※この作品はR-18です。

魔法科高校の性春生活   作:八住 楓

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第2話 転生チュートリアル後編

 

 水道で血を洗いながらアイちゃんの言葉に耳を傾ける。

 

『おーし、じゃあ加護の説明に入るから手のひらにゆーの字を書いてくれー』

(ゆー?)

『ゆー!』

 

 もしもアイちゃんが美幼女だったら「ゆー!」と唇を尖らせているタイミングでチューしていたに違ない。それくらい遥という人間は犯罪者に一歩足を踏み入れた存在なのだ。

 転生は人を変態にさせる。Q.E.D証明終了。

 

 遥は右の手のひらに最初「ゆ」の字を書くが何も起きず「U」の字を書くと視界を埋め尽くすほどのゲームステータス画面のようなものが表示された。

 

・ステータス(チュートリアル版)

名前:宮守 遥

種族:人間(サイコパス)

性別:男

年齢:18

性欲:65

経験人数:0(10)

経験回数:0

ポイント残高:∞

ポイント一覧:→→→→PUSH←←←

・能力設定(性)

・能力設定(魔法)

・能力設定(その他)

・獲得能力一覧

・必須事項

 

(なんだこれ!?)

『これが性神様より賜れたご加護の力だー!!』

 

 じゃじゃーんと効果音が付きそうなほどアイちゃんは身体全体を使って大の字を作りながら遥の左肩に乗った。

 

『この画面は相棒にしか見えないようになっていてさっきの動作をすればいつどこでも表示されるぞー。消したい時は名前の部分を押せば消えるからなー』

(なるほどね)

 

 それぞれの文字をタッチすることで説明文が表示されるようになっている。

 例えば『種族』を押すと「人間。性神様の使者」と表示され、『年齢』を押すと「チュートリアル年齢です」と表示される。

 

(チュートリアル年齢ってなんだ?)

『チュートリアル用に用意された仮の身体ってことだー まぁ生まれ変わって十八歳になったときの身体って思っとけばいいぞー』

(じゃあこれが未来の俺の身体ってこと?)

『何事もなければなー』

 

 既に生前の宮守遥と現在の宮守遥の姿は違っていた。暴飲暴食やでたらめな生活をしない限り現在の容姿が適用される。

 

 一つ遥にとって不本意なのは前と名前が変わっていない点。初恋の相手が同じ「はるか」という名前でフラれた経験から自分の名前が好きではなかった。

 

 

『説明しなくても自分で確認してほしいんだけど注意してほしいところだけかいつまんで説明するぞー。まずは『性欲』についてだー』

 

 かいつままないで全部教えてほしいと思ったがアイちゃんには伝わらなかった。

 指示通りに『性欲』をタッチすると画面が切り替わる。

 

『性欲値:65(現在の数値)』

0→賢者タイム:性欲が全くない状態です

1~30→通常時:全く気にならない状態です

31~60→半立ち状態:多少目立つ程度です

61~89→興奮状態:勃起状態です。興奮しています

90~100→無双状態:理性を失います

 

 このように表示される。真夜に気づかれないよう遥はさりげなく自分の股間を触ると勃起していることからこの表記が正しいことを表している。

 

 前世での遥はロリコンではなかった。いきなり胸を揉んだりキスするような人間でもなかったが、性神様の加護を与えられた人間は自然と思考の最初に性について考えるようになり、興奮しやすくなってしまう。

 さきほどまでの真夜とのやり取りで性欲値が急上昇してしまっていた。もう少し性欲値が上がれば真夜に対してあんなことやこんなことをしていたかもしれない。

 

『九十以上つまり無双状態になるとその時一番近い女を襲っちゃうから適度に発散させとけよー』

(ちょっとまて、襲うって……)

『そのまんまの意味だなー。うーんわかりやすく言うとレイプするってことだぜ! いくら相棒が理性を保とうとしても身体が勝手に女を襲うようになるんだぜー』

(一大事じゃないか!)

『だから適度に発散させることが大事って言ってるだろー。特に相棒は性欲が上がりやすくて下がりにくい体質みたいだからうまく付き合っていけよー』

(……どうすれば性欲が下がる?)

『やっぱり一番は性行為じゃないかー? 一発で十程度は下がると思うぞー。ちなみに自慰行為だと一回で五くらい下がるぜー』

(たったそれだけ?)

 

 最低五回戦が約束された瞬間だった。

 

『性神様に感謝しろよなー』

(悪魔に思えてきたよ……)

『まぁまぁ、異性に触れたりキスでも下がることはあるから後々試してけー』

 

 逆にそれらの行動によって性欲が上がることもあるのだがそれは遥の性欲次第だろう。

 

「水飲む?」

「水の中に何を混ぜるおつもりですか?」

 

 まるで信用がない。

 

(当然なんだけどな……それにしても彼女を誘拐した奴らはどこにいるんだ? チュートリアルが終わるまで来ないとか?)

 

 見張りすらいないとは不用心だなと思いながら遥は目の前の画面をのぞき込む。

 

『あと説明した方がいいのは必須事項くらいかなー』

(必須事項?)

『あぁ、言葉通り必須な事柄が書かれてるはずだー』

 

 『必須事項』をタッチすると以下のことが表示される。

 

◎ウィークリーミッション

◎必須ミッション

◎???

 

(これは?)

『げーむやったことあるだろー?』

(ああ)

『それと似たような感じだなー。相棒にはミッションが与えられてそれをクリアするとボーナスが貰えるんだぜー』

 

 『ウィークリーミッション』は一週間のうちに三つミッションが与えられる。「女性と手をつなぐ」「女性と腕を組む」など似たようなミッションがあれば「魔法による殺傷行為十回」「銭湯で女湯に入る」など難易度の高いミッションまで様々なものが設定されていて、どれをやるかはすべてランダムで決まる。そのため同じミッションが二週続けてきたり、永遠にこなかったりする。

 ミッションをクリアしなくても特に罰のようなものは存在しないため完全にボーナス扱いとなっている。

 

『気を付けてほしいのは必須ミッションの方だなー』

 

 ウィークリーミッションはその週が来るまでどんなミッションが与えられるか不明だが、必須ミッションの欄を表示すると一つだけミッションが書かれていた。

 

【高校卒業まで10名の女性と性行為】

 

(……は?)

『これをクリアしないと大変なことになるから気をつけろよー』

(大変なことって?)

『世界が崩壊するだとかバイオハザードな世界になっちゃうーとか色々だ!』

 

 『魔法科高校の劣等生がバイオの世界で生きてみた』なんてカオスな世界になりそうである。

 

『まぁ一番大したことがないのだとお前がムキムキな男たちにお尻を開発されちゃうとかだなー』

(よしこのミッションは絶対クリアしよう)

 

 宮守遥は男色の気はないようだ。クリアすることを心に誓った。

 

『これもクリアするとボーナスが貰えるから頑張れよー』

(十人っていうのは誰でもいいのか?)

『一応「魔法科高校の劣等生」に関係する人物が対象になってるなー』

(なかなかハードルが高いな)

『加護を有効活用すれば楽勝だぜー。と手っ取り早くこの場で一人目抱いてもいいぞー』

(……さすがにやめとく)

『むぅ、ざーんねん』

 

 遥のタイプの女性は『自分に尽くしてくれる子』である。純愛を好むがレイプや寝取り、寝取らせることも厭わない男女間の恋愛ごとに関しては寛容な男であった。

 「愛のないセックスも萌える」と言うくらいには屑でもある。

 

『ステータス画面の説明も終わったことだし今回説明しなかったものについては生まれかわってから確認しろよなー』

(能力設定の『性』とか『魔法』についての説明は?)

『あとから自分で確かめろー もしそれでもわからないことがあったらまた呼んでくれー』

(また呼べるのか?)

『おうよ! でもポイント使うからご利用は計画的になー』

 

 そう言うとアイちゃんは両手を前に出し白い冷気のような光を放つ。眩い光に遥は目を反らすがすぐにその光は止んだ。

 

(今のは?)

『宮守遥。これが最後のチュートリアルだ。よぉく聞けー 相棒には二つの選択肢を与える。どちらを選択するかは相棒の自由だ。この選択によって相棒の進む未来が決まるかもしれないからしっかり考えるんだぞー』

 

 遥の目の前に二つの選択肢が表示された。

 

【四葉真夜を守る】【四葉真夜と一緒に戦う】

 

(これは……?)

『さぁてどうするー?』

 

(前者は誘拐犯から彼女を守るってことだよな? それで後者は彼女と一緒に誘拐犯と戦うってことか。彼女が俺と一緒に戦うか?)

 

 既に真夜は臨戦態勢が整っている。遥に向けてだが。

 

(たとえ協力関係が結べたとしても俺は魔法について素人だ。いくら加護があるっていっても力になれそうにない。彼女の足を引っ張るくらいなら……決まったぞ)

『おっ、どっちにするんだー?』

「四葉真夜を守る」

「え?」

「んっ……?」

 

 無意識のうちに声に出していた。真夜は口元に大量の血痕を付けながら怪訝そうな表情を向けてくる。彼女も遥の雰囲気が変わったのを察したようだが確信はなかった。

 

『よぉおおおし! 命を懸けてでもお前だけは守ってやる! 相棒の覚悟が聞けたところでアイちゃんから特別なプレゼントを贈呈したぞーどんどんぱふぱふー、さっきの画面から『獲得能力一覧』を開けー』

 

 音符の効果音が付きそうなほどテンションが高い。もしかして前者を選択したことを喜んでいるのかもしれない。

 

(……で、この『アイちゃんオリジナル結界魔法』ってのがプレゼント?)

『おう! この世界で勇敢な選択をした相棒にしか使えない特別な魔法なんだぜー』

(どんな魔法なんだ?)

『外部からの干渉を一切遮断。この世界に存在するありとあらゆる事象の通過を許さない完全防壁なんだぜー』

(な、なんだってー!?)

『むぅー、さすがに僕も傷つくぜー?』

(わ、悪い)

『座標を指定することでその場所に結界を発動させ、内部からしか干渉することができないすごーい魔法なんだ!』

(……凄そうってことだけはわかった。けどそれって例えばファランクスとは違うのか?)

 

 魔法科高校の劣等生で代表的な防壁魔法といえばファランクスだろう。

 

『ファランクスより凄いってことだ!』

(うんわかった。聞いた俺が間違いだったよ)

『おぉう! この魔法は『獲得能力一覧』からいつでも発動可能だから操作できるよう慣れとけよー 今回はチュートリアルスペシャル設定にしておいたからすぐ発動していいぞー』

(この『結界魔法』を押せばいいんだよな?)

『そうだぞー』

 

 遥は指示の通りに『結界魔法』の文字をタッチした。するとタイムラグなく四葉真夜を縛り付けた手術台を中心にオレンジ色の薄い膜が球状に発生した。

 

「これ、は?」

 

 突如現れた謎の膜に真夜も驚きを隠せない。狼狽した呟きが遥の耳に届く。

 

「驚いた? 胸を触ったりキスしたお詫びと言ったらなんだけど、この中にいれば安全らしいよ」

「魔法師だったのですか?」

「……うん」

「それにしては起動式など見受けられませんでしたが」

「……俺はBS魔法師だからね。それくらい造作もないことだよ」

「CADは? いえ、必要としない能力者なのですか」

 

 真夜の問いを無視してステータス画面へと視線を向けている。魔法について素人である遥には答えようがなかった。

 

(本当に彼女を守れるのか?)

『安心しなー、この世界の人間にはこの結界をどうにかすることは不可能だぜー。性神様のお墨付きだぞー!」

(とりあえず信じるけどさ)

『あーそうそう、この結界の発動中は一時間につき性欲値が一上昇するから気を付けろよー』

(はっ?)

『最強魔法が何の代償もなしに発動できると思ってるのかー? それなりの代償は支払ってもらわないと困るからなー』

 

 本来であれば発動することすらできない神の魔法ともいえるそれ。性欲値が一上昇するだけで済むならお手頃である。それもこれも性神様の加護があってこそだが。

 

(……結界発動中も性行為や自慰行為すれば性欲は下がるんだよな?)

『もちろん! 実質無限に発動できるな!』

(ウンソウダネ)

 

 遥はテクノブレイクで死ぬことはないため無限に発動発射可能だ。

 

『今回はチュートリアルだから性欲値が上がることはないから安心しろー』

(ありがたい)

『それで今回はチュートリアルスペシャル設定にしてあるからこいつの仲間が助けに来るタイミングで結界が解除される設定になってるけど、本来は相棒が自分で発動の設定しなきゃならないから考えて発動しろよー』

 

 遥がその場にいれば直接結界の発動や解除が可能だが、発動場所が遠隔地だった場合は座標と時間を指定しなければ発動することはないし解除されることもない。こればかりは慣れるしかないのだが遥に使いこなせるのかは不明である。

 

『あと言うことあったかなー、何か質問あったら答えるぞー。あるならもうすぐチュートリアルも終わるし手短になー』

(じゃあ一つだけ。彼女は結界に守られるって言ってたけど食べ物とか水はどうなる? 助けが来るって言ってもたしか三日ほどかかったはずだしその間飲まず食わずってわけにはいかないだろ)

『あー、それはこの結界内にいれば大丈夫だぜー。その辺りも結界の発動設定で調整できるようになっているからこいつが飢え死んだりすることはないぞー』

 

 まさに神の技。他にも治癒能力を備えたり成長促進などの効果も付加できる。この結界内にいれば永遠の寿命を手に入れることも可能なのだ。それも遥の性欲と寿命次第だが。

 

(ありがとう。最後に、彼女と話がしたいから少し時間をもらえる?)

『おっけー、じゃあ僕は帰還の手続きをしてるから用が終わったら呼べよー』

 

 そういうとアイちゃんは消えた。二人っきりにしてくれる優秀な相棒だ。

 

「四葉真夜、さん、だったよね」

「はい」

「さっきまでの無礼ごめんね? もし今度会っても許してね?」

「……それは、この魔法について説明していただけるなら考えます」

 

 司波達也の目を以てしてもこの結界を見破ることは不可能。ゆえに真夜が興味を持つのは当然ともいえる。

 守ると言われてもこれまでの行動から到底信用できる代物ではない。

 

「うーん、説明って言われてもいま教えられることはないからなー」

「それはどういう――」

「もし君が無事ここから出ることができてまた会うことができたら、その時はきっと教えてあげられるかもね。あぁ、もう時間のようだ。じゃあまたね! 無事だったらお礼にもう一回チューしてねー」

 

 支離滅裂な遥の言動。この出会いが後に彼らの人生を大きく変化させることになるとは思いもしないだろう。彼女の身体に自分の着ていたジャケットを被せ、遥は入ってきた扉をくぐると再び天界へと帰還した。

 

 

 




補足1
ステータス画面の表記の時だけ数字で表記します。それ以外は基本漢数字で表記したいと思います。

補足2
『結界魔法』について。
結界内は外部からの干渉を一切受けないなら結界内の空気、二酸化炭素や酸素とかはどうなってるの?
『座標』を指定することで、その座標内に小さな天界を誕生させることが可能になります。
『結界』とは「聖域と俗域を分ける」という意味があり、この場合の聖域は天界(結界内部)俗域は地上世界(外部)のことを指しています。
天界から地上世界に干渉することはできる(今回でいう遥がこの世界に転生されるように)が、地上世界から天界に対して干渉することは不可能です。(遥であれば性神様と連絡くらいは取れるかもしれないが、天界に対して何かすることはできない)
ということは、結界を隔て内部と外部では別々の世界が存在してるということになり、地上世界から天界に対し干渉できないように、結界の外部から内部に対して干渉することが不可能であるため破壊されることも何かを通過させることもできない。(司波達也の分解も意味をなさず、四葉真夜の流星群も通さない)
また結界内部(天界)から外部(地上世界)に対しては干渉することができるため、内部からの攻撃だったり外部への移動は可能となっている。(結界の内部から腕だけを出してしまったら再び内部に引き戻すことはできない。他の部位も同様。指一本であろうと結界外部に出てしまえば無理に内部に戻そうとすれば外部に出ていた部位が切断されてしまいます。
質問の答えだが、地上世界の酸素や二酸化炭素などの気体も結界を越えて内部に入ることはできない。しかし内部にいる人間は天界にいると同義であるため、酸素や二酸化炭素が無くても呼吸することができます。つまり天界には地上世界と同じような酸素などの気体が存在しているのか!? もしこれを証明することができたら何かの賞が取れそうです(笑)
同様に天界にはそこにいるだけで栄養が取れたり治癒能力が付加される場所があるというご都合主義設定になっているため、結界の設定次第ではそのような能力も付加される。
また敵側が魔法発動座標とする魔法を結界内に発動したとしても、結界内は本来であればこの世界に存在していないわけなのでその魔法の座標も意味を成さず意味がない。
結界魔法と呼んでいるが空間魔法だったり転移魔法と呼ぶこともある。
アイちゃんが天界で作った魔法なので妖精魔法と呼べるかもしれません。
結界を解除した後、天界が無くなり元の世界に戻るため周囲への影響もない。だが天界と地上世界の重力は異なるため結界から出た後は違和感を抱くかもしれないが数日程度結界内にいただけなら副作用はない。身体が怠い、重いと感じることはあるかもしれない。
応用としてマジックミラーの効果や完全防音部屋として活用できる。
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