九校戦八日目、摩利が人生で初めて家族以外の人間と同じ寝床で朝を迎えた日。
目を覚ますと視界いっぱいに白髪の少年の横顔が映し出された。思わず悲鳴を上げそうになるが、寸前のところで声を飲み込んだ。
ん……っっ、ん……ちゅぱちゅぷっ……ぢゅるぢゅるるッッ……と昨日一日で何度も聞いた濡音が聞こえてきたからだ。
綺麗なEラインから目線を下げて音の方へ顔を向けると、そこには昨日の夕食後から日付が変わるまで、自分と一緒に複数人プレイをしていた少女が屹立したペニスをむしゃぶりつくしていた。
『はるかっ、イッてる……から、っ、もぅ、だめ……んハァッ、もうアァぁッッ!』
『ふふっ、摩利ちゃんのイッてる顔かわいいよ。もっとかわいい摩利を見せて』
『やぁッッ……っっ、くっ、ウゥゥッンン……はぁ、ハァんっ……』
『摩利先輩、本当に可愛いです。普段はカッコいいのに、そんなにはる君のおちんちんが気持ちいいんですね?』
『ちがっ、はぁぁッッッ……イックッッ…!?』
『あ~はる君。また摩利先輩イッちゃったよ?』
『じゃあもっと気持ちよくするためにほのかちゃんも手伝ってくれる?』
『はいっ!』
淫靡な光景を見て昨夜の情熱的な夜の出来事を思い出す。
少年だけではなく、この少女にも身体の隅々を弄ばれた。少年とはまた違った舌が、自分の口腔を犯し、更なる快楽へと導いてくる。
女性同士というアブノーマルなキスさえも、嫌悪感を抱く前に快感に襲われて受け入れてしまうほどに、少女の舌は魅惑的に摩利を蝕んだ。
『みつ、ぃ……やめっ……んあぁぁっ……っっ!』
『はる君。摩利先輩は舌を吸われながらおちんちんを突かれるのが好きみたいですよ』
『なぁッッ!?』
『わかった。それじゃあ俺が奥まで突くから、ほのかちゃんは摩利ちゃんの舌を吸ってあげて』
『了解しましたっ!』
二人の息の合った性技に、摩利は息つく間もなく絶頂の扉をこじ開けられる。
昨日の最後の記憶は、少年に一番気持ちいいところを執拗に擦られ、少女に胸を揉みしだかれながら舌を吸われた場面だった。それ以降の記憶はない。気づけば今、その少女が少年のペニスを食している。
部屋には太陽の光が差し込み朝の訪れを告げているが、鼻腔をくすぐる汗と、エロスの匂いがまだ夜が明けていないと主張していた。
「んっ、ンッ……ンンッ……ヂュルルルルッッ!」
ベッドに横になる少年の腰が浮く。それと同時に少女は苦しそうに喘ぎながら目を潤ませた。
――えっ……まさか、射精した、のか?
隣で横になっている摩利には、少年の身体の震えとムンとした精液の匂いが伝わってきていた。
――あんなに、濃くて、喉に絡みついてくるアレを、全部飲むつもりなのか?
経験したからわかるアレの凶悪性に、摩利は少女の行動に絶句する。
「んぐっ……んっ、ゴク、ッ、ンっ」
喉が鳴り、口角に垂れる白濁液を舌で舐めると恍惚とした表情を浮かべる。
「んへへ、やっぱりはる君のせーえき、濃くておいしいなぁ……んふっ、ちゅぷっ、ちゅぅぅっ……チュッ」
愛おしそうに両手で竿の部分を包みこみながら先端の膨らみに付着した白色の粘液を舌で舐めとっていく。時折、唇でキスする仕草を見せ、少女の心酔ぶりが伺える。
「んぁぁ……んふぅ、あれっ……んぁっ、ィクっッ!」
「んふっぅ……んぐっ……ンンッ、ゴクッ……んっ……んぅっ」
そうしてしばらく少女の猥褻な行いを観察していると、再び少年の腰が暴れ出し、声を荒げたと思えば目を覚ました。
「はぁ、はぁっ、ほのか、ちゃん、朝から、気持ちよかったよ……はぁっ」
「えへへっ、おはようございますっ!」
腰をわななかせながらも少年は少女の頭を撫でて朝の交流を始める。目を細めながら嬉しそうに笑う少女を見て、どこか清々しさすら感じていた。されど官能的な雰囲気は隠しきれていない。
それはこれまで自分がいた場所とは全く別物の世界だった。自分の常識が崩れ落ちるほど濃艶な世界。
だがそこに足を踏み入れたことによる後悔は微塵もなかった。それどころか、精液の匂いを嗅いだことで自分の身体が疼き、この世界に適応し始めていることを実感する。
「はる君、キスしたいです」
「いいよ。でもその前に……」
「これ、お水です」
「ありがと」
すぐに二人の唇は結ばれる。子宮の奥にまで響く艶めかしい音が次第に大きくなっていき、ちゅぱちゅぱ、という高音からねっとりとした低音へと変化していく。
摩利はギュっと目を閉じながら二人の接吻の音に耳を傾けていると、身体にゾクリと電流が迸った。
「ッッ」
声は我慢したが荒々しい吐息が洩れる。
「はるぅ、くぅんっ、すき、すきっ、チュッ……」
「俺も、好きだよ……っぁ」
甘音に吐息はかき消された。しかし、摩利の身体が快感に身悶える。
なんと隣にいる少年が、少女と濃厚なキスをしているというのに、その最中、右手が摩利の頭を優しく撫で、髪の毛を梳くように触ってきたのだ。
「ッ……ンッ……ぁ」
二人の少女を同時に味わう所業。だが怒りや腹を立てるという感情が湧くはずがなかった。
ただ頭を撫でているだけだというのに陶酔し、身体の奥底が火照ってくる。宙を浮く様な不思議な感覚に、自然と摩利の吐く息が熱を帯びてきた。
「んあぁ……ぁぁっ」
「摩利ちゃん。おはよう」
「ッッ!?」
「ふふっ、摩利ちゃんは寝たふりが下手だね」
「ッ」
「摩利先輩、おはようございます」
「……おはよう」
今までバカップルに見えていた二人がとてつもなく恐ろしく見える。しかしそれは恐怖などではなく、トラウマ的な感覚だった。二人に逆らえばあの快楽が待っている。二人と目を合わせた摩利は自分の身体の疼きに震えながら上体を起こす。
「身体は大丈夫?」
「からだ?」
「うん。一応、血を流したし、軽くとはいえたくさんエッチしたからね。筋肉痛とか大丈夫?」
あれで軽くなのか、と耳を疑う。もし本気でされたら……そう思うと頭に血が昇ってくる。
「大丈夫?」
「あ、あぁ、大丈夫だから……ち、ちかい、ぞ?」
「摩利ちゃんの可愛い顔をもっと近くで見たくて」
「ッッ」
恥ずかしげもなく、さも当たり前のように甘言を吐いてくる。これが宮守遥という男なのだが、宮守遥という男を知っていたと思い込んでいただけだったようだ。
魅了の魔法をかけられたと思うほどに遥の顔や匂い、声に胸がとどろき、幸福感に満たされる。
「昨日は凄く気持ちよかったよ。摩利ちゃんとエッチができて、俺は幸せ者だ」
「そ、そうか」
笑った顔が愛おしく感じられる。必死に悦びの感情を押し殺しながらも、頬が緩んでいくのだけは隠しきれない。
「愛してる」
「あっ……」
ギュウっと抱きしめられた。分厚い胸板に顔をうずめると、先ほどよりも濃い牡の匂いが摩利の身体を襲う。
「もう離さないから。またエッチしようね」
耳元で囁かれ、抵抗する気力が消散した。摩利は小さく頷くと「わかった」とだけ答えた。
「独り占めは駄目ですからね!」
そう言われたところで独り占めなどできるはずもない。
――あたし一人でなんて身体がもたないに決まってるだろ?
摩利の記憶でも、昨夜の遥は十回は射精していた。それでも衰えないソレに、二人の少女は堕ちていく。とてもじゃないが一人で相手できるとは思えなかった。
「じゃあ今度は真由美ちゃんと一緒にエッチしよっか?」
傍から見れば最低な事を言う遥だが、これが彼らの中での普通。摩利も遥に染められ、真由美との複数人プレイを想像していた。
――あいつに弄ばれるのは癪だな。かといってあたしには経験が少ないし……。
遥の腕の中でどうすれば悪友を出し抜けるかの算段を講じだす。だが答えは見つからず、答えにたどり着く前に第三者が部屋を訪れる。
トントン、と病室の扉が叩かれ、摩利は慌てて遥の胸元から離れた。
「誰だろ、看護師さんかな?」
摩利以外の二人は冷静だった。
「朝食の時間には少し早いから、朝の検診かも?」
「そうかもしれませんね」
「そうかもしれませんねって、ほのかちゃん。今自分がどんな格好してるか理解してる?」
「へ?」
男なら誰もが息をのむほどの曲線美。一糸纏わぬ生まれたままの姿で遥の腕に抱きついていた。
「別に看護師さんになら見られても平気ですよ?」
「男の先生だった場合はどうするの?」
「その場合は……記憶を消します」
「どうやってかなっ!?」
「えへへ」
そんな魔法は使えないはずだが、昨日のミラージ・バットでの活躍を見たらできそうな気がするから恐ろしい。
「でもはる君以外の男の人に見られるのは嫌なので毛布の中に隠れますね」
そう言うとほのかは遥に毛布をかけながら、その毛布の中に潜り込んだ。
「摩利ちゃんも、隠れなきゃね」
「あ、あぁ、そうだな……ッ」
摩利は下着しか身に纏っていなかった。しかし首筋や胸元、へそなど身体中のありとあらゆる部分が遥とほのかに付けられた赤色の痕に染まっており、それを見た摩利は顔を真っ赤にしながら急いで毛布の中に隠れた。
二人が毛布の中に入ったのと同時に部屋の扉が開かれ、見慣れた顔の人物が遥の傍にやってきた。
「おはよ、遥くん」
「真由美ちゃん」
制服姿の真由美だ。
「きちゃった」
誰もいないことを確認したのか、二人きりでいる時のような甘えた声を出す。
「もう身体は大丈夫?」
「はい。おかげさまですっかり元気になりましたよ」
「そう、よかった……」
「真由美ちゃんのおかげです。ありがとうございます」
「良いのよ。遥くんの為だもの……」
真由美が一歩前に歩み出ると、二人の距離は手を伸ばせば顔に届くところまで近づく。
「おはようのチューは無いんですか?」
「え、あ……そ、そうよね……」
真由美は髪の毛を耳にかけてゆっくりと顔を近づける。ベッドに手をかけると、僅かに沈んだ。
鼻息が顔にかかる距離で目を瞑るとそのまま……唇にしっとりとした温もりと柔らかな感触が伝わり――
「んぁっ」
「えっ?」
遥が喘いだ。
「も、もしかしてまだ身体が……?」
「いや、違くて……ほのかちゃんが、ね」
下半身を覆っていた毛布を剥ぎ取ると、艶冶な姿の二人が遥の股間に顔を寄せていた。
「えっ、ほのかさんと……摩利っ、貴女まで!?」
「ち、ち、違うぞっっ、あ、あたしはただ……っ」
そう言いながらも摩利の視線は真由美の顔と遥のソレを行き来する。
既に朝だけで二度も射精したソレは巨大にそびえたち、ほのかに弄られるたびにビクビクと震えている。
毛布の中という暗く、匂いが立ちこめる空間にいたせいで摩利の身体はすっかりとできあがってしまったようだ。
理性と葛藤しながらもその場を離れようとしない。
「昨日部屋にいないと思ったら一日中遥くんと一緒にいたのね?」
「いや、それは違くてだな……」
「何が違うのかしら? 身体中にキスマークつけて、全然説得力ないわよ」
恥じらいの表情を見せる摩利に、真由美はニヤリと口角を上げる。ここまで赤面しながら狼狽える親友を初めて見て、真由美の中の小悪魔が動き出す。
「摩利の身体から汗とエッチな匂いがすごくするわ」
「ッッ」
「この匂いってすぐに洗い落とさないとなかなか取れないのよね~もしかしたら今日一日ずっと匂ってるかも。その首のキスマークも制服だとちょうど隠しきれない場所だし、大変ねぇ」
「う、うるさいぞっ」
「あら、そんな口きいてもいいのかしら? 私が誤魔化すの協力してあげなくもないけど?」
「……っ」
「ふふっ、こんな摩利初めて見た」
遥の前ではドМな真由美がサディスティックな一面を見せる。摩利は涙目になりながらもキッ、と真由美を睨むが怖さを感じない。
「ちゅろっ……れろれろっ、ちゅるっ……ぢゅぢゅッ」
生徒会長の登場、上級生たちの言い争いなど気にもとめずにほのかは遥の身体を愉しむ。
「ちょっと、ほのかさん? そこは、お尻の……」
「うわぁ、そんなところまで?」
亀頭と竿を愉しんだほのかは、続いて尻の穴へと舌を這わせ始めた。そしてそのまま躊躇うことなく尻の穴に舌を潜り込ませる。
「くっ、んふっ……ふぅっ……相変わらずほのかちゃんの舌は、気持ちいぃなぁ……もうイキそうだよ」
「ぢゅるるっ?」
『イってもいいですよ』と言わんばかりにほのかの舌が肛門を侵略し、右手で金玉袋を、左手で竿を扱く。
上級者のしごきに真由美と摩利は魅入り、先端の割れ目から射精前のカウパー腺液がとめどなく溢れ出てくるのを眺める事しかできなかった。
「イッ……くっ、ほのかちゃん……んハァッ!」
ほのかの舌が前立腺を刺激する。下半身全てを痙攣させるほどの快楽だ。
今朝の三発目は、パンパンに膨れ上がった先端から噴水のごとく白濁液を部屋中に飛び散らせた。
衰え知らずの射精に、真由美や摩利の顔にも白色の液体がぶっかかり、それを口に含んだ瞬間、二人の理性は吹き飛んだ。
その数時間後、遥は無事に退院した。その際、看護師たちから真由美たちに苦言を呈されたのは言うまでもない。幸い、看護師たちだけの話でとどまったようだが「病院はラブホテルではない」と言われたのが相当堪えたのか、会場まで向かう間ずっと真由美と摩利は頬を赤くして無言のまま俯いていた。
昨日のアクシデントによって延期していた第一高校の新人戦モノリスコードの試合が近づいてきている。
第一高校が決勝リーグに進出すれば第一高校が、第三高校が優勝すれば第三高校が新人戦を奪る。
新人戦最後の競技、予選は遥一人だけの出場。もし決勝リーグへと駒を進めた場合は司波達也と吉田幹比古の両名が加わることになったが、二人が試合をすることはあるのだろうか。
達也はすでに自分と幹比古の分のCADの調整を終わらせている。あとは結果待ちだ。
無謀にも思える遥の挑戦がすぐそこまで迫っている。
サブタイトルの☆は回想シーンでの性行為の意味でした。
次回モノリスコード。
【次回の投稿は25日になります