※この作品はR-18です。

魔法科高校の性春生活   作:八住 楓

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今回は短めです。




第10話 幕間(エリカ)

 去年の冬に千刃流剣術印可となり、道場内であたしとまともに組み手を行える人間がいなくなった。道場にいる人間では父上か次兄上くらいしかまともに打ち合える人がいないけど、二人とも多忙のせいで剣を交える機会が無い。特に兄上は防衛大に通いながら軍に身を置いているためその忙しさは知っている。

 

 一閃。

 

 道場の端で得物を振る。

 

 急にあたしの目の前から消えていったあいつの幻影を頭から叩き割ってやった。今日もこれで三回ほどあいつの脳天から竹刀をぶち抜いてあげた。

 

 一年前のあの日からあいつとは会っていない。結局決着をつけぬままあいつは消えた。敗者は勝者の言うことを何でも聞くというふざけた条件まで飲んであげたというのにだ。

 

 許さない。

 

 

 あたし――千葉エリカにとってあいつ――宮守遥は敵そのものだ。

 

 出会いは空気がまだ夏の匂いが残る季節。遥がウチの道場に入門してきたことが始まりだ。

 珍しい白髪だったからすぐ目が留まった。

 

 ウチは剣術を訓えているから当然男が多く、その中でも特に見た目が異彩を放っていた。ムカつくほどに美しい目鼻立ちで、立ち姿も凛々しい。

 最初はこの道場の門下生にはいないタイプの、爽やかな人間が入ってきたなぁ程度にしか思っていなかったけど、父上が遥の指南役にあたしを指名してきた。

 あたしの階級ではまだ弟子を取ることはできない。しかし、印可になるために指導の経験も必要だと言われたら首を縦に振るしかなかった。

 

 ここでは最低限形になるまでは指導せず、見て覚えてもらうことになっている。あたしも修行者。新人の世話ばかりして自分の修行を疎かにするわけにはいかないから。

 一度手本として足運びと素振りを見せると、驚くことに遥は一度見ただけであたしの動きを完全に真似して見せた。本当に今まで誰の教えも受けたことが無いのだろうか。

 

 あたしは天才なんて言葉は使いたくない。次兄上だって何年も修行を積み重ねて今があるし、天才なんて言葉で片付けてほしくない。だけど、あたしの目の前に天才がいた。

 基礎ができるからって生意気なことにあたしと勝負がしたいと言い出し、あたしもそれを受けた。剣の道が簡単じゃないと教えるために……。それから遥との修行の日々が始まった。

 

 

 

 幼い頃から剣を振り続けてきた。あたしにはそれしかなかったから。その影響か、昔から男勝りだった。よくさばさばした性格だと言われ、女子が好きそうな人形やオシャレには興味が無くて、手に肉刺を作って剣を振り続ける毎日。

 女子からはカッコいいと言われ、男子からは同類のように扱われた。ゴリラやマッチョ女というふざけた渾名を付けた奴は一人残らず消したけど。

 交友関係は広く、女子だけじゃなく男子の友達も大勢いたと思う。だけどそれが恋愛方面に発展したことは一度もなかった。

 

 それなのにあいつ――遥はあたしとの距離を一気に縮めてきて、今まで扱われたことのないような、あたしを女の子として見てきた。

 気恥ずかしくて殴ろうとすると遥はあたしの拳を掴み、勢いよく引っ張ってくる。そしてさりげなくあたしを胸に抱くと頭を撫でる。細身なのに体躯は引き締まっていて、抱かれるたびに遥の匂いが鼻腔を擽ってくる。

 

 いつまでもその匂いが忘れられなくて、あいつの道着を洗うときに身体が勝手に匂いを嗅いでしまう。大丈夫、誰も見てないから、もう少しだけ……。

 この気持ちは恋ではない。きっと弟がいたらこんな感じなんだなぁと、家族愛のようなもの。だけどあいつの雄の部分を感じてしまってはもう以前のような気持ちには戻れない。あいつを感じて初めてこの気持ちに気づいた。

 

 

 

 遥に凌辱されたあの日から遥を忘れたことは一日たりともない。遥の表情、声、匂い、体液の味、そして巨大なアレがあたしの身体に、脳に刻まれた。

 翌日、目を覚ますとあいつの姿はなかった。身体を起こそうにも局部を強烈な痛みが襲ってきて立つことができない。痛みに慣れていたと思っていたのに、あいつのがまだ残っているような気がして妙な感覚になる。

 触るとヌチョッ、と濡れていて、何度拭いても溢れ出てくる。

 

 その日は初めて体調不良で修行を休んだ。今まで一度も休んだことが無かったのに、そのことを心配して父上と次兄上が見舞いに来てくれたけど、そこで驚くべき体験をした。

 次兄上はあたしが尊敬する人。手合いしてもらえるだけで嬉しくて、兄妹で唯一あたしを心配してくれる優しい兄上。その時もあたしを心配して額に手を当てて熱が無いか確かめてくれた。だけど次兄上に触られただけで猛烈な吐き気に襲われ、兄上を拒絶してしまった。

 父上と兄上がいるこの空間が息苦しく、無性にむしゃくしゃしてしまう。

 

 二人は体調が悪いからと気にしない様子だったが、それからもずっとこの違和感に悩まされ続けた。それは道場の入門生に対しても、学校のクラスの男子に対しても同じだった。

 男子の体臭が気になり、触れられるだけではなく近寄られるだけで嫌悪感を抱くようになった。

 修行では男の人と触れることはある。それが当たり前。なのに男に触れられるたびに鳥肌が立ち、体臭が香っただけで吐き気を催してくる。 男子と接するだけで拒絶反応を起こして気持ち悪くなる。今までそんなことはなかったのにだ。

 

 病院に行き検査もしたけどどこも異常なし。精神的な疲れだと言われたが、精神的な原因として思い当たることが一つだけある。

 

 

 あいつのせいだ。

 あいつに身体を弄ばれたから他の男を拒絶するようになったんだ。

 遥のせい。

 

 だって他の男の事を考えると吐き気がするのに、遥の事を考えるだけでアソコが濡れてくる。まるで身体があいつのことを求めるみたいに濡れてきて、拭いても拭いてもアソコに大量の液体が湧いてくる。

 

 あいつにキスされた唇が、撫でられた頭が、アレをいれられたアソコがおかしい。

 嫌いだ嫌いだ嫌いだ。あいつは敵だ敵だ敵だ。自分にそう言い聞かせながら何度も剣を振り続ける。あいつの幻影を打ち消すように、そうしないとあたしがあたしじゃなくなるような気がするから。

 

「このっ、ふざ、ける、なッ!!!」

 

 四度目。今日もあいつの亡霊を叩き斬る。呪縛から解放されるため、今度あいつに会った時にこの剣を喰らわせるために、いつまでも剣を振り続ける。

 あたしは遥のおかげで強くなった。あんたのせいだ。覚えてなさい。

 

 許さないから。

 

 

 




次も幕間です。
エリカ→四葉→幼馴染って順で投稿されます。
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