような顔で、幼い頃のオレを見上げているダズ。
そういえばこの頃のダズは、そのきゅるんとしたかわいらしい顔立ちを、意識せずに武器として使っていたのだ。
服装次第では女の子にも見えるような男の子だった。それが悲しそうな顔で見上げてくるんだから、まるでこっちがいじめている気分になる。
いまでこそ目元を前髪で隠しているし、少し前まではムキムキの男になっていたけど、もともとコイツはこういう顔立ちだった。
だから、オレはたじろぎながらも弁明してしまう。
「……別に、いやじゃないけど」
「ごめんなさい……」
「なんでお前、オレのところにくるんだよ?」
わざわざこんな嫌われ者のところに来る必要なんてないのに。今だって、窓から先生がこちらを見ている。ちゃんと監視されていて、ダズに何かがないようにと見張られているのだ。
この孤児院で一番の嫌われ者。
そんな子供に、わざわざどうして付き纏うのか。
「……お母さんが、言ってたから」
「ん?」
「おにいちゃんとお友達になりなさいって……」
———お母さん。
オレはダズの母親の姿を、一度しか見たことがない。綺麗な女だったことは覚えているが、それ以外に何も知らなかった。
ダズがこの孤児院に連れてこられてから、その後一度もやってこなかった母親である。
大人になった今では、彼女のことをダズはなんとも思っていないのだろうが……この頃はまだ、この子供にとってあの女だけが世界の全てだった。
初めてダズがここにやってきたとき、最初に出会った子供がオレだった。だからこそ、母親はテキトーにそう言ったのだろう。
「あのおにいちゃんと仲良くなりなさい」と。
彼女としてはきっと、ここにいる子供と仲良くなれと……先生達の前だからこそタテマエとしてそう言ったに違いない。
それをダズは小さく理解して、たまたまその時に近くに居ただけのオレと仲良くなろうとしているのだ。
酷い人間でも親は親。きっともう会いにきてくれないとわかっていても、幼いダズは母親のいうことを忠実に守ろうとしている。
何人もの同じような子供を見てきたオレからすれば、そんなものになんの意味もないとわかっていたが……幼い子供に残酷な事実を吹き込む必要もない。
否定するのは簡単だし、肯定して嘘をつくのも簡単だ。
だけどオレは、それを無視することにした。
「まぁ、そうしたいならそうすればいいけど」
「……? おにいちゃんは、ぼくがいてもいい?」
無駄にかけられた呪いなんて、いつか時間が解決してくれる。
期待しても反抗しても、いずれ無駄だと理解して、そして忘れていくのだ。
同情はしない。
オレの方がきっと、よっぽど酷い境遇にいるから。
「オレはどっちでも、いいよ」
自分よりもずっと小さなところにある頭をぽんと撫でた。柔らかくてふわふわとしていて、子供特有の髪の毛の細さが心地よい。
この子供に対して憐れむべきは、母親が指したのがオレだったって事だろう。
きっと運が悪かったのだ。もしも少しだけタイミングが違っていたら、オレとダズの関係はただの同じ施設の子供でしかなかったのだから。
よりにもよって、オレなんかを。
「オレといたらみんなと遊べないよ」
「うん」
「……オレといたって、なにもないし」
「うん……でも、どっちでもいいなら、ぼく……ここがいい」
孤児院の入り口近くの、小さすぎる庭スペース。
とくに何の遊具もなくて、ただ細っこくて殴ったら折れそうな木が一本生えているだけの場所。
職員室から監視がしやすくて、他の子供達があまり来ないところ。
まともに遊ぶことも出来ないような、こんな寂しいところにオレはわざわざきているのだ。
「……おにいちゃんは、ぼくがいたらだめなの?」
「だって、オレといたって、どうせつまんないよ」
「ううん」
「……まぁおまえがそうしたいなら別にいいけど、でも、さぁ」
いつかはオレを置いて、他の子供達がいる方に行ってしまうだろう。母親の言葉を忘れて、オレなんかよりも楽しいほうを選ぶ時が来るはずだと……ぼんやりとそう思って。
言っても無駄か。と、オレは諦めた。
きっとこいつにかけられた呪いだって、いつか時間が解決してくれるのだ。それまでは一緒にいてやればいいと思う。
きっとオレなんかといても意味がないと理解して、離れていくその時まで。
「まぁ……いいや」
「一緒に、いてもいい?」
「…………おう」
オレも、ちょうど誰かと一緒にいたいと思っていたのだ。
———そうして。
この日から、ダズはオレと一緒にいるようになった。毎日オレの後ろをくっつくように歩いてきて、そのたどたどしさが目に余って面倒を見るのが日常になっていった。
ダズもダズでオレを取り巻く環境に思うところがあったのだろう。オレたちは互いに協力しあって、ここでの生活を送っていた。
幼い子供が2人一緒にいて、ほぼ喧嘩もすることがなかったのは、もしかしたら周りの環境が敵ばかりだったからなのかもしれない。
いつからかダズは、母親のことを忘れて自分からオレについてくるようになっていた。
頼られるのは気持ちが良かったし、誰かがずっとそばにいてくれるのは心地よかった。
最高の友人だった。
最高の、弟分だった。
その関係は、大人になってもきっと変わらな———
「お前が壊した」
唐突に、2人がこちらを振り向いた。
この場にいるはずもない今のオレに対して、夢の中の過去の2人こちらを見ている。
その子供の眼帯がはらりと落ちていった。
いつものように、片方だけ燃え盛るような赤色がこちらを向いている。いつもは隠している真っ赤な眼が、オレを貫いている。
薄気味悪い眼だ。
毎日鏡で見る、真っ赤に光っている眼。
「お前が、オレたちの関係を壊したんだろ」
オレを責め立てるように、子供が口を開く。
幼いオレと幼いダズが、あの日のオレたちが今のオレを責めている。
女になったダズに、友達としての関係を裏切るような行為を行なっているオレに対して。
———違うんだ
「違わない」
———オレは悪くない
「お前が全部悪い」
———ただ、ダズのことが知りたくて……
「でもお前は、ダズを裏切ったんだろ」
ダズならなんでも許してくれると思ったのか?
事故ならいいのか? 仕方がなければそれでいい?
意識を奪って、言いなりにして……ダズは、そんなことされたくないのに。
幼いダズが、小さく口を開いて、オレに何かを言おうとする。
それを聞きたくなくて、耳を手で塞いだ。ダズの純粋無垢な眼が、オレに裏切られたかのように潤んでいる。
———どうしてもオレは、ダズに否定されたくないのだ。
耳を塞ぐ。それでも、ダズの柔らかな声がオレの鼓膜に触れてくる。
———だって、ダズはずっとオレの近くにいてくれたんだぞ?
今更、ダズに嫌われるなんてそんなのとても耐えきれない。
何年一緒にいたと思っているんだ。どれだけコイツの存在に、オレが救われてきたと思っているんだ。
いっそ、こんな思いをするくらいなら———
* * * *
そうしてオレは飛び起きる。
場所は、どうやら誰でも使っていい多目的ホールのソファだ。どこにいくでもなくフラフラ歩いていて、とりあえずソファが置いてあったから座って、そのまま眠ってしまったのだろう。
壁にかかっている時計を見るに、時刻はまだ6時。
カーテンもかかっていない大窓から外を見ると、遠くまで広がる荒野には朝の日差しが降り注いでいる。綺麗な景色だったが、悪夢を見た後では感動もクソもない。
……いつまでもここにいても意味がないし、きっと今頃ダズも起きる頃だろう。朝起きてオレがいなかったら、きっと驚いてしまうかもしれない。
会わせる顔がなくっても、それでもダズは何も知らないのだ。自分一人で調子に乗って、そして自分で自滅して項垂れて……本当に自分勝手な人間だ。せめて、ダズに悟られないようにしないといけないだろうに。
部屋に帰ろう。
そう思っても、なかなか体が動かない。
そうして何度も立ち上がるかどうかを葛藤して、いよいよ動き出したのは15分後のことだった。
* * * *