※この作品はR-18です。

魔法科高校の性春生活   作:八住 楓

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第21話 新入部員勧誘週間初日

「おはようございます宮守くん!」

「えっと、おはよう」

 

 登校して早々深雪ちゃんが俺の席までやってきて挨拶してきた。機嫌がいいのか惚れ惚れとするような笑みで声をかけられ俺の表情筋が緩む。

 

「はる君?」

「おっといけね」

 

 隣の席のほのかちゃんが顔を覗き込んできた。浮気は駄目だよな。

 

「今日のお昼はどうするつもりでしょうか?」

「……食堂に行くと思うけど」

「もしよろしければご一緒してもいいでしょうか?」

「……ほのかちゃんが良いなら、どうする?」

「いいけど……」

「じゃあそういうことで」

「はい、ありがとうございます。それではお昼楽しみにしてますね」

 

 昨日と今日で何があったのだろう。

 時系列的には模擬戦に触発された深雪ちゃんがCAD調整のため下着姿を司波達也に見せるという日だったはず。そこで男女の関係になったとか? だが彼女を鑑定で視てみたが処女のままだった。ならなぜ深雪ちゃんの機嫌がいいのだろうか。

 

「昨日深雪と生徒会室行ったけど、本当に何もなかったんだよね?」

「何もなかったと思うけどなぁ」

「ホント?」

「うん」

 

 ほのかちゃんと雫ちゃんには帰った後に生徒会室に呼ばれた理由と、模擬戦の事は話してある。けれど隠し事があるんじゃないかと疑いの目が向けられていた。

 

「俺が好きなのはほのかちゃんだけだから安心してよ」

「……」

 

 クラスメイトにはバレないように雫ちゃんの右手の薬指を握りながら告白する。雫ちゃんには「あとでね」と言うと小さく頷いていた。

 ほのかちゃんは俺の告白に頬を赤らめると、そのまま担当教官が来るまで大人しくなっていた。

 

 昼休みになると俺たち三人と深雪ちゃんで食堂へと向かった。あの騒動以降森崎たちは深雪ちゃんと距離を取っているのか、深雪ちゃんが避けているのかはわからないが、彼らが一緒に行動することは無くなった。それでも遠めにこちらを伺っているから気になるんだろうな。

 

 食堂へやってくると既にE組のメンバー四人が揃っていて、俺たちの分の席も確保してくれていた。

 

「あれ、深雪は達也君の隣じゃなくていいの?」

「はい。今日は宮守くんの隣に座ろうと思います」

「え?」

 

 エリカちゃんもなんで? という視線を俺に送ってくるが、俺が聞きたい。

 

「いいの?」

「俺に聞くな。深雪がそうしたいと言うなら俺は構わない。深雪に親しい人間ができるのはいいことだ」

 

 お兄様公認いただきました。ここまでくると兄妹で何か仕組んでるんじゃないかと疑いたくなるが、深雪ちゃんの方から近づいてきてくれるなら遠慮なくいかせてもらおう。

 四人用の席を二つ繋げて昼食を摂る。話題は今日から始まる新入部員勧誘週間についてだ。

 

「達也はクラブとか入らないのか?」

「俺は風紀委員があるから入らないな。深雪も生徒会で入らないし」

「そうなの?」

「ええ。ちょっと他に手が回りそうになくて」

 

 西城レオンハルトが達也に聞き、前に座る雫ちゃんが深雪ちゃんに問う。

 

「そういうあんたはどうなのよ」

「俺か? 俺は山岳部に入る予定だぜ」

「あんたらしいわね。ほのかと雫はもう入るところ決めてるの?」

「まだかなぁ、私はあんまり運動とか得意じゃないから」

「私は九校戦に関係するクラブに入るつもり。ほのかが良いなら」

 

 雫ちゃんは九校戦の熱狂的なフリークだし、前から九校戦の競技に関係するクラブに入りたいと言っていた。もちろんほのかちゃんと一緒じゃないと入らないとも言っていたけど。

 こういうところで会話を繋げてくれるのはいつもエリカちゃんだ。ムードメーカーというか気さくというか、頼りになる存在。エリカちゃんは気まずそうに俺にも聞いてくる。

 

「遥は? やっぱりほのかたちと同じクラブに入るの?」

「いや、俺はもう入るクラブ決めてるんだ」

 

 前から決めていた。すると興味を持ったのか隣に座る深雪ちゃんが声をかけてきた。

 

「どこのクラブに入るのですか?」

「美術部だよ」

「美術部……ですか?」

「はぁ~~!?」

 

 予想外だったのか深雪ちゃんやエリカちゃんが眉をひそめていた。司波達也も表情を変えないが俺の方に視線を向けてくる。ほのかちゃんと雫ちゃんには言ってあるからさほど驚いていないが納得していないような表情をしていた。

 

「なんで美術部なのよ!?」

「なんでって、こう見えて俺って絵の才能あるんだぞ」

「そうじゃなくて……あんたなら、もっと他の……」

「そうだぜ、遥って入試の実技試験で司波さんと同じ成績だったんだろ? だったらもっと活躍できるクラブがいいんじゃねーのか?」

 

 犬猿の仲だと思っていたエリカと西城レオンハルトが身を乗り出して説得してくる。ほのかちゃんと雫ちゃんもうんうん、と頷いているけど、美術部もいいと思うんだよな。

 ってか自分の入試の結果初めて知ったんだけど。本人が知る前に他の人が知ってるってどういうことだよ。

 この世界に個人情報保護法はないんですかね? ばりばり漏洩してるじゃないか。

 

「ハルカって実技試験の成績そんなに凄かったの?」

「雫は知らなかったの?」

「うん、遥言ってくれないから」

「俺も初めて知ったよ」

 

 どうせ真由美ちゃん辺りが司波達也に情報を流したんだろう。エリカと雫ちゃんが情報交換しているけど、俺も知らないことばかりだ。俺の論理が平均六十点だからって笑うなこら。

 まあ二人は小学生の頃から一緒に魔法の練習をしてきて俺の魔法力が低いことを知っているから、顔には出さないけど内心驚いているだろう。帰ったら質問攻めされそうだ。

 

「美術部と兼部できるなら考えるけどさ、俺って体育会系が嫌いだからなぁ」

「あんたって生意気だから年上の人とかに眼付けられやすいもんね」

 

 道場では年上の大人相手に酷い目に遭わされたからな。まぁそれで摩利ちゃんとお近づきになれたからよかったのかもしれない。

 

「そういや美月ちゃんは何部に入る予定なの?」

 

 俺への関心を反らそうと美月ちゃんに話を振る。まさか自分に話が来ると思っていなかったのか、食べていたものをのどに詰まらせていた。可愛いな。

 

「わ、私は……その、言いづらいんですけど、私も、美術部に入ろうと思ってて」

「そうなの?」

「うん」

 

 俺のせいで美術部が悪いような空気だったから言いづらかったんだろう。エリカちゃんも申し訳なさそうに美月ちゃんを見ている。

 

「じゃあ放課後一緒に見学いかない?」

「ふぇっ!?」

「俺も知り合いがいると心強いし、どうかな?」

「……わ、かりました」

「おっけーい。じゃあ放課後美月ちゃんのクラスに行くね」

「は、はい。よろしくお願いします」

「はい、お願いされました」

 

 美月ちゃんの胸を先に揉むのは俺だ。吉田君には悪いけど先に好感度を上げておくから。

 机の下で雫ちゃんに軽く脛を蹴られ「またナンパか」という視線を浴びながら時は放課後へと進んでいく。

 

 二人には複数の携帯化した石を渡しているし変なことに巻き込まれることはないだろう。一つ懸念材料としては二人が少女探偵団を結成しないかということ。ブランシュの連中に襲われるきっかけとなるし、結界があるけど気をつけてほしい。

 危険なことはしないと約束してるし彼女たちを信じるとしよう。

 

 午後の授業が終わり放課後になると、校舎の外が賑わいを見せていた。まるでお祭りかのように生徒たちが群がり始めた。

 

「うわぁ、噂には聞いてたけど、ウチの学校の新入部員勧誘週間ってホント凄いよねぇ……」

 

 ほのかちゃんが窓の外を見ながら感嘆と呟いた。確かに凄い。

 

「深雪はこれから生徒会?」

「ええ、これから七草会長に話を聞きに行くけど、勧誘期間だけでも追加予算の見積もりとか、修理の手配、苦情受付……色々あるみたいで」

「そっか大変だね」

 

 そう言い残して深雪ちゃんは生徒会室に向かった。俺も美月ちゃんを迎えに行かなきゃいけないし二人と別れて二科生の教室へと歩き始めた。

 

 廊下を歩いているとCADを身に着けた生徒とすれ違う。この時期は普段禁止されているCADの携行が新歓デモ用に許可されているため無法地帯となっている。学校側も入部率を高めて九校戦の戦績を上げたいから多少のルール破りも事実上黙認されているし、だから外部の組織に狙われるんだろうな。

 そこで風紀委員の出番となるのだが、一部の二科生からはポイント稼ぎと思われていて印象がよろしくない。

 

 何事もなくE組の教室の扉を開けると美月ちゃんとエリカちゃんがいた。他に生徒は誰も残っていなかったので警戒されることもなかった。

 

「あれ、なんでエリカちゃんもいるの?」

「美月をあんたと二人っきりにしたら何されるかわかったもんじゃないからあたしもついて行ってあげるのよ!」

「ふーん、そう言って実は俺と一緒にいたかったからじゃないの?」

「え、ちょっ、ちょっと……美月が見てるからっ!!」

 

 エリカちゃんを机に押し倒し、顎に手を添えてキスする体勢になる。頬が紅潮し、動揺しているが視線は反らさずじっと睨んでくる。

 

「美月ちゃんが見てなかったらいいの?」

「そういうことじゃっ……」

「……ふっ、ごめんごめん。可愛い美月ちゃんの反応が見たかったからエリカちゃんに協力してもらって演技したんだよ」

「ふぇっ、えええぇぇっ!?」

 

 美月ちゃんも俺とほのかちゃんが恋人同士なのを知っている。それでもなお俺とエリカちゃんがイケない関係だと本気で信じ切ってしまっていた。

 顔を真っ赤にして真に受けていたけど誤魔化せたと思う。

 

 エリカちゃんを起き上がらせる。エリカちゃんが俺の背中を殴ってきてるけどそれで許してくれるなら甘んじて受けよう。淑女を揶揄った罰は重い。

 

「後で覚えてなさい」

「楽しみにしてるね」

「っ……」

 

 後で何されるか楽しみだ。

 二人と一緒に文化部が集まる別棟へと向かう。美少女と巨乳がいるから勧誘してくるけど俺が殺気を放つとすぐに離れてくれる。

 

「こういうときに男子がいると便利よねー」

「お嬢様方を守るのが騎士の役目ですから」

「騎士ってガラじゃないくせに」

「失礼だなぁ、こう見えて俺は紳士なんだけど。ね――美月お嬢様」

「ええっ!?」

 

 跪いて美月ちゃんの手を取り、手の甲にそっと触れるだけの口づけをする。今の時代、跪礼をする日本人はまず見かけないし、するとしてもイタリア人くらいか?

 美月ちゃんは当然としてエリカちゃんまで頬を赤く染めていた。

 

「手が震えていますよお嬢様」

「ちょ、ちょっと、あんたねぇ」

「……どう? 騎士っぽかったでしょ?」

 

 あっけらかんとした態度を取るが美月ちゃんには刺激が強すぎたかな? 意識を別世界に飛ばして帰ってこない。

 

「遥って誰にでもそういうことしてるの?」

「可愛い女の子にしかしないよ。それで好きになった人としかエッチしないから」

「……そっ」

「だから俺の中でエリカちゃんは特別なんだよ」

「べ、別にそんなこと聞いてないわよ!」

「でも好きってこと伝えたいし」

「……」

「キスしてもいい?」

「駄目に決まってるじゃないの!」

「我慢できない」

 

 エリカちゃんの方へ歩くと、彼女は後ずさりする。二歩下がったところで壁にぶつかる。

 顔の横に両手をついて顔を近づける。

 

「いい?」

「す、好きにすればいいじゃないの」

 

 美月ちゃんはまだ立ったまま気を失っている。誰にも見られることはない。

 

「俺のこと好き?」

「……」

「好き?」

「きらぃ……んっ」

 

 最後まで言わせない。それに俺のこと好きなのは知っている。エリカちゃんを鑑定すると【好感度:MAX】と表示されている。これはほのかちゃんや雫ちゃんと同じ値だ。

 

「好きって言わないとキスするから」

「……きら、んっ……ちゅっ」

 

 昼に食べていたチョコレートケーキの味がする。俺は天丼を食べたけど『口内洗浄』してあるから匂いはしないはず。

 舌を絡ませるとエリカちゃんの手が俺の背中に回ってギュッと抱きしめてくる。学校でするキスは背徳感があってたまらない。

 

「んふぅ……あんたなんて、だいっきらっんぁ……ちゅぷっ、ちゅっ」

 

 唇を離すたびに悪態をつくのに、唇を塞げば必死に俺の舌と絡めてくるエリカちゃんが可愛すぎる。水音が廊下に響き渡る。

 さすがにこれ以上は危険かな。俺は冒険をしない主義なんでね。普段は真由美ちゃんが監視システムをハッキングして盗み見してる可能性があるからできないけど、この繁忙期であればその心配もない。

 

「好き?」

「……きら――」

「もうその手には乗らないから。最後に聞くね……好き?」

「……す、き」

「俺は愛してるよ」

「っ~~!!」

 

 最後に情熱的なキスをした。最後までしないところが俺の成長した部分かな。エリカちゃんの身体は火照っているだろうが、俺の知ったこっちゃない。その感情の昂ぶりは俺とヤる以外に解決方法はないけどどうするのかな。

 仮に俺以外の男とやったとしても、『寝取られ対策』とかいう能力のせいで何も感じないし、最後には俺の所に来なければいけないってのが悪魔の能力である。

 強気なエリカちゃんもいいけど甘えん坊のエリカちゃんも捨てがたいな。

 

「……はっ、あれ、エリカちゃんはどうしたんですか?」

「エリカちゃんなら他のクラブの見学に行ってくるって」

「そうなんですか」

 

 トイレで鎮めようとしても無理だからね。

 復活した美月ちゃんと俺は美術部のデモをやってる教室へとやってきた。教室の中央で数人の生徒が絵を描いていて、俺たちが教室に入ってくるのを見かけて一人の女子生徒が話しかけてくる。

 

「こんにちは。見学者?」

「はい。自分と彼女は入部も考えています」

「本当? 見ての通り部員は少ないけどみんな真面目に取り組む人ばかりだから気に入ってもらえると嬉しいな」

 

 見たところ男子生徒は一人もいなかった。女子生徒が七人。この人も合わせれば八人か。教室の端には俺たちと同じ見学者が五人ほどいるけど全員二科生で女子だった。

 美術部は写生班や写真班など幾つかの班に分かれていて自由に活動しているようだった。

 

「……あれ?」

「どうかしましたか?」

「君一科生?」

「はい、そうですけど」

 

 もしかして一科生お断りのクラブだったか? 差別意識を持つのは一科生だけではない。毎年新入生同士でいざこざがあると言っていたし、一科生に対して不信感を持つのは仕方ないことだ。

 

「……その白髪に高身長、もしかして宮守君じゃないよね?」

 

 美月ちゃんと顔を見合わせる。どうして俺の名前を知っているのだろう。

 

「そうですけど」

「えぇええええっ!!?」

 

 悲鳴に似た叫び声に、見学者のみならず集中して絵を描いていた部員の人までこちらに視線を送ってきた。美月ちゃんがビクッ、と身体を震わせていたけど、それだけで胸が揺れていた。エロい。

 

「俺の事、知ってるんですか?」

「知ってるも何も入学試験実技一位の君がなんでこんなところに来てるの!?」

 

 教室内が騒然としてしまったので俺と美月ちゃんは教室の外へと出た。先輩から話を聞くと、どうやら入試成績の上位者リストや競技実績のある生徒のリストが密かに出回っているそうだ。出所は不明だが、クラブの代表者や関係者たちはほとんど知っているらしい。

 クラブに所属している生徒が九校戦に出場し、いい成績を収めれば所属クラブの予算が増えるため、どのクラブも実技優秀者の勧誘が激しく毎年こういう騒ぎになっている。

 

 過去に実技成績優秀者が美術部含む文化部に入ったことはなかったらしい。文化部から九校戦のメンバーに選ばれるだけでも快挙だと声高々に教えてくれた。

 俺と美月ちゃんは入部届を提出したが、俺の入部届は保留とされた。来週まで考えが変わらなければ正式に受理してくれるとのこと。変わらないんだけどなぁ。

 

「大変でしたね」

「部長さんは歓迎してくれたけど、他の生徒がどう思うかだよね」

「宮守君はどうして美術部に入ろうと思ったんですか?」

 

 美月ちゃんと接点が欲しかったからだよ。なんて言えるはずもなく。

 

「昼にも言ったけど子どもの頃から絵を描くのが好きでね……あとこれはここだけの秘密にしてほしいんだけど……」

「はい」

「同人誌を描くのが夢なんだ」

「……へっ?」

 

 素っ頓狂な顔も可愛らしいね。感受性豊かで一緒にいて面白い。ほのかちゃんとも相性がよさそうだ。つまり雫ちゃんとも相性が良い。

 

「同人誌って知らない?」

「い、いえっ」

「この学校にもありそうだよね。風紀委員長渡辺摩利の男装同人誌とか人気ありそう」

「……たしかにありそうです」

「でしょ? よかった」

「え?」

「美月ちゃんと共通の趣味があって嬉しいな。よかったら連絡先交換しない? 色々話をしてみたいしさ」

「え、っと、はい。私でよければ」

 

 連絡先ゲット。こういうときイケメンってズルいよな。俺の知り合いはみんな性格がいい子ばかりだから見た目で判断しないと思うけど、第一印象って大事だよ。特に清潔感が大事だし、最近髪の毛が伸びてきたから切りに行こうかな。

 

 第二小体育館、通称闘技場付近で問題が発生したようだが、俺と美月ちゃんは関与することなく帰宅した。

 




最初この作品を考えていた時、何かクラブには入れたいと思っていて、美術部か山岳部に入れたかったんですよね。前者は美月と、後者は水波と接点が作れるので。
入学編で風紀委員や生徒会の選択肢はなかったですね。
美術部にしてよかったと思う展開が来るのでそれまでお楽しみに。

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