※この作品はR-18です。

魔法科高校の性春生活   作:八住 楓

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遥視点

次回から物語が進みます。


第81話 深雪の疑念

 ミッションの欄には『ウィークリーミッション』の他に『期間限定ミッション』が表示されていて、【九校戦期間中、新たに女性一人と性行為しろ】という項目の隣に【達成済み】と印が付いていた。

 

 ミッションは真由美ちゃんと性行為したことで達成され、新人戦が始まる前夜にミッション達成報酬が送られてきていた。

 報酬は【この世界に存在する魔法一つをプレゼント】というものだった。

 

 俺は獲得したポイントを使えば自由自在に魔法が使えるようになるが、所謂この世界の「強い魔法」だったり「秘術と呼ばれる魔法」が使えるようになるためには莫大なポイントが必要になってくる。

 例えば俺がアイス・ピラーズ・ブレイクの予選で使った「共振破壊」はおよそ五千ポイントで使用できるようになる。

 「女性を口説く」事で獲得できるポイントが三ポイントという事を考えると、それだけで魔法を覚える事の難しさが伝わってくるだろう。

 

 まあ魔法力を上げることで魔法が使えるようになるから魔法単体を買うのはポイントの無駄だ。「共振破壊」だって五千ポイントで買うよりも魔法力を上げて自力で使った方が安く済むし、雫ちゃんと一緒に練習できたことを考えれば一石二鳥とも言える。

 

 だが今回は報酬として無料で魔法一つが貰えるというわけだ。この世界という事は一条将輝の代名詞でもある『爆裂』や会頭の『ファランクス』。他にも『分解』や『再成』、『精霊の眼』だって選択肢に入ってくる。

 タダで貰えるからにはできるだけポイントの高い魔法を貰った方が得なんじゃないか、という前世からの貧乏性が出てしまったが、冷静に考えてみるとそんな物騒な魔法は必要ない。

 分解や再成なんて使った日には、これまで友好的な関係を築けていた深雪ちゃんから距離を取られるに違いない。もしかして生き分かれたお兄様!? なんて思われて迫られるかもしれないが、俺はそんなに楽天家ではない。

 間違いなく問題になるだろうし、十師族の秘術も争いの火種になるだけだからありえない。

 

 このタイミングでこの報酬。

 

 隣で雫ちゃんとほのかちゃんが眠る中、俺はとある魔法を選択した……。

 

 

 

 

 

 あーちゃん先輩には申し訳ない事をしたなと思っている。九校戦中に一からCADの調整を頼み、そしてつい先ほど調整が完了した。

 あーちゃん先輩は疲れ切った表情で夕食会場へと歩いて行ったが、今度癒しのオイルマッサージでもしてあげよう。そう思いながら魔法の練習を始めた。

 

 宿舎が軍の施設という事もあって宿舎近くに魔法の訓練場があったのは僥倖だ。もしかしたら練習風景が見られているかもしれないため、認識阻害の結界を展開させての試運転。

 

 夕食の時間など忘れて新魔法の練習に没頭してしまっていた。結界内に人が入ってきたのにも気づかず完成した魔法を発動。空雷音を爆ぜさせながら、恋人の声が鼓膜を揺さぶったことでようやく彼女の存在に気づいた。

 

「なに、ソレ」

「……ん? あぁエリカちゃんいたんだ、全然気づかなかったよ」

 

 脱力感におそわれながら額の汗を拭う。

 エリカちゃんは訓練場の端の方で頓狂な表情をしていた。

 

「今の、魔法……あ、いや別に答えなくていいわ」

 

 エリカちゃんは原作で四葉と司波達也の関係性に気づいて竜の逆鱗に触れたエピソードがある。勘が鋭いのだろう。俺の異常さを見て慌てて口をつぐんだ。

 

「対一条将輝用の魔法だよ。まだ練習中だけど、この威力なら合格点かな」

 

 今の俺は結界魔法無しでは一条将輝の干渉力には勝てない。相手の氷柱を壊す手段が結界魔法しかなかったが、この魔法なら対抗できるに違いない。

 

「あたしに話しても言いわけ?」

「もちろん。エリカちゃんは俺の大切な人だからね」

「……ふん」

 

 エリカちゃんは給仕の格好をしていた。メイド服とも言えるが、俺が興奮するから着てくれているのだろうか。

 

「明日の試合で見せるつもりだったけど、皆には内緒ね?」

「言わないわよ。そもそもなんて説明すればいいかわからないわよ」

 

 ツンとした表情がたまらなく俺の下半身の熱を昂らせていく。

 

「でもどうしてここに?」

「ほのかが夕食会場に来ないって心配してたから見に来たのよ。もうすぐほのかも来るんじゃない?」

 

 少し遅れるとは連絡したが、魔法の練習に夢中で夕食の時間が過ぎていた。

 

「じゃあエリカちゃんは俺の様子を見にそんな恰好までして会いに来てくれたんだ」

「別に。二科の制服じゃここに入れないし、私服でも無理だから仕方なくこれ着てるだけよ」

「ふぅん」

 

 そうだとしても会いに来てくれたという事実だけでも充分嬉しい。

 

「本音は?」

 

 そう言うとエリカちゃんは上目遣いで見つめてきた。

 

「……アンタが喜ぶから」

 

 さすが俺の恋人だ。俺の萌えるポイントを的確に突いてくる。

 

「嬉しい。凄く興奮してる」

「変態」

「ふふっ、それはエリカちゃんが一番よくご存じでなくて?」

「うるさいバカ」

 

 毒を吐くが目の下が紅潮してくるのは抑えられないようだ。俺に頬を撫でられるとエリカちゃんの両手が俺の背中へと回った。

 エリカちゃんはこういう雰囲気になるとよく抱きついてくる。

 

「ん……」

 

 そしておずおずと触れるだけのキス。ほのかに柑橘系の匂いが香ってきて、より情熱的なキスへと変わる。

 

「ん、ちゅ、れる、ちゅ……ちゅむ、ちゅ、れるっ」

 

 舌で軽く唇を突くと、彼女は口を開いて俺を受け入れ始める。舌と舌を絡め、唾液を交換するかのように互いの口腔へと行き来させる。

 

「ふぁっ……んはぁ、はぁ……はるかぁ、んっ」

 

 息を継ぐように顔を離すと、名残を惜しむように口と口の間を銀の糸が引く。熱っぽい眼差しを向けてくるエリカちゃんの唇を再び突こうとした瞬間、俺の結界に近づいてくる人影の反応を確認した。

 

 「気配察知」に映る三人の人影。一人はまっすぐこの訓練場に向かってきていて、二人は遅れてやってきている。

 後ろの二人はほのかちゃんと雫ちゃんみたいだけど、どうして深雪ちゃんが一人でここに向かってきているのだろうか。

 

「はるか?」

「なんでもないよ。エリカちゃんに見惚れてた。もう一回キスしよっか」

「うん」

 

 ちゅむっ、ちゅぷりっ、とエリカちゃんの舌が俺の口内の唾液を吸い取り、舌に絡みついてくる。

 

 頭の中を快楽に支配されながら気配察知に映る深雪ちゃんの動向を観察していると、そのままこの訓練場へとやってくるようだ。

 俺は認識阻害の結界を解除した。

 

「ッッッ!?」

 

 「聴覚強化」によって深雪ちゃんがハッと息を呑んだ音さえも聞こえてくる。

 

 どうやらエリカちゃんがここに入ってきたとき、入口の扉が少し開きっぱなしになっていたようだ。その隙間から深雪ちゃんがこちらを見てきて、俺とエリカちゃんがキスしている光景を見て動揺している様子。深雪ちゃんの荒い息遣いが動揺を物語っていた。

 

 さてどうしたものかと考えを張り巡らせるが、エリカちゃんの唇や舌が気持ちよすぎて頭が回らない。

 このままほのかちゃんと雫ちゃんと合流し、エリカちゃんと三人で深雪ちゃんを拘束してもらってなし崩しエッチしてもいいが、常に深雪ちゃんを観察しているお兄様が怖い。

 エッチすれば深雪ちゃんを堕とすことはできるが、無理やりは俺の主義じゃないしね。

 

「どうしたの深雪?」

 

 外では深雪ちゃんがほのかちゃんたちと合流したようだ。深雪ちゃんは俺たちの関係を知らないし、戸惑ったようにほのかちゃんたちをこの場から離れさせようと策を練っている。

 そりゃあ友達の彼氏が他の友達とイチャイチャキスしてたら合わせるわけにはいかないもんな。高確率で修羅場確定だし、今は九校戦期間中。ほのかちゃんのメンタルにも影響するわけだから浮気現場を見せようとは思わない。

 

 しかし、そんな深雪ちゃんの思惑とは裏腹にほのかちゃんは中に入ろうとする。扉一枚隔てて押し問答が繰り広げられている中、俺は唇を離した。

 

「んんはぁっ……はるぅ、ん?」

「しっ、外に誰かいるみたい」

「ッッ!?」

 

 唇を離し、追随してくるエリカちゃんの唇に人差し指を当てると入口へと視線を送る。

 たまらずエリカちゃんは俺から距離を取り、前髪やら服装を正すが光沢を帯びた唇と紅潮した頬だけは元には戻らなかった。

 

 俺はエリカちゃんをその場に残して入口方向へと足を進め、今も尚深雪ちゃんの足止めが続けられている現場に向かった。

 

「はる君!」

「やぁほのかちゃん。雫ちゃんと、深雪ちゃんもどうしたの?」

「み、みやもりくん!? あれ……」

 

 俺の身体越しに訓練場へと視線を向ける深雪ちゃんだが、俺の身体が大きいせいで中が見えない。

 

「どうしたの深雪ちゃん」

「い、いえ……」

 

 疑念に満ちた鋭い視線を向けられるが、熱い視線を向けられるのはベッドの上だけで充分だ。鈍感なふりをしてほのかちゃんへと声をかける。

 

「それで、三人はどうしてここに?」

「はる君がお腹を空かせてないかと思いまして、これ、持ってきたんです」

「お弁当?」

 

 話を聞くと、給仕のエリカちゃんに頼んで夕食の残りで弁当を作ってもらったらしい。どうやらエリカちゃんがメイド服だったのはさっきまで給仕していたからのようだ。

 

「ありがとう。嬉しいよ。後で食べるね」

「は、はいっ!」

 

 前にほのかちゃんは、俺が喜ぶ姿を見るのが好きだと言っていた。ならば俺は大袈裟だろうと彼女の喜ぶことをしてみせよう。

 深雪ちゃんのほのかちゃんを見る目が少し悲しそうに見えたのは気のせいじゃないだろう。深雪ちゃんの誤解も解くとしようか。

 

「今はちょうど幻影魔法の練習をしていたんだよ」

「幻影魔法?」

 

 食い気味に深雪ちゃんが聞いてくる。

 

「うん。予選で雫ちゃんと同じ共振破壊を使ったから、次はほのかちゃんが得意とする幻影魔法が使えないかと試してたんだよ」

 

 ほのかちゃんは光のエレメンツ。光に関係する魔法を得意とし、閃光魔法や光学迷彩などの魔法の扱いに長けている。

 

「それはどのような効果があるのでしょうか?」

「例えば相手に氷柱が全部壊れたと錯覚させることができれば攻撃は止まるよね? その隙にこっちが相手の氷柱を壊せばいいんじゃないかとか、色々試してたんだ」

「で、どうだったんですか!?」

 

 ほのかちゃんは自分の得意魔法が俺の役に立つのではないかと目を輝かせながら迫ってきた。

 

「効果はあると思うけど、よくよく考えてみたら明日の対戦相手は一撃で全部の氷柱を壊してくるから意味無いんだよね」

「あっ……」

 

 明日の相手は爆裂魔法を使ってくる一条将輝。ほのかちゃんは残念そうに肩を落とした。

 

「他にも相手の願望を映し出す幻影魔法の練習もしてたんだ」

「願望を、ですか?」

「ほのかちゃんは願望とかある?」

「え、き、急にそんなこと言われても……えへへ、はる君と結婚したいとかそんな深雪のいる前じゃ恥ずかしくて言えないし、どうしよ、えへへ……」

 

 ほのかちゃん以外の三人の生暖かくもあり冷たい視線がほのかちゃんへと向けられるが、彼女は一人の世界に浸ってしまった。

 

「と、まあ人には願望があるからね。それを見せて困惑できれば相手より先に魔法を発動することができる。もしかしたら訓練場の外にいたみんなにも影響があったかもしれないけど大丈夫だった?」

「うん。何ともないよ」

「そう、よかった。深雪ちゃんは?」

「え、あ、はい。何も問題ありませんでした」

 

 深雪ちゃんは一瞬思考を巡らせたような表情をしたがすぐにこちらに目を向けてくる。

 

「一つお聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

「なんだい? 深雪ちゃんなら大歓迎だよ」

「例えば、例えばですけれど幻影魔法は……友達の恋人が、友達と……その、色模様のようなものをしているのを見せることは可能でしょうか?」

「色模様?」

「エッチの事だよ」

「ち、違うわよ雫! せ、接吻の事です」

 

 雫ちゃんは慣れてるかもしれないけど深雪ちゃんは頬を赤らめさせて初心な反応を見せてくれる。それだけで興奮できるのだが今は我慢。

 

「できるよ。それがその人の願望なら、見えるかもしれないね」

「そう、ですか……」

 

 どんな願望だよ、とツッコミたい。まあ俺とエリカちゃんがキスしているのを見たのは俺の幻影魔法のせいだと思い込ませるためにはツッコまないけどね。

 

「深雪、見たの?」

「い、いいえ。見ていないわ」

「ふーん。だってハルカ」

 

 雫ちゃんはジトーっとした視線を向けてくるが俺は笑いかけるとプイッ、と目を逸らされた。後で機嫌を取ってあげないといけない。

 

「でもお弁当を持ってきてくれたのは嬉しかったけど、こんな時間に女の子だけで外に出るのは危険だよ。特に三人は可愛いんだから危ないよ」

 

 頭を撫でて願望、もとい妄想の世界からほのかちゃんを引き戻す。

 

「はい……ごめんなさい」

「よし、謝れて偉い」

 

 膝に手を付きほのかちゃんと目線の高さを合わせる。

 ドンドンと可愛らしい顔と甘い匂いが近づいてくるが、雫の一言でほのかが止まった。

 

「あ、エリカ」

「え?」

「訓練場の中にエリカがいる」

「……ホントだ」

 

 しゃがんだことで中にいるエリカちゃんが見られてしまった。雫ちゃんとほのかちゃんの目つきが鋭くなり、怪しむように俺を見てくる。

 

「エリカの唇てかってる」

「頬も赤いです」

 

 目ざとくエリカちゃんの違和感に気づいた二人は俺の耳元で呟く。

 深雪ちゃんに聞かれないように小声なのは正解だが、責められるようなことはまだしていない。

 

「エリカが……じゃあさっきのは……現実?」

 

 幻影か現実か。深雪ちゃんは不思議そうに俺とエリカちゃんを見比べていたが、結局答えが出ないまま俺たちは訓練場をあとにした。

 

 深雪ちゃんを部屋まで送り届けた後、俺とほのかちゃん、雫ちゃん、エリカちゃんに加えて美月ちゃんを部屋に呼んで五人で戯れたのは言うまでもない。




【次回の投稿は5月2日19時予定です】


【補足】
・第一に遥は魔法が使えない。
・ポイントを獲得し、【魔法力】や【性技】などの項目にポイントを振り分けることでその能力が使用可能。
・遥が魔法を使う方法は二つ。一つは直接その魔法をポイントで獲得する。例えば作中にも出てきた「共振破壊」を5000Pで獲得することで「共振破壊」が使用できるようになる。
二つ目はポイントで【魔法力】を上げること。処理速度やキャパシティ、干渉力やサイオン保有量などの項目があり、それらをポイントで上げることで他の魔法師と同じように魔法が使えるようになる。
一つ目で魔法を獲得した場合は、魔法力が足りなくても魔法の使用は可能。ただし、この場合はCADを用いないため見る人が見ればありえない出来事と認識される。
・遥はCADの使用に不慣れ。例えるならば普段AT車に乗っているのにいきなりMT車を運転する程度にはぎこちない。「CADに慣れる」という感覚はない。この世界の人間は自転車に乗るような感覚で使用できるため、転生者である遥にその感覚はない。
・普段はCADを操作しているふりをして直接魔法を発動している。しかし、九校戦ではCADに魔法使用履歴が残るため誤魔化しは通用せず、CADを介して魔法を発動しているため発動が遅い。
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