八月一日。
いよいよ九校戦へ出発する日となった。
遥はいつもより早く目を覚ました。
冷房のかかった部屋。最近は新たに空気清浄機を購入し、目覚めと共に汗や精の匂いが香ってくることもない。
心身ともに最高の状態での起床。今日が試合当日であれば他を圧倒し、手が付けられなかったかもしれないが、生憎新人戦は本戦の後に行われる。遥が初戦を迎えるのは六日後の予定だ。それまで遥の調子が下り坂にならなければいいが。
「っぁ」
遥の腰が震えた。
濃厚な快感が下半身に迸り、そのままカクカクっと腰を浮かせながら痙攣した。
「んぐっ……っ、ん……ゴクッ、ん」
「ふはぁ……おはよう、ほのかちゃん」
「んふぅふふぃまふっ」
目覚め一発目はパイズリフェラからの絶頂。
遥は自分の身体の方へ視線を向けると、反り立つ肉棒を口いっぱいに頬張りながら喉を鳴らすほのかの姿が映った。
夏真っ盛りの今の時期は胸の谷間にも汗ができ、それが潤滑油の役割を果たすことで唾液とは違った心地よさが生まれる。
他にも最近だと遥は、膝立ちの状態でパイズリをさせている。
胸を性器に見立てて肉棒を包ませるようにピストン運動を繰り返し、二つのマシュマロの中で射精すると大量の精液がほのかの谷間から臍の方へと垂れてくる。その淫靡な光景を見て喜悦に浸っているのだ。
ほのかは臍に垂れてきた精液を指ですくい、見せつけるように舌の上で転がすのだから遥の性格をよくわかっている。
激情に駆られた遥はそのままほのかを押し倒し、ほのかの精魂尽きるまで犯し続ける。
昨夜もほのかが気を失うまで野獣のごとく腰を振っていた。
安らかな顔で眠るほのかだったが、一晩経てばこうして精液を求めているのだからほのかの性欲は底知れない。
あれほどまでに乱れていたのに、今は満面の笑みを浮かべて遥の肉棒をむしゃぶりつくしている。
「こっちおいで」
「んぅ?」
「キスしよ」
「ふぁいっ!」
ほのかはわざとそのまま真っ直ぐ遥の身体の上を滑らせながらよじ登る。
遥の胸にほのかの胸が押しつぶされている。むにゅっとした柔らかな弾力を感じながら、遥はほのかの髪の毛を梳いていく。
「んふっ」
二人は服を着ないまま眠ってしまったため、直接肌の熱が伝わってくる。互いに互いの胸の鼓動を聞きながら二人だけの世界が出来上がった。
「はるくぅん」
「ほのかちゃん」
ほのかはキスしようと顔を近づけるが、ハッと思い出したようにベッド横に置いてある『口内洗浄』の液体で口を濯いだ。
「キスしてもいいですか?」
「キスする前に俺もそれ貰おうかな」
「はいっ、それじゃあ口移しで飲ませてあげますね」
柔らかな唇から爽やかな息吹が注がれる。
唇の端から上手く口移しできなかった液体が零れていくが、二人は気にすることなく唇を啄みあう。
液体がほのかの口から遥の口の中に移し終えると、ほのかの顔が喜びにあふれる。
「えへへへ」
「どうした?」
「んふっ、はる君かっこいいなぁって思って」
「そう? じゃあかっこよく決め顔しちゃおうかな」
「ふふっ、かっこいいですっ」
相手がエリカや雫ならツッコんでいただろう。しかしほのかはその二人とは違って純粋過ぎる一面がある。遥の恋人の中では一番性欲が強くエロいが、一番純粋でもあった。
思っていた返事が来なかった遥は、頬をあげて照れながらも照れを誤魔化すようにほのかの唇を味わう。
「ちゅっ、はる君の唇柔らかいです」
「ほのかちゃんの唇も柔らかいよ? それにすごくなめらか」
「ん~、自分の唇はわからないです」
「いいんだよ。俺だけがわかってればいいんだから」
「……はいっ、私ははる君だけのものですから」
「俺も、ほのかちゃんのものだよ」
「えへへ、嬉しいですっ」
唇と肌の触れ合いにより欲情してきたほのかは、再び唇を重ねると舌を絡めだした。
甘い水音に包まれる。
キスだけでは満足できなくなり、遥の身体の上で自分の身体を前後に揺すり始める。
「んぁっ、クリトリスがこすれて、きもちいぃです。んっ、ぁ」
遥の勃起した肉棒がほのかのクリトリスを刺激する。擦れるたびに喘ぎ声を発し、艶やかな吐息が部屋全体へと広がっていく。
今日は九校戦の会場に移動する日だというのに情痴の限りを尽くそうとしている。
「ぁん、ここっ……いぃっ」
「挿入てもいいんだよ?」
「ンぅっ、でも……いれたら、声我慢できない、んっ、です」
「あぁそっか、雫ちゃんが起きちゃうね」
遥の隣では肌が透けた水色のネグリジェを着ながら可愛らしい寝息を立てる雫の姿があった。雫も昨夜はほのかが倒れた後も遥と交じり合っていたため深い眠りについている。
雫は朝が弱い。故に無理やり起こされたり、眠りを妨げられるのを嫌う。
前に一度雫が横で眠っている中、遥とほのかが性行為を行い雫を起こしてしまったことがある。その時の雫の不機嫌そうな顔は今も二人の脳裏に焼き付いている。あの沈黙で不服を表した表情は一生忘れられないだろう。
遥が雫を宥めることでその場は落ち着いたが、その時から二人は雫が横で眠る時は騒がないことを誓った。
しかし二人には他の部屋に移って続きをするという選択肢はなかった。
「ホテルに着くまで我慢できる?」
「……わかりません」
「じゃあ一回気持ちよくなろっか?」
一回で済むはずが無いのは遥も承知の上。しかし我慢して爆発する恐ろしさを一番知るのも遥である。
「声が出そうになったらキスしていいからね」」
「はぃ」
ほのかは遥の身体の上で上体を起こした。
腰に跨っているせいでほのかの亀裂が遥の勃起した肉棒を挟み込んでいる。ほのかのそれは菱形に口を開けて、濡れ光ったピンク色の粘膜が露呈していた。
既に蜜を塗りたくったように濡れ、淫猥でありながら上品に遥の肉棒を飲み込もうとしている。
「ぁっ、はるくんのっ……ふとくて、おっきぃの……んんんぅっ、しゅきっ」
「ほのかちゃんの中、すごく熱いよ」
「んんっ……はるくんのおちんちんも……あつくてぇ、ぁ、キモチィィッッ」
ほのかは声を漏らしながら腰を浮かせ、遥の肉棒の根元を握ったまま腰を下ろした。一気に巨大な肉棒をすべて飲み込むと、グリグリと恥骨を擦り付ける。
「おくまでぇ……ぁぁっ、すごぃの……はるくぅん」
「あまり声出しちゃだめだよ」
「ダメダメっ、そんなのむりですっ……ぁ、ぁ、っ、んぅぅっぅ!」
ほのかは騎乗位の場合、上下に腰を抽送するよりも肉棒を全て飲み込んだ状態で腰を前後に動かすのを好む。その方が一番奥とクリトリスが同時に刺激されて気持ちいいらしい。
これに乳首を加えた三点責めをされるとほのかは絶頂に達する。
遥はほのかの思考を読み取り、乳首へ手を伸ばした。ほのかは切望の眼差しで遥の手の動きを目で追う。
そして満悦の笑みを浮かべる。
自分のしてほしいことを遥はしてくれる。言葉にせずとも僅かな変化を感じ取り、自分を快楽へと導いてくれる存在。
信頼と愛情が依存へと変わり、ほのかは遥に対して従順の意を示す。
遥は親指と人差し指で軽く薄桜色の突起物を摘まんだ。
「イッッッ……ンンンうぅぅンンンッッ!!!!」
絶頂。
ほのかは官能の咆哮をあげる前に遥の唇を喰らった。僅かに残った理性が爆発寸前で塞がれる。
両手で遥の頬を包み込み、髪の毛を掻きむしりながら随喜し、身悶えた。
情熱的なキスは倒錯の悦楽感を生む。
上下の唇が繋がれた状態で、遥の身体にまで伝わるほど全身を激しく痙攣させる。
「んんぅっ!? んんっ、んっ、ンンンんぅぅぅぅッッッ!!!」
ほのかだけ達するのはフェアではない。遥も寝起きに一発出したとはいえ口の中と膣の中では快感の度合いが違う。
ほのかの痙攣収まらぬ中、敏感になったほのかの膣壁を、雁首で削り取るように激しく抽送させる。
イッたばかりのほのかは内股になって遥の肉棒を拒もうとするが、快楽の第二波がほのかの防波堤を崩壊させた。
「ああっ……出るよっ……!」
「うんうん……いいですよっ……私も……もぅ、あぁっ、イッちゃうっ、イクイクッ……アァッッ、ぁぁぁあああっっ!!!!」
総身が電流を浴びたようにビクビクッッ、と痙攣し、細い喉元が折れるように後ろに伸びきった。
たちまち肉棒が膨らみ精液を噴出させ、ほのかの中を満たし、膣奥まで到達させた。
結局声を抑えきれずに喘ぎ狂った。
案の定雫は目を覚まし、目覚めて最初の光景が二人が同時に絶頂する瞬間だった。呆れてモノも言えないとはこの事。
質の高い睡眠ができていたのか、起こされたというのに雫の表情は涼し気に見えた。
しかし自分だけ除け者にされてご立腹の様子。
「今日のバス移動、遥の隣は私ね」
ほのかがイキ疲れで反抗できないのをいいことに、ちゃっかりバスの席をほのかと交換していた雫だった。
現在、七草家には思わぬ人物が来訪していた。
七草家当主七草弘一とその長女真由美の前には「最高にして最巧」と謳われ、「トリック・スター」の異名を持つ九島烈が鎮座している。
異様ともいえる光景。暗澹とした雰囲気の中、九島烈は口を開く。
「こっちに用があってね。立ち寄らせてもらったよ」
「そうですか、わざわざ遠いところからご足労いただきありがとうございます」
七草弘一といえど師の前では頭が上がらない。
「それで今日は何の御用で? 挨拶だけというわけではありませんよね」
真由美は身体中に冷や汗をかきながら二人の会話に聞き耳を立てる。夏の暑さによるものではない。部屋は充分冷房がかかっており、少し肌寒いとさえ感じる。だが、息をするのも憚られるほどの重苦しい雰囲気に真由美の喉は砂漠と化していた。
今日は九校戦の会場に移動する日。真由美も指定された時間に間に合うよう準備し、出かけようとしていたところに烈がやってきた。
弘一は真由美に同席するよう言い、真由美は摩利に先に行っておくよう伝えたつもりだったが、彼らは真由美を待つ選択をした。
彼らを待たせていることに焦りながら、父親がすぐに本題を切り出したことに心珍しく心の中で父を誉めた。
「最近真夜とは会っているかね?」
「四葉真夜でしょうか?」
「そうだ」
「二年前の師族会議以来会っていませんね」
真由美は眉を顰める。何故この場で四葉家の当主の名前が出たのか皆目見当がつかないでいる。しかしすぐに明らかになる。
「最近彼女と会う機会があってね。その時に人を探していると相談を受けたんだ」
「人を、ですか?」
「ああ。その時はその人物の名前には心当たりがなかったんだが、つい先日九校戦の出場選手の一覧を見ている時にその名前を見つけてしまってね」
真由美の心臓の音が大きくなっていく。
「一高の出場選手の中に、真夜が探している人物と同じ名前を見つけた」
弘一は目を見開いた。
彼は幼い頃に右目を負傷し義眼を使用しているのだが、その違和感を隠すためにレンズの色が濃い眼鏡を身に着けている。そのため弘一が驚いている事に気づかれることはなかったが、隣に座っていた真由美には父の動揺が伝わってきていた。
「そこでその生徒について聞きたいことがあって訪ねたというわけだ」
烈の目が真由美に向けられる。真由美は心臓を掴まれたかのような錯覚に陥り、一度深呼吸して机の上の紅茶に手を伸ばす。
「その方のお名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
声は震えてはいなかった。
国立魔法大学付属第一高校、生徒会長七草真由美として、烈と対峙する。そこには弘一の助けが介入する余地はない。
「みやもりはるか」
そして再び真由美の心臓が大きく跳ねた。身体中の水分が沸騰するように熱が帯びる。
「そう真夜は言っていた」
真由美の初めてのキスを奪った相手。摩利の浮気相手で、何股もしている最低男。年下の癖に生意気で、真由美が最近意識している相手の名前。
「彼について知っていることを教えてほしい」
同姓同名の別人を探しているかもしれない。しかし偶然にしてはできすぎている出来事に真由美の喉が鳴った。
「彼は、宮守遥という生徒は……」
真由美は感情を押し殺し本当の気持ちを悟られないように、嘘偽りのない、客観的な目線で見た宮守遥という人物に対する言葉を陳列していく。
弘一は真由美の態度に疑問を抱きながら、娘の口から発せられる宮守遥という男の人物像を作り上げていく。
「以上が私が知っている事です」
「ふむ、その少年は今年入学してきた高校一年生なんだね?」
「はい」
「……別人か?」
真由美は烈が呟いた言葉を聞き逃さなかった。
「どうしてそう思われるのでしょうか?」
烈は悩んだように顎に手をやり、しばらく考えたのちに口を開いた。
「彼女は命の恩人だと言っていた。もう一度会って感謝したいそうだ。なのでね、真夜が命を助けられたとなると……」
烈と弘一は同じ事件を頭に浮かばせた。真由美はまだ生まれていない時の事。その真由美よりも年下の遥が真夜と関われるわけがないと、弘一は興味を無くしたように紅茶を口に含んだ。
それからしばらくして烈は七草家を去った。既に二時間近く経ち、真由美は急いで家を出ようと玄関へと走る。
「真由美」
弘一が呼び止める。
「念のため、九校戦中は宮守遥という男の傍にいなさい」
その言葉の意味が分からない真由美ではなかった。言われなくてもそうするつもり、とは返すことができず、真由美は「イエス」とも「ノー」とも答えず家を出た。
九島烈や七草弘一の口調については勉強不足ですので違和感がありましたらコメントお願いします。
【次回投稿は1月27日19時予定です】
現在は週3~4投稿と言っていますが、2日に1回投稿だと思ってください。実質週3~4投稿ですし。