※この作品はR-18です。

魔法科高校の性春生活   作:八住 楓

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第15話 二つの再会

 翌日目を覚ますと俺の腕を枕にして安らかな寝息を立てる雫ちゃんの姿があった。俺も雫ちゃんも一糸纏わぬ姿だ。

 唇を撫で、柔らかい胸の感触を楽しんでいると寝息が静まり、ゆっくりと瞼が開いた。

 

「おはよう雫ちゃん」

「……んっ、ちょっ、と」

「あぁ、ごめんね」

 

 雫ちゃんは朝が弱い。朝食当番の日の前日は早寝しないと起きられないほどによく眠る子だ。寝る子は育つというけど雫ちゃんは……。

 

「なんで噛みついてきたの?」

「ハルカが悪いこと考えてる顔してたから」

 

 大胸筋の辺りを噛みつかれてしまった。甘噛みではなく歯を立てた方の噛みつき。痛みはないが歯型が付いてしまった。雫ちゃんは自分でつけた歯型に驚き、そしてすぐ癒すように舐め始めた。

 気にしなくていいと頭を撫でる。行為が終わった後はいつも背中に爪痕が付いてるし、俺だって首筋に痕を付けがちだから。

 

「ごめんなさい」

「痛くなかったから大丈夫だよ」

「でも……」

「じゃあ罰与えるね」

「罰?」

「ほのかちゃんが起こしに来るまでおっぱいを舐められる刑」

「えっ」

「逃げちゃだめだよ」

「ちょっ、だめッ……んんぅっ、ぁん……んぁ」

 

 悶絶しながら喘ぎ続ける。ほのかちゃんがやってきたのはそれから三十分後の事だった。

 

 

 

 登校中、そして今も雫ちゃんは艶めかしい表情で悶々としている。きっと雫ちゃんの色っぽい表情に気づけているのは俺とほのかちゃんだけだろう。

 

 一年A組の教室ではこれからともに勉学に励むクラスメイト達が交流会をしている。早く着すぎたかな、と思ったら既に大半のクラスメイト達が教室にいて俺たちを出迎えていた。一緒に来た二人はクラスメイトたちと馴染み、早くも友達ができた様子。まあ二人は可愛いし男子生徒たちに囲まれていたが俺は二人を放って席に着く。

 

「俺の名前は森崎駿だ。よろしくな」

「宮守遥だ。よろしく」

 

 まさか彼から話しかけられるとは思わなかった。それも向こうから手を出して握手を求めてきたから驚きだ。同じ一科生に対してはこういう対応が取れるのに勿体ない性格だと思う。二科生を見下すような態度を取らなければ司波深雪に嫌われるようなこともないだろうし、はんぞーくんの後継者にもなれただろうに。

 

「ちなみに宮守はあの二人のどっちかと付き合っているのか?」

「は?」

「入学早々女子と登校してくるなんてそうとしか思えないだろ?」

 

 いきなりの恋愛トーク。森崎も男だからそういう話題に興味があるのだろう。思春期真っ盛りだし不思議なことではない。

 

「茶髪の子と付き合ってるな」

「……お前も男なんだな」

 

 なぜか肩に手を置かれた。森崎の視線が一瞬ほのかちゃんの胸に向けられたのを見逃さない。お前と一緒にするな。俺は貧乳だろうと気にしない。

 森崎の印象が変わったが、九校戦で助けることはない。俺が手を差し伸べるのは女子と俺にメリットがある時だけだ。

 そしていつの間にか俺とほのかちゃんが恋人同士だということが広まり、男子からは妬みや羨望の視線が、女子の集団からは歓声が上がっていたが気にしないことにしよう。隠すつもりはなかったし二人とも決めていたことだ。これでほのかちゃんに対するちょっかいも減るはず。

 

「おはようございます」

 

 鈴を振るように可憐な声色が響き、喧噪に満ちた教室に静寂が訪れる。新入生総代にして絶世の美少女である司波深雪が教室に現れたからだ。

 教室に入り挨拶と礼をする。綺麗な礼儀作法だ。しかしたったそれだけの事なのにクラスメイトに与えた影響は計り知れない。

 誰かが息をのんだ。彼女の発する雰囲気に飲まれて誰も近寄ることができないでいた。そんな中、ほのかちゃんが話しかけようとした瞬間、足がもつれて転びそうになる。すぐに駆け付けほのかちゃんの肩を抱いた。教室の端の方では歓声が上がる。

 

「大丈夫?」

「は、はる君っ!」

「気をつけなきゃだめだよ」

「う、うん。ありがとはる君」

 

 ほのかちゃんが司波深雪と話したがっていたのは知っている。部屋で何度も話しかける練習をしているのを見ているし失敗させるわけにはいかなかった。

 

「ほら、話しかけるんでしょ?」

「はいっ! あ、あの、光井です! 光井ほのかです!」

「……司波深雪です。光井さん、仲良くしてくださいね」

「こちらこそ!」

 

 結果オーライかな。司波深雪はほのかちゃんと握手した後、俺のほうへ視線を送ってきた。

 

「初めまして宮守遥です。深雪ちゃんって呼んでもいいかな?」

「深雪ちゃん? え、えっとその」

 

 困惑させてしまった。しかしこれだけは譲ることができない。

 

「あ、あの私も深雪さんって呼んでもいいでしょうか!?」

 

 ほのかちゃんの援護射撃。とどめの一押しに雫ちゃんも駆けつけてくれた。

 

「すいません司波さん。この人たちお調子者で、初めましてなのに馴れ馴れしいですよね」

「私とはる君がお調子者!?」

 

 ほのかちゃんはお調子者というより司波深雪のファンなだけだけどね。

 

「こちらは?」

「北山雫です。お名前はかねがね。ほのかが司波さんのすごいファンで」

「へっ!?」

「……すみません、どこかでお会いしたことありましたか?」

「試験会場で一緒だったみたいで、そこで一目惚れしたそうですよ」

「やや、やめてよ恥ずかしい!!」

 

 なんだかうまく打ち解けているようだ。殺気が飛んでくる前に立ち去ろうとした瞬間、深雪ちゃんから声をかけられる。

 

「ところで三人はどんな関係なのですか?」

「ん?」

「仲が良さそうでしたので」

「あぁ、俺たちは小学校から同じでクラスもずっと同じなんです。ね」

「はいそうなんです!」

「なるほど、だからそんな息がぴったりなんですね」

「二人の息がぴったりなのは恋人同士だから、ですよ」

 

 まぁ、と驚かれたが、他のクラスメイト達には知られているし恥ずかしさもない。ほのかちゃんの頬が紅潮していたが、嫌ではなさそうだった。

 離れるタイミングを逸したかと思ったが、司波深雪の表情が柔らかくなり、俺たちの会話に聞き耳を立てていたクラスメイト達が集まってきた。

 

「昨日の挨拶素敵でした!」

「あなたのような方と同じクラスになれたことを光栄に思います」

「花冠の誇りを胸にともに頑張りましょう」

 

 好機。俺はその場を離れたが、二人はまだ彼女と話し足りないようで傍にいた。

 一つの集団ができてからしばらくしたタイミングで教室のドアが開く。

 

 一科は二科と違って担当指導教官がいる。A組の担当は百舌谷という男性教官で、彼によってオリエンテーションが始まった。

 

「難関である一高の中でもA組は特に優秀な成績で試験を通過した方たちにより構成されています。ここでは、図書館や情報端末で学外の豊富な情報にアクセスでき、また実際に魔法師として活躍している先生の貴重な授業を受けることができます。これらの権利は、魔法師の絶対数がまだまだ不足しているため一科生だけにしかありません。皆さんはこの機会を利用して大いに学んでください」

 

 やはり優秀な生徒がA組に集まっていたのか。二年生からは均等にクラス分けされるようだが彼女たちと同じクラスになりたいものだ。そんな先のことはさておき教官の話が続けられる。

 

「この後は専門授業の見学です。午前中は基礎魔法学と応用魔法学、午後は魔法実技演習の見学を予定していますので、希望者は十分後に実験棟一階ロビーに集合してください。他に見学したい授業があれば自主的に行動しても構いません」

 

 授業の見学の他にも端末から資料を読み漁っていてもいい。だがそれは一科生である限りいつでも読むことができるし、担当の解説付き授業見学をした方がいいかもしれない。

 周りの生徒もそう思っているようだ。話し声が聞こえてくる。

 

「二科の補欠はかわいそうだよなぁ、最初から放置だろ?」

「入れただけで喜んでるからいいんじゃね?」

「大した実力もなくて魔法師になろうって図々しいよな」

「一般人は一般人らしくしてろって」

 

 司波深雪の表情が険しいような……。ほのかちゃんも気づいたのか心配そうに彼女のことを見ている。

 ほのかちゃんのことを見ているとふと目が合った。

 

「一緒に授業見学行きませんか!?」

「いいよ。雫ちゃんと彼女も誘おうか」

「はいっ……って出遅れた!」

 

 既に司波深雪の周りにはクラスメイト達が集っていて、ホームルーム前の続きを話している。

 

「やっぱり一科なら引率してもらうほうですよね! 補欠と一緒の工作なんて行ってられませんよね」

「いえ、そういうわけでは……」

 

 代表して森崎が声をかけているが、ここまでくると可哀そうに思えてくる。まぁこんな風に思ってる俺も森崎たちの事を見下しているのと同じだろうし人の事は言えないが。

 もしかしたら俺もあの中に混ざっていたかもしれないと思うと寒気がする。

 司波深雪の機嫌が氷点下になる前にほのかちゃんが行動に移した。

 

「授業見学するなら集合場所に急がないといけませんよね!」

「……そうですね光井さん。北山さんと宮守くんも行きましょうか」

 

 どうやらクラスの中で同じカーストに入れてもらえたようだ。ほのかちゃんに感謝しないといけない。

 お前は彼女がいるだろ、と男子から視線を浴びるが俺たちは教室を後にした。

 

 

 

 午前中の授業見学を終えて二人は司波深雪と親しくなっていて名前で呼び合う仲になっていた。ついでに俺も深雪ちゃん呼びを続けていたら観念して許可をもらった。

 相変わらず深雪ちゃんの後をクラスメイト達がストーキングしていて、特に男子の視線が目障りだった。

 

「お昼はどうする?」

「学食に行こうか」

 

 雫ちゃんが聞いてきた。

 

 高校といえば購買部でパン争奪戦というイメージが強いが、魔法科高校では食堂やカフェなどがあり豊富なメニューが取り揃えられている。

 パン争奪戦も楽しいのだが、この世界では味わえそうもない。パンを取る振りして女子生徒の胸を揉んだりできないのは残念だ。

 

「司波さんはお昼どうされますか?」

 

 ここでもクラスメイト達が深雪ちゃんに言い寄ってくる。積極的なのは良いことだと思うし、交流するのは悪いことではない。ただし人に迷惑をかけなければだが。

 

「学食に行くつもりですが……」

「ご一緒してもいいですか?」

「席が空いていれば」

「では埋まらないうちに急ぎましょう!!」

 

 深雪ちゃんを連れて嵐のように移動していった。あっという間の出来事に俺たちは取り残されてしまったが、少し遅れて食堂についた。

 遠目に彼らの事を確認できたが、ちょうど森崎が司波達也たちに声をかけているところだった。

 

「おい、君たち、ここの席を譲ってくれないか?」

 

 雫ちゃんとほのかちゃんには彼らの声は聞こえていない。二人は深雪ちゃんの姿を見つけて近寄ろうとするが殺伐とした雰囲気を感じ取って立ち止まる。

 

「二科は一科の補欠だ。授業でも食堂でも一科生が使いたいといえば席を譲るのが当然だろう。実力行使をしてもいいんだが、学内ではCADの使用は禁じられているからな」

 

 いくらなんでも言い過ぎじゃないか?

 

「わかった。俺はもう終わったから行くよ」

「お、おい達也!」

 

 俺ならぶん殴っていただろうが司波達也は大人だった。これを見ればどちらが優れているか一目瞭然なのに。

 

雑草(ウィード)はしょせんスペア。一科生と二科生のけじめはつけないと」

 

 森崎だけならまだしも、他のA組の生徒まで同調してるからたちが悪い。

 司波達也が素直に席を譲り、一緒にいたエリカちゃんたちも彼に付いて行った。久しぶりに彼女の事を見たけど髪を切っていたのが残念だった。また後で会おうね。

 

「なんか雰囲気悪くないですか?」

「うん。深雪が悲しそうな顔してる」

「近寄りにくいし俺たちだけで食べようか」

 

 シュンと落ち込んだ深雪ちゃんの顔が印象的だった。怒りを通り越して寂しさを感じさせるような表情をしていたが、美人は悲しんでいても魅力的だからズルいと思う。

 

 四人用の席について昼食を摂ろうとしているところに深雪ちゃんがやってきた。

 

「あれ、深雪どうしたの?」

「ほのか……私もここで食べてもいいかしら?」

「え? うん、いいけど、いいの?」

「ええ、彼らとは気が合わなそうだから」

 

 ニコリと微笑む表情には雫ちゃんとは違った禍々しさを感じられた。司波達也らがいた席には森崎たちが呆然とした様子で座っていたがそろそろ気づいた方がいいよ。

 

「深雪ちゃん肉は苦手?」

「いえ、苦手ではありませんが……」

「じゃあ肉定食だけどよかったらどうぞ」

「そういうわけにはいきません! これは宮守君が――」

「俺はまた取ってくるからいいよ。それにごはん取りに行ってる間にナンパされたりしたら大変だからね」

 

 ナンパしてるのはお前の方だろと、雫ちゃんの視線が向けられるが微笑み返してあげた。これが俺のスタンダード。それにこの程度のことで少しでも恩を感じてくれれば万々歳である。

 午後の授業見学も彼らが深雪ちゃんの金魚の糞をしていたが、もう関わらないことにした。森崎以外モブだしな。

 

 放課後、俺は用事があるからと二人と別れてある場所へと向かっていた。

 

 

 

「一年A組、宮守遥です。生徒会長と風紀委員長に用があってきました」

「どうぞ」

 

 しばらく待っていると合図とともに扉のロックが解除され、生徒会室へと足を踏み入れた。予想通りそこには二人の女子生徒がいた。

 生徒会長七草真由美、風紀委員長渡辺摩利の両名だ。

 

「やっほー摩利ちゃん久しぶり~」

「馬鹿者、一応ここは学校だ。先輩後輩としての接し方をしないか」

 

 道場で顔見知りの摩利ちゃん。俺の方が兄弟子なのでため口で話しているが、人前では敬語で話した方がいいだろう。摩利ちゃんは呆れた表情だったが決して怒っているわけではない。悪友に弱みを見せるのが嫌なだけだ。

 

「何々二人は知り合いなの?」

「通っていた道場の本家にこいつも通ってたんだ。それで一緒に修行していたんだ。遥はすぐに辞めてしまったがな」

「ふぅん」

 

 摩利ちゃんに手を振ると七草真由美は面白そうなモノを見つけたと言わんばかりに口角を上げる。

 

「それにしてもどうして私がここにいると思った?」

「この部屋の中から摩利ちゃんの匂いがしたからねー」

「なっ!?」

「えっと、摩利と彼は……ただの知り合い、なのよね?」

「当たり前だっ! おい遥、誤解を招くような言動はヤメろ!」

 

 摩利ちゃんを揶揄うのは面白い。だがそろそろ本題に入りたい。

 

「それで用があって来たんですけど」

「あ、そうね。用件を聞きましょうか」

「校門の方で新入生が言い争いをしているので報告に来ました。七草会長であれば今すぐ確認できると思いまして」

 

 遠隔視系知覚魔法「マルチスコープ」を行使できる持ち主である七草会長。それに校内の監視システムに介入して盗み見ることを趣味としている彼女なら俺の言い分が正しいことが証明される。

 

「お前は止めなかったのか?」

「怪我はしたくないのでね。それにもうすぐ魔法が使われますし、犯罪に巻き込まれたくなかったので」

 

 そう言うと二人は互いの顔を見合わせた。自衛目的等以外での魔法の使用は犯罪行為であり、例えそれが魔法科高校の敷地内であっても適応される。ちなみにほのかちゃんには何も言っていない。原作通りなら目くらましの閃光魔法を使うはずだが、俺と関わったことで何か変化が起こるのか知りたかったから。

 

「それは本当だろうな? 冗談じゃ済まされないぞ」

「いくら俺でもこんなつまらない冗談は言いませんよ」

「摩利、確かに校門のあたりで生徒たちが言い争っているようよ。まだ魔法は使われてないようだけど」

 

 美人な七草会長が「こうもん」って単語を口にするだけで頭の中で「肛門」と変換されてしまう。肛門辺りで生徒たちが言い争うってどんな状況だよ。

 

「何を笑ってる」

「いえ、お二人ともお綺麗だなぁ、と思いましてね。摩利ちゃんも彼氏がいなければ口説いていたんですけど残念です」

 

 残念ながら摩利ちゃんは原作と同じでエリカちゃんの兄と付き合っている。まだキスもしていない関係だから俺が処女をもらいたいものだ。もしくは調教だけして処女は彼氏のために残しておこうかな。

 

「悪いがお前のおしゃべりに付き合ってる暇はない。真由美行くぞ」

「えっ? そ、そうね、行きましょう。宮守君、だったわよね?」

「はい、真由美ちゃん」

「真由美ちゃん!?」

 

 言われたことが無いのか頬が赤らんだ。初心だな。押せばどうにかできそうだ。

 

「おい真由美!」

「すぐ行くわっ、宮守君。私たちが戻るまでここにいてもらえる?」

「わかりました」

「それじゃあまたね」

「はい。無理をなさらないでくださいね」

「大丈夫よ」

「綺麗な顔に傷が付いたら大変ですから」

「ふぇっ!?」

 

 チョロいな。

 

 二人は俺を残して生徒会室を飛び出していった。だけどよくこんな重要な場所に関係者以外の者を残して留守にできたな。それだけ俺を信用してくれたのかな。まぁ、こんなところで待つわけないんですけどね。はんぞー君に見つかったら面倒くさそうだし、俺も現場に向かうとするか。

 

 俺が校門へ向かうと既に騒ぎが終息し、真由美ちゃんと摩利ちゃんが校舎内へ戻るところだった。あ、森崎が司波達也に何か言ってる。どうせ「お前は認めない」的なことを言ったんだろう。冷静に物事を見れないのが君の悪いところだよ。

 

「ほのかちゃーん、雫ちゃーん」

 

 事情を知らないふりをしてさりげなく彼女らの元へと歩いていく。

 

「あ、はる君」

 

 俺のことを視認しほのかちゃんが手を振ろうとした瞬間、その横で約一年ぶりに姿を見る赤髪の美少女が消えた。

 突然のことに誰も反応できない。司波達也と深雪ちゃんだけは僅かに表情を変化させたが動くことはなかった。

 

「久しぶりエリカちゃん。相変わらず可愛いね」

「……」

 

 エリカちゃんの行動にその場にいた全員が度肝を抜かれただろう。何故って、だってエリカちゃんがいきなり俺に向って警棒を振り下ろしてきたのだから。それも本気で頭を狙っていた。俺がエリカちゃんの手首を掴んで止めなかったら大怪我をしていたよ。司波達也も何で止めないのかなぁ。

 特にほのかちゃんなんて狼狽しながら俺とエリカちゃんの様子を見つめている。

 

「久しぶりの再会だってのに随分な挨拶だね」

「あんたが私にしたこと忘れたわけじゃないでしょ?」

 

 忘れるはずがない。忘れもしないよ。

 

「まぁまぁ落ち着いて」

 

 刺すような鋭い目つきだが殺気を放っているようには見えなかった。むしろ悦んでいる? それはないか。

 

「いやぁ、ごめんね。二科生の人は初めましてかな? 宮守遥って言います。呼び方は好きに呼んでよ。よろしくね」

「……司波達也だ。達也でいい」

「西城レオンハルトだ。レオって呼んでくれ」

「し、柴田美月です」

 

 いい人たちだな。美月ちゃんは可愛いねぇ。魔法科高校はかわい子ちゃんしかいないし最高だな。

 

「自己紹介も終わったところで、みんなが気になってることにお答えすると、俺は中学生の頃エリカちゃんの所の道場で修行してたんだよ。それで俺がエリカちゃんに内緒で勝手に辞めちゃったから怒ってるのかな?」

「別に怒ってないし」

「怒ってるじゃん」

「怒ってないってば!」

 

 指で頬をプニッと刺すと叩き落された。痛い。まぁ、今のは俺が悪いけど、今時暴力系ヒロインは流行らないんだぞ。

 

「お二人は随分と仲が良いのですね」

「はぁあ!? 何処が!?」

 

 深雪ちゃんの見る目は素晴らしいね。そうなんです、とても仲がいいんです。それこそ肉体関係を持つほどに。

 

「ってことで、久しぶりの再会だしエリカちゃんと話したいことがあるんだけど、いいかな?」

「……」

 

 不機嫌そうに睨んでくる。否定をしないってことは肯定か。

 

「みんなごめんね。ちょっとエリカちゃんと二人で話したいことあるからここで」

 

 ほのかちゃんと雫ちゃんは心配そうな表情で見つめてくるけど笑顔で手を振ると司波達也たちと駅の方へ歩いて行った。メールしておいたし大丈夫だと思う。

 司波達也の俺のことを見る目が少し気になったけど気にしすぎかな。今は何もしてないし警戒される理由が無い。

 

「じゃあついてきて」

 

 エリカちゃんは黙って俺に付いてくる。隙を見せれば叩き殺されるかもしれないがエリカちゃんはそんなに悪い子じゃない。少しだけ素直じゃないだけだ。

 さて、久しぶりにエリカちゃんとお話するとしようか。

 

 




入学編・九校戦編では魔法科高校の優等生をベースに書いています。そのため原作(小説)と異なる設定が用いられることがあるのでご了承ください。
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