錬金術師のいる生活〜都合のいいエロエルフが求婚しながらあらゆる手で精液を搾りとる話〜 作:タナん
女斥候に体重の何倍もある丸太が円運動をしながら迫ってくる
重力により真下に落ちるはずだった丸太は、括り付けられたロープによりその位置エネルギーは横方向へと変換されている。
その丸太は直径30cm、長さ2m、その重量およそ200kg。
もしこの丸太が女斥候の胸に吸い込まれたならば、肋骨はくだけ、肺は破裂し、呼吸困難に陥った彼女はもがき苦しみながら死に至るだろう。
「気をつけろ」
「は…はい…ありがとう…ございます……」
だが丸太は女斥候に触れる事すらなかった。
女斥候の肩越しにゲイルの腕が延ばされている。
その腕の先には大きな手で丸太が握られており、強大な運動エネルギーをケガ一つ負うことなく受け止め切ったようだ。
女斥候は肩越しにゲイルの顔を呆けた表情で見上げる。
若い女斥候の名はレウ=ポートランド。
歳は17歳で貧しい村の食い扶持を減らし、家族に仕送りするために半年前に冒険者となった。
彼女は半年の間に薬草集めから始まり、ウサギ狩り、鹿狩りと着々と依頼をこなしていき、ついに初の魔物討伐依頼を受けることが認められる事になった。
討伐依頼とは戦うと命の危険がある相手に出される依頼のため、得てして報酬が高く設定されている。
レウはこれで家族に仕送りができると喜んでゴブリン討伐の依頼を受けた。
この依頼のために集められたのは全て討伐任務が初めての者だ。
初の討伐任務はベテラン冒険者が引率する決まりとなっており、ベテラン冒険者を新人一人だけのために拘束するのは非常に効率が悪いため、このように新人をまとめて討伐任務を行わせることが多い。
レウはベテラン冒険者として紹介されたゲイルと顔合わせをしたとき、彼の事をよくいるスケベそうなおっさんだなとしか思っていなかった。
若い女冒険者であるレウに寄ってくる男冒険者は多く、この男もそんな奴らと変わらないのだろうと、無意識のうちに見下していた。
だが今は違う。
肩越しに延ばされた腕からは、子供の頃に父の腕の中で感じた逞しさを。
スケベそうに見えた顔は、あらゆる危険を乗り越えてきた歴史を。
その大きな体はどんなことが合っても自分の事を守ってくれる安心感を感じ取らせた。
「ゴブリンの足跡を見つけたまではいい。だが奴らは今のように足跡をわざと残して罠を張ることがある。
奴らのような人型の魔物を相手する時は足跡を素直に追うのではなく、多少面倒でも足跡が見える離れたところから追跡するべきだ」
「は…はい!」
「今回はあくまで俺は引率だったからあえて指摘しなかった。
冒険者ってのはこういう命の危険のある仕事だ。
もし今回を機に怖くなったのなら冒険者をやめた方がいいだろう」
ゲイルはレウが引っかかった罠の存在に気付いていた。
だがあえてそうしなかった。
自分が口出しをするのは簡単だ。
だがゲイルはいつもこうやって若い冒険者に、この仕事の危険性を身をもって体験してもらうためギリギリまで助けないようにしている。
もしこれで冒険者をやめるようなら続けていてもいずれ命を落とすだろうし、もし続けるのならば、この体験は強烈に彼らの心に焼き付き、この体験は財産となって同じミスで命を落とすことはなくなると考えているからだ。
ゲイルはベテラン冒険者。
それはつまり多くの冒険者の死を見てきたということだ。
女にだらしない以外は基本的に善人な彼は若い命が散ることをよしとしない。
彼はすこしでも若い命が散る事を防ぐために、あまり得にはならないこの引率の仕事をできるだけ引き受けるようにしていた。
「わ…私は家族を食べさせるために冒険者になったんです!この程度でやめたりなんかしません!」
どうやらレウはゲイルの試練を乗り越えたようだ。
真っすぐにゲイルを見つめる目は生きる意志に満ちている。
「そうか」
ゲイルはその言葉にポツリと一言呟いた。
「じゃあするべき次の行動は?」
ゲイルはレウの事を冒険者と認めた。
だが彼女の意思は本物でも、経験値はまだまだ半人前。
ゲイルは彼女を導くために次の行動について考えさせることにした。
一方その頃、ゴブリンに囲まれたハーム達。
若い血気盛んな男達だが、流石に魔物に囲まれているこの状況に焦りを見せていた。
「くそっ!囲まれた!」
「斥候は何やってんだよ!」
意識は失っていないものの、魔法使いはゴブリンの石礫に膝をつき、残るは小柄なエルフと前衛二人のみ。
「お兄さんたち強いんすよね~ちゃんと守ってくれないと私犯されちゃうっすよ?」
「ハームさんは下がって!」
二人の前衛はハームとケガをした魔法使いを守るようにして武器を取る。
この二人、不利な状況でも最低限の理性と勇気を持っているようだ。
気になる女を守るために意地を張るのは男の性。
意地だろうと、やせ我慢だろうと、今必要なのは動くための動機であり意思。
彼らはそれを持っているようだ。
ゴブリンが一斉に踏み込んできた。
ハームの右手にいる戦士1はバックラーを前に構えながら剣を真ん中の一匹に突き出す。
「ゲェッ!」
突き出された剣はあっさりとゴブリンの喉を貫いた。
急所に剣を刺されたゴブリンはすぐに動きを止め、絶命。
だがそのゴブリンの左右にいる別のゴブリンの動きは止まっていない。
右手側のゴブリンの錆びたナイフの攻撃はバックラーで受け止めた。
だが問題は左側だ。
剣を突き刺すために延ばした腕は、ゴブリンにとってどうぞ攻撃してくださいと言わんばかりだ。
ゴブリンは遠慮なく差し出された腕に手斧を振り下ろす。
幸いなことに、腕は皮鎧でおおわれている上、ゴブリンの持った手斧は刃こぼれがひどく、錆びている。
皮鎧は手斧から前衛1の腕を切断の危険から守ることに成功した。
だが不幸なことにゴブリンの武器は手斧だった。
切断力が落ちている手斧では皮鎧を断ち切ることはできなかった。
それなりの重量がある鉄の塊である手斧は、前衛1の腕を暫く使い物にできなくするほどの衝撃を与えた。
もしこれが剣やナイフなら、皮鎧で完全に防ぐことができただろう。
だが、これが現実。
前衛1は痛みに剣を取り落としてしまった。
ハームの右手を守る前衛2は迫るゴブリンに向かって剣を凪払った。
剣は左手にいるゴブリンの腕を切断し、脇腹に食い込むと背骨にあたって止まった。
前衛2はゴブリンに明らかな致命傷を与えた事に、気を良くして次のゴブリンに斬りかかろうとした。
だが剣が動かない。
そうしている間にもゴブリンが2匹迫ってくる。
前衛2は焦りながら自分の剣の方に目をやると、そこには血を吹き出しながらも剣にしがみつくゴブリンがいた。
前衛2の攻撃は確かな致命傷をゴブリンに与えた。
数分もすればこのゴブリンは息絶えるだろう。
だが、息絶えるまでまだ数分
決死の覚悟をしたゴブリンは動きを止めない。
自分を殺したこの人間を確実に屠ろうと、腹に食い込んだ剣をがっしりと掴んで決して離さない。
その間に右にいるゴブリンが、前衛2の構えるバックラーに飛びついた。
子供くらいの大きさとはいえ、その腕にかかる重さは片手で支えるには重すぎる。
左の剣に続いて右の盾まで使用不能にされた前衛2は、真ん中のゴブリンが頭めがけて振り上げる剣を呆然と見ることしかできなかった。
膝をつく魔法使いは力を振り絞り、手に持った杖で近づくゴブリンを殴ろうとする。
魔法を使おうにも、投石が頭に命中して脳が揺れて集中することができないのだ。
魔法使いに寄って来たゴブリンはあっさりとその杖をジャンプして避けてしまい、接近を許してしまう。
膝をついているため、低い位置に来ていた頭をゴブリンは容赦なく蹴りつけ、魔法使いは後ろに倒れてしまう。
ゴブリンは魔法使いの上に馬乗りになると、その首めがけてナイフを突き出した。
ゴブリンがハーム達に割いた戦力は、前衛1、2それぞれに3匹、魔法使いに1匹、ハーム4匹だ。
左右にハームを守るように陣取った二人だが、残念ながら前後はガラ空きで、武器を持つ自分達に恐怖を感じていないかのようなゴブリンの突撃を、止めることはできなかった。
ハームに群がる4匹のゴブリン。
その目は性欲に濡れており、既にこの雌を手に入れたあとのことを考えているようで、既に腰蓑が盛り上がっている。
ハームはゴミを見るような目でゴブリンに向かって自分から走り出す。
ゴブリンは自分からよって来た獲物に喜びの雄叫びをあげるが、当然ハームは自暴自棄になったわけではない。
ハームは走りながらリュックをおろしてゴブリンに投げつけた。
ハームの巨大なリュックの中には、薬草や調合器具など店でも開くのかというほどの荷物が詰め込まれている。
小柄で非力な種族であるハームだが、その肉体は上級冒険者であるゲイルをストーカーできる程度には鍛えあげられている。
彼女にとって種族、性別的な身体能力のハンデは少なくとも目の前のゴブリンに負けるほどではなかった。
巨大なリュックを投げられたゴブリンはその重量を受け止めきれずにひっくり返った。
ハームは倒れるゴブリンに向かってそのまま走ると、ゴブリンを潰すリュックを踏み台にして飛び上がった。
左右から迫る3匹のゴブリンの包囲を上空から抜け出すと、3人の冒険者がピンチに陥っているのが見えた。
ハームはそんな下等な人間が、自分にアプローチしてきたのかとげんなりしながら腰に取り付けられていた玉を地面に投げつけた。
ハームは地面に転がりながら目を瞑って耳を塞ぐと、薄暗い森の中を真っ白な光と、轟音が揺らした。
ハームは目を開け、後ろを振り向くと、ゴブリンも新人冒険者も地面に転がっている。
ハームが投げたのは目を焼く程の光と、方向感覚を狂わせるほどの爆音をだす玉だ。
この玉は、衝撃を与えると、マナを光と空気を震わすエネルギーに変える魔法陣に、内容されたマナを潤沢に含んだ液体が仕切りが壊れて流れ込むようにしたものだ。
その効果は見ての通り、戦闘可能なゴブリン11匹、人間4人をあっさりと無力化するほど。
ハームは転がるゴブリンに近づくと、手に持った火箸でゴブリンの喉を叩き潰した。
(やっぱり人間は下等な生物っすね)
ハームは襲ってきたゴブリンを難なく全滅させる。
彼女はエルフとしては珍しい好奇心旺盛な変わり者だが、誇り高いエルフであることには変わりない。
表に出さないが、人間を見下し、自分達が高貴な種族であることを信じて疑わない。
彼女はエルフ、人を見下す高貴な種族。
(精々頑張って一人前の生き物になるんすよ)
彼女が認めるのは研鑽を積み、その魂が美しく輝いている者のみだ。
そしてその様子は隣にいるハームにガッツリ覗かれていた。