※この作品はR-18です。

魔法科高校の性春生活   作:八住 楓

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オリジナル要素入ってます。


第11話 幕間(四葉真夜・深夜)

----side???

 

 あの日のことは今でも鮮明に覚えている。

 三年前の沖縄での出来事。私がまだお兄様の素晴らしさに気づいていない頃の話。

 

 謎の自称占い師との邂逅が私の人生を変えた。

 

 不審者です、と言わんばかりに全身が紫のローブに包まれた男の子。あれで自分のことを青年だと思い込んでいるのだからおかしな話です。

 声変わりしていない中性的な声。女性にも間違う高音は、私は最初女性だと勘違いしていた。しかし後からお兄様に「あれは俺たちと同じ年代の男子だ」と、伝えられると確かにそんな気がしてきた。

 もしかしたら魔法科高校で出会うかもしれない。同じ一年生かも。そんなありえない期待を抱きながら彼から頂いた指輪に手を伸ばす。あの時はまだ指が細くてはめるとすぐに取れてしまったが、今はぴったりと薬指にはまる。まるでものすごく遠回しなプロポーズのように……。

 

 この指輪の力のおかげで私も、お母様も命を救われた。

 

 

 

 彼の占いは全て当たっていた。まず私たちの名前を言い当てた。この時点で私は間者を疑った。実家の事を嗅ぎまわる人間は多く、彼もその一人だと思った。それならどうして私たちを助けるようなことを告げてきたのか。彼の考えていることは理解できない。それとも彼の頭の中にはとても壮大な計画でもあるのだろうか。

 

 その後はお母様、私、穂波さんと順に占い、お兄様は占われなかった。お兄様の表情が変化することはなかったが、どこか落ち込んでいるような気落ちした雰囲気が見られたのは気のせいじゃないだろう。占われたかったのかしら。いや、お兄様のことだから占い師の正体を突き止めたかったに違いない。

 お兄様が彼の正体を突き止めようと、飛行機の搭乗履歴やホテルの宿泊者リストをハッキングしようとしたけれど、それはお母様に止められてしまった。

 

「彼は本物よ」

 

 その言葉の意味を今でも理解できない。本物とは何なのか。本物の神の使者とでも言いたかったのだろうか。まるで千年以上も前に東の『京』と、西の『宮』に存在したとされる人物に関係するとでも……。

 

 

 お兄様はお母様の言うことに従い、彼の正体を突き止めてはいない。そう、突き止めてなどは。

 

 

 それに彼の正体がわからなかったとしても私はそれでいいと思っている。だってお兄様が警戒するほど彼が悪人には見えなかったもの。私たちに害を成す存在であればあの時、私たちを守ってくれるはずがない。

 

 反逆者が放った銃弾から私たちを守ってくれたあのオレンジ色の光。その中はとても温かく、心地よかった。

 

 あの日、大亜細亜連合の侵攻により私たちは避難のために防衛軍基地地下シェルターに向かっていた。その途中に出会った若い兵隊が銃を乱射。キャスト・ジャミングによって魔法式の構築を妨害され、彼らの放った銃弾を回避する術はなかった。

 

 ここで死ぬ。あの人が言っていた魔の手とはこのことだったのだ。走馬灯のように彼の声、息遣い、仕草が頭に浮かんでくる。彼の姿の隣には兄の姿が。どうして兄の姿が? と思ったがすぐに理解した。

 

 

 私たちに死を運ぶ弾丸が届くことはなかった。

 

 それは何の前触れもなく球状の光が私たちを守るように発生した。薬莢や弾丸が床に転がり落ちる音だけが響き渡り、私たちには傷一つ付くことはなかった。

 

 銃弾の脅威は去った。だがキャスト・ジャミングを受けたお母様が心配だった。お母様は想子感受性が高く、強力なノイズの発するキャスト・ジャミングを受けては身体に悪影響が出る。後にそれは死に至るレベルのモノと判明されたが、お母様の方を見ると、同じようにお母様の身体の周りを不思議な障壁のようなものが囲っていた。

 そして私の顔を見ると安堵したように微笑みかけてくれた。

 

 生きている。私は思わず腰を抜かしてしまった。

 

 そして同時にあの占い師の言葉の意味を知ることになる。心の中で兄の名を呼ぶと颯爽と駆け付けてきて……。

 

「深雪!」

 

 部屋の外にいた兄が、いつも無表情で他人行儀な兄が、感情を剥き出しで必死に私の名前を叫んで近寄ってくるのだからおかしくて、同時にとても嬉しかった。

 兄が部屋に入ってくると反乱兵は消えていた。

 

 いつの間にか私たちを守ってくれた不思議な球状のそれも無くなっていた。兄は私の傍に来ると、そのとき初めて私は兄のことを「お兄様」と呼んで抱きついてしまった。

 お兄様は私の抱擁を受け止め、柔らかな表情で頭を撫ででくれた。こんなに感情豊かなお兄様の表情は初めて見た。

 

 お兄様が大亜細亜連合と対している時、お母様からお兄様の秘密を聞いた。けれども私がお兄様に畏怖することなどない。例えお兄様が感情を失っていたとしても、あの時私に見せてくれた嬉しそうに笑った顔が消えることはないから。

 

 それから私はそれまでの誤解していた時間を取り戻すためにお兄様と同じ時を過ごしている。この春、私はお兄様と同じ魔法科高校に入学する。私はお兄様が二科生であることに納得していない。お兄様は私より優れた人間なのに。この学校でお兄様の素晴らしさを布教し自慢のお兄様であることに誇りをもっていこうと思う。

 

 そして私たちを守ってくれた時に壊れてしまった指輪を直してもらうために、あの人にも再会できたらいいなと思う。

 

 薬指にはめた指輪を優しく撫でる。

 

 

 

 

 

 

----side???

 

 

 沖縄から帰ると、夜も更けた時間だというのに真夜が起きていた。部屋は暗く、月明かりに照らされた真夜は四十を超えたおばさんには見えないほど妖艶な笑みを浮かべてこちらを見ている。

 

「ただいま」

 

 そう言うと身体に負荷がかかる。

 

「おかえりなさい」

 

 紅茶の良い香りがした。身体に抱きつく真夜を押しのけて私も紅茶を一口飲む。

 

「私よりも紅茶の方が大事なの?」

「束縛する女は嫌われるのよ」

「彼は嫌わないわ」

 

 真夜なりに心配したのだろう。この子も十二の頃に事件にあって怖い目にあったから。崑崙法院といい大亜細亜連合といい邪魔ばかりしてくる。また潰してやろうかしら、そんなことを考えていると真夜が期待した目つきで見てくるものだからさっさとお目当てのモノを渡してあげた。

 

「……これが秘密の石?」

「ええ、深雪の貰った石は役目を終えたのか割れてしまったけれど欠片は借りてきたわよ」

「何の気配もしないのね」

「壊さないでよ? 壊したら家出ていくから」

「壊さないわよ。それにしてもこれ……もしかして」

「何かわかったの?」

「もう少しでわかりそうだからそれまで預けてくれない?」

「嫌よ! そうやって猫糞するつもりでしょ」

 

 油断も隙もあったもんじゃない。これのおかげで胸のつかえが取れたように身体が楽になったのだからもう誰にも渡さない。キャスト・ジャミングによる悪影響もなくこれ一つで夢のような話。

 彼はいったい何者なのだろうか。沖縄での話を真夜にしたところ心当たりがあると言い今に至る。

 

「私が誘拐された時の話はしたわよね?」

「ええ」

「深夜には本当のことを話したけれど、一つだけ秘密にしてたことがあるの」

 

 真夜は崑崙法院に誘拐されて身体を弄ばれて初めてを失った。助けが来るまでの三日間、これほどかというほどに凌辱されたと言っていた。これに激怒した四葉は報復として大漢を崩壊させた。まあこれが表向きの話。真夜は私にだけ真実を話してくれた。

 

 身体を弄ばれて初めてを失ったのは本当だが最後までされたわけではない。これが真相。

 その場に偶然居合わせた謎の男に胸を弄られ唇を奪われ凌辱された。手足が拘束されて抵抗できない真夜になんてことをしたのだと怒りを覚えたが、当の本人は頬を紅潮させながら話していた。まるで恋する乙女のように瞳が輝いていたのを覚えている。

 

 まさか自分を襲った相手に恋をした。そんなバカな話があってたまるか。私は精神系か催眠の類を疑ったが真夜には何もかかっておらず元気そのものだった。

 まだ一つ話していない秘密とは何だろう。もしかしてその男のことが好きと告白するんじゃないだろうな。

 

「あなたや深雪さんを守ったとされる謎の壁。実は、私も誘拐されたときに似たような障壁に守られていたの」

「っ!?」

「障壁というより結界と言った方がいいわね、崑崙法院の連中が三日間ありとあらゆることをしたけど傷一つ付けることができなかったわ」

 

 誘拐されて襲われたというのに傷が少ないのが気になっていたが、まさかそんなことがあり得るのだろうか。でも真夜が嘘をついているようには見えないし嘘をつく理由もない。

 

「球状でオレンジ色の薄い膜。外では物騒な連中が魔法や銃をぶっ放しているというのに中は温かく安らぎさえ感じる。あれは魔法じゃない何か別の力だったわ」

 

 私たちを守ったそれと同じだ。本当に真夜も?

 

「でも、それだったら――」

「ええそうね。計算が合わない。私が会ったのは二十歳前後の白髪の男。とてもカッコよかったわ」

 

 ん?

 

「あなたたちが会った、その自称占い師は子どもだったのでしょ?」

「姿顔は見えなかった。でも声から今の達也たちと同世代でしょうね。声を変えてる様子もなかったし」

「まさか彼の子ども? 彼は結婚してるのかしら」

 

 んん?

 

「とにかく私が会ったその男性とあなたたちが会った占い師は繋がっていると見ていいでしょうね」

「そうね。この指輪を調べれば何かわかりそうだけどこれしか現物は無いわ」

「あら、穂波さんが頂いた御守りもあるんじゃなかったの?」

「御守りの中には指輪の石と同じような石が二つ入っていただけだったわ。一つは達也を守るときに砕け、残り一個は穂波さんが食べてしまったわ」

「……食べた?」

「ええ、最初は受け取らないと言っていたけれど捨てるのも勿体ないしどうしようかと思っていたら、突然床が揺れてその反動で石が穂波さんの口の中に……」

「それで飲み込んでしまったと」

 

 小さくうなずく。魔法にも反応せず、レントゲンにも表示されない謎の石。石というには少し輝きが強いため一見宝石にも見間違えてしまうそれを身体から出す方法がなかった。

 身に纏っている限り効果が持続する。これで寿命が不安定とされている調整体の穂波さんに安定した一般的な寿命を授かった。今は疲れたのか眠っている。私としては嬉しい限りだけど今度しっかり話し合ってみるとしよう。

 

「この砕けた欠片から調べてみるしかないわね」

「FLTに調べさせましょうか」

 

 それしかないだろう。

 あとは真夜とその男のことについて話を聞こうとしたら先に真夜が口を開く。

 

「話は変わるけどあるところから大口のスポンサーになりたいって話が来てるのだけど」

「いいじゃない。受ければ?」

「それが……」

「反社?」

「いえ、一流企業よ」

 

 一流と呼ばれるところは権力も大きい。何かと指示してくる人間が多くいるから、ウチはそういうところと関係を結ばないようにしている。

 

「七草や他の十師族にも声をかけているようなの」

「何かを探っているとか?」

「わからない。スポンサーになる条件として、魔法に関する情報提供を求められたわ」

「四葉の魔法?」

「いいえ、一般的な魔法科高校に入学できる程度の情報提供と魔法が使える施設を貸してほしいと言っているわ」

「それだけ?」

「だから怪しいんじゃない。それだけで年に十桁の出資してくれるなんて話がうますぎるわ」

 

 十億。他にも声をかけてるとなると百億近い金額が動くことになる。それだけのお金を払ってでも得たい情報とは何なのか。

 

「それで、その企業とはどこなの?」

「宮守グループよ――」

 

 

 




何やら不穏な気配が……。
真夜と深夜は喧嘩していません。仲良し姉妹です。
強姦などはされていませんが、誘拐されたのは事実ですからね。それに真夜が凌辱されたのも事実ですし四葉が動くのは当然かと。
崑崙法院の関係者や四葉が遥の仕業だと知ればどうなるのか……考えただけでも恐ろしい。でも当事者である真夜の様子がおかしいぞぉ?

ちなみに真夜は10人の候補者の1人ですが確定はしていません。それに真夜ってとある神様の加護あるし(^ひ^)
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