新人戦女子アイス・ピラーズ・ブレイク決勝戦。観客席は一般、関係者席問わず超満員だった。
決勝リーグの最終戦ではなく決勝戦。その言葉に相応しい会場の盛り上がり。
これから登場する二人のエンジニアである達也は、どちらにもつくことなく関係者観戦席の最後列に席を取っていた。
隣には摩利、更にその隣には真由美の姿もある。最初は達也を挟むように摩利と真由美が座ろうとしたのだが、突然真由美が摩利と話したいことがあるからと、この並びになった。
「超満員ね」
「ああそうだな」
「それだけ衝撃的だったってことかしらね」
「ああそうだな」
「もうっ! ちゃんと話聞いてるの摩利!?」
「ああそうだな」
「もうっっ!」
どこか上の空で真由美の声に相槌を打つ摩利。達也も摩利の異変に気付いていたが、その原因までは掴めなかった。チラリと横目で摩利の様子を伺うと、僅かに頬が赤らんでおり、両手が下腹部のあたりでギュっと硬く結ばれている。
「……」
摩利越しに真由美と目が合う。
「……達也君は、深雪さんの方につきたかったんじゃないの?」
摩利を無視して会話を広げようとする真由美に達也は、無理に会話を続けようとしなくてもいいのに、と心の中で嘆きながらも答える。
「ええもちろん」
「あら、随分あっさりと認めるのね。シスターコンプレックスという言葉を知ってる?」
「身内を応援するのが何故シスコンに繋がるのか理解しかねますが?」
「あらあら、聞いた摩利? この子開き直っちゃったわよ」
「……」
「もぅ!!」
達也のシスコンも重傷だが、摩利も重症のようだ。
選手たちが登場するまでもうしばらく時間がかかるようだが、何故摩利がこんな風になってしまったのか、遡ること数十分前――
アイス・ピラーズ・ブレイクで決勝戦と謳われるのは九校戦が始まって以来初めての事。加えて二人のエンジニアが同じ人物という事で、達也自身どちらかに肩入れするのを避けたため試合前の控え室は選手一人だけとなっていた。
そこで試合前の選手への最終確認を真由美と摩利の二人がすることになったのだが、深雪の元に向かった真由美はともかく、雫の確認に向かった摩利は控え室で見てしまった。
雫と遥が性行為している場面を……。
はむっ……ちゅぃっ……っ、ゅ……ちゅっ……ンチュッ
「なっ、なっ……なっ……!?」
控え室の外からではわからなかった男女の情事。入る前にノックをしなかったのが悪いと言われればそれまでなのだが、まさか大切な決勝戦前に会場の控え室でセックスしているとは誰も思うまい。こればかりは摩利に非は無く、完全に性行為に励んでいる二人が悪い。
「おまえたち……なにをっ……」
控え室の扉を開けるとすぐに聞こえてきた艶音。一瞬摩利も何の音かと気にはなったもののそのまま部屋の中へ視線を移す。そして室内に目を通すとすぐに視界に入ってきた二人のラブシーン。
雫はベンチに座る遥の膝の上で抱き合うように上下運動を繰り返していた。
試合用の振袖を羽織っているがそれだけ。下着や帯などは身に着けておらず、遥は、上半身は一高の制服に身を包んでいるが、下半身を露出させている。
互いに肌の露出は多くないが、摩利の目線からは遥の巨大化した肉棒が雫の体内に入っては出てくるのが丸見え状態。
「はるぅかぁ……すきぃ、んんぁっ……んハァッん……ぁぁ」
雫は遥に夢中で摩利に気づいていなかった。摩利の声も届いていないようだ。
遥は横目で摩利の姿を確認すると、見せつけるように雫の唇に吸い付いた。
「はむっンッ……ぢゅるッッ……ちゅぷっちゅっ……んぅぅっ」
それを嬉しそうに水音をたてて受け入れる雫。せっかくメイクアップしたというのにピンクのリップが遥の唇に塗り重ねられて台無しだ。
言わずもがな、口づけで終わるわけがない。
唇をこじ開けるように舌同士の交流が始まり、唾液の交換が続いた。
摩利にとってはどれも初めて見る光景。
男女のディープなキスも。巨大に膨れ上がった男性器も。それが女性器の中に抽送される所も。全てが人生で初めての光景だった。
もちろん摩利も高校三年生。それなりに知識があればドラマや映像で見たことがあった。しかし、実際に目の前で見るというのは初めての経験。
つい先日真由美と遥が交わっていたのは知っているが、それも直接見たというわけではなく、同じ部屋で音や声を聴いたというだけ。
(なん、だこれ……)
エロティシズムに溢れた光景。
遥と雫の舌が絡まるたびに摩利の身体が火照り、女の劣情までもが疼き始める。唾液を吸う時に出る『ぢゅるる』という音、雫の喘ぎ声を聞くたびに、無意識のうちに摩利の口から『うわぁっ……』と声が洩れ、何故か下腹部が湿ってきた。
二人の身体から発散される匂いも女の情火を煽ってくる。
上品なパヒュームに香りづけされた、甘く誘惑的なフレグランスは処女である摩利には媚臭に感じられた。
二人の色恋事を止めることをできずにしばらく見つめていると、やがて雫の腰がクイッ、と折れ、甲高い悲鳴が摩利の鼓膜を揺さぶった。
「ひゃぁっ……だめッッ……んっ、だめ、い、ックっ……いっちゃう……ンンンんぁぁっっッッ!!」
摩利と雫は親しい間柄ではない。不仲というわけではないが、仲が良いというわけでもない。単なる先輩後輩という間柄。一年生と三年生という事もあるが、同じ九校戦メンバーでなければ関わる事はなかっただろう組み合わせ。
この一ヵ月ほどで何度か話した程度の関係でしかないが、それでも摩利は雫に対してクールで物静かな印象しかなかった。
しかしどうだろう。今の雫は言葉遣いも、声色も、仕草や表情もすべてが普段とはまるで異なって艶っぽさで溢れていた。彼女が喘ぐたびに摩利の聴覚を蕩けさせ、官能を揺さぶる色気もあった。
さらには、桜色を超えて林檎のように真っ赤に染まった美顔……。
「あ……ぁ……ぁっ……ンぁ……」
普段の無表情で落ち着いた雰囲気からは想像もできぬほど、淫靡で淫猥な表情で遥にしがみつく雫に心が震えた。
「終わった、のか?」
「ふぇっ……?」
乱れた呼吸を整えるように遥の胸元に顔をうずめていた雫が、摩利の声でようやく第三者の存在に気づいた。
摩利の目が雫に向けられており、二人の視線が重なる。途端に雫の目が見開き動揺したように唇をわななかせたが、遥の声に雫の感情が更に昂ることに。
「これからが本番だよね?」
「えっ?」
絶頂を迎えたばかりの雫の腰を掴み、深みまで沈んでいた肉棒を一気に引き抜いた。
「ンはぁああッッッッんんんぁっ……ッッ!!」
自分の腕くらいあるのではないかと思うほど巨大な男性器を目撃し驚愕の表情を浮かべる摩利。
「ダメッッ、だって……んんぅぅぅっ、は……ぅ、っか、せん、ぴゃぃ、が、みてるぅっ……からっっ!」
「でもすごい締めつけてくるよ?」
「それはンンンッッッっぅぅ……だってぇ……ぁっ、ぁんっ……!!」
遥の膝の上で小さな女体が何度も跳ねる。
小刻みに身体を震えさせながらも遥の首に抱きつき離れない。摩利に見られているというのに恍惚とした笑みを浮かべ、快楽の頂点へ昇っていく。
「それに俺はまだイってないからね。雫ちゃんだけ気持ちよくなるのは不公平じゃない?」
「ぁんっ! ぅん、わかっ……た。はる、か、も……いっしょに……んっ、あぁ、イッちゃうぅぅぅッッ……」
雫の身体がうねり、呻き声をあげた。淫声に摩利は顔を歪めるが雫は摩利の様子を伺う余裕はなかった。
雫は随喜の涙を頬に伝らせ、遥の首筋に噛みついた。
遥もトロトロの膣壺に雁首を抽送させるたび絶頂感に襲われるものの、今は雫を気持ちよくさせることと摩利に自分たちの性行為を見せつけたいとの一念で射精をやり過ごし、ポルチオの性感を叩きのめす。
「ああああアアッッッッ!!!」
引っ掛かりのいい雁首で膣襞を掻き毟り、Gスポットと呼ばれる雫の弱点を抉るとビュッ、ビュビューッ、と噴水のごとく淫らなイキ潮を撒き散らす。
もはや摩利に見られているから冷静を保とうとかいう下らないプライドは存在しなかった。
摩利の雫に対する印象を全て打ち壊すかのごとく、雫は人間性をも捨て去って、一匹の牝獣に成り下がり、交尾の激悦に狂喜する。
「ぁぁっ、イってるッッ……イッてりゅ、のにぃッッ、ァアアああっッッ!!!」
子宮をも貫かんばかりの激しさで何発、何十発もの巨大な肉棒をうがちこみ、巨砲を轟かせた。
そのたびにギュっギュッ、と膣が遥の肉棒を締めつけ、バイブレーションのように膣やら脚、腰に至るまで身体全体が震えさせる。
「くっ、おれも……」
「出してッッ!! はりゅ、かの、せーえき、いっぱいっっ!!」
急激に締め付けてくる雫の膣壁に、いやらしく肉棒が擦り潰され、射精の欲望が堪えられなくなってしまう。
雫の望むがままに遥はガッチリと奥まで肉棒を嵌めたまま、大量の精液を子宮めがけてぶちまけた。
「ぁぁ、っ、きたぁ……ぁっ、あつい、の……はぁぁん……っぁ」
ほのかやエリカ、美月などいつものメンバー以外に見られながらの射精という、遥にとって興奮する状況に、いつも以上に勢いよく白濁液が噴出していく。
雫は満足感、充実感や幸福感に包まれ、快楽の余韻に浸っているが、遥の射精は治まることを知らなかった。
雫の膣を満たす射精。それだけでは治まらず、ジュボッ、と抜け落ちた肉棒の先端から摩利に向かって残りの精液が射出される。
「なっっ!?」
摩利との距離は数メートルあり、直接精液を浴びるという事はなかったが、摩利の眼前には、床に分散する大量の白濁液が広がり、鼻腔を生臭い牡のニオイが通り抜けていった。
雫は遥の膝の上でせわしげに息を継ぎながら、汗にまみれた遥の胸元に唇をあてがっていた。紅潮した頬が魅惑的で二回戦目を求めているようにも見えるが時間的猶予はない。
「気持ちよかったよ」
「んっ」
乱れた髪の毛を手で梳くと、雫はうっとりと目尻を下げて遥に寄りかかる。幸せを噛みしめているようだった。
「それで摩利ちゃんは何の用ですか?」
それからどれだけ時間が流れただろう。呆然と立ち尽くす摩利に遥が声をかけた。
「お、お前たちは……」
「俺たちはこういう関係ですよ?」
ちゅっ、と化粧が崩れている雫のおでこに唇を押し当てた。
「俺のこと女たらしの最低な奴と見損ないましたか?」
「いや……」
摩利の返事は曖昧だった。
元々遥の女好きは有名だったし、遥と真由美の関係を知っている摩利だからこその反応。それに普段より艶っぽく感じられる雫の幸せそうな美顔を見せつけられては何も口出しすることなどできなかった。
むしろ遥ならこれくらいしていて当然だと自分に言い聞かせているようにも見えた。試合時間が迫るこの状況で問い詰めるわけにもいかず、摩利は独り言を呟くように口を開く。
「もうすぐ試合が始まる。第一高校の品位を損ねるようなことはするなよ」
「わかってます。試合までには身だしなみを整えますよ。ね、雫ちゃん」
「ん」
猫のように遥の腕の中で丸くなる雫。深雪に対して闘志を燃やしていた人物と同一人物には見えない。
「遥……お前もだ。プライベートなことに口出しをしたくはない……が……」
「分かってますよ。結果を出せってことですよね? 俺は勝ちますよ。そして雫ちゃんも負けません」
「……そうか」
「俺がアイス・ピラーズ・ブレイクで優勝したら、今度摩利ちゃんも一緒にどうですか?」
「ば、馬鹿者!! な、何であたしが……」
「そういえばそろそろ一週間が経ちますね。まあその時に二人っきりでお話ししましょうね」
「ッッ」
これが摩利の様子がおかしい理由の全貌だ。
摩利は観客席に向かう途中、そして席についた後も遥と雫の行為の光景を思い出し、もし遥の相手が雫ではなく自分だったらと妄想を膨らませていた。摩利の意識が元に戻るのはそれからすぐの事……。
『お待たせしました、いよいよ選手登場です!』
アナウンスと同時に二人の選手が櫓の上に姿を現した。その瞬間、さきほどまでざわついていた客席は水を打ったように静まり返る。
観客たちの視線は二人の少女に釘付けだ。
目に清冽な白の単衣に緋色の袴姿の司波深雪。目に涼しい水色の振袖姿の北山雫。
『北山選手は襷を外し、司波選手は髪をおろしてより一層艶やかな姿です。予選では強大な魔法で勝ち上がってきた才色兼備な彼女たち! 決勝戦ではどんな対決になるのか期待が高まります!』
長い黒髪と振袖の袂が夏風になびく。
このアイス・ピラーズ・ブレイクは純粋な魔法のみで競う競技だ。どちらが優れた魔法を放つことができるのか。
試合開始を予告するランプが点り、開戦を告げる狼煙があがった瞬間、二人の魔法が同時に撃ちだされた。
良いところで終わりましたが次の更新早くするので許してくださいね
【次回の投稿は5月6日19時予定です】
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